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第一幕 第一章 家にいる気はありません
024 私の首を切ってください
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2018. 10. 16
**********
それは、カトラが王宮で目を覚ます少し前のこと。
マリウスは、青い顔をしたまま父母へ報告していた。
「メルエリとセリエルが捕まっていたという盗賊達についての事実確認も先程済ませました……」
王宮へ着いてすぐに、ターザという冒険者が集めたという情報を縄のような謎の生物がマリウスに手渡した。
それは、盗賊達の調書の写しであったり、この王宮から二人の王子を連れ出した何者かの経路予想図であったりした。
「一緒に捕らえられた二人の魔術師ですが、この誘拐に関わっていた可能性があります」
その中には、一体いつの間にそれを集めたのか、捕らえた魔術師二人の経歴や近況報告なども入っていたのだ。
これほどきっちりとした調査報告書は見たことがない。それほどに文句の付けようのない完璧なものだった。
ただし、鵜呑みにするには彼は強烈過ぎた。庇護する少女のためならば殺しでも、嘘の供述でも躊躇いなくさせるだろうと思えるのだ。だから、その裏付け調査を今まで寝る間も惜しんで必死でやっていた。
「二人を攫ったのは、間違いなく聖王国の者です。捕らえた影は否定していますが、着けていた耳飾りを見ても疑いようがありません」
「やはりっ、やはりそうなのですねっ」
王妃は先日憤慨した時と同じように怒りで顔を歪めていた。
彼女はただでさえ少しキツめの顔立ちをしているのだ。はっきり言って怖い。隣にいる夫である王も腰が引けていた。
「そ、それで、メルとセリはどうした?」
「保護してくれていた少女に、ずっと付き添っています……」
睡眠も食事も、しっかり取っていたらしく、二人の血色は良かった。寧ろ、城に閉じこもっていた頃よりも健康的に見える。
体も清潔にしてくれていたらしく、着ていた服もとても質の良いものだったとメイド達が言っていた。
弱って熱を出して眠ってしまった少女の部屋に、二人は王宮に到着してからほとんど入り浸っている。いつもならば母である王妃の傍から離れないというのに、その様子から見ても、少女を心から慕っているとわかるのだ。
「そうだ、その少女に何か失礼なことをしたそうだな。そのせいでガラドと魔術師が一人、片腕を失ったとか……」
「……はい……弱体化の腕輪をしていたことから、二人を攫った犯罪者と判断し、魔力封じをかけたのです……」
弱体化の腕輪をしているということは、犯罪者であるという証。だからこそ、それを疑わなかった。しかし、実際は違った。
「腕輪をしていて、犯罪者ではなかったというのですか?」
「ええ……ギルドからの報告によりますと、受付嬢の一人が、ギルドカードにある要請表示を犯罪者表示と間違えたそうです」
それを聞いて、マリウスや片腕を失った近衛騎士隊長のガラドと残った魔術師は絶句した。まさか、そんな間違いをギルドが犯しているとは思わない。こちらとしては、とんだとばっちりだ。
「要請表示……それはAランク以上の冒険者に出すものだろう? ん? もしや、その少女がAランク以上の?」
「史上最年少の我が国のAランク冒険者です。登録名『カーラ』。カルサート伯爵領のエルケートを拠点としていましたが、この数ヶ月は国内を転々としていたそうです。それにより、居場所を知るために要請表示を使ったと」
これも驚きだった。確かに、助けに入った彼女は、危うげもなく盗賊達を捕らえていた。謎生物を使ってではあったが、それに何より、あの神聖魔術だ。あれは繊細な魔力操作能力と大きな魔力が必要なのだと聞いている。ただ適性があるだけでは扱えない。だからこそ、聖王国も神に与えられた特別な力だと宣っているのだ。
それを少女は弱体化の腕輪をしていても容易く発動してみせた。Aランクと聞いても頷ける。
そして、もう一つ。彼女の確かな身元もわかっていた。
「彼女は、冒険者として家出中だったそうです」
「家出?」
二人が首を傾げるのも仕方がない。冒険者が家出など普通は聞かない。元より、冒険者とは天涯孤独な者が大半だ。そして、一部の者も家から独立し、一人で生きていく者達ばかりなのだから。
「本当の名はカトラ・カルサート。カルサート伯爵のご令嬢だそうです」
「なっ!?」
