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第一章 聖女は仕事をがんばるみたいです
瘴気の沼
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その後、結婚まで何の問題もなく進み、琴崎天音は、アマネ・メイオールとなった。
「おはようございます、アマネ」
「ん……、アルテア、おはようございます」
アルテアは朝からとろけるように微笑みながら天音にキスをする。
(朝からこんなに上機嫌ってすごいな。あ、でもいつでもアルテアはにこやかで上機嫌かも)
アルテアの唇をぼんやりと受け入れていると、だんだんと覚醒してくる。
そして、はっと、自分がアルテアの上に乗っていることに気がつく。
「アルテア、ごめんなさい。私、このまま眠ってしまったみたい。重かったでしょう? んっ……ああ……っ」
慌てて、アルテアの胸の上から下りようと起き上がると、後頭部と腰をぎゅっと押さえられる。再びアルテアの胸の上に戻され、それと同時に天音の中で何かが硬度を増す。
「ああっ、……んんっ、ぅんん……」
「昨日、繋がったまま寝てしまったみたいだから、ちょっとだけ続きをしよう?」
アルテアは、天音を抱きしめたまま、腰を突き上げる。中で大きくなる熱は、天音の中を徐々にみっちりと満たしていく。
毎晩、丁寧に開かれ、抱かれた身体はいつしかアルテアの巨根を難なく受け入れるようになり、今は何の抵抗もなくそれをねっとりと包み込む。
強い刺激に逃げようと上身体を起こそうとすると後頭部の手が離れる。しかし今度は両太ももの付け根をがっしりと掴まれて、それ以上動けない。
角度が変わり、更に奥が強く刺激される。
「逃げようとしても、違うところに当たって気持ちいいだけでしょう? それとも自分で当てているのかな。エッチな聖女様ですね」
「はぁん、……やっ、んん、……違っ……はぁ、ん」
「違わないでしょう? 自分で腰動いてますよ。ここがいいのかな?」
分かっているのに、分からないふりをしてアルテアは、天音のいい所を的確に突いてくる。
起きたての天音の身体は、簡単に昨日の快楽を思い出し、まだ昨夜の続きをしているような錯覚に陥りそうになる。
今や完全に硬くなった熱杭は、天音を逃がさないように何度も打ち込まれる。
天音の小ぶりな胸も細身の身体も激しく上下に揺れる。アルテアの先端が天音の中をひっかきながら往復すると、おかしくなりそうなほどの快感が体中に巡る。
そ
の様子をうっとりとアルテアが下から見上げている。ベッドの上に広がるプラチナブロンドの長髪が美しいと天音は思った。
「アマネをこんなに乱れさせているのが自分だと思うと、何とも言えない愉悦を覚えますね。中もすっかり、私の形になっていて、健気に締め付けきて……」
「アルテア、あ……っ、もっと、もっと欲しっ……」
天音は亜麻色の髪を乱し、アルテアになすがままにされる。潤んだ瞳は、つやつやと輝くペリドットのように魅惑的に揺れる。
アルテアは、繋がったまま上半身を起こし、天音をベッドに沈める。
「可愛すぎて、たまらないな、私の奥様は」
「……? 何? アルテア? いやぁ、あああっ…………」
アルテアは、天音に覆いかぶさり、今度は上から腰を打ち付ける。天音が両足をアルテアの腰に巻き付けると、隙間なくぴったりと抱きあう。繋がりがさらに深く、強くなる。
アルテアの長髪は乱れ、欲情した表情は艶っぽい。天音を抱きしめる両腕の血管は男らしく、荒い息に時折何かを我慢するような声が混じる。
いつになく真剣な、目じりが下がった琥珀色の瞳は天音を射るように見つめている。
(……私とこうしている時にだけ見せてくれるこの顔……。何かいい……かも……)
アルテアが達する前のこの顔を見るたびに、天音は何だか自分が『本当に』彼の特別になったような気がする。行為のせいじゃなく、胸がドキドキとする。自分にだけ欲情してくれて、中にたくさん出してくれる。
それだけのことなのだが、何だか愛されているような、心が満たされるような感覚になる。
「ああっ、んんんぅ、アルテア、キス欲しっ」
アルテアは、天音の唇を食むように自分の唇を重ねる。律動が強くなり、速度を増す。
「あああ、イっちゃ…………」
「私も射精るっ」
天音の中が、アルテアを離さないように強く締め付け、痙攣する。
アルテアは天音を強く抱きしめると、奥に熱い液を注ぎ込む。天音はその熱さに多幸感を感じる。
……どうして彼とのセックスは、こんなに幸せな気持ちになるの? 行為は同じなのに、前世の時と全然違うと天音は戸惑う。
