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2章 怨みの象

30話 狼は夜(よ)に動く

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祝宴場に着くと、受付を済ます。すると、席まで案内された。

どうやら祝宴場が食べ放題の会場らしく。

「さて、早速取りに行くですの!」

「取り過ぎるんじゃないぞ!」

 早速取りに行こうとするアーティナへ、そう当たり前な事を言うと。
 それぞれ取り皿を取ると直ぐに、食べたいものを取りに行く―――。

彼方此方へ取りに行って、カナミとサラが二皿ずつ持って戻って来て、また取りに行く。
 その次にアミリとミューフィが二皿持って来て、机に置くとまた取りに行った。

 その後ヒョウガが二皿に、アーティナが二皿に沢山乗せて持って来た。

それからそれぞれがお茶を持って来て。

パクッ、

 「ん~ん。この秋刀魚サンマの塩焼き美味いぞ!」

パクッ、

 「そ、そうね。でもこの薩摩芋サツマイモコロッケも美味しいわよ!」

 「それなら私も食べています」

パクッ、


「んーん。本当に美味しいです」

「このマグロのスープも美味しいよー」

 「そうなんだね。私が食べてる何かわからない奴も美味しいよ」

「鯛のディッシェも美味しいですの!」

それぞれが食べて思ったことを言う。

そしてまた新しい皿を取って、取りに向う。

アーティナはデザートを持って来てから。

―――スプーンが無い事に気付き、取りに行く。

 カナミがディッシェライスを取りに向い、ヒョウガはお肉と野菜を取りに行き、アミリがデザートと紅茶を取りに行く。ミューフィとサラもまた取りに向う。

 アーティナがとって来たのは、モンブラン、チョコケーキ、プリン、ロールケーキにパイン、シャーベットを四種の様だ。

 アミリがとって来たのは、モンブラン、チョコレートケーキとチーズケーキを二つ。アンラードゥに桃とメロンを乗せ、最後にシャーベット三種を持って来て。

パクッ、

 「ん~ん。つ、冷たい。でも美味いわよ! マンゴーも、抹茶も、リンゴ全部ね!」

パクッ、

 「ん~ん。冷たくて美味しいですの! こっちのロールケーキもとても美味しいですの!」

 アミリが冷たいと言う声を出しながら、美味しそうな顔をして幸せそう。

 冷たい―――と声を上げたアーティナも、シャーベットの味を楽しみ、ロールケークも同様に味を楽しむ。

 「このディッシェ、そんなに辛く無くて凄く美味しいね!」

 「このマグロのステーキも美味しいぞ! それにこのサラダの味付けも俺好みだ」

カナミがカレーに舌鼓を打ち。

 ヒョウガはステーキの旨みを味わい、サラダの方も気に入った様子。
 ミューフィとサラも美味しそうに取って来た物を味わうと。

 彼らもスイーツを取りに、祝宴場の一番奥の端に向う。

 ヒョウガはシャーベットを四つ、ロールケーキを二つ、レアチーズケーキを一つにティラミス一つ。コーヒーゼリーを一つ、苺と桃、葡萄ブドウを幾つか乗せて持って来た。

 カナミが持って来たのは、シャーベート五つに、チーズケーク二つ、シュークリーム二つ、抹茶プリンとコーヒーを一つずつ、林檎一つと蜜柑二つらしく。

 ミューフィはお汁粉汁物の容器に入れて、別のお皿に、チョコケーキとショートケーキを一つずつに、シュークリーム、リンゴのタルトを乗せ、小さい容器に蜜柑と葡萄、メロン、パインを入れて持って来て。

