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第一幕 第一章 家にいる気はありません
013 約束はしません
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2018. 9. 13
**********
カトラは、まだ暗い時分に目を覚ました。
目を開ければ、そこに天井はなく、未だ美しい星空が輝いている。結界の魔道具によって少しだけ光の屈折があるのだが、十分に星空を堪能することができていた。
カトラが眠ってすぐにナワちゃんがそれらの魔道具を発動させており、この場の安全は保障されている。どうやら起こされる前に起きることができたらしい。
部屋の中央を向くと、そこでナワちゃんが文字を作っていた。
《ーご気分は?ー》
「大分良いよ。これなら、体力回復の薬を飲んでも問題ない。まぁ、一回分の余裕だけど」
王都に入ってすぐに飲めば、ギルドに行って腕輪を外させ、子ども達の保護者を探すくらいの体力は取り戻せるだろう。
《ームリはダメー》
「わかってるよ。一応、王都までの道での戦闘は避ける。小物ならいいけど、ちょっと剣を振る力も温存したいかな」
腕輪を外させるのに乱闘になることも考えての選択だ。
「いつもの時間に、子ども達を起こして朝食を食べたら出発しよう。それと、予定通りこの場所はキープしておく」
《ーOKー》
さて、子ども達を起こすまでの間、何をしようかと考え、ちらりとよく眠っている子ども達を見た。こんな幼い子どもが、今後怖い思いをしなくていいようにしてあげたい。
「……朝になるまで、少し作業してるね」
どうせもう眠れないのだから、時間は有意義に使いたい。カトラはどんな対策をすべきかと真剣に考えながら、作業を開始したのだ。
◆◆◆◆◆
朝日が昇り、日の光が横から入って来たのを確認してから子ども達を起こす。
「おはよう。起きた?」
「「おきた~」」
二人の寝起きはとても良い。ぐずることもなく。少しだけ呆っとした後にちゃんと起きてくれる。
体を起こし、パチリと開いたクリクリとした瞳でカトラを見上げ、嬉しそうに笑った。
「ねえちゃま、げんき!」
「ねえちゃま、げんきになった!」
カトラはどれだけ辛くても食事をきっちり用意するし、まだ顔を水につけて洗えないらしい二人の顔を、毎朝濡れたタオルで拭う。ナワちゃんが細かいことは世話しているが、カトラも苛立つことなく構ってくれるので、二人は好意を全面に出していた。
「元気よ。さぁ、ご飯食べよう」
「「は~いっ」」
美味しい美味しいと嬉しそうに毎食食事をする子ども達。それが可愛くないわけがない。
『ねえちゃま』と言って慕ってくれる二人に、カトラは惜しむこともなく愛情を注いでいた。
「今日中に王都に着くから、そうしたらお家に帰れるよ」
いつものようにナワちゃんが大きな籠に取り憑いて移動する籠を作る。その中で景色を楽しみながら籠の中で大人しくしている子ども達。
これまで色々と話してくれたことを整理すると、父母を怖がっている様子はない。兄が二人いるらしいし、二人を攫ったのは黒い服を着ていたらしい。それが男であったというのはわかった。
暗い通路を通って外に出たという言葉から、屋敷の隠し通路を通った可能性を思う。そうなると、家に帰した所できちんと対処してもらわなければ同じことが起こる。
そこまで世話をするべきかと問われれば、過剰なお節介だろう。しかし、このまま送り届けて『じゃぁ、今後気をつけなよ』で終わるほど情がないわけではない。だから、歩きながらもそれを作っていた。
「……よし、これで完成」
《ー何をお作りに?ー》
「追跡タグ」
カトラの手には器用に先ほどまで編んでいた紐がある。一見、ただの飾り紐。だが、その紐は平く模様のできた凝った作りだ。前世の言葉で言うなら『ミサンガ』だろう。
糸の一本一本に魔力が込められており、切れることもない。先には青い小指の先程の大きさの魔石が付いている。紐の色はシンプルで、青や銀を使っていた。
