元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌

紫南

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第十三章

538 城でも用意しよう

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パックン、ダンゴ、テンキが最初に説明しながらやり方を見せる。

そして、選ばれた挑戦者達がゲームをやっていく。映像の画面は五つになり、好きなものを観戦していた。

「そこだ! 遅いって!」
「頑張って!! もう少し!」
「ああっ! もうちょい上! 惜しい! 力弱いっ」

クリアできなくても、最後に点数によって上位の者からも食べられる人が選ばれるとあって、諦めることなく挑戦していく。

そして、誰もがゲームを終えると少しだけレベルが上がり、投擲スキルや気配察知スキル、空間把握スキルなどが取れていた。

それを密かに確認して、コウヤは満足げに頷く。

「やっぱり、これは訓練に使えますね」
「中々楽しそうだぞ? これで熟練度やレベルが上がるとなれば、嫌がらずにやるだろう」
「ですね。訓練場を一つ潰してでも、冒険者ギルドに入れるよう提案してみます」

コウヤは提案書を早速書き始めていた。これを覗き込みながら、アビリス王からも頼む。

「それと同じで良いから、軍部に上げておいてくれ。城でも用意しよう」
「分かりました。学園にも遊び場を作っても良いかもしれませんね。運動不足の解消にもなりそうです」
「ああ。あれならば、運動が苦手な者もやり易かろう」

そんな考察をしていれば、宮廷料理人達の作ったサンドとスープがコウヤとアビリス王の下に届かられた。持って来たのは料理長だ。

「コウヤ様! どうぞご正味ください! 陛下も!」

王がついでっぽいが、そこはもうアビリス王も気にしてはいない。コウヤと出会う前までよりも、遥かに料理も美味しくなったため、アビリス王に文句はなかった。

「ありがとうございますっ。とっても綺麗な配色ですねっ」
「はっ! 見た目の華やかさも計算いたしました!」
「ほお……っ、んっ、美味いっ。歯応えも面白いなっ」
「野菜の切り方にも変化を付けたんですね。さすがです」
「ありがとうございます!!」

これは、手軽さも良い。

「どうしましょうね? これ、商品化して欲しいって言ってましたよね」
「そうだな。民達がそう話していたのは聞こえたぞ」
「はい。その要望、聞こえておりました」

きちんと、民達の声も聞いていたのだ。

「教会の食堂でも良いですが……サンドは、お弁当として持っていけるのが利点だと思うんですよね……なので……教会の方でお弁当部門を作って、ギルドなど、各所に配達、そこで売るのが良いかもしれません」
「あそこの厨房は広いですしね……」

料理長が少し羨ましげな声音でそう呟く。教会の食堂の厨房は、そこで働く人を募れるようにと計算してかなり大きめに作ってあった。

空間拡張も施されているため、この王宮の厨房の二倍近い大きさだ。

「雇用も見込んでのものですからね。お弁当部門を作れば、主婦の方々の雇用も本格化できそうです。お子さんが居ても、孤児院に預けてもらえますし」
「おおっ、それは良い」
「そこで少し鍛えたら、学園の方にも来てもらえばいいかなとか考えてます」
「ははっ。相変わらずコウヤは抜かりない」
「さすがです、コウヤ様! あ、休みの日に料理人達がお邪魔しても良いでしょうか!?」
「ん? 構いませんよ? 騎士や兵の方が休日は冒険者になるのと変わりませんもんね」
「はい!!」

その休日の過ごし方は楽しそうと、料理人達は少し騎士達が羨ましく思っていたようなのだ。

「ふふっ。さて……自称聖女さん達はどうなりましたか……」

この盛り上がりに唖然としている聖女達二人。いつの間にか戻ってきた聖女も座り込んで呆然としていた。

彼女達には、国民と一緒に楽しむという催し物など、考えたこともなかったのだろう。







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