その後、カフェモカを持って戻ってきた。

 サラが持って来たのは、シャーベート二種に、カップケーク、苺のタルトを二つずつ、モンブーラン一つ、南瓜ケーキを一つに、パイン、メロン、梨で。

  置いてから、ホットミルクティーを取りに行く。

それぞれ食べ始める。

パクッ、

 「ん~ん。確かにシャーベット美味いぞ! こっちのロールケーキも絶品だ」

 「お汁粉、温かくてとても美味しいです。林檎のタルトも林檎の甘みとワッフルのサクサク感が溜まりません」

パクッ、

 「ん~ん。シャーベット、冷たくて凄く美味しいよー」

それぞれ美味しそうに食べ、味の感想を言う。
みるみるうちにお皿のモノがなくなっていく。
そして温かい飲み物をそれぞれが口に運ぶ。

 そして全てが住むと、口を布巾で拭き、祝宴場を出てエレベーターで下に下りて、部屋へと戻って行く。

 それから彼は荷物の準備をして、お風呂へ向かう。
その直ぐ後で、カナミ達も向うも向かう。

 脱衣所で衣類を脱ぎ、風呂の中に入ると、思っていた以上に人がおり―――洗い場も空く迄待つしかない状態に。

 やっと体を洗え、髪の毛を続いてシャンプーとリンス―で洗い、シャワーで流す。
 それから湯船へと浸かる。それから露天風呂に入りに行く。

 ―――す、凄く狭いわね。のんびり浸かってられないじゃない。

とアミリは不満を抱く。

 そして何分かしてから湯船から立ち上がり、露天風呂を出て行き、もう一度体と髪の毛を洗い浴室を出て、脱衣所へと向かい。

 一方男湯のヒョウガの方も、混んでいることで、ムンムンとした空気が増して漂っていた。

彼女たちが浴衣に着替え、部屋に戻り。
二つ隣りの彼も、丁度戻ってきたらしく。

 部屋に戻ると、直ぐに歯を綺麗に磨いて、嗽をして、顔を洗いタオルで拭く。
それからカナミ達の部屋に向い。

 コンコンと、ドアをノックしてから、ドアノブに手を掛け、ドアを開く。

「んじゃあ、俺は寝るわ!」

「分かった。お休み」

「お、お休みなさい!」

「お休みですの」

「お休みなさい」

「お休みだよー」

 彼がお休みの挨拶をすると、彼女たちがお休みを返す。

 そして彼は寝る準備をして、横になり、何分かして眠りに就く。

 カナミたちも何十分か経ってから、寝る準備をして横になり、眠りに就く。

こうして一日は終わりかに見えたのだが―――。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 電灯が灯す交武祭典アルージェフェートの関係者が泊まるホテル近くの道。

 そこを蟹股で歩く一人の男。周りには誰の姿も無い。

 「あの潜水艇の騒動を仕組んだのは、あの長身の乗組員おっちゃんだな。彼奴が元学園長の協力者なのは間違いない。だとすると、海底楽園都市ライシスに奴がいると・・・・・・。もしや、これが狙いか」