出来上がった紐を片手で握りながら、小さく空間収納を開けてそこから先に作ってあった同じ紐を摘み出す。
カトラは二本の出来を改めて確認すると、ナワちゃんに声をかけた。
「ナワちゃん、ちょっと停まって。メル君、セリ君、これを足に着けさせてくれる?」
「キレイ」
「キレ~」
紐は銀髪に青い瞳の二人の色だ。
小さな足首に結び付けると、それはキラキラと輝いて付いていた魔石をコロリと落とす。魔石にはそれぞれ異なる小さな魔法陣が浮かび上がり、同じ文様が紐の端に刻まれた。取れた魔石を取り出した宝石の台座だけになっている銀の指輪に取り付ける。
それからしっかりとした指輪用の箱に入れ、説明書きを添える。それを子ども達それぞれに手渡した。
「これは、お父様とお母様に渡してね」
「「はぁ~い」」
ナワちゃんは子ども達の足首に着けられた紐と、彼らが嬉しそうに受け取った箱を見比べるように首を振る。
それが何なのかを正しく理解したナワちゃんは、次にカトラを見た。
《ームリはダメだとーーー》
表情などわからないのに、どこか非難する様子に苦笑を返す。
「微々たるものだよ。久し振りに楽しかったし」
《ーーー》
「……えっと、ターザには内緒で……」
《ー約束はしませんー》
「……ごめんね……」
《ー約束はしませんー》
言葉が変わらなかった。
ターザがこれを知れば、間違いなく説教される。それも過剰に甘やかし気味に、更には今は今回の原因を作ったギルドを破壊するくらいには苛立ちを見せるだろう。今でもその傾向が見られるのだから、決定打になりかねない。
歩みを再開し、遥か向こうに王都の外壁が見える位置まで近付いて来た今、ターザと合流するまでになんとか言い訳を考えなくてはと鈍くなった頭を回転させることしばしば。
しかし、そう長くは続かなかった。
《ー盗賊でしょうか?ー》
街道からはかなり逸れた場所。襲われているのは、騎士だろうか。どうやら貴族のお忍びの一行らしいと見える。
王都に近いとはいえ、街道から離れた奥まった森の中とも言える場所だ。盗賊達には襲いやすい場所だろう。そんな所をいくら護衛が居たとしても馬で行こうと思うのが間違っている。
カトラ達が進んでいるのも、そんな場所だ。魔獣や魔物がいて危険であったとしてもカトラやナワちゃんにとっては大したことではない。
それらが現れれば斬り捨てるし、時にはナワちゃんが締め上げて落とす。
街道に出ればナワちゃんを見られて混乱させることになる。何よりカトラがあまり人が好きではないこともあり、なるべく人通りのない道無き道を進むのが常なのだ。それは、子ども達を連れていたとしても変わりはない。
「随分上品な……ん?」
《ーどうされました?ー》
距離があることもあり、こちらには気付いていない。それをいいことにカトラは彼らを注意深く観察していた。双子達に似ている魔力波動があったのだ。
そして、不審に思ったのは他にもある。
「いや……多分この子達の血縁がいるみたいなのと、敵か味方か分かんないのがいるなって……」
《ー?ー》
「ほら。あの魔術師の二人。妙でしょ?」
《ー賊の方に支援を?ー》
「してるよね? それと、あそこにいるのと交信してる」
身なりや馬からして、騎士達の仲間として同行していたであろう魔術師が三人。三十代頃の一人の男は魔力切れギリギリまでなんとか要人を守ろうとしているらしい。
けれど、残りの二人。壮年の男は時折魔術を放って盗賊を牽制しているが、疲れた振りをしながらなぜか盗賊達に強化魔術を施している。
そして、最後の一人である若い女は、震える様子を見せながらも少し離れた場所で騒動を見物しているらしいフードを被った人物と交信しているようだった。
「……あのフード捕まえてくれる?」
《ー寝かせますー》
「それが良いね」
どうにも怪しいその人物へと、分身したナワちゃんが三本シュルシュルとヘビのように地を這って向かって行くのをカトラは無言で見送った。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
次回、日曜16日0時です。
よろしくお願いします◎
