惑星保護区

ラムダムランプ

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第1章『ベサーイの最後』

第17節『ランキバーサの復活』

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 ソウエが合図を出すと同時に、ステッキの両端から赤と青の放電が消えた。

すると赤い放電に包まれていた黒い物質が、周囲の物を引き寄せ始め、最初はステッキと紫色の物質が引き寄せられ磁石のように、黒い物質に張り付いた。

ラム王と市民達、そしてファモ族達が一斉に水筒を捻るとカラフルな雲が放出され、黒い物質に方に引き寄せられて行く。

徐々に黒い物質は回転し始め、それに引き寄せられるように、カラフルな雲も渦を巻き始めると、ラム王と市民達の体も黒い物質の方へ引っ張られ始めた。

引っ張られないように地面に踏ん張っていたが、だんだんと引っ張られる力が増して行き、ついには体が宙に浮いた。

ファモ族が付けてくれたチェーンだけで、体を支えている。
ラム王達はそれでも水筒を手放さないように強く握り雲を放出し続ける。

放出している雲の隙間から、黒い物質が更に回転を増して、それに雲も引きずられて、小さな銀河のような美しい光景が見えた。

なんて美しいのだろう…。

ラム王が見とれていると市民達の声が聞こえた。

『飛ばされそうだ。』

『頑張れ!』

『もう限界だ!』

『星ごと引っ張られそうだ!』

ラム王も、もう限界だと思った瞬間、水筒から雲が出なくなり手を離すと、猛烈な速度で水筒は黒い物質の方へ飛んでいった。
  
黒い物質を中心にカラフルな雲が渦を巻いて時折、雲の中で閃光を発しながら圧縮されいく。

すると太鼓に付いている、全てのトライアングルから白い稲光が黒い物質に向け放たれ、稲光が当たった瞬間、黒い物質は一瞬で周囲の雲を全て引き込み爆発し膨張した。

恒星誕生の瞬間だった。

それと同時に引き込まれる力も無くなり、ラム王達は地面に転がり、ファモ族が来て腰と地面を繋いでいたチェーンを外し

『良く耐えましたね、お陰で上手くいきました。お疲れ様でした。』

ラム王と市民達に言葉を掛けてくれた。

ラム王と市民達は立ち上がり周囲を見ると、そこには明るい恒星と、その光に照らされた茶色い大地が広がっていて、明るい地上を1度も見た事の無いムカーク族にとって初めて見る地上の景色であった。

恒星の周囲を回る軌道に、星を移動させる為にログカーロがオレンジ色に発光を始め、ゆっくりと移動していく。

続いて星を自転させる為に、ファモ族の家でもある太鼓と、その外側にあるオレンジ色のトライアングルがチェーンを地面に埋め込んだまま、強く発光し連結した状態で加速し始め、星がゆっくりと自転を始めると、地面に埋め込んだチェーンを引き抜いた。

ソウエがウゲルカ器官を通して

『皆さん成功です!おめでとうございます!』

実に何万年ぶりだろうか?この星に恒星の光が戻ったのは。

ラム王は勿論、市民達も、そしてファモ族達も、皆して喜び合った。

ソウエが太鼓から戻って来て

『まだ終わってませんよ。』

と言い、手には小さなザンパ種の植物を持っていた。

他のファモ族がシャボン玉に包まれた限定地の土を持って来て 

『これが重要なんです。』

と言うと、シャボン玉を割り、中に入っていた土を茶色の地面に撒いた。

そこにソウエが持って来た植物を優しく植える。

ラム王がソウエに聞いた。

『あなた方ほどの知恵と能力があれば、わざわざムカーク星を探すとも、新たに星を造る事など造作もないのでは?』

と言うと、ソウエは

『確かに恒星や星、そして大地も造れます。しかし、どんなに素晴らしい大地を造れても、この土だけは無理だったのです。』

と答えた。

ラム王が

『この土?なぜ?』と聞くと

ファモ族にとってザンパ種は生命維持に不可欠な植物だそう。

そして昔ランキバーサから逃げた時に、僅かながら限定地の土とザンパ種を持って行ったが、
ザンパ種は限定地の土のみでしか、上手く育たなかった。

限定地の土を増やそうと、分析して似た成分の土を試すも、成長は著しく低下し、他の星の土や人工的な土など、散々試したが上手くいかず、そうしている内に僅かに持って来た土も痩せ細り始め、やむを得ず他の植物で代用する他無かった。

長年に渡り、他の植物で代用していた為、能力も知恵も寿命も徐々に劣り始め、早急に限定地の土とザンパ種が必要でランキバーサを探していたそうだ。

それなら限定地の星自体を探しには行かなかったのか?とラム王が聞くと

あの星は二度と行けない所にある為、ランキバーサと空間の交換をしていたそう。

よく分からないが、とても大変な思いをされたのですね。 
でも、ここに帰って来れて良かったですね。

とラム王が言うと、ソウエが、ええ本当に見つける事が出来て幸運でした。と言った。

市民の1人が

『せっかく大地を造っても、水が無いと植物達も育たないのでは?』

と言うとファモ族が

『ご心配なく、大丈夫ですよ。』

と言うと、ファモ族達の家である太鼓が降りて来た。
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