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mission 11 王都調査と救助

107 城を退かせます

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宗徳は、入ってきた通路を使って律紀達と外へ出た。人気のない場所ではあるが、日本にはない雰囲気の景色に彼女達は戸惑っている様子だ。

「宗徳さん、善治さんに確認しました。あちらでどうやら、時間軸の調整が必要なので、数日滞在してもらうことになるそうです。僕達からあまり離れなければ体に無理な負荷も掛からないはずだと……様子がおかしくなったら知らせるようにとのことです」

さすがは廉哉だ。通路を行く間にしっかりと報告を済ませてくれていた。

「あ、魔法陣のスケッチは先に写真で送って欲しいそうです」
「了解。確か……こうか?」
「はい。そうです。これで送信です」
「おっし、できた。いやぁ、レンが教えてくれるから助かるぜ。報告もすぐにしてくれるしな。本当に気が利く息子だぜ」
「っ、そ、そんなっ……」

宗徳が少々乱暴に廉哉の頭を撫でた。それに照れる様子がとても好ましい。

「ああっ、なんて……なんてステキっ……これが尊いっというものなのですねっ」

キラキラした瞳で思わずというように手を組んで見つめてくる治季はどうしたというのか。ちょっも近付かない方が良さそうだ。

「本当におじいちゃん……?」
「笑った顔がモロじゃん。間違いなくノリさんだ」
「う、うん……けど、お父さんとも似てないや」
「性格違うんだろ? 印象じゃねえ?」

律紀と美希鷹は本当に宗徳なのかと、色々と確認しているらしい。

「さてと。とりあえずそうだな……俺は町の様子を見てくる。レン、鷹達を徨流で寿子んとこに連れてってくれ」
「そうですね……分かりました。お昼までには戻ります」
「おう。それまでブラブラしてっから。ここで待ち合わせな」
「はいっ」

廉哉達と別れ、宗徳は一人大通りへ向かう。しかし、呑気に町の見物ができるわけではなかった。

「そりゃあ、城が突然崩壊したんだからな……こうなるか」

宗徳の前には、パニックを起こした民衆が溢れかえっていた。

「早くっ、早く町を出るんだっ」
「出てどこに行くのよっ! 外の方が危ないわ!」
「助けてくれっ!」
「家がっ! 道が割れてるっ!」
「あそこの外壁が崩れてっ……下敷きになったやつはいないかっ!」
「ねえっ、うちの息子はっ!? 城の警備兵なのよっ。無事か確認してちょうだいっ!」
「一体、何が起こったのよっ!!」

城が崩壊した時、町の地盤もダメージを受けていたのだろう。ところどころ、崩壊した家もある。道には大きな亀裂も走っていた。

人や家が落ちており、大変な参事だ。

一方、城の近くにも人が集まっている。城に仕えていたらしい息子達の無事を確認するため、多くの者が城に近づこうとしているのだ。それを城の外に居て無事だったらしい兵達が指揮官もなく混乱しながらも止めようと必死だ。

「近づくなっ。危ないっ」
「ダメだっ。また崩れるかもしれんっ」

宗徳は城の方が問題だなと確認し、そちらに近付いていく。その間に城の瓦礫の中に生きている者がいないか反応をみる。

「……結構生き残ってんな……出れねえのか。弱ったのも多いな。これはダメだ……せっかく廉哉をあちらにやったが……」

あまりにも被害が多く、宗徳だけではどうにもならない。ならばと寿子と廉哉に連絡を入れる。

先ほど写真を送ることを覚えたので、城や町の状況を撮って送った。すると、すぐに返事が来る。


『行きます! それまでにできることをしておいてください』
『わかりました。寿子さんを連れて戻ります』


前者が寿子。後者が廉哉だ。

ならば、来るまでにある程度やっておかねばと宗徳は城へ向かって行く。当然だが、城に近づこうをすれば、兵達が止めにかかる。

「おいっ、お前っ、どこに行く気だっ」
「人命救助は時間との戦いだ。あんたら、そこで叫んでいる余裕があるなら手伝えよ?」

一体何を言っているのかと怒鳴ろうとする兵達を無視し、城の範囲の空間を固定した。

使うのは重力だ。

「いいか? ゆっくりと物だけを浮かせていく。足元だけ気をつけて見つけた奴から引っ張り出してきてくれ」
「「「「「っ……は?」」」」」

城であった瓦礫が上の方からゆっくりと空へ向かって浮いて行く。

城の地下は宗徳の魔術で成長した木が支えているので、落下はしないはずだ。

「あっ、あそこにっ」
「あっちにもっ」
「わ、私たちも手伝うわっ」

一人、二人と瓦礫の中から城に仕えていた者達が姿を現す。意識のない者は多く、息を引き取っている者もいる。だが、中には瓦礫の間にいたのだろう。キョトンと目を見開いて座り込んでいる者もいた。

兵や民衆たちが駆け寄り、それらの人を移動させていく。

それから、城のあった場所に瓦礫がなくなるのに、一時間かかった。浮かせた瓦礫は、空いている場所を見つけては置いていっていた。

「はあ……流石に疲れた……」

そこに廉哉や寿子たちがやってきたのだ。

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