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第1章『ベサーイの最後』
第12節『限定地の由来』
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限定地の森が、別の宇宙にある星の一部と聞いたラム王は混乱する。
ソウエは
『この場所はランキバーサの一部と、別の宇宙にある星の一部を空間ごと交換しているのです。ランキバーサで起きた事は、空間を交換している向こうの地面で起き、ここの地面で起きた事は、向こうの星で起きた事なのです。あなたが今立っている場所は、別の星の地面ですよ。』
と言われラム王は足元を見る。
(タルカも限定地を歩いて通過する時、無意識に別宇宙に移動していた。
その後、ランキバーサでサバルに突入し、別宇宙に移動出来たと市民達が勘違いで喜んでいたが、タルカだけ腑に落ちなかった様子だったのは、タルカが既に一度、別の宇宙に無意識に移動した経験があった為)
『でも何故このような事を?』
とラム王はソウエに聞くと
『我々は、星も生命も作り出す事が可能です。そして意図的に進化の速度を加速させる事も出来ます。しかし、それは自然ではありません。自然とは変則的な現象の繰り返しによってのみ出来るのです。ランキバーサで我々の居た空間と、ここの空間を仕切る事により、お互いを干渉から守る為に設けました。』
それを聞いたラム王は、ムカーク族もファモ族によって人工的に造られた種なのですか?と聞くと、それは少し違うと言う。
ムカーク族、ザンパ種そして、かつて生存していた種族も含め、この星で自らの力によって誕生し進化をした種族達であるとの事。
ファモ族は様々な宇宙の星で、色々な種族達と出会い、その一部の種族をランキバーサを連れて来た。
(自ら進んでランキバーサに来た)
しかし、人工的に造り出した星の環境に適応するのが難しく、種族達は危機に貧した。
ランキバーサにファモ族の知恵の一部を授けた事が原因だろうと思われた。
そして環境そのものを自然に作り替える必要があった。
しかし、それでも変わらず種族達は危機に貧する。
そこでやむを得ず、ファモ族の知恵、能力の一部を種族達に与え、危機から救おうとした。
種族達の中にはファモ族の知恵、能力を拒否する者達もおり、ファモ族は見守るしか無かった。
そうしていると、知恵を持つ種族と、何も持たない種族が交配し誕生した新たな種族
知恵や能力を進化の過程で捨てる種族
更にはファモ族も持たない未知の能力を自ら進化して得る種族等が誕生していった。
そして進化が繰り返され誕生したのが、ムカーク、ザンパ種、ヒルポ、ラヤキ等々、
様々な祖先達の種族です。
そこから更に進化をして誕生したのがムカーク。
その証拠に、ファモ族と同じウゲルカ器官を持つムカークだが、ファモ族の持つ器官とは多少異なる。
ムカークはランキバーサのザンパ種達とは会話が出来るが、ザンパ種の祖先でもある限定地の植物達とは、会話が出来ない(植物達の声を聞く事は出来ても、こちらの声は植物達には聞こえていない)事をソウエがラム王に教えた。
ラム王は知らない事ばかりで、驚いていた。
ソウエが星の修復には、まだまだ別の物質や素材が必要なので、それを取りに行きましょう。と言い、再び乗って来た球体に、二人で乗り込む。
球体に乗るとソウエがラム王に再び触れて、半透明の薄く白い光を消した。
二人を乗せた球体は再び上昇し、今度は星の反対側に向かう。
限定地を越えると崖になっており、そのずっと下には、厚く凍りついた大地が広がっていた。
(限定地以外の大地はサバルの熱で溶けて吹き飛んだ為、崖のようになっている)
その上を、ゆっくりと飛ぶ球体。
暫くすると、氷の地平線の先から見た事の無い、大きな物体が徐々に姿を現して来た。
近付くにつれて、その大きさに驚く。
物体の大きさは、ムカーク星程では無いが、かなり大きい。
その物体は、星の上で停止していた。
その大きさと異様な形に、見とれているラム王。
