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mission 9 東大陸の調査
085 魔女様って大変です
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2018. 12. 15
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宗徳は善治の言葉を聞いて眉を寄せる。召喚をさせないようにすることが出来るならば、やるべきではある。しかし、そう簡単なことではないだろう。
「できんのか?」
「できる。とはいえ、それをするのは別の部署だ。我々がやれることは、召喚を行った国の内情調査と、可能ならばその召喚術に関する媒介を見つけるところまでだ」
宗徳達の所属する『異世界派遣開拓室』は、扉を繋げた世界が衰退し滅びないようにするのが本来の役目だ。
世界が滅びることにより、他の次元にも影響が出る。更には、今回のように救いを求めて異世界召喚を行うこともある。その選択をさせないための開拓をしていくのだ。
召喚術を既に使えてしまっている場合は、また別の部署がその回収と警告を行うことになっている。
「施設を壊したりしなくていいのか?」
召喚術を行う特別な場所があるというのは、廉哉から聞いているのだ。そこを破壊してしまえばいいのではないかと思った。だが、そう単純なものではなかった。
「壊すにしてもやり方がある。あれはかなり複雑で発動させるには大量のエネルギーが必要になる。何より、次元に干渉する術式が組み込まれているのでな。下手に触れれば、次元を崩壊させかねない」
「そんな爆弾みたいなもんなのかよ……」
大変危険なものだということが分かり、宗徳は顔を引きつらせる。聞いておいて良かったと胸を撫で下ろした。
「難しいんですね……どんな方が対処されるのです?」
寿子もそんなものが同じ世界にあると知って顔をしかめた。爆弾処理をするように、専門的な知識が必要になるというのが分かり気になったのだ。
「『次元管理対策室』の魔女達だ」
「……イズ様みたいな?」
「イザリ様はその総括をされておられる」
「は?」
「すごい方だったんですね……」
何かと忙しそうに出かけていくイザリがクーヴェラルのような階層長であると知り驚く。
「部屋で踏ん反り返ってればいいんじゃないんだな」
「魔女達は少し個性的な方が多い。仕事も遅い時と早い時の差があってな……確実に時間厳守の場合はイザリ様が直接動いた方が確実なのだ……」
善治がわざわざイザリの手伝いは積極的にするようにと言った意味が分かった気がした。
「俺、もっと協力するわ」
「なるべくお声をかけるようにします」
「そうしてくれ……」
善治も向こうにいる時で手が空いていれば、イザリの手伝いに回っていたらしい。最近は帰れていないので心配だったようだ。
イザリが関わるのは、次元に影響を及ぼす案件ばかり。重要度が高いから協力するのではなく、自由人ばかりの魔女達の上に立つ苦労人なイザリを少しでも助けられればと思う。
「なら、気合い入れてこれも調査せんとな。レン、頼むぞ」
「はい。あれはあってはいけないものだと思います。少しでも早く、二度と召喚される人がいないようにしないといけません」
廉哉にとっては、辛い思い出もある場所。しかし、そんなことはおくびにも出さず、気合いを入れていた。
「無理しないでねレン君。危ないことはこの人にやらせれば良いから」
「そうだぞ。もし、変な言いがかりをつけてくる奴とかに会ったらちゃんと言え。殴り飛ばして埋めてやるからな」
「顔は出しておいてくださいね」
「殺さなければ何をしても構わん」
「え、えっと……はい」
ヤル気満々な宗徳達だ。善治にとっても、廉哉は確実に庇護しなくてはならない子どもの一人なのだから。
何より、召喚は誘拐と同じ。誘拐犯に慈悲など必要ないというのが宗徳達の持論だ。連れ去られた時点で正当防衛は適応されたものとし、反撃は手痛く行う所存だった。
「徨流ならば数時間で行けるだろう。数日通い、国の内情を調査してきてくれ」
「泊まりじゃなくていいのか? 急ぐなら宿とかとるぞ?」
「廉哉の顔がどこまで知られているか分からない。こちらをなるべく探らせないためにも日帰りで構わない。何より、他の子ども達が寂しがるだろう」
手を出す分には良いが、これ以上廉哉に手を出させるのは許すべきではない。せっかく徨流という最高の移動手段があるのだ。利用しない手はないだろう。
それに、この場所ならば廉哉もゆっくり休める。外敵からの守りは十分な場所だ。ただでさえストレスのかかる仕事。心から休める場所で落ち着いて一日を終えて欲しいというのもある。
守るべき子どものためには宗徳達は心底甘くなるのだ。
「そんじゃ、子どもらに会ってから行ってくる」
「頼むぞ」
「はいっ」
「おうっ」