二人の汗と荒い呼吸が混じり合うこのベッドの上で、ずっとアルテアと抱き合っていたいような、繋がっていたいような切ない気持ちが泡沫のように浮かんで、はっきりと形を持たないまま消えていった。
朝からたっぷりと濃密な時間を過ごしてしまったが、時計を見れば、まだ朝の六時だった。
(アルテア、すごすぎです……)
ぐったりと横たわる天音の頭を優しくなでると、アルテアは、細身ではあるが筋肉質な美しい肉体にバスローブを羽織る。どんなしぐさもいちいちスマート過ぎて困ると天音は心の中で思う。
タオルで天音を簡単に拭き、「もう少し寝てていいですよ」といつものようにふんわりとほほ笑む。
「アルテアは、どうしてそんなにすぐに動けるのでしょうか?」
「鍛え方が違いますから」
「こういう行為に慣れているってことですか?」
ちょっとした意地悪で天音が言う。自分だけが気持ち良くなってしまって恥ずかしいという気持ちと、すぐに動けるのがずるいという気持ちがないまぜになり、どうしていいか分からない。
「あなたが私の初めてって知っているくせに、どうしてそんな意地悪を?」
アルテアは口角を上げて少しだけ怖い顔をすると、着ていたバスローブを再び脱ぐと一糸まとわぬ姿になる。しなやかな肉食動物のような肉体が、天音に再び迫ってくる。
アルテアがベッドに手と膝を突くと、プラチナブロンドの髪が、さらさらと天音の肩にかかる。
「意地悪な聖女様には、お仕置きが、必要……ですね。ああ、この顔、もしかしてお仕置きをしてほしいのかな?」
意地悪そうに微笑むアルテアの整った顔が、天音に近づき、自分の喉元に食らいつこうとしている。さっき出したばかりだというのに、彼の自身は既に力を取り戻していて、天音の腰骨辺りにその存在を主張してきている。
アルテアの手が、不埒な動きで内ももを伝って上がってきたところで、天音は降参する。
「……っ、ごめんなさい。すみません! そんなこと思っていません」
これ以上イかされたら、今日一日動けなくなってしまう。天音がアルテアの胸を押し返すと、その両手首をアルテアが片手で掴み、キスをする。
「何だ。残念。お仕置きしたかったのに。まだかわいい胸も下の蕾も触っていなかったから、心残りですよ」
アルテアは目を細めた。その表情に天音の胸の鼓動は早くなる。お仕置きされたいような気がしてきて、身体の奥がほんのりと熱くなる。
「もう……すぐ意地悪するんだから……」
「アマネが先に意地悪してきたのですよ」
バスローブを再び羽織ると、「続きはまた夜に」と浴室へ向かう。
「おはようございます、アマネ」
「ん……、アルテア、おはようございます」
アルテアは朝からとろけるように微笑みながら天音にキスをする。
(朝からこんなに上機嫌ってすごいな。あ、でもいつでもアルテアはにこやかで上機嫌かも)
アルテアの唇をぼんやりと受け入れていると、だんだんと覚醒してくる。
そして、はっと、自分がアルテアの上に乗っていることに気がつく。
「アルテア、ごめんなさい。私、このまま眠ってしまったみたい。重かったでしょう? んっ……ああ……っ」
慌てて、アルテアの胸の上から下りようと起き上がると、後頭部と腰をぎゅっと押さえられる。再びアルテアの胸の上に戻され、それと同時に天音の中で何かが硬度を増す。
「ああっ、……んんっ、ぅんん……」
「昨日、繋がったまま寝てしまったみたいだから、ちょっとだけ続きをしよう?」
アルテアは、天音を抱きしめたまま、腰を突き上げる。中で大きくなる熱は、天音の中を徐々にみっちりと満たしていく。
毎晩、丁寧に開かれ、抱かれた身体はいつしかアルテアの巨根を難なく受け入れるようになり、今は何の抵抗もなくそれをねっとりと包み込む。
強い刺激に逃げようと上身体を起こそうとすると後頭部の手が離れる。しかし今度は両太ももの付け根をがっしりと掴まれて、それ以上動けない。
角度が変わり、更に奥が強く刺激される。
「逃げようとしても、違うところに当たって気持ちいいだけでしょう? それとも自分で当てているのかな。エッチな聖女様ですね」
「はぁん、……やっ、んん、……違っ……はぁ、ん」
「違わないでしょう? 自分で腰動いてますよ。ここがいいのかな?」
分かっているのに、分からないふりをしてアルテアは、天音のいい所を的確に突いてくる。
起きたての天音の身体は、簡単に昨日の快楽を思い出し、まだ昨夜の続きをしているような錯覚に陥りそうになる。
今や完全に硬くなった熱杭は、天音を逃がさないように何度も打ち込まれる。
天音の小ぶりな胸も細身の身体も激しく上下に揺れる。アルテアの先端が天音の中をひっかきながら往復すると、おかしくなりそうなほどの快感が体中に巡る。
そ
の様子をうっとりとアルテアが下から見上げている。ベッドの上に広がるプラチナブロンドの長髪が美しいと天音は思った。