ソウエが
『あれが我々の家です。』
(外観は、幾つも並んだ凄く大きなオレンジ色のトライアングル楽器。その内側に1つの大きな銀色の太鼓が、トライアングルに挟まっているような状態。それが全部で5個あり、それぞれトライアングルの角の部分から、真珠のネックレスのような、白く輝くチェーンが隣のトライアングルに連結されている。)
あれが家…と驚いているラム王。
1つ太鼓の中に球体ごと入り込むと、中には砂時計の形をした沢山のファモ族達が居た。
『ようこそ、ラム王』
ファモ族の1人が言う。
何故名前を知っているのか?と少し驚く
『我々は見聞きした事を共有してるのです。驚かせて、ごめんなさい』
太鼓の中は明るく、白い地面と壁で、宙を様々なザンパ種の動く絵が浮いていた。
ソウエが、壁から玉座と同じ形をした椅子を取り出して
『ゆっくりして下さい』
と言い、一部の壁を窓にして宇宙の景色を見せてくれた。
吸い込まれるように何処までも広がっている、美しい星たちを眺めて、ふと近くにいたファモ族に質問するラム王
『今、ここから見えている全ての星に行かれたのですか?』
するとファモ族は
『宇宙は大きいので我々でも、全ては無理です。』と答えた。
続けて
『我々は大昔、塵に襲われて、それぞれが別々の宇宙に逃げたのですが、再び集まれたのは、今ここにいる数だけなのです。今も他の宇宙に行った者達を探しています。しかし、消滅する宇宙もあれば、誕生する宇宙もあるので、その全てには、探しに行けてないのです。』
悲しい事を聞いてしまった気がしたラム王は、少し気を落とすと、そのファモ族が
『時間は掛かるとは思いますが、いつか全員が揃うと思っています。』
と明るい口調で言った。するとラム王も
『そうですね!』と笑顔で答える。
ソウエが来て、間もなく移動を始めます。と言う。
ラム王はその様子を見ていた。
何人かのファモ族が太鼓の中央に円形の形に集まると、その内側の地面から円形状の、薄く銀色に発光する大きな板(円卓の天板)が出て来て宙に浮いた。
(ラム王が使用している銀色のテーブルと同じだが、ファモ族のは、もっと大きい。)
板を取り囲んでいるファモ族達が触れると、銀色の円形板がゆっくりと回転を始める。
すると板の中心から銅色の輝く輪が、何重にも板の上に出てきて浮いた。
そして、隣のトライアングルと連結している白く輝くチェーンが外れ、1つのトライアングルが(太鼓は挟まったまま)、ゆっくりと移動を始めた。
徐々にムカーク星(旧ランキバーサ)が離れて行く。
何だか少し寂しい気持ちになるラム王。
太鼓が速度を上げると窓から見えるムカーク星が、ぐんぐん小さくなって行く。
ムカーク星は完全に見えなくなった。
何処までも広がる宇宙の星空を眺めていたラム王。
すると、ずっと遠い所に星とは思えない形の何かが、宇宙を泳いでいる。
何だろう?とラム王が見ていると、近くに居たファモ族の1人が窓に触れた。
(砂時計の体型から、ムカークとは違う8本指の手が出てきた。)
すると窓が望遠鏡のように拡大されて見える。
そして見えたのが、とても恐ろしい形をした生物だった。
(顔が前後にある巨大なワニ)
思わず仰け反るラム王。
するとファモ族が
『あれはワージリ星です。』
あれが星?どう見ても生物なのでは?と聞くと
『あれ1つが生命体であり、星でもあるのです。』と言った。
とても狂暴そうな星なのですね。と言うと、
『そうですか?ワージリは、とても優しくて友好的なのですよ。』
そう思うと、ワージリ星が段々と、可愛らしく見えてきたラム王だった。
ファモ族が触れている円形板。
その板の上に浮いていた輝く銅色の輪が、楕円形になり始めた。
楕円形の輪は更に高く浮き上がり、楕円の長さも延びていく。
そして楕円形の端と端が繋がり、一本の太い輪になった瞬間、瑠璃色(濃い青色)に発光して、円形に並ぶファモ族の外側で、回り出した。
ソウエが来てラム王に
『間もなく移動点に入ります。』
ラム王は、まさか別の宇宙に行くとは思っていなかった反面、楽しみだった。