こうして数十分後、宗徳と廉哉は徨流に乗って竜守城を後にしたのだった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
次回、土曜22日です。
よろしくお願いします◎
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宗徳は善治の言葉を聞いて眉を寄せる。召喚をさせないようにすることが出来るならば、やるべきではある。しかし、そう簡単なことではないだろう。
「できんのか?」
「できる。とはいえ、それをするのは別の部署だ。我々がやれることは、召喚を行った国の内情調査と、可能ならばその召喚術に関する媒介を見つけるところまでだ」
宗徳達の所属する『異世界派遣開拓室』は、扉を繋げた世界が衰退し滅びないようにするのが本来の役目だ。
世界が滅びることにより、他の次元にも影響が出る。更には、今回のように救いを求めて異世界召喚を行うこともある。その選択をさせないための開拓をしていくのだ。
召喚術を既に使えてしまっている場合は、また別の部署がその回収と警告を行うことになっている。
「施設を壊したりしなくていいのか?」
召喚術を行う特別な場所があるというのは、廉哉から聞いているのだ。そこを破壊してしまえばいいのではないかと思った。だが、そう単純なものではなかった。
「壊すにしてもやり方がある。あれはかなり複雑で発動させるには大量のエネルギーが必要になる。何より、次元に干渉する術式が組み込まれているのでな。下手に触れれば、次元を崩壊させかねない」
「そんな爆弾みたいなもんなのかよ……」
大変危険なものだということが分かり、宗徳は顔を引きつらせる。聞いておいて良かったと胸を撫で下ろした。
「難しいんですね……どんな方が対処されるのです?」
寿子もそんなものが同じ世界にあると知って顔をしかめた。爆弾処理をするように、専門的な知識が必要になるというのが分かり気になったのだ。
「『次元管理対策室』の魔女達だ」
「……イズ様みたいな?」
「イザリ様はその総括をされておられる」
「は?」
「すごい方だったんですね……」
何かと忙しそうに出かけていくイザリがクーヴェラルのような階層長であると知り驚く。
「部屋で踏ん反り返ってればいいんじゃないんだな」
「魔女達は少し個性的な方が多い。仕事も遅い時と早い時の差があってな……確実に時間厳守の場合はイザリ様が直接動いた方が確実なのだ……」
善治がわざわざイザリの手伝いは積極的にするようにと言った意味が分かった気がした。
「俺、もっと協力するわ」
「なるべくお声をかけるようにします」
「そうしてくれ……」
善治も向こうにいる時で手が空いていれば、イザリの手伝いに回っていたらしい。最近は帰れていないので心配だったようだ。
イザリが関わるのは、次元に影響を及ぼす案件ばかり。重要度が高いから協力するのではなく、自由人ばかりの魔女達の上に立つ苦労人なイザリを少しでも助けられればと思う。
「なら、気合い入れてこれも調査せんとな。レン、頼むぞ」
「はい。あれはあってはいけないものだと思います。少しでも早く、二度と召喚される人がいないようにしないといけません」
廉哉にとっては、辛い思い出もある場所。しかし、そんなことはおくびにも出さず、気合いを入れていた。
「無理しないでねレン君。危ないことはこの人にやらせれば良いから」
「そうだぞ。もし、変な言いがかりをつけてくる奴とかに会ったらちゃんと言え。殴り飛ばして埋めてやるからな」
「顔は出しておいてくださいね」
「殺さなければ何をしても構わん」
「え、えっと……はい」
ヤル気満々な宗徳達だ。善治にとっても、廉哉は確実に庇護しなくてはならない子どもの一人なのだから。
何より、召喚は誘拐と同じ。誘拐犯に慈悲など必要ないというのが宗徳達の持論だ。連れ去られた時点で正当防衛は適応されたものとし、反撃は手痛く行う所存だった。
「徨流ならば数時間で行けるだろう。数日通い、国の内情を調査してきてくれ」
「泊まりじゃなくていいのか? 急ぐなら宿とかとるぞ?」
「廉哉の顔がどこまで知られているか分からない。こちらをなるべく探らせないためにも日帰りで構わない。何より、他の子ども達が寂しがるだろう」
手を出す分には良いが、これ以上廉哉に手を出させるのは許すべきではない。せっかく徨流という最高の移動手段があるのだ。利用しない手はないだろう。
それに、この場所ならば廉哉もゆっくり休める。外敵からの守りは十分な場所だ。ただでさえストレスのかかる仕事。心から休める場所で落ち着いて一日を終えて欲しいというのもある。
守るべき子どものためには宗徳達は心底甘くなるのだ。
「そんじゃ、子どもらに会ってから行ってくる」
「頼むぞ」
「はいっ」
「おうっ」
こうして数十分後、宗徳と廉哉は徨流に乗って竜守城を後にしたのだった。
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