元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌

紫南

文字の大きさ
上 下
455 / 476
第十三章

590 一体何する気……?

しおりを挟む
ついに神教国を潰すという情報は、すぐに世界中に知れ渡った。それと同時に、かつてコウルリーヤを邪神と思い込ませ、人々を先導した本物の邪神が存在するという情報が広がった。それも、その邪神は、最難関の迷宮のラスボスの様なものだとの情報もあった。

「ルー君? あの情報を流したの、ルー君達だよね?」

ルディエ達の手にかかれば、ある程度の情報操作は、可能だ。広げたい情報を一気に広げることも、各国の暗部にまで手を伸ばしているルディエ達には簡単なことだった。

「うん。すごい反響だよ。一日で冒険者達のキャンプ地が三つできた」
「……え?」

レナルカが今にも飛び出しそうになっていたこともあり、王宮に詰めていたため、コウヤは冒険者達の動きを知らなかった。

そこで続けたのはニールだ。

「白夜部隊からいただいた情報によりますと、この様に配置されております」

ホワイトボードに、神教国周辺の地図が貼られる。その地図の神教国の周りに、囲むように六つの集団が出来ているらしい。六つのメモが貼られていた。そこには、三つが冒険者、その間に三つある塊に、エルフと獣人、ドワーフの混成軍と書かれていた。そして、人数も分かる。

「……この人数……本気? え? やるって決めてまだ二日も経ってないよね?」
「一日でこうなったようです」
「二日で準備するって言ったでしょ」
「……いや、二日で準備だよ? 話し合いをする……必要ない?」
「「ないですね」」
「そっか……」
「フンっ、フンっ、フンっ、やあ! バンっ、バンっ、えい!」

どうやら、充電は終えたらしく、今日はレナルカが朝早くから何やらパンチやキックの練習をしている。飛びながら。顔だけは勇ましいが、可愛いだけだ。

「レナルカ~、疲れちゃうからもうやめようね~」
「ぃやっ! あっ、アルおじちゃんと、くんれんしてくる!」
「えっ」
「いいかんがえ~、いいかんがえ~」
「ちょっ、レナルカ!?」

パタパタと羽ばたいてレナルカは部屋を出て行ってしまった。

《相当やる気 ( ̄∇ ̄) 》
《可愛さ最強~》
《あれは中々、スジが良さそうです》
「大丈夫かな……」

レナルカは城内を自由に動き回る。それを咎める者はいない。寧ろ、騎士達や暗部の者、メイド達なんかは、レナルカが一人で飛んでいるのを見れば、さりげなく付き添って移動するので心配はなかった。街中では絶対に一人で移動しないように言い含めてあり、レナルカがどうしても外を移動したい時は、可愛く護衛役を指名して移動する。賢い子だ。

「レナルカ様は、人の使い方を知っておられますね」
「あの人なら、喜んで訓練に付き合うんじゃない?」
「それは、うん……ありそう」

まあ大丈夫だろうと、コウヤは話を戻す。

「それで? もしかして、この人数でもう明日にでもやる気なの?」
「そうしようと思ったんだけど、リクトルス様達が、待てと」
「え?」
「ゼストラーク様が最終兵器を作っているからと」
「……へ?」
「それに伴って、世界が壊れないようにエリスリリア様が本気で結界を張るからとか」
「一体何する気……?」

そんな話は聞いていないと、コウヤは目を瞬かせる。知らない内に全面戦争が目前まで迫っているようだった。








**********
読んでくださりありがとうございます◎
また一週空きます。
しおりを挟む
感想 2,781

あなたにおすすめの小説

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった

今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。 しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。 それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。 一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。 しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。 加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。 レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

てめぇの所為だよ

章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。 『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。