『サバルの移動点に向かうのですか?』とラム王はソウエに聞くと
『別の移動点です。』
ソウエは
『この場所はランキバーサの一部と、別の宇宙にある星の一部を空間ごと交換しているのです。ランキバーサで起きた事は、空間を交換している向こうの地面で起き、ここの地面で起きた事は、向こうの星で起きた事なのです。あなたが今立っている場所は、別の星の地面ですよ。』
と言われラム王は足元を見る。
(タルカも限定地を歩いて通過する時、無意識に別宇宙に移動していた。
その後、ランキバーサでサバルに突入し、別宇宙に移動出来たと市民達が勘違いで喜んでいたが、タルカだけ腑に落ちなかった様子だったのは、タルカが既に一度、別の宇宙に無意識に移動した経験があった為)
『でも何故このような事を?』
とラム王はソウエに聞くと
『我々は、星も生命も作り出す事が可能です。そして意図的に進化の速度を加速させる事も出来ます。しかし、それは自然ではありません。自然とは変則的な現象の繰り返しによってのみ出来るのです。ランキバーサで我々の居た空間と、ここの空間を仕切る事により、お互いを干渉から守る為に設けました。』
それを聞いたラム王は、ムカーク族もファモ族によって人工的に造られた種なのですか?と聞くと、それは少し違うと言う。
ムカーク族、ザンパ種そして、かつて生存していた種族も含め、この星で自らの力によって誕生し進化をした種族達であるとの事。
ファモ族は様々な宇宙の星で、色々な種族達と出会い、その一部の種族をランキバーサを連れて来た。
(自ら進んでランキバーサに来た)
しかし、人工的に造り出した星の環境に適応するのが難しく、種族達は危機に貧した。
ランキバーサにファモ族の知恵の一部を授けた事が原因だろうと思われた。
そして環境そのものを自然に作り替える必要があった。
しかし、それでも変わらず種族達は危機に貧する。
そこでやむを得ず、ファモ族の知恵、能力の一部を種族達に与え、危機から救おうとした。
種族達の中にはファモ族の知恵、能力を拒否する者達もおり、ファモ族は見守るしか無かった。
そうしていると、知恵を持つ種族と、何も持たない種族が交配し誕生した新たな種族
知恵や能力を進化の過程で捨てる種族
更にはファモ族も持たない未知の能力を自ら進化して得る種族等が誕生していった。
そして進化が繰り返され誕生したのが、ムカーク、ザンパ種、ヒルポ、ラヤキ等々、
様々な祖先達の種族です。
そこから更に進化をして誕生したのがムカーク。
その証拠に、ファモ族と同じウゲルカ器官を持つムカークだが、ファモ族の持つ器官とは多少異なる。
ムカークはランキバーサのザンパ種達とは会話が出来るが、ザンパ種の祖先でもある限定地の植物達とは、会話が出来ない(植物達の声を聞く事は出来ても、こちらの声は植物達には聞こえていない)事をソウエがラム王に教えた。
ラム王は知らない事ばかりで、驚いていた。
ソウエが星の修復には、まだまだ別の物質や素材が必要なので、それを取りに行きましょう。と言い、再び乗って来た球体に、二人で乗り込む。
球体に乗るとソウエがラム王に再び触れて、半透明の薄く白い光を消した。
二人を乗せた球体は再び上昇し、今度は星の反対側に向かう。
限定地を越えると崖になっており、そのずっと下には、厚く凍りついた大地が広がっていた。
(限定地以外の大地はサバルの熱で溶けて吹き飛んだ為、崖のようになっている)
その上を、ゆっくりと飛ぶ球体。
暫くすると、氷の地平線の先から見た事の無い、大きな物体が徐々に姿を現して来た。
近付くにつれて、その大きさに驚く。
物体の大きさは、ムカーク星程では無いが、かなり大きい。
その物体は、星の上で停止していた。
その大きさと異様な形に、見とれているラム王。
ソウエが
『あれが我々の家です。』
(外観は、幾つも並んだ凄く大きなオレンジ色のトライアングル楽器。その内側に1つの大きな銀色の太鼓が、トライアングルに挟まっているような状態。それが全部で5個あり、それぞれトライアングルの角の部分から、真珠のネックレスのような、白く輝くチェーンが隣のトライアングルに連結されている。)
