惑星保護区

ラムダムランプ

文字の大きさ
上 下
8 / 23
第1章『ベサーイの最後』

第8節『移動点と別宇宙』

しおりを挟む
 タルカは、まだ別の宇宙に行けてないと叫んだ。

市民達は移動は終わったと思い、皆喜んでいたが、一瞬で静まり返った。

市民達は

『行けてない?』

『まだサバルの中という事?』

『移動出来なかったという事なの?どうなっているの?』

と喜びから一転、不安と緊張した面持ちになっていく。
モセルがタルカに聞く

『タルカ、何か見えたのか?教えてくれ』

タルカは答える

『暗闇の奥に光る花のような物が見えてる。少しずつ近づいて来る』

それを聞いたモセル  

『光る花?花とは何だ?そういう星があるのか?』

ワワ

『光る花?そんな星は知らない。でも何が起こってもおかしくない、タルカに任せるしかない』と言った。

皆、移動が終えてない事に緊張感が増していく。
タルカは、部分的にしか見えない星の外を注視した。

暗闇の奥に光る花のような物は、徐々に近づくにつれて、増えていった。
どんどん増えて花束のように集まっている。

花束は、それぞれ花の形や色が異なり、とても綺麗だった。

もっと近付いて来た。
何かが、花から花へ飛んでいるのが見えた。
そして花びら(花弁)をよく見ると、沢山の小さな溝が縦横無尽にあり、溝から溝に、そこでも何かが動いたり、飛んだりしていた。

更に花びらに近づくと、溝と溝を境目に、星空や様々な色の星、美しい大地や高い森(山)、そして見た事の無い都市の景色だっだ。

1つの花びらに沢山の別宇宙があったのだ。
それが集まり、花となり、そして花束になっていると思うと、一体どれ程の宇宙があるのか?と、桁違いの宇宙の大きさに圧倒されたタルカ。

そしてラキバーサは、花びらの中にある溝に向う。
1つの溝に滑り込むように入り、溝の中を右へ左へと別の溝に移動して行き、溝の両側には別の宇宙の景色が高速で流れていく。 

これだけ高速で左右に振られているのに、タルカ達がいる空間は全く揺れない。

すると星は、溝から急に飛んで別の溝に入る。
そして沢山の星空が輝く場所に、転がり込むように入るランキバーサ。

別の宇宙に移動した瞬間だった。
あまりの出来事に、どのように説明したら良いのか、分からなくなったタルカは呆然とした表情で

『別の宇宙に来た』

一言だけ小さく市民達に伝えた。
その様子に、何が起こるかわからないと身構えていた市民達も呆気にとられていた。

モセルが駆け寄り

『タルカ!本当に来たんだな?間違いないのか?』

タルカは小さく答えた。

『星空の場所に転がった』

モセル

『転がった?転がったって何だ?』

タルカは答えに困り『よく分からない』と一言。

『わからないって…外の様子は?タルカしか見れないんだぞ!』

モセルが言うと、タルカは外の様子を見た。

近くにサバルやオキアは無く、他の恒星も無く沢山の星空が見えた。

本当に別の宇宙に来たと実感したタルカ。
そしてランキバーサを見ると、薄い皮のようにあった地面は無くなり、氷の大地になっていた。

(薄い地面の下にあった水が凍り、その影響で地面が剥がれた)

よく見ていると僅かな陸地があった。
そこだけ霧で見えにくいが森が残っていた。限定地の森だった。

一体どうやって、あの高温に耐えられたのか?とても不思議だった。

そしてログカーロも円錐形のまま残っていた。
ランキバーサは殆ど氷に覆われた星となっていた。

外の様子を見たタルカはモセルに

『近くにサバルもオキアも無い。本当に別宇宙に移動した。地上は氷で覆われてる』


それを聞いたモセルは

『そうか、本当に来たんだな。全く別の宇宙に…』

球体の上の方(地上)を見ながら言い、少し間を置いてから

『良くやったぞタルカ』

微笑んで言った。
そして市民達も、その光景を見て喜んだ。
そしてタルカの周りに集まり

『外はどんな宇宙なの?どんな景色だった?』

『氷で覆われているだって?』

『移動する時、何が見えたの?教えて!』

市民達は興味津々でタルカに質問攻め。
何て答えたら良いのか?と困っていたら、コーカクが市民達に

『後で!後でちゃんと教えるから、タルカは疲れているのだから、今は少し休ませてあげようじゃないか。ほら下がって!』

市民達を少し離れさせた。
続けてコーカクが

『よく成し遂げたな。皆、無事だったのもタルカのお陰だ、ありがとうタルカ。で、何で凍ってるんだ?』

コルルが

『今休ませてあげよう。って言って何で質問してるの?』

とコルルがコーカクを引っ張って行く。
後でちゃんと教えてくれよタルカ!と言いながら安堵と喜びに溢れている市民達の元に連れて行かれた。

タルカの両親が来た。

タルカの父親

『立派にやり遂げたな。タルカ』

笑顔で言い、タルカの母親が

『大丈夫?』

タルカは、大丈夫だと言うと

『良く頑張ったねタルカ!ありがとう』

ワワも来た。

『タルカ、ご苦労様』

と笑顔で言い、市民達の所へ向かった。
タルカはベサーイの方を見て

『ありがとうベサーイ』

無事に星の移動を終え、タルカも、みんなの所に行こうとした時に

『タルカ!タルカ大丈夫か!しっかりしろ!』

声が聞こえたのを最後に記憶がない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

性転換タイムマシーン

廣瀬純一
SF
バグで性転換してしまうタイムマシーンの話

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

もうダメだ。俺の人生詰んでいる。

静馬⭐︎GTR
SF
 『私小説』と、『機動兵士』的小説がゴッチャになっている小説です。百話完結だけは、約束できます。     (アメブロ「なつかしゲームブック館」にて投稿されております)

えっちのあとで

奈落
SF
TSFの短い話です

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

6年生になっても

ryo
大衆娯楽
おもらしが治らない女の子が集団生活に苦戦するお話です。

処理中です...