と懐から悪事を思わす証拠データを出す。

 「この前―――元北武装守護の学園長セロラン・リュードを尾行して正解だった。まさか悪魔と契約を結んでは・・・・・・。でも、実際のところその裏には・・・・」

 最後まで言うよりも先に、狼の仮面を被った男が手に刀剣を握り締めて、気配なく近づくと。

 「あんたも元学園長、否、十悪率いる悪徳罪業団と組んでるんだな。全て警備員に言われたくないんだったら、取引をしよう」

と、言い出すことなど計算済みだったのだろう。

レクトはニヤリと笑い。

手に持つサーベルで彼を切り裂き―――。

  「ぐはっ… なんてことをして……」
 
 「ターゲットを消せと言う指示だから、悪しからず」

 そう言った直後、鮮血に染まったサーベルで止めの一撃を心臓に放つ。

 悲鳴を上げるよりも先に、男の命は文字通り――消え失せて逝ってしまい。

  その場にぐったりと倒れ込む。

  「これは'あの人’の指示だからさ」

  とだけ言い残し、'悪事を働いた証拠データ´を手に、その場を立ち去った。

 後に残ったのは、男の亡骸と、地面を真っ赤に染める、男の体から出きった大量の血痕だけだ。

昨夜の事件の事は、忽ちたちまちに都市中、更に関係者らの耳に広まり、警備隊や捜査隊が朝からバタバタと動き出す騒動になっていた。

 そんな中―――選手ホテルの内右側のホテルの二階。中央の方にあるヒョウガの部屋では、事件など知る由もないからか、まだ暢気のんきに眠っている。

すると、

 コンコンと、ドアをノックする音がするも、反応は勿論ながら返ってこない。

 その為、メイドは自ずと部屋へと入り込む。

 「ご主人様、朝です。起きて下さい!」

と、ロコが起きるように促すと。

 欠伸をしつつヒョウガが目を覚まし、すぐ隣で眠る全裸な幼女を起こす。

「おはよう」

「おはようなのじゃ」

 「おはようございます・・・・・・って、ツッコミたいことがあるのですが、どうしてこの子を裸にして、隣りで寝ているのでしょうか? まさかその子にふしだらな事を・・・・・・。もしかしてロリコンさん? と言う人ですか。となると、私の事もそう言う目で見ていたんですね」 

 何事も無いように普通に挨拶をしてくる二人に、流されそうになってしまう。

 ーーが自分にツッコミを入れて、当たり前な疑問と、勝手な結論付けをされてしまい自分も対象なのだとばかりに妄想をしてしまう。

 「そうなのじゃよ! でももう既成事実もあるのじゃじゃ。だから、妾だけの物なのじゃ」

  「ん・・・・・・!? 否、既成事実何て作った覚えは一度も無いぞ!?」

  「分かりました。警備隊を呼びましょう?」

「否否、本当に違うからな」

 リーフがでたらめを吹きかけ、ヒョウガの言うことを余所にし危うくなる。だから強く否定した所、渋々理解アわかってもらえたようだ。

 「警備員さんで思い出したんですが、先程捜査隊の方が、大会の関係者に話を聞いていたんです。その理由は、昨夜運営委員会の方の一人が、関係者用ホテル近くで殺されたという事件があったそうです」

 「ん・・・・・・!? こんな楽園パラダイスでそんな恐ろしい事があったのか。大切な試合も始まってないのに・・・・・・犯人は絶対に許さないぞ!」」

 「ヒョウガの言う通りなのじゃ。妾も犯人を見つけたらコテンパンにしてやるのじゃじゃ」

 ふと、思い出したようにロコは、昨夜起きた事件について話す。

 それを聞いた二人は、思い思いの事を口にして。

 「それよりも、お嬢様! 浴衣を着て下さい」

「分かったのじゃ」

 と言うことで、リーフは脱ぎ棄てられた浴衣とパンツを拾い上げて、着替え始める。

 そして数分を経て、幼女が着替え終えたところで、丁度良く部屋の中にパンとコンソメスープ。それと牛乳を選手ここホテルの従業員スタッフが部屋の奥―――窓際にあるテーブルの上まで運び込む。

 一人分かと思いきや、ちゃっかり二人分用意してあるではないか。

なので窓際の席に二人は見つめ合う容に座った。

 その内に従業員の人がベッドを綺麗に直す。

「んじゃあ食うぞ!」

「そうするのじゃ」

そう言って食べ始めて―――

パクッ、

 「ん~ん、このクロワッサン、サクッとしていて、それに甘くて美味いぞ!」

サクッ、

 「ん~ん、。サクサクしていて本当に美味しいのじゃ」

 ―――二人はまず初めに、クロワッサンを口に頬張ると、幸せそうな顔をさると。
 続いてヒョウガはメロンパンを掴み取り、リーフはクリームパンを掴む。

サクッ、

 「ん~ん。メロンパンもサクサクしていて、甘くて美味いぞ!」

パクッ、

 「妾が食べているクリームパンも凄く美味しいのじゃ」

と、またも幸せそうな顔をしてて食べる二人。

ゴクゴク、

「ん~ん。このコンソメスープも美味しいのじゃ」

「確かに美味いな。このスープ」

と二人はコンソメスープに下包みを打ち。

 残りのパンも次々となくたって行き、牛乳もあっと言う間に完食して少しして、従業員の男性が空のバケットと空の容器を提げて全て持って行き―――。

 それから少し寛いでから、部屋から持って来てあった歯ブラシで先にリーフが歯を綺麗に磨き、その後ヒョウガも洗面台で歯を綺麗に磨いて、嗽を済ませ、顔を洗う。そしてタオルで拭く。

