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第十三章
540 投票を始めます
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ニールが説明を続ける。
『こちらは、可視化された魔力になります。手に取ることで、それぞれの魔力で固定化され、実体化します』
住民達にも、王宮の者達にも、ほぼその原理など分からないが、コウヤ側が用意したものなので、そういうものと思って終わる。
ニールは冷ややかな目を聖女達に向けてから再び口を開く。
『現在、こちらの様子は、この王都中の者が知る事となっております。よって、王都に居る方々全てに投票権が与えられます』
「「「「「おおっ!!」」」」」
「「「え?」」」
聖女達はどういう意味かわからず声を上げる。そこで、壁にある画面に空から見た王都の様子が映し出された。
そこでは、冒険者ギルドや教会、広場などでここと同じ映像が映し出されているのが確認できた。
聖女達はそれを口をポカンと開けて知る。
「……うそ……」
「この町の全員が?」
「……これ、もしかして……っ」
痛い目に合った年若い聖女だけは、いち早く理解した。自分たちは完全に見せ物で、好感度は底辺に落ちているのだと。
青い顔になるが、それを口にして他の二人に教えることはしない。自分だけでも、目立たずに息を殺すしかない。
そうした判断は、彼女がまだ若く、他の聖女達よりも下に見られることがあったために早かったようだ。
『では、投票の仕方についてご説明いたします』
色の付いた二メートル程の高さの板が等間隔に置かれていた。
『赤をベニ大司教様方、お三人に』
「ふむ。仕方ないねえ。私らの見分けは難しかろう」
「代わりに角度をつけるかい」
「いいねえ。私は左斜めに自信がある」
「では、私は右斜めだ」
ベニを中央、正面にし、キイとセイは左右に分かれて斜めに構える。ポージングも完璧だ。
『王妃ミラルファ様は黄色に』
「ふふっ。冒険者仕様の服にすればよかったかしら?」
ミラルファは王妃らしい威厳を持った立ち姿で黄色の板の前に立つ。
『青に王太子妃イスリナ様』
「お義母様達のように強さは見せられませんが、堂々としていることにしますわ」
強め女子なベニ達やミラルファのお陰で、イスリナの穏やかで優しげな印象が引き立っていた。
『残りの緑、黒、白についてはそちらですぐにお選びください』
「「「……はい……」」」
ニールは聖女達には決めろと言う。既に好感度はマイナスに入ろうとしている彼女達。それに気付いているのは最年少の聖女だけだが、上の二人もベニ達の姿を見てかなり怖気付いていた。
それぞれ、相談することなく一番近い板の前に立った。
意外にもすんなり決まったなとニールは内心感心しながら説明を再開する。
『それでは、投票する皆さんの方の準備に入ります。手にあります花を少し手で包むようにして、その色にしたいと念じることで花の色が変わります。何度でも変えられますのでお試しください』
「「「「「……わあっ」」」」」
色変えるをして楽しそうにするのが分かる。
そうして遊んでいる間に、ベニ達の立つ板の後ろから、それぞれ大きな籠とパネルが迫り上がってくる。
パネルには数字の『0』が向かって右端にあった。
『準備できましたでしょうか。それでは、投票を始めます!』
「「「「「おおっ!!」」」」」
王都中から歓声が上がっていた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
『こちらは、可視化された魔力になります。手に取ることで、それぞれの魔力で固定化され、実体化します』
住民達にも、王宮の者達にも、ほぼその原理など分からないが、コウヤ側が用意したものなので、そういうものと思って終わる。
ニールは冷ややかな目を聖女達に向けてから再び口を開く。
『現在、こちらの様子は、この王都中の者が知る事となっております。よって、王都に居る方々全てに投票権が与えられます』
「「「「「おおっ!!」」」」」
「「「え?」」」
聖女達はどういう意味かわからず声を上げる。そこで、壁にある画面に空から見た王都の様子が映し出された。
そこでは、冒険者ギルドや教会、広場などでここと同じ映像が映し出されているのが確認できた。
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「……うそ……」
「この町の全員が?」
「……これ、もしかして……っ」
痛い目に合った年若い聖女だけは、いち早く理解した。自分たちは完全に見せ物で、好感度は底辺に落ちているのだと。
青い顔になるが、それを口にして他の二人に教えることはしない。自分だけでも、目立たずに息を殺すしかない。
そうした判断は、彼女がまだ若く、他の聖女達よりも下に見られることがあったために早かったようだ。
『では、投票の仕方についてご説明いたします』
色の付いた二メートル程の高さの板が等間隔に置かれていた。
『赤をベニ大司教様方、お三人に』
「ふむ。仕方ないねえ。私らの見分けは難しかろう」
「代わりに角度をつけるかい」
「いいねえ。私は左斜めに自信がある」
「では、私は右斜めだ」
ベニを中央、正面にし、キイとセイは左右に分かれて斜めに構える。ポージングも完璧だ。
『王妃ミラルファ様は黄色に』
「ふふっ。冒険者仕様の服にすればよかったかしら?」
ミラルファは王妃らしい威厳を持った立ち姿で黄色の板の前に立つ。
『青に王太子妃イスリナ様』
「お義母様達のように強さは見せられませんが、堂々としていることにしますわ」
強め女子なベニ達やミラルファのお陰で、イスリナの穏やかで優しげな印象が引き立っていた。
『残りの緑、黒、白についてはそちらですぐにお選びください』
「「「……はい……」」」
ニールは聖女達には決めろと言う。既に好感度はマイナスに入ろうとしている彼女達。それに気付いているのは最年少の聖女だけだが、上の二人もベニ達の姿を見てかなり怖気付いていた。
それぞれ、相談することなく一番近い板の前に立った。
意外にもすんなり決まったなとニールは内心感心しながら説明を再開する。
『それでは、投票する皆さんの方の準備に入ります。手にあります花を少し手で包むようにして、その色にしたいと念じることで花の色が変わります。何度でも変えられますのでお試しください』
「「「「「……わあっ」」」」」
色変えるをして楽しそうにするのが分かる。
そうして遊んでいる間に、ベニ達の立つ板の後ろから、それぞれ大きな籠とパネルが迫り上がってくる。
パネルには数字の『0』が向かって右端にあった。
『準備できましたでしょうか。それでは、投票を始めます!』
「「「「「おおっ!!」」」」」
王都中から歓声が上がっていた。
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