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mission 16 家族と友人と
172 書庫室へ
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昼も終わり、子ども達はお昼寝タイムに入る。
「さてと。子ども達も寝ていますし、私はお茶会のためのスコーンでも焼こうかしら」
「えっ、お義母さんっ。お菓子作るんですか? 私もお手伝いさせてくださいっ」
寿子の言葉に、沙耶が目を輝かせて詰め寄った。
「私っ、スコーンなんて初めて作りますっ」
「ふふっ。ここに居るとマカロンとか、クッキーとか、アップルパイとか、色々と作れるようになるのよ。お茶会がありますからね」
「わあっ。おしゃれですねっ。是非教えてくださいっ」
「いいわ。そういえば、一緒にお料理したことはないわねえ。ふふっ。やってみましょう」
「はいっ」
息子の徹は、結婚してからも実家を避けていたため、一緒に家族で食事というのも実は今回初だった。
寿子は沙耶と外で会ってランチというのはしたことはあったので、特に初の家族での食事だったというその事実に気づいていなかった。
「私もっ。私もお菓子作りたい! いい? おばあちゃん」
律紀が立候補する。それに続いて食休みしていた治季も手を上げた。
「わたくしもよろしいですか? お菓子作りなんて、家ではできませんもの」
「いいわよ」
それならばと、美希鷹と廉哉が顔を見合わせた後で手を上げた。
「なら俺も」
「僕もいいですか?」
「もちろんよ。一緒にやりましょう」
そうして、寿子達は楽しいお菓子教室を始めた。
残った宗徳は、自分たちはどうしようかと戸惑っている徹と征哉に目を向ける。
「お前らどうすんだ? 俺は畑とか見てくるが、書庫室にでも行くか?」
「「書庫室……」」
「ここの書庫室には、異世界の魔獣とかの図鑑とか、神話とか、魔法書とかもあるぞ」
「「っ、魔法書……!」」
「お、おう……」
良く似た親子だ。立ち上がって目を輝かせるのは、先ほどの沙耶とも同じだった。
「読めないのもあるかもしれんが、危ないのは禁書庫に除けてあるから、好きに見てくるといい。スマホで写すことはできんが、映像もある。お前らなら楽しめるだろ」
「映像? まさか、異世界の?」
「おう。資料としてのがな。書庫には管理者も居るからそこで教えてもらえ。読めんやつも、読んで聞かせてくれるはずだ」
「管理者……」
少し不安そうだ。ここには、魔女も普通に居る所だ。人ではないかもしれないというのは察したのだろう。
「管理者は妖精だ。まあ、楽しんでこい。お茶の時間には呼びに行かせる」
「「……はい……」」
思考停止寸前らしい。バトラーの桂樢に二人の案内を任せようとも思ったが、一応管理者に紹介も必要かと宗徳が案内することにした。
「歩いて行くぞ」
転移ではなく、そのまま案内する。食堂からそれほど離れていないし、迷うほどでもないのだ。
そして二階に上がり、すぐの大きな扉の前まで来た。二人は、その大きく細工も立派な木の扉を見て口を開ける。
「すごい……」
「でかい……」
「見た目より重さはなくしてあるらしいから、心配するな。まあ、この細工の感じは、王宮にもあったから、良い物なんだろうな」
「王宮?」
「……?」
ちょっと理解できないという顔をする二人。それに構わず、宗徳は扉を開けた。
中には幻想的な光景があった。
「本が……飛んでる……」
「っ、妖精……っ?」
沢山の小さな妖精達が、光を振り撒きながら飛び交っていたのだ。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
「さてと。子ども達も寝ていますし、私はお茶会のためのスコーンでも焼こうかしら」
「えっ、お義母さんっ。お菓子作るんですか? 私もお手伝いさせてくださいっ」
寿子の言葉に、沙耶が目を輝かせて詰め寄った。
「私っ、スコーンなんて初めて作りますっ」
「ふふっ。ここに居るとマカロンとか、クッキーとか、アップルパイとか、色々と作れるようになるのよ。お茶会がありますからね」
「わあっ。おしゃれですねっ。是非教えてくださいっ」
「いいわ。そういえば、一緒にお料理したことはないわねえ。ふふっ。やってみましょう」
「はいっ」
息子の徹は、結婚してからも実家を避けていたため、一緒に家族で食事というのも実は今回初だった。
寿子は沙耶と外で会ってランチというのはしたことはあったので、特に初の家族での食事だったというその事実に気づいていなかった。
「私もっ。私もお菓子作りたい! いい? おばあちゃん」
律紀が立候補する。それに続いて食休みしていた治季も手を上げた。
「わたくしもよろしいですか? お菓子作りなんて、家ではできませんもの」
「いいわよ」
それならばと、美希鷹と廉哉が顔を見合わせた後で手を上げた。
「なら俺も」
「僕もいいですか?」
「もちろんよ。一緒にやりましょう」
そうして、寿子達は楽しいお菓子教室を始めた。
残った宗徳は、自分たちはどうしようかと戸惑っている徹と征哉に目を向ける。
「お前らどうすんだ? 俺は畑とか見てくるが、書庫室にでも行くか?」
「「書庫室……」」
「ここの書庫室には、異世界の魔獣とかの図鑑とか、神話とか、魔法書とかもあるぞ」
「「っ、魔法書……!」」
「お、おう……」
良く似た親子だ。立ち上がって目を輝かせるのは、先ほどの沙耶とも同じだった。
「読めないのもあるかもしれんが、危ないのは禁書庫に除けてあるから、好きに見てくるといい。スマホで写すことはできんが、映像もある。お前らなら楽しめるだろ」
「映像? まさか、異世界の?」
「おう。資料としてのがな。書庫には管理者も居るからそこで教えてもらえ。読めんやつも、読んで聞かせてくれるはずだ」
「管理者……」
少し不安そうだ。ここには、魔女も普通に居る所だ。人ではないかもしれないというのは察したのだろう。
「管理者は妖精だ。まあ、楽しんでこい。お茶の時間には呼びに行かせる」
「「……はい……」」
思考停止寸前らしい。バトラーの桂樢に二人の案内を任せようとも思ったが、一応管理者に紹介も必要かと宗徳が案内することにした。
「歩いて行くぞ」
転移ではなく、そのまま案内する。食堂からそれほど離れていないし、迷うほどでもないのだ。
そして二階に上がり、すぐの大きな扉の前まで来た。二人は、その大きく細工も立派な木の扉を見て口を開ける。
「すごい……」
「でかい……」
「見た目より重さはなくしてあるらしいから、心配するな。まあ、この細工の感じは、王宮にもあったから、良い物なんだろうな」
「王宮?」
「……?」
ちょっと理解できないという顔をする二人。それに構わず、宗徳は扉を開けた。
中には幻想的な光景があった。
「本が……飛んでる……」
「っ、妖精……っ?」
沢山の小さな妖精達が、光を振り撒きながら飛び交っていたのだ。
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