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第十三章
529 レアドロップ品よりレア
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コウヤはこの日、休日となっていたが、清々しい朝を迎えていた。
昨日は、考え溜めていた事が全て吐き出せたのだ。これでリセットされて、新たなことに目を向けられるというもの。
それを受け止める側の人々は息切れを起こしていたが気にしない。
「は~、商業ギルドの総括さんまで出て来てくれるなんて、運が良かったな~」
《全部持ってかれちゃったけど( ̄^ ̄)》
パックンはちょっとご機嫌斜めだ。一時保管だとは言っていたが、満足出来るくらいの量があったビルワとプーラが無くなったのが寂しいらしい。
コウヤの、コウルリーヤの好物だったから余計に、欲しいと言われた時に出せるようにしたい物だったのだ。
「ごめんね? あっ、ビルワとプーラは今日、昼から採りに行こうか。リルにも食べさせてあげたいし」
結局、商業ギルドの総括のウィルズが各千個ほどあったビルワとプーラを全て買い取って行ったのだ。『あるだけ全部!』と覚悟を決めて叫んでいたため、手元に残すのが悪い気がして、本当に全て出し切ったというわけだった。
《あの箱も良かったのに(>_<)》
持って行かれたのは、中に入れた採取物の時間を止めるコウヤの作り出した入れ物ごと。さすがにこれは一般的な魔導具師には作れない代物だと言ったら、商業ギルドの者達はとても残念がっていた。
今の所、コウヤにしか作れない。しかし、まったく不可能ではなかった。
次のコウヤの課題はこれだろう。
「また作るよ。採取に行く前に用意しないとね。明日は、棟梁と神官さん達とその保存ボックスの作り方を教えに行くから、採ったら城に行こうかな」
棟梁達、ドラム組の持つゼストラークの加護も含めた空間把握の能力と、神官達の持つエリスリリアの治癒の能力を掛け合わせることによって、これが可能というのが分かっている。
そのため、ドラム組と神官達の合作となりそうなのだ。
《棟梁さん達は、学園の工事も終わって、暇してるでしゅから、ちょうど良かったでしゅね》
学園も完成し、今は中の細々とした物を搬入したりしている。王都の拡張工事もひと段落ついており、王都の大工達がドラム組と仕事をしたことで腕も上がり、後は彼らだけでとなったのだ。
今現在は、宿屋などの増設を大工達が頑張っている。ドラム組はユースールに帰って来ていた。今彼らは家具作りなどをしながらのんびりしているところだ。
「うん。けど、値段交渉が大変そう……ついでに総括さんに伝えておかないとかな。まだ王都に居るって言ってたし……」
これに、隣を歩くテンキが頷きながらも心配そうに告げた。
《そうですね。ドラム組の家具は、どれも高値で取引されていますから……そこに神官との合作の魔導具ともなれば……》
「ある程度、数を出すってことにしないと、農家さんとかが手が出ないから、意味が無くなっちゃうよね」
行き先としてはそこなのだ。過剰に採れてしまった作物を保存する。それを見込んで作ったもの。必要となるのは、農家と冒険者ギルドだろう。
そのために、採取物と限定した使用方法のみの設計になっている。
あまり高価にし過ぎるのは困るのだ。
《欲しい人いっぱいいそう(๑>◡<๑)》
「保存効くのはいいよね~」
《じゃなくて( ̄^ ̄)》
「ん?」
コウヤだけが気付いていない。テンキとダンゴが説明する。
《神官達は人気があります。その神官達が作ったものというのは、レアドロップ品よりもレアかと》
《手元に残るような物を作らないでしゅしね》
「ああ……なるほど」
聖魔教の神官達は、今までの『神官』というイメージを完全に塗り替えていた。
雰囲気も強さも段違い。最近では『困ったことがあれば神官様!』というのが常識らしい。
冒険者よりも強く、騎士より頼りになり、王侯貴族にも屈しない『神官様』は自分たちの味方なのだと一般市民達だけでなく冒険者や騎士達も認める所だという。
「そうなると……業務用と家庭用と分けるとか……?」
《それだ∑(゚Д゚)》
《それでしゅね》
《それが良いかと》
「ふふっ。小さいのも棟梁達なら作るの好きだし、丁度いいかも」
大玉のメロンが二つ入るくらいの大きさやその半分のものなら、数も作りやすそうだと、新たに方針を決めていく。
そんな事を考えながら、果実の迷宮に行き、目当ての物以外も採取すると、午後から王城へ向かった。
そこで、アビリス王から聖女達について告げられたのだ。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
次回20日です!
