惑星保護区

ラムダムランプ

文字の大きさ
上 下
4 / 24
第1章『ベサーイの最後』

第4節『ランキバーサ真の姿』

しおりを挟む
 コルルとワワは重大な事を発見し、他の専門知識を持つ者達に、この事を伝えた。

『ランキバーサの軌道にズレだって?』

『まさか、そんな事おきるわけない。』

『本当にズレてるの?』

懐疑的な意見ばかりだったが、調査内容を見せた。

『何てことだ!』 

『大変だ!どうすれば』

他の者達は、この事実に驚愕し対応を迫られた。
今すぐに市民に伝えるべきか?伝えたらパニックになる。

真実を知った所で軌道に対処する方法が無い。
意見が飛び交い混乱していた。
コルルが 

『本当の事を皆に知らせる。それが一番重要』

市民達を集め、コルルは市民全員に言った。

『みなさん、落ち着いて聞いて下さい。調査の結果、この星は今まで安定してサバルとオキアとの周囲を回ってましたが、その軌道から外れ、このままだと近いうちに、オキアに衝突します。そして対処する術がありません。残された時間を共に大切に過ごして下さい。』

それを聞いた市民達は大パニックになった。

『急に星が無くなるってそんな事…』

『どうしよう、どうすれば』

都市は大混乱に陥った。

 一方、大きな穴に落ちたタルカ。
もう長い時間、真っ暗の中を落ち続けている。
凄く寒い時があったけれど、あれは何だったのかな?

それにしても、全く底が見えない。
落ちてるのか?浮いてるのか?
どうなるんだろう。と不安になっていた。

すると遥かずっと下に点が見えた。
徐々に点が大きくなり、銀色の光に見えた。

光と点が大きくなり始め、底だと気付いた。
すると光の点が近づく速度が、ゆっくりになって来た。

落ちてる速度が下がってる、そう思った。 
そのまま少し経つと点は大きな穴で、穴を通ると何処までも広がる、巨大な球状の空間で、星の中に星があるようだった。

壁ぎっしりに、様々なザンパ種の植物達が生えていて、その真ん中に巨大なバルターモ(銀色に光るキノコ)が生えていた。

ゆっくりと巨大なバルターモ(巨大なキノコ)のふもとに降りれた。
この光景に見とれてるとバルターモが話しかけてきた。

『初めましてタルカ。私はベサーイ』

タルカは驚いた。

なぜ自分の名前を知っているのか?
 
