元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌

紫南

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第十三章

557 パンはパン

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学園のことも、なんとか軌道に乗ったと判断したのは、学園が始まって三ヶ月経った頃だ。

「これで、国内の事は少し落ち着けるかな」

王城の自室で、学園の報告書を読んでそう感想を呟く。だが、ここでほっとしてはいられない。

《なら次は、いよいよ? (*⁰▿⁰*)  》

机の端に居たパックンがパクパクと蓋を動かして主張した。

「そうだね。ジンクおじさん達も、そろそろ決着をつけたいって言ってるみたいだし」

ジンク達、かつての神子達は、白夜部隊の神官達とは別に交代で神教国を見張っていた。

「もうそろそろ、中にある食べられるものが尽きる頃かもって聞いてるしね」
《中に残っているのは、十人も居ないようですが?》
《備蓄、少ないんでしゅねえ》

今日はテンキとダンゴも人化せずリラックスしている。それぞれ好きな場所で寝転がっていたが、顔を上げてため息混じりに会話に交ざる。

「ん? ああ。違うよ。備蓄はそれなりにあるんだよ。けど、多いのは保存の利く小麦とか、芋とかみたいだから」

結界で閉じ込めた場所には、備蓄庫がある。だから、閉じ込めた所で、そうそう飢え死にすることはない。しかし、問題はそれを活用できるかどうかだ。

「ただ、大司教とか、中に残ってる人達は、上の方の立場に居た人たちだから、料理できないみたい」
《……あー……》
《……野菜の種の取り方も知らない愚かな女達と同じですね……》
《え? Σ('◉⌓◉’)    パンはパンと思ってるとか……?》

聖女達の料理を思い出し、それぞれが納得する。

「流石に、木に成っているとは思っていないだろうけど、焼き上がって籠で出てくるものだと思っているかも」
《……》
《……》
《 ( ゚д゚)  》

パックン達さえも絶句していた。書類を束ねていたニールが笑う。

「ふふふっ。あの聖女と名乗っていた者達を聖女としていた人たちですからね。芋など、食べ物だと認識すらしていないのではありませんか?」
「ありそう……逆に食べていたら……調理が不十分で、食あたりを起こしていたりして?」
「それはまた、ありそうです」

ジャガイモのような芋はある。芽の所に毒があることも知らない可能性は高い。そして、土が付いていたりすれば、食べ物だとさえ認識しないかもしれない。

「貴族より、そういう知識を知らなさそうだよね」
「ですから、あそこに残っておられるのでは? 外に出るという選択が出来なかった者しか残っていないのではないかと」
「それもそうだね……」
《残念! ( ̄ー ̄)  》
《おバカさん達でしゅ……》
《籠城戦すらできないとは……》

テンキ達としては、既に敵とするのも阿呆らしいと思っていそうだ。

「あそこの大司教達は、このまま自滅するのを待ってもいいんだけど、中のがどうなっているのか、神界からも見えないらしいんだよ。それが不気味でね……」
「ゼストラーク様方でも覗けないと?」
「うん。だから、慎重にジンクおじさん達が調べたり、聖女にじんっ……話を聞いたりしたらしいんだけど」
「ベニ様方が尋問に加わっていて出て来ないのなら、どうにもなりませんね」
「……」

わざわざ言わなかった言葉をあっさりニールが口にしたが、その通りなので頷くだけに留める。あのベニやジンクが尋問して口にしないのならば、本当に知らないのだろう。

「どう対処されるかは決まったのですか?」
「それが、困ってるんだよね……そのまま突っ込むのはやっぱり危険かな……」
「人選はすべきかと思います」
「……だよね……」

コウヤはこうして、次の問題に取り掛かることになった。






**********
読んでくださりありがとうございます◎
少々体調を崩しておりまして
来週一度お休みさせていただきます。
よろしくお願いします!




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