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第1章 天使との契り

4話 気付かぬ恋心

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アミリを探すヒョウガは、スイーツ店の前で足を止める。
  其処には探していたアミリの姿があった。少女の元へ行くとそっと肩を叩く。

 「やっぱりここに居たのか、アミリ。前にスイーツ好きって言ってたからな。もしかしてって思ってな」

 「 ふぇ? た、確かに言ったわね。そんなこと・・・けどお財布忘れたのよ」

 ーーーお、覚えてくれてたのね。

アミリは嬉しさのあまり 欣喜きんきした

 「今日は俺が奢るぞ」

 「わ、悪いわよ、そんなの」

「気にするな。またこうして再開出来た記念てことでどうだ?」

途轍もないと、ヒョウガの申し出を断ったアミリ。

  会えてヒョウガも嬉しかったのだろう。
これは作戦などではない。

 「そ、そう言うことなら仕方ないわね。お言葉に甘えてそうしてあげる」

 ーーーホ、ホント優しい先輩

アミリは、ヒョウガを見てそう感じ…

来店した。

 ―――中に入ると、店内には、若い女性客や女子学生で大半を占めており。

席は、自由席で丁度空いてた真ん中のソファー席を選ぶ。

 奧にアミリを座らせたヒョウガは、アミリの向かいに座り向かい合う。

 「何を頼むんだ? 俺は、ブレンドコーヒーだけだ」

 「わ、私は、このレアチーズケークにするわよ。良いわよね?」

 「良いぞ。丁度来たな。済みません」

 ―――水を持ってきたウェイトレスに水を二人の前に奥と注文を伺う。

 「えっと、ブレンドコーヒーとレアチーズケークを一つ下さい」

「畏まりました」

 ウェイトレスは厨房へ行く。

 待つこと何分か過ぎた頃。
  注文したコーヒーとチーズケークが届く。

 「凄く美味しそうだな。そのレアチーズケーク」

 「あ、あげないんだからね。そんなに見詰られたってね」

 少女の瞳を真剣に見つめたヒョウガは。

 「別に良いぞ。出会った時から思ってたんだけど、君って凄く可愛いよな。久し振りに会ったけど、やっぱり好きだ」

「お、お世辞でしょ。今までそんなこと一言も言ってくれなかった癖に」

「んや、これに関しては俺は本気だ」

   ―――も、もしかしてあの時から先輩は私の事が好きだったってこと!? そんな素振りは無かったのに。ズルいわよ。そんなこと言われたら…

 すると、次第にアミリの心臓の鼓動が高まり、胸がぎゅっと締め付けられる程に切ない。

  決してヒョウガの作戦などではない。
彼は素でそう言っているのだ。

 ―――ま、また心臓がドキドキしちゃた。あの時も先輩を見た時こうなったのよね

初めて先輩の戦っている姿を見た時も同じことが起きた。

  その時のは、ヒョウガの戦う姿がカッコ良く、ときめいてしまったから。

心臓のドキドキが煩い。


  先輩の優しいところや格好いい所に何時しか惹かれていたなだろう。
  その事に気付くのにそう時間はかからない。

 「あ、有り難う。お、奢ってもらうのは私なんだから、 一口位食べても良いわよ」

  顔を真っ赤に染めたアミリは、ケークの乗った皿をヒョウガのに渡す。

「うん、美味いな。口を開けろ。ほら」

 「ほえ~。い、良いわよ。自分で、パクッ…確かに美味しいわね! でもこれって・・・」

 ―――せ、先輩からのあ~ん!? 漫画で見たことあるシチュエーションよ。確か、カップル同士とか、同性でやるやつよね!?

 少女漫画のワンシーンを思い出た少女は、同じ状態だと直ぐに理解する。

 しかし、こんな浪漫ロマンではない場所でやると、あまり効果は期待できない。

 ―――周りの席の人達は、その光景を目にしたのか。ソワソワと騒いでいた。

 「ニヤニヤ。あ、恥ずかしいわね」

 「どうしてニヤケたんだ? それに何で顔真っ赤にしてるんだ? 熱でもあるのか」

 「べ、別に熱なんてないわよ。それより、早く返しなさい!」

ワザと分からない振りをして、揶揄からかってるのだろうか。

 そしてヒョウガは、アミリの方に返し、少女が残りを全部食べ始め…

 パクパクと食べて行き、仕舞いには無くなってしまう。
 そうして食べ終わったアミリは、水で一息吐く。

その後、二人でレジに向う。

 「レアチーズケークの単品がお一つと、ドリンクの単品で、ブレンドコーヒーがお一つ、合計で五百九十九になります」

「それじゃあこれ」

 「お預かりが六百円ですので、一円のお返しになります」

 ヒョウガは、お釣りの一円を受け取り、アミリと店を出て―――。

 「お、奢ってくれてありがとう。それとこのことは二人だけの内緒なんだからね」

 「どう致しまして。ん? 分かった。何でか分らんが、二人だけの内緒な!」

ーーーやった~。こ、これで二人だけの秘密が出来た。

アミリは欣喜した。

 アミリの喜ぶ顔を見て、頬を緩めてにっこりと笑う。

「な、何笑ってるのよ!」

「別にいいだろう! 楽しいんだから。それに笑った顔が可愛いんだからよ」

 ヒョウガの然り気無い一言に、頬を赤らめて照れた。


 ヒョウガとスーパーを出て見ると、陽が沈み掛けていた。
二人は薄暗い夜道を歩いて学生寮に戻った。
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