「アマネをこんなに乱れさせているのが自分だと思うと、何とも言えない愉悦を覚えますね。中もすっかり、私の形になっていて、健気に締め付けきて……」
「アルテア、あ……っ、もっと、もっと欲しっ……」
天音は亜麻色の髪を乱し、アルテアになすがままにされる。潤んだ瞳は、つやつやと輝くペリドットのように魅惑的に揺れる。
アルテアは、繋がったまま上半身を起こし、天音をベッドに沈める。
「可愛すぎて、たまらないな、私の奥様は」
「……? 何? アルテア? いやぁ、あああっ…………」
アルテアは、天音に覆いかぶさり、今度は上から腰を打ち付ける。天音が両足をアルテアの腰に巻き付けると、隙間なくぴったりと抱きあう。繋がりがさらに深く、強くなる。
アルテアの長髪は乱れ、欲情した表情は艶っぽい。天音を抱きしめる両腕の血管は男らしく、荒い息に時折何かを我慢するような声が混じる。
いつになく真剣な、目じりが下がった琥珀色の瞳は天音を射るように見つめている。
(……私とこうしている時にだけ見せてくれるこの顔……。何かいい……かも……)
アルテアが達する前のこの顔を見るたびに、天音は何だか自分が『本当に』彼の特別になったような気がする。行為のせいじゃなく、胸がドキドキとする。自分にだけ欲情してくれて、中にたくさん出してくれる。
それだけのことなのだが、何だか愛されているような、心が満たされるような感覚になる。
「ああっ、んんんぅ、アルテア、キス欲しっ」
アルテアは、天音の唇を食むように自分の唇を重ねる。律動が強くなり、速度を増す。
「あああ、イっちゃ…………」
「私も射精るっ」
天音の中が、アルテアを離さないように強く締め付け、痙攣する。
アルテアは天音を強く抱きしめると、奥に熱い液を注ぎ込む。天音はその熱さに多幸感を感じる。
……どうして彼とのセックスは、こんなに幸せな気持ちになるの? 行為は同じなのに、前世の時と全然違うと天音は戸惑う。
二人の汗と荒い呼吸が混じり合うこのベッドの上で、ずっとアルテアと抱き合っていたいような、繋がっていたいような切ない気持ちが泡沫のように浮かんで、はっきりと形を持たないまま消えていった。
朝からたっぷりと濃密な時間を過ごしてしまったが、時計を見れば、まだ朝の六時だった。
(アルテア、すごすぎです……)
ぐったりと横たわる天音の頭を優しくなでると、アルテアは、細身ではあるが筋肉質な美しい肉体にバスローブを羽織る。どんなしぐさもいちいちスマート過ぎて困ると天音は心の中で思う。
タオルで天音を簡単に拭き、「もう少し寝てていいですよ」といつものようにふんわりとほほ笑む。
「アルテアは、どうしてそんなにすぐに動けるのでしょうか?」
「鍛え方が違いますから」
「こういう行為に慣れているってことですか?」
ちょっとした意地悪で天音が言う。自分だけが気持ち良くなってしまって恥ずかしいという気持ちと、すぐに動けるのがずるいという気持ちがないまぜになり、どうしていいか分からない。
「あなたが私の初めてって知っているくせに、どうしてそんな意地悪を?」
アルテアは口角を上げて少しだけ怖い顔をすると、着ていたバスローブを再び脱ぐと一糸まとわぬ姿になる。しなやかな肉食動物のような肉体が、天音に再び迫ってくる。
アルテアがベッドに手と膝を突くと、プラチナブロンドの髪が、さらさらと天音の肩にかかる。
「意地悪な聖女様には、お仕置きが、必要……ですね。ああ、この顔、もしかしてお仕置きをしてほしいのかな?」
意地悪そうに微笑むアルテアの整った顔が、天音に近づき、自分の喉元に食らいつこうとしている。さっき出したばかりだというのに、彼の自身は既に力を取り戻していて、天音の腰骨辺りにその存在を主張してきている。
アルテアの手が、不埒な動きで内ももを伝って上がってきたところで、天音は降参する。
「……っ、ごめんなさい。すみません! そんなこと思っていません」
これ以上イかされたら、今日一日動けなくなってしまう。天音がアルテアの胸を押し返すと、その両手首をアルテアが片手で掴み、キスをする。
「何だ。残念。お仕置きしたかったのに。まだかわいい胸も下の蕾も触っていなかったから、心残りですよ」
アルテアは目を細めた。その表情に天音の胸の鼓動は早くなる。お仕置きされたいような気がしてきて、身体の奥がほんのりと熱くなる。
「もう……すぐ意地悪するんだから……」
「アマネが先に意地悪してきたのですよ」
バスローブを再び羽織ると、「続きはまた夜に」と浴室へ向かう。
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