ベサーイは

『貴方の種族や他の種族も、この星の事を全て知っています。
貴方はこの星で何が起きて、何が起こるのか知る為に来たのですね。私に触れなさい。』

 
タルカはそっとベサーイに触れた。

するとウゲルカ器官を通じて、今見ている景色とは別の景色を見る事、聞く事が出来た。

タルカが驚いてると、ベサーイが、この星で何が起きたのか見せ始めた。

ムカーク族が地下に移住した後、各地で争いが激しくなり、生息地を奪われ絶滅した種、争いによって数を激減させた種が増えた。
それでも争いは止まらなかった。

ラヤキ族が陸、水中、空中の大半を奪い、その数をどんどん増やして、他の種が危機的状況だった。
ラヤキ族も含め、残った種達が生き残る為にラヤキ属を一斉に襲った。

それに対して、ラヤキ族は、自分達の住み家(海中)から紫色のゴツゴツとした岩を掴み、次々と上空へ飛んだ。

そして上空の高い1ヵ所に集まり出した。 
その岩はマグネットのように岩同士くっつき、1つの巨大な岩になった。

何千万、何億といるラヤキ族達が、その巨大な岩を掴んで飛んでいた。

その岩を地上の種達に目掛けて落とした。
岩は地上にぶつかると同時に爆発した。
この岩は凄く重い上に衝撃で爆発する岩だった。
    
凄まじい衝撃と爆発で地上に居た種達はもちろん、上空を飛んでいたラヤキ族達も吹き飛ばされて行った。

その衝撃は大地に巨大な穴を開け、地上にあった構造物の殆どを吹き飛ばし、星の一部も砕く程だった。

水中に残っていたラヤキ族と一部のザンパ種を除いて全て消え去った。

ランキバーサはその衝撃で軌道が変わり、このままでは恒星のオキアに衝突し、星そのものが消滅する事を見せてくれた。
タルカは酷く動揺し悲しみ、恐怖した。

『何も無くなっちゃうの?』

とベサーイに聞いた。

『いいえ。そうならない方法があります。』

タルカは、その方法を教えて欲しい!と聞くと

『それは、もう1つの恒星の中に移動する事です』

困惑してるタルカにベサーイは景色を見せた。

この星は元々、別次元の宇宙から来た先住民達によって人工的に作られた星。 

彼らは、宇宙から別の宇宙へと星ごと移動が出来、そこで様々な種と交流してる旅人のような存在。

様々な星を見た彼らは、自分達の理想の星作りを目指し、恒星や植物のザンパ種達、陸地と水を外側に作り自然豊かで、理想的な星を完成させた。

彼らは、ここに留まるはずだったが、宇宙から別宇宙に移動できるのは、彼らだけではなかった。

それは、突如彼らの前に現れた。
生命体というより塵のような集合体。
その塵の狙いは彼らを捕食する事。 

自らの知能の向上やエネルギー補給の為に、様々な宇宙にいる高度な知能を持つ種族や星そのものを捕食し消滅させる塵。

彼らは塵から逃れる為、そして、この星を守る為、それぞれ球状の物に入り、別々の宇宙に逃げた。

幸いにも塵は、この星を捕食しなかった。
彼らが星ごと移動して逃げ無かったのは、別の宇宙に行くには恒星(サバル)を通り抜ける必要があった。

恒星の高温で、外側の植物達や、様々な種の誕生に必要な環境が、耐えられない為だった。

それから長い年月が経ち、様々な種が誕生、進化して現在に至っている。

この星の真実を知り驚いていたタルカ。
そしてタルカはベサーイに聞く

『でも、どうやってこの星を動かすの?』

と質問するとベサーイは

『それはね、貴方が動かすの』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

No One's Glory -もうひとりの物語-

はっくまん2XL
SF
異世界転生も転移もしない異世界物語……(. . `) よろしくお願い申し上げます 男は過眠症で日々の生活に空白を持っていた。 医師の診断では、睡眠無呼吸から来る睡眠障害とのことであったが、男には疑いがあった。 男は常に、同じ世界、同じ人物の夢を見ていたのだ。それも、非常に生々しく…… 手触り感すらあるその世界で、男は別人格として、「採掘師」という仕事を生業としていた。 採掘師とは、遺跡に眠るストレージから、マップや暗号鍵、設計図などの有用な情報を発掘し、マーケットに流す仕事である。 各地に点在する遺跡を巡り、時折マーケットのある都市、集落に訪れる生活の中で、時折感じる自身の中の他者の魂が幻でないと気づいた時、彼らの旅は混迷を増した…… 申し訳ございませんm(_ _)m 不定期投稿になります。 本業多忙のため、しばらく連載休止します。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

絶世のディプロマット

一陣茜
SF
惑星連合平和維持局調停課に所属するスペース・ディプロマット(宇宙外交官)レイ・アウダークス。彼女の業務は、惑星同士の衝突を防ぐべく、双方の間に介入し、円満に和解させる。 レイの初仕事は、軍事アンドロイド産業の発展を望む惑星ストリゴイと、墓石が土地を圧迫し、財政難に陥っている惑星レムレスの星間戦争を未然に防ぐーーという任務。 レイは自身の護衛官に任じた凄腕の青年剣士、円城九太郎とともに惑星間の調停に赴く。 ※本作はフィクションであり、実際の人物、団体、事件、地名などとは一切関係ありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

どうぶつたちのキャンプ

葵むらさき
SF
何らかの理由により宇宙各地に散らばってしまった動物たちを捜索するのがレイヴン=ガスファルトの仕事である。 今回彼はその任務を負い、不承々々ながらも地球へと旅立った。 捜索対象は三頭の予定で、レイヴンは手早く手際よく探し出していく。 だが彼はこの地球で、あまり遭遇したくない組織の所属員に出遭ってしまう。 さっさと帰ろう──そうして地球から脱出する寸前、不可解で不気味で嬉しくもなければ面白くもない、にも関わらず無視のできないメッセージが届いた。 なんとここにはもう一頭、予定外の『捜索対象動物』が存在しているというのだ。 レイヴンは困惑の極みに立たされた──

処理中です...