昨日は、考え溜めていた事が全て吐き出せたのだ。これでリセットされて、新たなことに目を向けられるというもの。
それを受け止める側の人々は息切れを起こしていたが気にしない。
「は~、商業ギルドの総括さんまで出て来てくれるなんて、運が良かったな~」
《全部持ってかれちゃったけど( ̄^ ̄)》
パックンはちょっとご機嫌斜めだ。一時保管だとは言っていたが、満足出来るくらいの量があったビルワとプーラが無くなったのが寂しいらしい。
コウヤの、コウルリーヤの好物だったから余計に、欲しいと言われた時に出せるようにしたい物だったのだ。
「ごめんね? あっ、ビルワとプーラは今日、昼から採りに行こうか。リルにも食べさせてあげたいし」
結局、商業ギルドの総括のウィルズが各千個ほどあったビルワとプーラを全て買い取って行ったのだ。『あるだけ全部!』と覚悟を決めて叫んでいたため、手元に残すのが悪い気がして、本当に全て出し切ったというわけだった。
《あの箱も良かったのに(>_<)》
持って行かれたのは、中に入れた採取物の時間を止めるコウヤの作り出した入れ物ごと。さすがにこれは一般的な魔導具師には作れない代物だと言ったら、商業ギルドの者達はとても残念がっていた。
今の所、コウヤにしか作れない。しかし、まったく不可能ではなかった。
次のコウヤの課題はこれだろう。
「また作るよ。採取に行く前に用意しないとね。明日は、棟梁と神官さん達とその保存ボックスの作り方を教えに行くから、採ったら城に行こうかな」
棟梁達、ドラム組の持つゼストラークの加護も含めた空間把握の能力と、神官達の持つエリスリリアの治癒の能力を掛け合わせることによって、これが可能というのが分かっている。
そのため、ドラム組と神官達の合作となりそうなのだ。
《棟梁さん達は、学園の工事も終わって、暇してるでしゅから、ちょうど良かったでしゅね》
学園も完成し、今は中の細々とした物を搬入したりしている。王都の拡張工事もひと段落ついており、王都の大工達がドラム組と仕事をしたことで腕も上がり、後は彼らだけでとなったのだ。
今現在は、宿屋などの増設を大工達が頑張っている。ドラム組はユースールに帰って来ていた。今彼らは家具作りなどをしながらのんびりしているところだ。
「うん。けど、値段交渉が大変そう……ついでに総括さんに伝えておかないとかな。まだ王都に居るって言ってたし……」
これに、隣を歩くテンキが頷きながらも心配そうに告げた。
《そうですね。ドラム組の家具は、どれも高値で取引されていますから……そこに神官との合作の魔導具ともなれば……》
「ある程度、数を出すってことにしないと、農家さんとかが手が出ないから、意味が無くなっちゃうよね」
行き先としてはそこなのだ。過剰に採れてしまった作物を保存する。それを見込んで作ったもの。必要となるのは、農家と冒険者ギルドだろう。
そのために、採取物と限定した使用方法のみの設計になっている。
あまり高価にし過ぎるのは困るのだ。
《欲しい人いっぱいいそう(๑>◡<๑)》
「保存効くのはいいよね~」
《じゃなくて( ̄^ ̄)》
「ん?」
コウヤだけが気付いていない。テンキとダンゴが説明する。
《神官達は人気があります。その神官達が作ったものというのは、レアドロップ品よりもレアかと》
《手元に残るような物を作らないでしゅしね》
「ああ……なるほど」
聖魔教の神官達は、今までの『神官』というイメージを完全に塗り替えていた。
雰囲気も強さも段違い。最近では『困ったことがあれば神官様!』というのが常識らしい。
冒険者よりも強く、騎士より頼りになり、王侯貴族にも屈しない『神官様』は自分たちの味方なのだと一般市民達だけでなく冒険者や騎士達も認める所だという。
「そうなると……業務用と家庭用と分けるとか……?」
《それだ∑(゚Д゚)》
《それでしゅね》
《それが良いかと》
「ふふっ。小さいのも棟梁達なら作るの好きだし、丁度いいかも」
大玉のメロンが二つ入るくらいの大きさやその半分のものなら、数も作りやすそうだと、新たに方針を決めていく。
そんな事を考えながら、果実の迷宮に行き、目当ての物以外も採取すると、午後から王城へ向かった。
そこで、アビリス王から聖女達について告げられたのだ。
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