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mission 13 魔女の来臨
132 急ぎ戻ります
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宗徳達は王都にユマだけを残し、教会まで戻った。
徨流のぶら下げるコンテナハウスに宗徳以外が乗り込み、中で休息を取っている。白欐と黒欐も寿子に随分慣れ甘えているようだ。
そんな中、宗徳は善治と連絡を取っていた。
「あ、王妃達忘れてたわ」
『そんな気がしていた……帰す約束は明日だぞ』
「なら、俺と徨流だけ先に戻って送る」
病気療養のためにもと預かっていた王妃とその子ども達。彼女らを半ば放って出てきてしまったのだ。侍女や護衛騎士もいるし、生活するのに全く問題のない部屋と環境は整っているため、心配はないが、連れて来た手前、申し訳ないと、今更思い出したのだ。
『そうしてくれ。頼みたいこともある。今日中に帰ってきてくれ』
「了解だ」
教会に着いてすぐ、寿子にこれを説明した。
「そういえばそうでしたねえ。わかりました。あなたが戻ってくるまでに、こちらも領主さんにユマさんの事や、王都の事を説明しておきます」
「おう。頼んだ。律紀達も、もう少しこっちで頑張ってくれや」
「頑張るなんて言わなくていいよ。楽しいもん」
律紀の言葉に、美希鷹と治季も頷いて見せた。
「なら、子どもらを頼むな」
「俺らが世話されそうだけどな」
《さすがは二人の子どもよねっ。あの子達、年齢の割に賢いもん》
美希鷹が笑い、キュリアートが感心して褒める。子どもらが褒められるというのは嬉しいものだ。宗徳は照れながら頭を掻いた。
「そんじゃ、まあ長くて二日だ。何かあったら連絡しろよ」
これは美希鷹に告げた。
すぐに出ようとして白欐と黒欐をせっかくならばレヴィアの所に連れて行ってやろうと考えた。
「白欐、黒欐。レヴィアのことは分かるか?」
《くるっ》
《ぐるる》
分かると言う。声はずっと聞こえていたらしい。
「会わないか?」
《くる……》
《ぐ、ぐる……》
自分達はその声を無視してきた。会って、嫌な気持ちにさせないだろうかと不安気だった。
「レヴィアはきっと会いたいだろうよ。ずっと心配していたみたいだからな。それに、見たくないか? 昔、守った奴らのこと。今どうしてるか、気にならないか?」
神とはいえ、彼らは現世にいるのだ。何でもありな理不尽な存在でもない。だから、きっと気になるだろうと思った。
実際、そうだったようだ。
《くるるっ》
《ぐる……》
見てみたいと内心の気持ちは違うようだが、同じ答えが返ってきた。
「よし。なら行くか」
決まったなと、宗徳は白欐と黒欐を連れて徨流で飛び立った。
海の真ん中。
そこで行きと同じように、レヴィアが出てきた。
「よお。久し振りだな」
《--~っ》
「おう。そっちに連れて行ってくれ。俺と徨流はこれから仕事があってな。また二日後ぐらいにここを通る。それまで頼む」
そうして、二匹がレヴィアの元へ飛んで行くのを見て、宗徳は二匹に伝えた。
「これからどうするかも、考えといてくれよ。レヴィア達の居る所に住むってことも有りだからな」
《くるる……くるっ》
《ぐる》
考えると答えが返ってきた。
手を振ってレヴィア達を見送ると、宗徳と徨流は竜守城へと急いだ。
その頃、地球では、召喚術の解析が進められ、派遣する魔女について話し合いがなされようとしていた。
*********
読んでくださりありがとうございます◎
また二週空きます。
よろしくお願いします◎
徨流のぶら下げるコンテナハウスに宗徳以外が乗り込み、中で休息を取っている。白欐と黒欐も寿子に随分慣れ甘えているようだ。
そんな中、宗徳は善治と連絡を取っていた。
「あ、王妃達忘れてたわ」
『そんな気がしていた……帰す約束は明日だぞ』
「なら、俺と徨流だけ先に戻って送る」
病気療養のためにもと預かっていた王妃とその子ども達。彼女らを半ば放って出てきてしまったのだ。侍女や護衛騎士もいるし、生活するのに全く問題のない部屋と環境は整っているため、心配はないが、連れて来た手前、申し訳ないと、今更思い出したのだ。
『そうしてくれ。頼みたいこともある。今日中に帰ってきてくれ』
「了解だ」
教会に着いてすぐ、寿子にこれを説明した。
「そういえばそうでしたねえ。わかりました。あなたが戻ってくるまでに、こちらも領主さんにユマさんの事や、王都の事を説明しておきます」
「おう。頼んだ。律紀達も、もう少しこっちで頑張ってくれや」
「頑張るなんて言わなくていいよ。楽しいもん」
律紀の言葉に、美希鷹と治季も頷いて見せた。
「なら、子どもらを頼むな」
「俺らが世話されそうだけどな」
《さすがは二人の子どもよねっ。あの子達、年齢の割に賢いもん》
美希鷹が笑い、キュリアートが感心して褒める。子どもらが褒められるというのは嬉しいものだ。宗徳は照れながら頭を掻いた。
「そんじゃ、まあ長くて二日だ。何かあったら連絡しろよ」
これは美希鷹に告げた。
すぐに出ようとして白欐と黒欐をせっかくならばレヴィアの所に連れて行ってやろうと考えた。
「白欐、黒欐。レヴィアのことは分かるか?」
《くるっ》
《ぐるる》
分かると言う。声はずっと聞こえていたらしい。
「会わないか?」
《くる……》
《ぐ、ぐる……》
自分達はその声を無視してきた。会って、嫌な気持ちにさせないだろうかと不安気だった。
「レヴィアはきっと会いたいだろうよ。ずっと心配していたみたいだからな。それに、見たくないか? 昔、守った奴らのこと。今どうしてるか、気にならないか?」
神とはいえ、彼らは現世にいるのだ。何でもありな理不尽な存在でもない。だから、きっと気になるだろうと思った。
実際、そうだったようだ。
《くるるっ》
《ぐる……》
見てみたいと内心の気持ちは違うようだが、同じ答えが返ってきた。
「よし。なら行くか」
決まったなと、宗徳は白欐と黒欐を連れて徨流で飛び立った。
海の真ん中。
そこで行きと同じように、レヴィアが出てきた。
「よお。久し振りだな」
《--~っ》
「おう。そっちに連れて行ってくれ。俺と徨流はこれから仕事があってな。また二日後ぐらいにここを通る。それまで頼む」
そうして、二匹がレヴィアの元へ飛んで行くのを見て、宗徳は二匹に伝えた。
「これからどうするかも、考えといてくれよ。レヴィア達の居る所に住むってことも有りだからな」
《くるる……くるっ》
《ぐる》
考えると答えが返ってきた。
手を振ってレヴィア達を見送ると、宗徳と徨流は竜守城へと急いだ。
その頃、地球では、召喚術の解析が進められ、派遣する魔女について話し合いがなされようとしていた。
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