455 / 475
第十三章
590 一体何する気……?
しおりを挟む
ついに神教国を潰すという情報は、すぐに世界中に知れ渡った。それと同時に、かつてコウルリーヤを邪神と思い込ませ、人々を先導した本物の邪神が存在するという情報が広がった。それも、その邪神は、最難関の迷宮のラスボスの様なものだとの情報もあった。
「ルー君? あの情報を流したの、ルー君達だよね?」
ルディエ達の手にかかれば、ある程度の情報操作は、可能だ。広げたい情報を一気に広げることも、各国の暗部にまで手を伸ばしているルディエ達には簡単なことだった。
「うん。すごい反響だよ。一日で冒険者達のキャンプ地が三つできた」
「……え?」
レナルカが今にも飛び出しそうになっていたこともあり、王宮に詰めていたため、コウヤは冒険者達の動きを知らなかった。
そこで続けたのはニールだ。
「白夜部隊からいただいた情報によりますと、この様に配置されております」
ホワイトボードに、神教国周辺の地図が貼られる。その地図の神教国の周りに、囲むように六つの集団が出来ているらしい。六つのメモが貼られていた。そこには、三つが冒険者、その間に三つある塊に、エルフと獣人、ドワーフの混成軍と書かれていた。そして、人数も分かる。
「……この人数……本気? え? やるって決めてまだ二日も経ってないよね?」
「一日でこうなったようです」
「二日で準備するって言ったでしょ」
「……いや、二日で準備だよ? 話し合いをする……必要ない?」
「「ないですね」」
「そっか……」
「フンっ、フンっ、フンっ、やあ! バンっ、バンっ、えい!」
どうやら、充電は終えたらしく、今日はレナルカが朝早くから何やらパンチやキックの練習をしている。飛びながら。顔だけは勇ましいが、可愛いだけだ。
「レナルカ~、疲れちゃうからもうやめようね~」
「ぃやっ! あっ、アルおじちゃんと、くんれんしてくる!」
「えっ」
「いいかんがえ~、いいかんがえ~」
「ちょっ、レナルカ!?」
パタパタと羽ばたいてレナルカは部屋を出て行ってしまった。
《相当やる気 ( ̄∇ ̄) 》
《可愛さ最強~》
《あれは中々、スジが良さそうです》
「大丈夫かな……」
レナルカは城内を自由に動き回る。それを咎める者はいない。寧ろ、騎士達や暗部の者、メイド達なんかは、レナルカが一人で飛んでいるのを見れば、さりげなく付き添って移動するので心配はなかった。街中では絶対に一人で移動しないように言い含めてあり、レナルカがどうしても外を移動したい時は、可愛く護衛役を指名して移動する。賢い子だ。
「レナルカ様は、人の使い方を知っておられますね」
「あの人なら、喜んで訓練に付き合うんじゃない?」
「それは、うん……ありそう」
まあ大丈夫だろうと、コウヤは話を戻す。
「それで? もしかして、この人数でもう明日にでもやる気なの?」
「そうしようと思ったんだけど、リクトルス様達が、待てと」
「え?」
「ゼストラーク様が最終兵器を作っているからと」
「……へ?」
「それに伴って、世界が壊れないようにエリスリリア様が本気で結界を張るからとか」
「一体何する気……?」
そんな話は聞いていないと、コウヤは目を瞬かせる。知らない内に全面戦争が目前まで迫っているようだった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
また一週空きます。
「ルー君? あの情報を流したの、ルー君達だよね?」
ルディエ達の手にかかれば、ある程度の情報操作は、可能だ。広げたい情報を一気に広げることも、各国の暗部にまで手を伸ばしているルディエ達には簡単なことだった。
「うん。すごい反響だよ。一日で冒険者達のキャンプ地が三つできた」
「……え?」
レナルカが今にも飛び出しそうになっていたこともあり、王宮に詰めていたため、コウヤは冒険者達の動きを知らなかった。
そこで続けたのはニールだ。
「白夜部隊からいただいた情報によりますと、この様に配置されております」
ホワイトボードに、神教国周辺の地図が貼られる。その地図の神教国の周りに、囲むように六つの集団が出来ているらしい。六つのメモが貼られていた。そこには、三つが冒険者、その間に三つある塊に、エルフと獣人、ドワーフの混成軍と書かれていた。そして、人数も分かる。
「……この人数……本気? え? やるって決めてまだ二日も経ってないよね?」
「一日でこうなったようです」
「二日で準備するって言ったでしょ」
「……いや、二日で準備だよ? 話し合いをする……必要ない?」
「「ないですね」」
「そっか……」
「フンっ、フンっ、フンっ、やあ! バンっ、バンっ、えい!」
どうやら、充電は終えたらしく、今日はレナルカが朝早くから何やらパンチやキックの練習をしている。飛びながら。顔だけは勇ましいが、可愛いだけだ。
「レナルカ~、疲れちゃうからもうやめようね~」
「ぃやっ! あっ、アルおじちゃんと、くんれんしてくる!」
「えっ」
「いいかんがえ~、いいかんがえ~」
「ちょっ、レナルカ!?」
パタパタと羽ばたいてレナルカは部屋を出て行ってしまった。
《相当やる気 ( ̄∇ ̄) 》
《可愛さ最強~》
《あれは中々、スジが良さそうです》
「大丈夫かな……」
レナルカは城内を自由に動き回る。それを咎める者はいない。寧ろ、騎士達や暗部の者、メイド達なんかは、レナルカが一人で飛んでいるのを見れば、さりげなく付き添って移動するので心配はなかった。街中では絶対に一人で移動しないように言い含めてあり、レナルカがどうしても外を移動したい時は、可愛く護衛役を指名して移動する。賢い子だ。
「レナルカ様は、人の使い方を知っておられますね」
「あの人なら、喜んで訓練に付き合うんじゃない?」
「それは、うん……ありそう」
まあ大丈夫だろうと、コウヤは話を戻す。
「それで? もしかして、この人数でもう明日にでもやる気なの?」
「そうしようと思ったんだけど、リクトルス様達が、待てと」
「え?」
「ゼストラーク様が最終兵器を作っているからと」
「……へ?」
「それに伴って、世界が壊れないようにエリスリリア様が本気で結界を張るからとか」
「一体何する気……?」
そんな話は聞いていないと、コウヤは目を瞬かせる。知らない内に全面戦争が目前まで迫っているようだった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
また一週空きます。
1,588
お気に入りに追加
11,119
あなたにおすすめの小説


【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
連載希望のコメントをいただきましたので、
連載に向け準備中です。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。