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第十三章
592 表に出てどうする
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結局、あの後エリスリリアから請われて、結界の魔術式の見直しや強化に協力した。『元魔工神』として、魔術に関しての専門的な力や知識を持っているのはコウヤだ。エリスリリアもそれは敵わない。
「コウヤちゃんが来てくれて良かったぁぁぁ。うんうんっ。これくらいの強度なら、きっと大丈夫よねっ! 本当に助かったわ~。あのまま私だけで改良を続けてても、精々、世界の半分くらいしか守れなかったわよ~」
「……」
一体、どれほどの威力のものを想定しているのだろうかと、コウヤはお茶を飲んで一息吐くゼストラークへ思わず目を向けた。しかし、返ってきたのは、珍しく得意げな顔を見せる笑みだけだった。
「コウヤちゃんっ! これ! 最強強度よね!? これ以上は……無理?」
可愛らしくコテンと頭を傾げて確認するエリスリリアに、コウヤは反射的に考え出す。
「う、う~ん……もう少し改良できるかもだけど……範囲が狭くなるかも」
「え!? それで良のよ!! どれくらい!? どれくらいの範囲!? あの国の中央の町が包めればいいんだけど!?」
「え……もう少し広いけど」
「っ、ならやりましょう! もう少し強度を上げたいわ! やっぱり何事にも余裕は必要だわ!」
「うん……」
そうして、納得のいく所まで改良を進めてから、神界から戻った。
王宮でも会議が開かれており、騎士団が派遣されることになったようだ。
この場には、アビリス王とアルキス、ジルファスだけでなく、多くの大臣達と騎士団の団長達が揃っていた。だが、居づらい雰囲気ではない。団長達も席に座り、会議というより、話し合いという雰囲気だ。意見も元気に手を上げて発言する。
「コウヤの近衛師団だけで充分ではないか?」
アビリス王は他の騎士達とは隔絶した強さを持つ近衛師団の者達だけで問題ないのではないかと告げる。
「まあ、充分じゃね? 俺も行くけど」
アルキスもそれで充分だと言いながらも、自分は行くと決めていた。しかし、ここに第三騎士団の団長が手を上げる。
「我々もお連れください! 国の守護には第一と第二の者が残れば問題ないでしょう!」
「ずるいぞ、お前っ」
「我々にも参加させてください!」
騎士団長達が自分たちもと勢いよく手を上げる。
「まあ、国一つなら、戦力的には充分でしょうが、相手が邪神かもしれないのですよね……」
それを考えると、戦力はどれだけ送ってもいいかもしれないとジルファスは考えていた。とはいえ、国の守りが薄くなるのはよろしくない。悩みどころだ。
「あ、陛下! 我々は半数は行きます!」
「……半数でいいのか……」
アビリス王が予想外だと意外そうな顔をした。それに、魔法師が得意げに答える。
「コウヤ様に、半数は国のために残るようにとっ!」
「そんなことだろうと思ったよ……」
自主的にそんな判断は出来ないだろうと思ったのは間違いではなかった。そこに、パラリと天井から紙が落ちてきた。
「む……お前達……表に出てどうする……」
天井を見ながらアビリス王は呆れたような顔を向ける。
「「「「「ああ……」」」」」
全員が天井を見上げた。全て察したのだ。
「暗部が前線に出て行くとか、普通ないだろ」
アルキスがそう言えば、またパラリと紙が落ちてきた。
「……なんだこれ……神官様からの推薦状……自分たちの補佐……うん。好きにしたらいいと思う」
「賛成で」
「賛成します」
「頑張ってきてください」
神官達が勧めたのならば、誰も反対なんてしない。
そこに、コウヤが戻ってきたのだ。
「失礼します。ただいま戻りました」
「コウヤっ、お帰り」
ジルファスが微笑んで迎える。
「教会に行っていたのかい?」
ジルファスの隣に椅子が用意され、そこに座りながら答えた。
「はい。ルー君から、ゼストパパがすごいの作ってるって聞いて、心配で」
「「「「「すごいの……」」」」」
聞くのが怖いと全員が頬を引き攣らせた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
来週はお休みさせていただきます!
