惑星保護区

ラムダムランプ

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第1章『ベサーイの最後』

第11節『帰還者』

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 彼ら(先住民)は自らをファモ族と名乗った。

ファモ族はラム王達に説明を始めた。
我々は争いに来たのでは無いという事。

ファモ族達は、昔ランキバーサ(現ムカーク星)に住んでいた頃、突如として塵の捕食者に襲われて種の存続と星を守る為に、それぞれが様々な宇宙に散り散りなって逃避した。

それからかなりの年月が経ち、再びランキバーサに戻ると、そこに自分達の星は無かった。

そこから長い年月を掛けてランキバーサをずっと探していた事を話した。

ラム王はファモ族に質問をした。

『さっきの捕食者を星から遠ざけたのは、あなた方なのですか?』

と聞くと

『そうです。しかし先程のは本物の塵ではありません。』

ラム王が、塵にも様々な種があるのか?と聞くと、
先ほどのは人工的な塵の捕食者。

昔、攻撃的な種が存在していて、周辺の星や種族を支配、殲滅させる為に本物の塵を参考に作り出した人工的な塵。

人工的な塵は、知能が低く制御不能に陥り、その結果、その種族は自ら作り出した塵によって補食され滅ぼされた。

その後、人工的な塵は制御不能のまま宇宙を漂い、手当たり次第に星や種族を襲うが知能が低いので、囮(青白く光る物体)に直ぐに向かう傾向を利用すれば対処可能だという。

そして本物の塵は、高度な知能を有し、我々でも未だに対抗手段が全く無い別物であるとの事。

ランキバーサを探している時に、人工的な塵が星を襲っているのを偶然見つけ、襲っている星がランキバーサだと分かり、帰還出来たという事を教えてくれた。

そしてファモ族はラム王に尋ねた。

『ベサーイはいますか?』

ラム王はファモ族をベサーイの所に案内をした。
小さなベサーイを見たファモ族は、ベサーイを優しく手で触れると、一瞬青く発光したベサーイ。

そして何かベサーイと話してる様子だった。
ファモ族は、ゆっくりとラム王に向いて

『我々の友人を大切にしてくれて、ありがとう。』

優しい口調でお礼を述べた。
ファモ族とベサーイが話していた内容は、ファモ族が居なくなった後、

星に何があったのか?そして誰が、どのように星を移動させたのか?等を聞いたとの事。

この建物(宮殿)の外観がベサーイの形をしている事にもベサーイ自身、喜んでいるそう。
それを聞いたラム王は笑顔になった。

ラム王は、未だに恐怖でパニックになっている市民達に、彼らは、この星の先住民達で帰還者である事、そして争いに来たわけでは無い事を伝えた。

それを聞いた市民達は、徐々に落ち着きを取り戻していき、都市の混乱も治まっていった。

その様子を見てからラム王とファモ族は、王室に戻った。

部屋に入ると、サルンと双子は落ち着いた様子で居た。
するとファモ族はラム王に、ランキバーサの外側(地上)は、酷く損傷しているので、出来る限り元の環境に修復をしたい。と伝える。

ラム王はファモ族の申し出を了承した。
地上修復の為に、まずは凍りついた表面の上に地面の元なる物質、更には星を暖める為の恒星が必要なので、恒星を造り出す素材を取りに行くとファモ族は言う。

とんでもない事をサラリと言うファモ族に、ラム王は驚いて唖然としていた。

その様子を見たファモ族は

『宜しければ、一緒に行きますか?』


ラム王は、ファモ族と一緒に行きたい気持ちと、家族の側にも居たい気持ちに悩みながら玉座に座る。

家族も一緒に連れて行…いやいや無理だ。もしかしたら危険な場所に行くかも知れない。それに双子は生まれたばかりだ、無理に決まってる。やはり家族の側に居るべき…。とサルンの方をゆっくりと見ると