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カトラは、まだ暗い時分に目を覚ました。
目を開ければ、そこに天井はなく、未だ美しい星空が輝いている。結界の魔道具によって少しだけ光の屈折があるのだが、十分に星空を堪能することができていた。
カトラが眠ってすぐにナワちゃんがそれらの魔道具を発動させており、この場の安全は保障されている。どうやら起こされる前に起きることができたらしい。
部屋の中央を向くと、そこでナワちゃんが文字を作っていた。
《ーご気分は?ー》
「大分良いよ。これなら、体力回復の薬を飲んでも問題ない。まぁ、一回分の余裕だけど」
王都に入ってすぐに飲めば、ギルドに行って腕輪を外させ、子ども達の保護者を探すくらいの体力は取り戻せるだろう。
《ームリはダメー》
「わかってるよ。一応、王都までの道での戦闘は避ける。小物ならいいけど、ちょっと剣を振る力も温存したいかな」
腕輪を外させるのに乱闘になることも考えての選択だ。
「いつもの時間に、子ども達を起こして朝食を食べたら出発しよう。それと、予定通りこの場所はキープしておく」
《ーOKー》
さて、子ども達を起こすまでの間、何をしようかと考え、ちらりとよく眠っている子ども達を見た。こんな幼い子どもが、今後怖い思いをしなくていいようにしてあげたい。
「……朝になるまで、少し作業してるね」
どうせもう眠れないのだから、時間は有意義に使いたい。カトラはどんな対策をすべきかと真剣に考えながら、作業を開始したのだ。
◆◆◆◆◆
朝日が昇り、日の光が横から入って来たのを確認してから子ども達を起こす。
「おはよう。起きた?」
「「おきた~」」
二人の寝起きはとても良い。ぐずることもなく。少しだけ呆っとした後にちゃんと起きてくれる。
体を起こし、パチリと開いたクリクリとした瞳でカトラを見上げ、嬉しそうに笑った。
「ねえちゃま、げんき!」
「ねえちゃま、げんきになった!」
カトラはどれだけ辛くても食事をきっちり用意するし、まだ顔を水につけて洗えないらしい二人の顔を、毎朝濡れたタオルで拭う。ナワちゃんが細かいことは世話しているが、カトラも苛立つことなく構ってくれるので、二人は好意を全面に出していた。
「元気よ。さぁ、ご飯食べよう」
「「は~いっ」」
美味しい美味しいと嬉しそうに毎食食事をする子ども達。それが可愛くないわけがない。
『ねえちゃま』と言って慕ってくれる二人に、カトラは惜しむこともなく愛情を注いでいた。
「今日中に王都に着くから、そうしたらお家に帰れるよ」
いつものようにナワちゃんが大きな籠に取り憑いて移動する籠を作る。その中で景色を楽しみながら籠の中で大人しくしている子ども達。
これまで色々と話してくれたことを整理すると、父母を怖がっている様子はない。兄が二人いるらしいし、二人を攫ったのは黒い服を着ていたらしい。それが男であったというのはわかった。
暗い通路を通って外に出たという言葉から、屋敷の隠し通路を通った可能性を思う。そうなると、家に帰した所できちんと対処してもらわなければ同じことが起こる。
そこまで世話をするべきかと問われれば、過剰なお節介だろう。しかし、このまま送り届けて『じゃぁ、今後気をつけなよ』で終わるほど情がないわけではない。だから、歩きながらもそれを作っていた。
「……よし、これで完成」
《ー何をお作りに?ー》
「追跡タグ」
カトラの手には器用に先ほどまで編んでいた紐がある。一見、ただの飾り紐。だが、その紐は平く模様のできた凝った作りだ。前世の言葉で言うなら『ミサンガ』だろう。
糸の一本一本に魔力が込められており、切れることもない。先には青い小指の先程の大きさの魔石が付いている。紐の色はシンプルで、青や銀を使っていた。
出来上がった紐を片手で握りながら、小さく空間収納を開けてそこから先に作ってあった同じ紐を摘み出す。
カトラは二本の出来を改めて確認すると、ナワちゃんに声をかけた。
「ナワちゃん、ちょっと停まって。メル君、セリ君、これを足に着けさせてくれる?」
「キレイ」