あれが家…と驚いているラム王。
1つ太鼓の中に球体ごと入り込むと、中には砂時計の形をした沢山のファモ族達が居た。
『ようこそ、ラム王』
ファモ族の1人が言う。
何故名前を知っているのか?と少し驚く
『我々は見聞きした事を共有してるのです。驚かせて、ごめんなさい』
太鼓の中は明るく、白い地面と壁で、宙を様々なザンパ種の動く絵が浮いていた。
ソウエが、壁から玉座と同じ形をした椅子を取り出して
『ゆっくりして下さい』
と言い、一部の壁を窓にして宇宙の景色を見せてくれた。
吸い込まれるように何処までも広がっている、美しい星たちを眺めて、ふと近くにいたファモ族に質問するラム王
『今、ここから見えている全ての星に行かれたのですか?』
するとファモ族は
『宇宙は大きいので我々でも、全ては無理です。』と答えた。
続けて
『我々は大昔、塵に襲われて、それぞれが別々の宇宙に逃げたのですが、再び集まれたのは、今ここにいる数だけなのです。今も他の宇宙に行った者達を探しています。しかし、消滅する宇宙もあれば、誕生する宇宙もあるので、その全てには、探しに行けてないのです。』
悲しい事を聞いてしまった気がしたラム王は、少し気を落とすと、そのファモ族が
『時間は掛かるとは思いますが、いつか全員が揃うと思っています。』
と明るい口調で言った。するとラム王も
『そうですね!』と笑顔で答える。
ソウエが来て、間もなく移動を始めます。と言う。
ラム王はその様子を見ていた。
何人かのファモ族が太鼓の中央に円形の形に集まると、その内側の地面から円形状の、薄く銀色に発光する大きな板(円卓の天板)が出て来て宙に浮いた。
(ラム王が使用している銀色のテーブルと同じだが、ファモ族のは、もっと大きい。)
板を取り囲んでいるファモ族達が触れると、銀色の円形板がゆっくりと回転を始める。
すると板の中心から銅色の輝く輪が、何重にも板の上に出てきて浮いた。
そして、隣のトライアングルと連結している白く輝くチェーンが外れ、1つのトライアングルが(太鼓は挟まったまま)、ゆっくりと移動を始めた。
徐々にムカーク星(旧ランキバーサ)が離れて行く。
何だか少し寂しい気持ちになるラム王。
太鼓が速度を上げると窓から見えるムカーク星が、ぐんぐん小さくなって行く。
ムカーク星は完全に見えなくなった。
何処までも広がる宇宙の星空を眺めていたラム王。
すると、ずっと遠い所に星とは思えない形の何かが、宇宙を泳いでいる。
何だろう?とラム王が見ていると、近くに居たファモ族の1人が窓に触れた。
(砂時計の体型から、ムカークとは違う8本指の手が出てきた。)
すると窓が望遠鏡のように拡大されて見える。
そして見えたのが、とても恐ろしい形をした生物だった。
(顔が前後にある巨大なワニ)
思わず仰け反るラム王。
するとファモ族が
『あれはワージリ星です。』
あれが星?どう見ても生物なのでは?と聞くと
『あれ1つが生命体であり、星でもあるのです。』と言った。
とても狂暴そうな星なのですね。と言うと、
『そうですか?ワージリは、とても優しくて友好的なのですよ。』
そう思うと、ワージリ星が段々と、可愛らしく見えてきたラム王だった。
ファモ族が触れている円形板。
その板の上に浮いていた輝く銅色の輪が、楕円形になり始めた。
楕円形の輪は更に高く浮き上がり、楕円の長さも延びていく。
そして楕円形の端と端が繋がり、一本の太い輪になった瞬間、瑠璃色(濃い青色)に発光して、円形に並ぶファモ族の外側で、回り出した。
ソウエが来てラム王に
『間もなく移動点に入ります。』
ラム王は、まさか別の宇宙に行くとは思っていなかった反面、楽しみだった。
『サバルの移動点に向かうのですか?』とラム王はソウエに聞くと
『別の移動点です。』
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