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mission 17
180 豪運でしょうか
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赤いマニキュアと口紅がよく似合う、アイメイクもばっちりなルルベルという名の魔女。
魔女自体が、自分本位で厄介な存在だ。理不尽な事も平気で口にする。そんな魔女をちゃん付けで呼ぶ者は、このライトクエストにも居ないはずだ。
大体、そんな呼び方をされたら、挽き肉にされるというのが大抵の者の答えだろう。
この場に居る収集課の三人も、瑠偉もルルベルに不快な思いをさせないよう、その場で動きを止め、極力気配を薄めることで身を守ろうとしていた。それだけ魔女とは時に理不尽な存在なのだ。
しかし、宗徳と寿子は笑顔で手を振っていた。そして、ルルベル自身も笑顔で手を振る。
「やっほー。ノリちゃん、ヒサちゃん ♪ 相変わらずの仲良しっぷりねえ」
「そうかしら。そうだ。ルルちゃんっ。これ、レン君から預かってたの。新しい配合のバラの紅茶よ」
「あら~、覚えててくれたんだあっ。今度お礼するって、レンちゃんに言っておいて」
「分かったわ」
「「「「……」」」」
口にはしなかったが、瑠偉達は『魔女が普通の女の人に見える……』と目を合わせて頷き合っていた。
「それで? ルルちゃんはどうしたんだ?」
宗徳が尋ねると、ルルベルは楽しそうに答えた。
「ノリちゃんが行くなら、手に入るんじゃないかな~って ♪ 」
そう言いながら、ルルベルが追加の収集依頼の紙を差し出す。
これに、瑠偉達『収集稞』の者達は驚愕する。
「「「「い、依頼用紙!?」」」」
「ん? 瑠偉までどうした?」
紙を受け取りながら、珍しく瑠偉まで声をしっかり出したことに驚いて目を向ける宗徳と寿子。
「ルイ君のそんな大きな声、初めて聞いたわねえ」
「っ……出た……」
「おお、声は出した方がいいぞ」
「ん……それで……何が……」
何が書かれているのか気になったようだ。
宗徳は紙を確認する。ルルベルは後ろで手を組んで『ふふふ』と笑っていた。
それだけでも、瑠偉達には嫌な予感がしていたようだ。
「あ~、暗黒竜丸ごとと、虹色竜苔? どんな苔だ? あと、エルダートレントの果実だってさ」
「「「「……むり……」」」」
「無理? 見つかり難いのか?」
「どれも伝説ですよ!?」
「エルダートレントが実をつけるやつって、何百年に一体現れるかどうかの希少種です!」
「竜苔さえほぼ見つからないのに! 虹色!? あるわけ無いじゃん!」
「……」
瑠偉はもう放心していた。他の三人も錯乱中だ。
しかし、ルルベルと寿子は平然としている。
「まあ、この人が居たら見つかるかもしれませんねえ」
「よねっ。ノリちゃんって、ものすごいの引き当てる力あるもの~」
そうして二人は宗徳を意味ありげに見つめる。
「まあ、ダメ元で、チャレンジしてみて♪」
「分かったわっ」
「ダメ元? ダメでも許されるの?」
「そんな優しさある? 未だかつてないよね?」
「見つけるまで帰ってくるなって言う魔女様が? ダメ元? 夢かな?」
「……」
引き続き錯乱中の瑠偉達。そんな彼らを心配しながら、宗徳は時計を確認して彼らの背中を押した。
「ほれほれ、時間がもったいないだろ。ルルちゃん、それじゃあ、行ってくる」
「行ってきま~す」
「いってらっしゃ~い」
そうしてルルベルに見送られながら、宗徳達は瑠偉達を引き連れて指定された門を潜ったのだ。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
魔女自体が、自分本位で厄介な存在だ。理不尽な事も平気で口にする。そんな魔女をちゃん付けで呼ぶ者は、このライトクエストにも居ないはずだ。
大体、そんな呼び方をされたら、挽き肉にされるというのが大抵の者の答えだろう。
この場に居る収集課の三人も、瑠偉もルルベルに不快な思いをさせないよう、その場で動きを止め、極力気配を薄めることで身を守ろうとしていた。それだけ魔女とは時に理不尽な存在なのだ。
しかし、宗徳と寿子は笑顔で手を振っていた。そして、ルルベル自身も笑顔で手を振る。
「やっほー。ノリちゃん、ヒサちゃん ♪ 相変わらずの仲良しっぷりねえ」
「そうかしら。そうだ。ルルちゃんっ。これ、レン君から預かってたの。新しい配合のバラの紅茶よ」
「あら~、覚えててくれたんだあっ。今度お礼するって、レンちゃんに言っておいて」
「分かったわ」
「「「「……」」」」
口にはしなかったが、瑠偉達は『魔女が普通の女の人に見える……』と目を合わせて頷き合っていた。
「それで? ルルちゃんはどうしたんだ?」
宗徳が尋ねると、ルルベルは楽しそうに答えた。
「ノリちゃんが行くなら、手に入るんじゃないかな~って ♪ 」
そう言いながら、ルルベルが追加の収集依頼の紙を差し出す。
これに、瑠偉達『収集稞』の者達は驚愕する。
「「「「い、依頼用紙!?」」」」
「ん? 瑠偉までどうした?」
紙を受け取りながら、珍しく瑠偉まで声をしっかり出したことに驚いて目を向ける宗徳と寿子。
「ルイ君のそんな大きな声、初めて聞いたわねえ」
「っ……出た……」
「おお、声は出した方がいいぞ」
「ん……それで……何が……」
何が書かれているのか気になったようだ。
宗徳は紙を確認する。ルルベルは後ろで手を組んで『ふふふ』と笑っていた。
それだけでも、瑠偉達には嫌な予感がしていたようだ。
「あ~、暗黒竜丸ごとと、虹色竜苔? どんな苔だ? あと、エルダートレントの果実だってさ」
「「「「……むり……」」」」
「無理? 見つかり難いのか?」
「どれも伝説ですよ!?」
「エルダートレントが実をつけるやつって、何百年に一体現れるかどうかの希少種です!」
「竜苔さえほぼ見つからないのに! 虹色!? あるわけ無いじゃん!」
「……」
瑠偉はもう放心していた。他の三人も錯乱中だ。
しかし、ルルベルと寿子は平然としている。
「まあ、この人が居たら見つかるかもしれませんねえ」
「よねっ。ノリちゃんって、ものすごいの引き当てる力あるもの~」
そうして二人は宗徳を意味ありげに見つめる。
「まあ、ダメ元で、チャレンジしてみて♪」
「分かったわっ」
「ダメ元? ダメでも許されるの?」
「そんな優しさある? 未だかつてないよね?」
「見つけるまで帰ってくるなって言う魔女様が? ダメ元? 夢かな?」
「……」
引き続き錯乱中の瑠偉達。そんな彼らを心配しながら、宗徳は時計を確認して彼らの背中を押した。
「ほれほれ、時間がもったいないだろ。ルルちゃん、それじゃあ、行ってくる」
「行ってきま~す」
「いってらっしゃ~い」
そうしてルルベルに見送られながら、宗徳達は瑠偉達を引き連れて指定された門を潜ったのだ。
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