「キレ~」
紐は銀髪に青い瞳の二人の色だ。
小さな足首に結び付けると、それはキラキラと輝いて付いていた魔石をコロリと落とす。魔石にはそれぞれ異なる小さな魔法陣が浮かび上がり、同じ文様が紐の端に刻まれた。取れた魔石を取り出した宝石の台座だけになっている銀の指輪に取り付ける。
それからしっかりとした指輪用の箱に入れ、説明書きを添える。それを子ども達それぞれに手渡した。
「これは、お父様とお母様に渡してね」
「「はぁ~い」」
ナワちゃんは子ども達の足首に着けられた紐と、彼らが嬉しそうに受け取った箱を見比べるように首を振る。
それが何なのかを正しく理解したナワちゃんは、次にカトラを見た。
《ームリはダメだとーーー》
表情などわからないのに、どこか非難する様子に苦笑を返す。
「微々たるものだよ。久し振りに楽しかったし」
《ーーー》
「……えっと、ターザには内緒で……」
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「……ごめんね……」
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言葉が変わらなかった。
ターザがこれを知れば、間違いなく説教される。それも過剰に甘やかし気味に、更には今は今回の原因を作ったギルドを破壊するくらいには苛立ちを見せるだろう。今でもその傾向が見られるのだから、決定打になりかねない。
歩みを再開し、遥か向こうに王都の外壁が見える位置まで近付いて来た今、ターザと合流するまでになんとか言い訳を考えなくてはと鈍くなった頭を回転させることしばしば。
しかし、そう長くは続かなかった。
《ー盗賊でしょうか?ー》
街道からはかなり逸れた場所。襲われているのは、騎士だろうか。どうやら貴族のお忍びの一行らしいと見える。
王都に近いとはいえ、街道から離れた奥まった森の中とも言える場所だ。盗賊達には襲いやすい場所だろう。そんな所をいくら護衛が居たとしても馬で行こうと思うのが間違っている。
カトラ達が進んでいるのも、そんな場所だ。魔獣や魔物がいて危険であったとしてもカトラやナワちゃんにとっては大したことではない。
それらが現れれば斬り捨てるし、時にはナワちゃんが締め上げて落とす。
街道に出ればナワちゃんを見られて混乱させることになる。何よりカトラがあまり人が好きではないこともあり、なるべく人通りのない道無き道を進むのが常なのだ。それは、子ども達を連れていたとしても変わりはない。
「随分上品な……ん?」
《ーどうされました?ー》
距離があることもあり、こちらには気付いていない。それをいいことにカトラは彼らを注意深く観察していた。双子達に似ている魔力波動があったのだ。
そして、不審に思ったのは他にもある。
「いや……多分この子達の血縁がいるみたいなのと、敵か味方か分かんないのがいるなって……」
《ー?ー》
「ほら。あの魔術師の二人。妙でしょ?」
《ー賊の方に支援を?ー》
「してるよね? それと、あそこにいるのと交信してる」
身なりや馬からして、騎士達の仲間として同行していたであろう魔術師が三人。三十代頃の一人の男は魔力切れギリギリまでなんとか要人を守ろうとしているらしい。
けれど、残りの二人。壮年の男は時折魔術を放って盗賊を牽制しているが、疲れた振りをしながらなぜか盗賊達に強化魔術を施している。
そして、最後の一人である若い女は、震える様子を見せながらも少し離れた場所で騒動を見物しているらしいフードを被った人物と交信しているようだった。
「……あのフード捕まえてくれる?」
《ー寝かせますー》
「それが良いね」
どうにも怪しいその人物へと、分身したナワちゃんが三本シュルシュルとヘビのように地を這って向かって行くのをカトラは無言で見送った。
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よろしくお願いします◎
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