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第十三章
607 ボス戦は?
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コウヤが欲しいと言った魔獣と笑顔を輝かせるコウヤを交互に見る一同。さすがに呑気な冒険者も、これには驚いていた。
「え? 欲しいって言った?」
「言ったかも? え? あんな大きいのを?」
「いや、完全にラスボスじゃん? それを欲しいって……」
「やべえなコウヤ……いや、コウルリーヤ様、さすがっす」
本気かなとちょっと冗談かなと誰もが思った。しかし、コウヤの顔や目に、本気が見えた。
「あのワクワク顔は本気だわ」
「おもちゃ欲しがる子どもと一緒の顔だわ」
「え? 可能なの?」
「犬猫とは違うんだけど……」
「いや、あの顔はそれくらいの感覚だわ……」
子猫拾って帰ろうとする子どもと変わらない顔だった。そこで注意するのは保護者だ。ボスを指差して説得を試みる。
「コウヤ君。あんな大きなのはダメですよっ! どこに棲まわせるんですかっ」
「ここでも良いし。大丈夫だよ。多分、大きさそれなりに変えられそうだもん。ね?」
《グゥ……》
「なんで頷いてるんですか!?」
《グラ?》
普通にコウヤに『ね?』と言われて頷く魔獣。ちゃんと言葉も理解しているような様子に、リクトルスが驚愕していた。
「あの子賢いよ。大丈夫。ここに来るまでに纏ってた邪神? の洗脳とか? 拘束とか色々は全部振り払っちゃってるし」
「「え??」」
「ね? 俺と目が合った時には全部解けてたよね?」
《グラウっ》
「ほら」
「……もしかして、その後にまた手を出されないように、ここを隔離しましたか……」
「うん!」
「……」
「……コウヤちゃん……」
呆れられた。
「だって、可哀想だよ! 洗脳して戦わせるとかダメ! ちゃんと考えられる子なんだよ。それも自分の中の正義もきっとあるんだ! だって神って言葉のゴッドから名前をもらってるゴジ◯だもん!」
「その理屈が分からないんですよっ!」
「そんなすごいの? この子……」
《グラウ?》
首を傾げるボス。それを見てエリスリリアがこちら側に一歩踏み出した。
「え……あ、可愛いかも……」
「エリス!」
「だって、リクト。あんな大きな体してて、ちゃんと知性があるのよ? なに、あのちょっと困惑したような瞳……やだ、可愛い!」
「だよね! いいよね!」
「連れて帰っても大丈夫よ! あの子が棲むくらいの広さの大陸ぐらい、お父様に創ってもらいましょう! 大陸の一つや二つ、どうとでもなるわ!」
「そうだよね! うん! ゼストパパにお願いするよ! だから一緒に行こう」
《グラァウ》
「あ、契約できた」
「っ、コウヤ君!?」
「まあっ」
「「「「「えぇぇ~!」」」」」
喋っている内にまさかの従魔としての契約が完了していた。
そこで、ボスはコウヤが望むようにと、小さくなった。それも丸っとしている。大きさとしては、抱えられるサイズだ。
「ヤバっ、可愛っ! ゆるキャラ的な!? 羽もちゃんとある!!」
「え? 羽の感じ変わった! 可愛い! ちょっと、抱っこさせて、コウヤちゃん!」
コウモリというか、キングギ◯ラの羽っぽかったものが、フワフワな黒い天使の羽になっていたのだ。そして、可愛い丸っとした可愛い子になった。
「……なんで、アレがああなるの?」
「……コウヤが望んだとか?」
「エリス様がめちゃくちゃはしゃいでる……」
「ねえ。ボス戦は?」
「……さあ……」
始まる前に終わってしまったラスボス戦。しかし、ここで気付くべきだった。
ラスボスとは言っていたが、邪神ではないのだから。
***********
読んでくださりありがとうございます◎
「え? 欲しいって言った?」
「言ったかも? え? あんな大きいのを?」
「いや、完全にラスボスじゃん? それを欲しいって……」
「やべえなコウヤ……いや、コウルリーヤ様、さすがっす」
本気かなとちょっと冗談かなと誰もが思った。しかし、コウヤの顔や目に、本気が見えた。
「あのワクワク顔は本気だわ」
「おもちゃ欲しがる子どもと一緒の顔だわ」
「え? 可能なの?」
「犬猫とは違うんだけど……」
「いや、あの顔はそれくらいの感覚だわ……」
子猫拾って帰ろうとする子どもと変わらない顔だった。そこで注意するのは保護者だ。ボスを指差して説得を試みる。
「コウヤ君。あんな大きなのはダメですよっ! どこに棲まわせるんですかっ」
「ここでも良いし。大丈夫だよ。多分、大きさそれなりに変えられそうだもん。ね?」
《グゥ……》
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「「え??」」
「ね? 俺と目が合った時には全部解けてたよね?」
《グラウっ》
「ほら」
「……もしかして、その後にまた手を出されないように、ここを隔離しましたか……」
「うん!」
「……」
「……コウヤちゃん……」
呆れられた。
「だって、可哀想だよ! 洗脳して戦わせるとかダメ! ちゃんと考えられる子なんだよ。それも自分の中の正義もきっとあるんだ! だって神って言葉のゴッドから名前をもらってるゴジ◯だもん!」
「その理屈が分からないんですよっ!」
「そんなすごいの? この子……」
《グラウ?》
首を傾げるボス。それを見てエリスリリアがこちら側に一歩踏み出した。
「え……あ、可愛いかも……」
「エリス!」
「だって、リクト。あんな大きな体してて、ちゃんと知性があるのよ? なに、あのちょっと困惑したような瞳……やだ、可愛い!」
「だよね! いいよね!」
「連れて帰っても大丈夫よ! あの子が棲むくらいの広さの大陸ぐらい、お父様に創ってもらいましょう! 大陸の一つや二つ、どうとでもなるわ!」
「そうだよね! うん! ゼストパパにお願いするよ! だから一緒に行こう」
《グラァウ》
「あ、契約できた」
「っ、コウヤ君!?」
「まあっ」
「「「「「えぇぇ~!」」」」」
喋っている内にまさかの従魔としての契約が完了していた。
そこで、ボスはコウヤが望むようにと、小さくなった。それも丸っとしている。大きさとしては、抱えられるサイズだ。
「ヤバっ、可愛っ! ゆるキャラ的な!? 羽もちゃんとある!!」
「え? 羽の感じ変わった! 可愛い! ちょっと、抱っこさせて、コウヤちゃん!」
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「……なんで、アレがああなるの?」
「……コウヤが望んだとか?」
「エリス様がめちゃくちゃはしゃいでる……」
「ねえ。ボス戦は?」
「……さあ……」
始まる前に終わってしまったラスボス戦。しかし、ここで気付くべきだった。
ラスボスとは言っていたが、邪神ではないのだから。
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