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第一章 聖女は仕事をがんばるみたいです

朝と既視感そして罪悪感

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 アルテアは、汗で顔に張り付いてしまった天音の髪を横に流すと、額にキスをする。

「これからが本番。あまり私を興奮させないようにね」

 自分が興奮させているわけじゃないのにと思いつつ、どう答えたらいいのか逡巡しているうちに、再び深いキスが始まる。
 キスさえも気持ち良くて、おかしくなりそう。
 アルテアは、弛緩した天音の花芯を見る。どちらのとも分からない液体で、そこはぬらぬらと光っていて、アルテアの劣情を煽る。

 蜜口に先ほどよりも七割減になった、屹立をそえる。ぬるりとした入口を先端で少し擦ると、中からしとどに蜜が溢れてくる。

「すごく中は濡れているけれど、入口は狭そうです……。痛かったら言ってください」
「あぁんっ、……んっ、んんぅ……」

 天音が小さく喘ぐと、アルテアは少し安心したような顔をして、ゆっくりと中に屹立を突き立てる。
 ぷつりと入口の部分が裂けた感覚がした。

「んっ、痛っ」
「ごめんね。やっぱり血が出てしまうね。少し切れてしまったみたい」
「ゆっくりしてもらえば、大丈夫と思いますっ……」

 「分かりました」と心配そうにアルテアが言った後、ずんと重い刺激が天音を襲う。圧迫感はすごいが、そんなに痛くはないのは、達して身体がとろけたようになっているからだろうか。

「アマネ、先だけ、挿ったよ」
「んん、ぅ、……もう少しいけそうです。あんん、…………っあぁ」

 ぐっぐっとアルテアは天音の中を貫いていく。ゆっくりとアルテアの剛直は、確実に天音の中に埋もれていく。
 アルテアの大きな熱が、壁をごりごりと擦りながら自分の中に侵入してくる。

「はぁん、んっ、やっぱり大きいですね」
「ごめんね。さっきよりは小さいのだけれど。痛くない?」
「……はい、圧迫感がすごいですけど、痛みはそれほどでもありません」

 ゆっくりと天音の膣内なかが、自分の大きさに慣れるように、アルテアは腰を慎重に進める。途中、天音の首筋を愛撫しながら、胸を優しくこねる。
 天音は、痛い、気持ちがいい、苦しいがぐちゃぐちゃに混ざり合い、よく分からなくなる。
 く、苦しいけど、少し、気持ちいいかも……。
 はあはあとお互いの呼吸が荒くなる。

「アマネ、もう少し、力を抜ける?」
「ち、力ってどうやって……抜けばいいのでしょうか」

 天音は、アルテアに向かって不安そうに手を伸ばす。アルテアは、腕を天音の後頭部と背中に回す。お互いの身体か近づき、更に結合が深くなる。

「ああああぁ……」
「アマネ、可愛い。もっと深くまで私を受け入れてほしい」

 アルテアは、キスをしながら背に回した手を下へ移動させ、愛液が垂れてぬるぬるとしている天音の尻を揉む。新しい快感にふっと身体の力が抜けると、アルテアは奥まで自身を埋め込む。
 まだなの? これ以上、奥まで挿れることってできるの。
 アルテアの屹立が奥へ奥へと突き進んでいき、最奥にようやくたどり着く。

「ああぁ、すごい、深い……はぁ……んんっ」
「アマネ、ありがとう。これで全部、挿入はいったよ。信じられない」

 身体に杭を打ち込まれたような状態で、天音は動けない。アルテアは、じっと結合部を見ている。アルテアの瞳から涙がぽたぽたと零れ落ちる。

「ありがとう、アマネ。本当に、ありがとう。私の元に来てくれて、これは奇跡としか言いようがない」
「……よかった。アルテア、本当によ、かったで……す、んっ」

 天音は自分の中でアルテアが少し大きくなったのを感じて、声を漏らす。

「今まで、何度もダメで。傷つけたり、拒絶されたり、もう、正直諦めようと思っていたのです。そんな時、あなたが遣わされました。アマネは私の救いです」

 嬉しそうに泣き笑うアルテアに、天音は今までにない満たされた気持ちになる。
 これまでの人生、こんな風に誰かの役に立てたことはあっただろうか。
 居場所もなく、虐げられ、孤独だった。感情は摩耗し、死ぬ前は何も感じなくなってしまっていた。温かいものが心に流れ込んでくる。