よろしくお願いします◎
「コウヤちゃんが来てくれて良かったぁぁぁ。うんうんっ。これくらいの強度なら、きっと大丈夫よねっ! 本当に助かったわ~。あのまま私だけで改良を続けてても、精々、世界の半分くらいしか守れなかったわよ~」
「……」
一体、どれほどの威力のものを想定しているのだろうかと、コウヤはお茶を飲んで一息吐くゼストラークへ思わず目を向けた。しかし、返ってきたのは、珍しく得意げな顔を見せる笑みだけだった。
「コウヤちゃんっ! これ! 最強強度よね!? これ以上は……無理?」
可愛らしくコテンと頭を傾げて確認するエリスリリアに、コウヤは反射的に考え出す。
「う、う~ん……もう少し改良できるかもだけど……範囲が狭くなるかも」
「え!? それで良のよ!! どれくらい!? どれくらいの範囲!? あの国の中央の町が包めればいいんだけど!?」
「え……もう少し広いけど」
「っ、ならやりましょう! もう少し強度を上げたいわ! やっぱり何事にも余裕は必要だわ!」
「うん……」
そうして、納得のいく所まで改良を進めてから、神界から戻った。
王宮でも会議が開かれており、騎士団が派遣されることになったようだ。
この場には、アビリス王とアルキス、ジルファスだけでなく、多くの大臣達と騎士団の団長達が揃っていた。だが、居づらい雰囲気ではない。団長達も席に座り、会議というより、話し合いという雰囲気だ。意見も元気に手を上げて発言する。
「コウヤの近衛師団だけで充分ではないか?」
アビリス王は他の騎士達とは隔絶した強さを持つ近衛師団の者達だけで問題ないのではないかと告げる。
「まあ、充分じゃね? 俺も行くけど」
アルキスもそれで充分だと言いながらも、自分は行くと決めていた。しかし、ここに第三騎士団の団長が手を上げる。
「我々もお連れください! 国の守護には第一と第二の者が残れば問題ないでしょう!」
「ずるいぞ、お前っ」
「我々にも参加させてください!」
騎士団長達が自分たちもと勢いよく手を上げる。
「まあ、国一つなら、戦力的には充分でしょうが、相手が邪神かもしれないのですよね……」
それを考えると、戦力はどれだけ送ってもいいかもしれないとジルファスは考えていた。とはいえ、国の守りが薄くなるのはよろしくない。悩みどころだ。
「あ、陛下! 我々は半数は行きます!」
「……半数でいいのか……」
アビリス王が予想外だと意外そうな顔をした。それに、魔法師が得意げに答える。
「コウヤ様に、半数は国のために残るようにとっ!」
「そんなことだろうと思ったよ……」
自主的にそんな判断は出来ないだろうと思ったのは間違いではなかった。そこに、パラリと天井から紙が落ちてきた。
「む……お前達……表に出てどうする……」
天井を見ながらアビリス王は呆れたような顔を向ける。
「「「「「ああ……」」」」」
全員が天井を見上げた。全て察したのだ。
「暗部が前線に出て行くとか、普通ないだろ」
アルキスがそう言えば、またパラリと紙が落ちてきた。
「……なんだこれ……神官様からの推薦状……自分たちの補佐……うん。好きにしたらいいと思う」
「賛成で」
「賛成します」
「頑張ってきてください」
神官達が勧めたのならば、誰も反対なんてしない。
そこに、コウヤが戻ってきたのだ。
「失礼します。ただいま戻りました」
「コウヤっ、お帰り」
ジルファスが微笑んで迎える。
「教会に行っていたのかい?」
ジルファスの隣に椅子が用意され、そこに座りながら答えた。
「はい。ルー君から、ゼストパパがすごいの作ってるって聞いて、心配で」
「「「「「すごいの……」」」」」
聞くのが怖いと全員が頬を引き攣らせた。
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