それから十分ほど二人は話してから。

幼女は玄関の方へ向かい、

 「それじゃあ、妾は行くのじゃ。また後でなのじゃじゃ」

「ああ、分かったぞ! んじゃあな」

 そう告げるや否、リーフはドアを開けて、自分の部屋へと戻って行く。

 幼女が立ち去ってから、彼は着替えをして、カナミ達の部屋に向う。

  トントンとドアをノックし、ドアを開け放つ。

 ―――中に入ったところ皆着替えが済んでおり、部屋の中に設けられている椅子と窓際のある椅子にて寛いでいた。

彼に気付いて、そちらに集まってきて。

「ヒョウガも聞いたよね。事件の話」

「ああ、聞いたぞ!」

「―――そ、それにしても物騒な話よね」

 「確か殺された人って、何処かの運営委員会の人ですのよね?」

 「もしかして、昨日ヒョウガ先輩が言っていた元学園長の仕業なのではないでしょうか?」

 最初にカナミがそうヒョウガへ話を切り出すと、すぐさま彼は返事を返し、アミリが体を震われながら、その話に触れた。

 そしてアーティナは、殺された男のことで聞いた情報を伝え終わった瞬間、ミューフィはハッとして、それから開陳する。

 彼女のと言葉を聞いて、少し考え込んだヒョウガは、うんと頷いて―――。

 「元学園長自ら手を下すとは思えないけど、そうだとすると、昨日の潜水艇内での騒動にも納得がいくぞ!」

 「あれって確か、長身の男性乗組員さんがニセ爆弾を見つけたあれだよね」

 「そうだ。あの乗組員が自作自演でやってたとすると、辻褄が合うぞ! 全員をわざわざ港に全員を下ろして、その隙に何処かに待機していた元学園長らを艇内に入れたんだ。違和感が有ったんだよな。あの乗組員には」

 自分なりの推論を語る彼に、聞いていた彼女たちは忘れていた呼吸を思い出して、肺に酸素を送った。

 「てことは、元学園長は何かの目的で仲間? に殺された男の暗殺を命じたって事ですの?」

「ああ、多分そうだろうな」

 「そ、それが本当だったら私たちが狙われる事は無いって事よね」

 ヒョウガの話を読み解くことが出来たアーティナは、自分が行きついた答えを口にしたところ、正解だったらしく。


アミリは、それを聞いてほっと胸を撫で下ろし。

 ―――そ、それにしても、ホントにそれだけのためにわざわざ来た訳じゃ無いわよね? でも何かあったら、私が・・・・・・力足らずかもだけど、ヒョウガ先輩は守ってあげるわよ、何としても!

と少女は、彼の顔を凝視して思い。

 ―――これで終わるとは思えないぞ! 必ず何か他にも狙いがある。もし矛先がこっちに向いたとしたら、必ず俺が仲間を守るぞ!

 と彼もアミリのように守りたいものを守ると、心の中で誓い。


「話が難しかったけど、つまり昨日の予想が的中したってこと―」

 「確かにそうなるな。まあ、今俺達に出来る事は無いから、話は終わりにするぞ!」

 イマイチついていけてないサラだったが、分かった事だけで分析し、昨夕の仮説が正しかったのだと喚く。

 彼に無理矢理話を締めくくらせられて、今日これからの話になった。

「んじゃあ、午後から特訓をするぞ!」

 「―――そうだね。確かに特訓はしないとだもんね! それじゃあさ、午後までぶらぶら街歩きしよっか」

「そ、それ良いわね!」

「アタシも賛成ですね!」

「ワタシもです」

「ウチも-」

 心の整理をし終えた彼女らは、ヒョウガの提案を受け入れ、カナミが街歩きをしようと可否を問うと。

 全員が賛成したので、善は急げと言うことで、準備を整え、選手ホテルを後にする。
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