元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌

紫南

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第十三章

590 一体何する気……?

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ついに神教国を潰すという情報は、すぐに世界中に知れ渡った。それと同時に、かつてコウルリーヤを邪神と思い込ませ、人々を先導した本物の邪神が存在するという情報が広がった。それも、その邪神は、最難関の迷宮のラスボスの様なものだとの情報もあった。

「ルー君? あの情報を流したの、ルー君達だよね?」

ルディエ達の手にかかれば、ある程度の情報操作は、可能だ。広げたい情報を一気に広げることも、各国の暗部にまで手を伸ばしているルディエ達には簡単なことだった。

「うん。すごい反響だよ。一日で冒険者達のキャンプ地が三つできた」
「……え?」

レナルカが今にも飛び出しそうになっていたこともあり、王宮に詰めていたため、コウヤは冒険者達の動きを知らなかった。

そこで続けたのはニールだ。

「白夜部隊からいただいた情報によりますと、この様に配置されております」

ホワイトボードに、神教国周辺の地図が貼られる。その地図の神教国の周りに、囲むように六つの集団が出来ているらしい。六つのメモが貼られていた。そこには、三つが冒険者、その間に三つある塊に、エルフと獣人、ドワーフの混成軍と書かれていた。そして、人数も分かる。

「……この人数……本気? え? やるって決めてまだ二日も経ってないよね?」
「一日でこうなったようです」
「二日で準備するって言ったでしょ」
「……いや、二日で準備だよ? 話し合いをする……必要ない?」
「「ないですね」」
「そっか……」
「フンっ、フンっ、フンっ、やあ! バンっ、バンっ、えい!」

どうやら、充電は終えたらしく、今日はレナルカが朝早くから何やらパンチやキックの練習をしている。飛びながら。顔だけは勇ましいが、可愛いだけだ。

「レナルカ~、疲れちゃうからもうやめようね~」
「ぃやっ! あっ、アルおじちゃんと、くんれんしてくる!」
「えっ」
「いいかんがえ~、いいかんがえ~」
「ちょっ、レナルカ!?」

パタパタと羽ばたいてレナルカは部屋を出て行ってしまった。

《相当やる気 ( ̄∇ ̄) 》
《可愛さ最強~》
《あれは中々、スジが良さそうです》
「大丈夫かな……」

レナルカは城内を自由に動き回る。それを咎める者はいない。寧ろ、騎士達や暗部の者、メイド達なんかは、レナルカが一人で飛んでいるのを見れば、さりげなく付き添って移動するので心配はなかった。街中では絶対に一人で移動しないように言い含めてあり、レナルカがどうしても外を移動したい時は、可愛く護衛役を指名して移動する。賢い子だ。

「レナルカ様は、人の使い方を知っておられますね」
「あの人なら、喜んで訓練に付き合うんじゃない?」
「それは、うん……ありそう」

まあ大丈夫だろうと、コウヤは話を戻す。

「それで? もしかして、この人数でもう明日にでもやる気なの?」
「そうしようと思ったんだけど、リクトルス様達が、待てと」
「え?」
「ゼストラーク様が最終兵器を作っているからと」
「……へ?」
「それに伴って、世界が壊れないようにエリスリリア様が本気で結界を張るからとか」
「一体何する気……?」

そんな話は聞いていないと、コウヤは目を瞬かせる。知らない内に全面戦争が目前まで迫っているようだった。








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読んでくださりありがとうございます◎
また一週空きます。
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