「どういうことなのです!?」
マリウスもこれを知って驚いた。確かに、友人であるカルダ・カルサートに以前から家出した妹を探していると聞いていた。しかし、まさか彼女がそうとは思わないではないか。
「カルダも彼女が冒険者になっているとは知らなかったそうです。カルサート卿もご存知ではなく、今回の家出でこれを知ったそうです」
カルダはいつも冷静でちょっと冷たくて、頭の良い尊敬する友人。そんな彼が、少し前にこぼしていた。
誤解によって父が傷付けてしまった妹を探しているのだと。その頃から、カルダはほとんど満足に眠れていないようだった。
父親であるカルサート卿にさえも、時に酷評するカルダが、身内にこれほど気にかける存在がいると知って驚いたものだ。
「彼女の母である第二夫人は、元冒険者であったそうです。カルサート卿と来られたエルケートの冒険者ギルドマスターの話によると、幼い頃から勤勉で、亡くなった母親の残した薬学や魔術、魔工学の本を読み、実際に薬や魔導具を作成してきたとか。魔術の腕もかなりのものです。全ての属性を使いこなす逸材だと」
「っ、全属性をっ!? あ、いや、確かにそれならばAランクも頷ける。だが……私の記憶ではカーラという冒険者は魔術師ではなかったはずだ」
Aランクの冒険者となると、国の戦力として数えられる。そのため、拠点を持つ国に報告が上がるのだ。
最年少の、それも冒険者にしては珍しい女性。そこから、王も思い出したらしい。
「はい。剣や武術の腕もかなりのものとか。元Sランク冒険者のダル殿の弟子だそうです」
「ダル殿か……なるほど」
「カルサート卿と来られたのが、そのダル殿です。それと、ターザという南国の者も、同じくダル殿の弟子だとか。彼は現役のSランク冒険者です」
「なに!?」
Aランクの冒険者というだけでも貴重な存在だというのに、Sランクの冒険者までも来ているとなれば、動揺するだろう。
その力は、軽く国を滅ぼせる。戦場に出れば、勝利は確実だ。だからこそ、Aランク以上の冒険者は、国同士の戦争には関わらせてはならないという暗黙のルールがある。
国が要請出来るのは、天災並みの魔獣被害があった時か、要人の護衛くらいだ。
そして、今最もマズいのが、そのAランクとSランクを敵に回したかもしれないということ。
「な、なんて事を……っ」
「っ、私の責任です。今は、ダル殿の説得も受け、彼は矛を収めてくれています。ですが……」
「そのカーラ……いや、カトラ嬢が目覚めたなら、分からないということか……」
「はい……」
本当にギルドは余計なことをしてくれたものだ。本来、魔力封じの腕輪をするというあの対応は、誉められて然るべきもの。近衛騎士としても、魔術師としても称賛されるべき対応だ。
しかし、この状況である。
そのギルド嬢の失敗が、ここにきて国が滅びる危機を招いたのだ。
「ダル殿がギルドへ抗議も入れましたが……こちらの落ち度であることには変わりありません。正式に謝罪をし、それでもというのであれば、私の首を切ってください」
「っ、マリウス!」
王妃が悲鳴のような声を上げて椅子を蹴倒しながら立ち上がる。すぐに控えていたメイドがそれを直すが、座る様子はなかった。
顔を歪めながら、真っ直ぐにマリウスを見つめる王妃に静かに告げる。
「母上……私の首一つでこの国が救われるのならば安いものです。彼は恐ろしいほどの力を持っています。何より、あの少女を大切に思っている。それに……私は私が許せません。メルエリとセリエルを守ってくれた少女を誘拐した犯人だと疑ってしまった。あんなにも二人に心を砕いて庇護してくれた少女を……それが私は許せないのです……」
「っ……」
目を伏せて思い描くのは、絶望的な状況をあっさりとひっくり返し、騎士達を癒してくれた姿。あの時、馬達までも落ち着かせ、死の淵に追いやられようとしていた者達まで癒していった。
二人の弟達が無理をしないかと目を配り、見守るように優しく微笑んだその姿を、ちゃんと思い出せるのだ。
そんな彼女を裏切った自分を消してしまいたい。何か罰をと願うように乞う心を自覚する。
「父上、その時はお願いします」
「っ……わかった……」
どこか清々しい気分だった。許されるとは思ってはいないが、あの少女に許しを乞うことができるのなら、何一つこの手に残らなくても良いと思うほどに。
けれど、決めた覚悟はこの後否定される。
目覚めた少女とダル達は、何も告げることなくこの王宮を後にしたのだ。それも、特大の恩を残して。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