「私こそ、お役に立てて嬉しいです」

 天音がそう言うと再び中でアルテアの硬度が増す。

「少し動かしますね」

 天音がうなずくと、アルテアは天音が苦痛を感じないかを確かめるように慎重に腰を動かし始めた。
 アルテアが中を擦るごとに、天音の身体は快感を拾い始める。

「……ぁ、んっ、あ、ああっ」

 身体を貫くアルテアの狂暴な雄は、余すところなく天音のいい部分を擦る。天音の愛液は、アルテアの屹立にねっとりと絡まる。

「ここがいいのでしょうか?」

 アルテアは上半身を起こし、天音の両膝を持ち、上を擦るように当てる。

「ああっ……、わか、りません。……アルテアに触れられている所、全部気持ちいっ」
「嬉しい、アマネ。私も気持ちがいいですよ。あなたの中を私の形にしたい」

 抽挿は少しずつ早さを増す。何度も角度を変えて、奥も手前も突かれる。
 何も考えられない。こんな意識が飛んでしまいそうな快感を、今まで体験したことがない。

「あああぁ……んんっ、……ああ、ダメぇ、もうおかしくなってしまいそ……」
「イキそう? 私ももう我慢できなそうだ。一緒に最後まで……」

 アルテアが、天音の膝裏に腕を入れて手をベッドにつくと、天音の腰が上に上がる。突き下ろされる高ぶりは容赦なく、強く、重たく天音の奥を突く。

「奥すご、……ダメですっ、深いぃ、あああああっ」
「くっ、アマネ、そんなに締めたら、イクっ」

 熱いものが天音の奥に容赦なくぶちまかれる。天音とアルテアの身体は、びくびくと痙攣する。
 天音は意識を失い、ぐったりとベッドに沈む。
 アルテアは、愛おし気に天音にキスをすると、ずるりと未だ半勃ちの自身を抜く。
 天音の中が切れた時の血が、アルテアのモノについていた。目を凝らせば、シーツにも血が染みていた。

「……愛おしい、アマネ。傷をつけてしまいました、すまない」

 アルテアは、気絶してしまった天音を綺麗に拭くと、切れている部分に薬をそっと塗る。

「アマネ、愛しています。出会ったばかりなのに、こんな気持ちになるなんて、自分が信じられない。いつまでもそばにいてほしい……。こんなにわがままな自分を私は知らなかった」

 ぐったりと眠る天音を自分の腕で守るように抱くと、アルテアも眠りに落ちた。

***

 コンコンと控えめにノックの音が響く。
 朝になり、女性の神官が様子を伺いにやってきた。一瞬ベッドの血のシミを見てぎょっとした表情を浮かべたが、人の気配にすぐに目が覚めたアルテアが、口元に一本指を添えて静かにするようにというしぐさをしたので、無言でこくこくと頷く。

「アマネ、起きて。朝ですよ」

 アルテアが天音の肩をゆるゆると揺らすと、「むぅー」と少しだけ唸り、目を開く。

「アマネ、起きられますか? 神官が来てくれたから、帰る準備をしましょう?」
「はい。起きます」

 むくりと起き上がると、天音は自分が全裸なことに気が付き、慌てて毛布で身体を隠す。

「今更ですか?」

 くくっと無邪気に笑うアルテアを見て、天音の胸は何だかとくりと音を立てたような気がした。

 股関節が痛く、脚に力が入らず歩けなかったので、アルテアにお姫様抱っこをしてもらって王城まで帰った。
 お姫様抱っこで入城、既視感……しかない……。恥ずかしい……。
 
 何をしていたか一目瞭然の状態――いや、実際に儀式としてナニをしていたんだが――が、顔から火が出るかと思うほど、色々と恥ずかしかった。
 しかしそれ以上に周りの人々の安堵のような、微笑ましいものを見るような温かい視線が何よりも恥ずかしかった。
 シグナイの力により好感度が上がっているから皆がそう思ってくれるだけで、自分の力ではないことに少しだけ周りに嘘をついているみたいな気がした。また胸が痛んだ。
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