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ライオット・ルセックはお姫様抱っこをされる 2
しおりを挟む絶望しながら第二波を待っていると、すぅっと床に転移の魔法陣が光る。
「ライオット、魔力暴走しちゃった?」
目の前にウサギ風のふわもこ部屋着の先輩が現れた。ここ天国かな。もう俺、死んでるのかな。
「やだっ泣き顔?きゃわっ!」
「え?」
「こほん、何でもない。で、これはどう言う状況?」
俺は腕にしがみ付く、ベアトリックスを見た。
「ハーディー先輩、コレは違うんです!全然離れてくれなくて、彼女いるからって言ったんですけど」
俺は腕にしがみ付くベアトリックス、無理やり引き剥がした。やん!とベアトリックスは床に転がった。
せっかく先輩が助けに来てくれたのに、このまま先輩が俺から離れて行ってしまったら、やっぱり今日は俺の命日だ。災いは忘れた頃に過去からやってくるもんだ。
「ソレじゃなくて。何か飲まされたでしょ?魔力の動きがおかしいよ」
スマフォンで俺の魔力を分析しながら、先輩はつかつかと近づいてくると、俺の首筋に手を当てた。そして俺の吐瀉物を少しだけ、どっかから取り出した試験管に入れた。
「何よこのチビ女!私のライオット君に触らないで!」
短いスカートの裾がウエストまでまくり上がったパンツ丸出しの状態で、床にしりもちをついたまま、ベアトリックスがヒステリックに叫ぶ。
「あなたこそ誰?私の彼に何したのよ。魔力量が多い人にそんなの飲ませたら、下手すると死ぬんだから」
そう言うとおもむろにスマフォンで通信を始めた。
「シェリスタ・ハーディーです。バディのライオット・ルセックが違法ドラッグ”Z”を飲まされ、魔力暴走を起こしてます。三番街のオルックの店まで救護要請します」
通信を切るとすぐに別の移転の魔法陣が現れて、警官と看護師が到着した。警官は、「またお前か、ベアトリックス・ケード。もう言い逃れはできないからな」と手錠をかけた。
もう一人の警官が、「証拠品押収しました。鑑定しましたがクロです」と手際よく報告する。
「なんで!違うんです。私、"Z"なんか持っていません。やっていません」
「お前がルセック氏に渡したジョッキを押収したから、もう証拠がないなんて言えないからな。お前の指紋と薬の残滓が残ってるんだよ」
「放して、ライオット君助けて。私、ドラッグなんて知らない」
ベアトリックスは「また私のこと見捨てるのー」と泣き叫びながら、パンツ丸出しのまま警官に引きづられ魔法陣に消えて行った。
どうでもいいけど、黒レースのTバックなのに全くそそられないな。先輩が着たらと妄想しだしたら、また魔力がうねりそうになった。いけない。
看護師さんが解毒剤を飲ませてくれた。少しずつだが、魔力が落ち着いてきた。ふわもこの先輩が心配そうに隣に座ると、顔拭いてくれる。吐いた時と魔力を暴走させてしまった時に、生理的に涙やら鼻水が出てしまっていたようだ。
「ハーディーさん、ルセックさんどうします?娼館手配しますか。一応解毒剤は飲ませましたけど、強力なドラッグなので、四十八時間以内に何度か強い揺り返しが来ると思います」
「私が介抱しますので、大丈夫です。部長に事情を説明しておいていただけますか。三日位お休みしますともお願いします」
「分かりました。あなた程の魔力量があれば、大丈夫ですね。正直、ルセックさんの魔力量だと、解毒完了するまでこの町の娼館全て使い切ってしまうかもしれないと懸念してたんです」
先輩は風魔法を俺にかけると俺の背中と膝の裏に手を添え、お姫様抱っこをした。え、え!?先輩が男前すぎる!俺は恥ずかしくなって顔を手で隠す。
そして「では、皆さん良い夜を」と移転の魔法陣を展開して、華麗に店を後にした。
◇◇◇
着いたのは先輩の部屋。先輩はソファーの上に優しく下ろしてくれた。座る俺の前に立つとそっと抱きしめてくれた。
「大変だったね。他人からもらった飲み物は飲まない方がいいね。最近、魔力量が少なくても、楽しくセックスできる違法ドラッグが流行ってるらしいから。私たちがそんなの飲んだら、大変なことになっちゃうよ」
「気を付けます…。また迷惑かけちゃって、すみません…」
「雨に濡れた犬みたいに可愛い…んんん、可哀そうになってるね」
先輩は、俺の髪をわしわしとする。
「もうなんか自己嫌悪過ぎて。今のあいつのこともよく知らないけど、ずっと恨まれてたのかな。
自分が性交は生理現象と思っていたことは否定しないし、今でも根本はそうだと思いますけど、相手も心があるわけですし、もっと相手のことを考えないといけなかったのかもしれませんね」
「そうかもだけど、結局合意のもとに致したわけだし仕方がない部分もある。そういう話って、”魔力量多い人あるある”でもあるよね」
ふっと笑って先輩が、俺の太ももに座る。両手で顔の向きを変えられると、唇にキスが落とされた。そのまま舌を入れると、先輩も答えてくれる。先輩の後頭部に手で支えるともっと深くキスをする。ふわもこ部屋着の上から、胸を触る。「んっ」という声が漏れる。先輩が俺の下腹部を意味深に触れる。
「やっぱりダメです。今日は本当に我慢できない。先輩のことめちゃくちゃにしてしまいそうです。自分の部屋に帰ります」
立ち上がろうと先輩の両脇に手を入れて持ち上げ、ソファーの上に移動させようとしたら、腕の力を抜いてするりと俺の手から逃げた先輩が耳元でささやく。
「ライオット、好きに挿れても、いいよ」
「……っ…」
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