次回、金曜19日です。
よろしくお願いします◎
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それは、カトラが王宮で目を覚ます少し前のこと。
マリウスは、青い顔をしたまま父母へ報告していた。
「メルエリとセリエルが捕まっていたという盗賊達についての事実確認も先程済ませました……」
王宮へ着いてすぐに、ターザという冒険者が集めたという情報を縄のような謎の生物がマリウスに手渡した。
それは、盗賊達の調書の写しであったり、この王宮から二人の王子を連れ出した何者かの経路予想図であったりした。
「一緒に捕らえられた二人の魔術師ですが、この誘拐に関わっていた可能性があります」
その中には、一体いつの間にそれを集めたのか、捕らえた魔術師二人の経歴や近況報告なども入っていたのだ。
これほどきっちりとした調査報告書は見たことがない。それほどに文句の付けようのない完璧なものだった。
ただし、鵜呑みにするには彼は強烈過ぎた。庇護する少女のためならば殺しでも、嘘の供述でも躊躇いなくさせるだろうと思えるのだ。だから、その裏付け調査を今まで寝る間も惜しんで必死でやっていた。
「二人を攫ったのは、間違いなく聖王国の者です。捕らえた影は否定していますが、着けていた耳飾りを見ても疑いようがありません」
「やはりっ、やはりそうなのですねっ」
王妃は先日憤慨した時と同じように怒りで顔を歪めていた。
彼女はただでさえ少しキツめの顔立ちをしているのだ。はっきり言って怖い。隣にいる夫である王も腰が引けていた。
「そ、それで、メルとセリはどうした?」
「保護してくれていた少女に、ずっと付き添っています……」
睡眠も食事も、しっかり取っていたらしく、二人の血色は良かった。寧ろ、城に閉じこもっていた頃よりも健康的に見える。
体も清潔にしてくれていたらしく、着ていた服もとても質の良いものだったとメイド達が言っていた。
弱って熱を出して眠ってしまった少女の部屋に、二人は王宮に到着してからほとんど入り浸っている。いつもならば母である王妃の傍から離れないというのに、その様子から見ても、少女を心から慕っているとわかるのだ。
「そうだ、その少女に何か失礼なことをしたそうだな。そのせいでガラドと魔術師が一人、片腕を失ったとか……」
「……はい……弱体化の腕輪をしていたことから、二人を攫った犯罪者と判断し、魔力封じをかけたのです……」
弱体化の腕輪をしているということは、犯罪者であるという証。だからこそ、それを疑わなかった。しかし、実際は違った。
「腕輪をしていて、犯罪者ではなかったというのですか?」
「ええ……ギルドからの報告によりますと、受付嬢の一人が、ギルドカードにある要請表示を犯罪者表示と間違えたそうです」
それを聞いて、マリウスや片腕を失った近衛騎士隊長のガラドと残った魔術師は絶句した。まさか、そんな間違いをギルドが犯しているとは思わない。こちらとしては、とんだとばっちりだ。
「要請表示……それはAランク以上の冒険者に出すものだろう? ん? もしや、その少女がAランク以上の?」
「史上最年少の我が国のAランク冒険者です。登録名『カーラ』。カルサート伯爵領のエルケートを拠点としていましたが、この数ヶ月は国内を転々としていたそうです。それにより、居場所を知るために要請表示を使ったと」
これも驚きだった。確かに、助けに入った彼女は、危うげもなく盗賊達を捕らえていた。謎生物を使ってではあったが、それに何より、あの神聖魔術だ。あれは繊細な魔力操作能力と大きな魔力が必要なのだと聞いている。ただ適性があるだけでは扱えない。だからこそ、聖王国も神に与えられた特別な力だと宣っているのだ。
それを少女は弱体化の腕輪をしていても容易く発動してみせた。Aランクと聞いても頷ける。
そして、もう一つ。彼女の確かな身元もわかっていた。
「彼女は、冒険者として家出中だったそうです」
「家出?」
二人が首を傾げるのも仕方がない。冒険者が家出など普通は聞かない。元より、冒険者とは天涯孤独な者が大半だ。そして、一部の者も家から独立し、一人で生きていく者達ばかりなのだから。
「本当の名はカトラ・カルサート。カルサート伯爵のご令嬢だそうです」
「なっ!?」
「どういうことなのです!?」