サルン『行きたそうな顔をしているよ。』

と最初から、分かっていたような様子。

サルンは続けて

『こっちは大丈夫。行っても構いません。でも危険な場所なら行かないで欲しい』

と言うと、ファモ族が

『危険はありません。その場所は、我々とラム王しか居ません。』

それを聞いて安心したサルン。
ラム王は妻に行かしてくれる事を感謝して喜んだ。

早速、ラム王とファモ族は物質を取りに行く。
何処にどうやって取りに行くのか楽しみで仕方ないラム王。

ファモ族は王だけが使える銀色のテーブルに触れた。

すると球体(タルカが市民達を乗せて移動した球体)が都市の離れた所から飛んで来る。
(都市の離れた場所にオブジェの様に大切に飾られていた)

球体が飛ぶ事を、伝記でしか読んだ事が無いラム王は、本当に飛ぶのだな。と驚く。

飛んで来た球体を宮殿の側に置き、乗るようにと指すファモ族。

ファモ族とラム王が球体に乗り込むと、中に描かれていた絵が消え、透明なガラスの様になり球体の外の様子が見えた。
(球体の外からは中は見えない)

宮殿の周囲に居たファモ族達と共に、ゆっくりと浮かび上がり一緒に移動して行く。

ラム王はファモ族に聞く(王室で最初に会ったファモ族)

『それぞれに名前などは無いのですか?みな同じに見えて区別がつかないのですが?』

と言うと

『我々は個別の名前はありません。しかし、それが不便ならば、何かしらの名前をつけて構いません。』

と答える。

『それならばソウエ!これで宜しいでしょうか?』

(ラム王が双子の男の子に付けたかった名前だが妻に一蹴された)とラム王が聞くと

『ソウエですね、構いません。』

とファモ族のソウエが言った。

『ソウエ、なぜ個別に名前が無いのですか?誰かを呼ぶ時に、困りませんか?』

とラム王が聞くと、

『我々は単体でもあり、複数でもあるのです。それぞれに意思は持っていますが、名前で呼ぶ必要は無いのです。』

とソウエが言う。

『そうなのですか…。』

どういう事なのだろうか?理解が難しい。

と少し気になったラム王だったが、宙に浮いて移動している事が楽しくて気にする事を止めた。

球体は、都市の上にあるログカーロに続く穴に入り地上へと向かう。

上を見ると、円錐形に閉じていたログカーロは円柱形に開いており、その奥には美しい星空が見えた。

実際に初めて見る宇宙に感動しているラム王。
地上に上がった球体は浮いたまま、ゆっくりと限定地に入り、球体の外にいたファモ族達と一緒に限定地に降りた。

ソウエがラム王に触れた。
すると、ラム王の体は半透明の薄い白い光で覆われた。

ソウエが先に限定地に降りる。
ラム王にも降りるよう促す。

しかしラム王は、ここが限定地で守護者しか立ち入れない事を伝えるとソウエが、

『降りても大丈夫です。』

ラム王は、少し怖がりながら降り限定地に足を踏み入れた。
初めての地面の感触だった。

そして辺りは濃い霧に包まれた森で、様々な木々や植物達が何となく、ざわめいているように聞こえた。

ラム王は植物達に話し掛けるが、こちらの話が聞こえてないかの様に、ざわめく音だけが聞こえていた。
伝記で見た通り不思議な場所だった。

ソウエが木と何か話してるようだ。
そして話終えると、手から茶色の輪(輪投げの輪の形)を出す。

何処から出したのだろう?と見ていると、他のファモ族達も、同じ様に輪を出して地面を掘り始めた。

輪で地面を掘るように動かすと、輪が通過した所は、丸い溝の様な形で掘られ、取った地面は輪の後ろから、透明で不思議な球体に包まれて浮いていた。
(シャボン玉のような)

何度か同じ動作をした後に、丸く浮いてる地面を一箇所に集め、それを限定地の外に置いた。

そして再び、ソウエは木と話していた。
木と話終えたソウエにラム王が聞く。
何を話していたのですか?

するとソウエは、ここの地面(土)を少し分けて頂きたい事と、分けてくれたお礼を述べていたそう。

この不思議な場所について聞きたいラム王は

『何故、ここの森だけがサバルの高温にも耐えて残っているのですか?』

とソウエに言うと、

『ここだけ別宇宙にある星の一部だからです。』
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