マリウスもこれを知って驚いた。確かに、友人であるカルダ・カルサートに以前から家出した妹を探していると聞いていた。しかし、まさか彼女がそうとは思わないではないか。
「カルダも彼女が冒険者になっているとは知らなかったそうです。カルサート卿もご存知ではなく、今回の家出でこれを知ったそうです」
カルダはいつも冷静でちょっと冷たくて、頭の良い尊敬する友人。そんな彼が、少し前にこぼしていた。
誤解によって父が傷付けてしまった妹を探しているのだと。その頃から、カルダはほとんど満足に眠れていないようだった。
父親であるカルサート卿にさえも、時に酷評するカルダが、身内にこれほど気にかける存在がいると知って驚いたものだ。
「彼女の母である第二夫人は、元冒険者であったそうです。カルサート卿と来られたエルケートの冒険者ギルドマスターの話によると、幼い頃から勤勉で、亡くなった母親の残した薬学や魔術、魔工学の本を読み、実際に薬や魔導具を作成してきたとか。魔術の腕もかなりのものです。全ての属性を使いこなす逸材だと」
「っ、全属性をっ!? あ、いや、確かにそれならばAランクも頷ける。だが……私の記憶ではカーラという冒険者は魔術師ではなかったはずだ」
Aランクの冒険者となると、国の戦力として数えられる。そのため、拠点を持つ国に報告が上がるのだ。
最年少の、それも冒険者にしては珍しい女性。そこから、王も思い出したらしい。
「はい。剣や武術の腕もかなりのものとか。元Sランク冒険者のダル殿の弟子だそうです」
「ダル殿か……なるほど」
「カルサート卿と来られたのが、そのダル殿です。それと、ターザという南国の者も、同じくダル殿の弟子だとか。彼は現役のSランク冒険者です」
「なに!?」
Aランクの冒険者というだけでも貴重な存在だというのに、Sランクの冒険者までも来ているとなれば、動揺するだろう。
その力は、軽く国を滅ぼせる。戦場に出れば、勝利は確実だ。だからこそ、Aランク以上の冒険者は、国同士の戦争には関わらせてはならないという暗黙のルールがある。
国が要請出来るのは、天災並みの魔獣被害があった時か、要人の護衛くらいだ。
そして、今最もマズいのが、そのAランクとSランクを敵に回したかもしれないということ。
「な、なんて事を……っ」
「っ、私の責任です。今は、ダル殿の説得も受け、彼は矛を収めてくれています。ですが……」
「そのカーラ……いや、カトラ嬢が目覚めたなら、分からないということか……」
「はい……」
本当にギルドは余計なことをしてくれたものだ。本来、魔力封じの腕輪をするというあの対応は、誉められて然るべきもの。近衛騎士としても、魔術師としても称賛されるべき対応だ。
しかし、この状況である。
そのギルド嬢の失敗が、ここにきて国が滅びる危機を招いたのだ。
「ダル殿がギルドへ抗議も入れましたが……こちらの落ち度であることには変わりありません。正式に謝罪をし、それでもというのであれば、私の首を切ってください」
「っ、マリウス!」
王妃が悲鳴のような声を上げて椅子を蹴倒しながら立ち上がる。すぐに控えていたメイドがそれを直すが、座る様子はなかった。
顔を歪めながら、真っ直ぐにマリウスを見つめる王妃に静かに告げる。
「母上……私の首一つでこの国が救われるのならば安いものです。彼は恐ろしいほどの力を持っています。何より、あの少女を大切に思っている。それに……私は私が許せません。メルエリとセリエルを守ってくれた少女を誘拐した犯人だと疑ってしまった。あんなにも二人に心を砕いて庇護してくれた少女を……それが私は許せないのです……」
「っ……」
目を伏せて思い描くのは、絶望的な状況をあっさりとひっくり返し、騎士達を癒してくれた姿。あの時、馬達までも落ち着かせ、死の淵に追いやられようとしていた者達まで癒していった。
二人の弟達が無理をしないかと目を配り、見守るように優しく微笑んだその姿を、ちゃんと思い出せるのだ。
そんな彼女を裏切った自分を消してしまいたい。何か罰をと願うように乞う心を自覚する。
「父上、その時はお願いします」
「っ……わかった……」
どこか清々しい気分だった。許されるとは思ってはいないが、あの少女に許しを乞うことができるのなら、何一つこの手に残らなくても良いと思うほどに。
けれど、決めた覚悟はこの後否定される。
目覚めた少女とダル達は、何も告げることなくこの王宮を後にしたのだ。それも、特大の恩を残して。
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