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第十二章
502 責任重大?
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民達へのお披露目に使われるのは、城の外壁にある物見台だ。もちろん、特別に広く作られており、新王のお披露目なども全てここで行われる。
四階建てくらいの高さで、三階辺りの所が張り出してバルコニーのようになっている。そこで他国の王族の代表も集まる。
その下に広がるのは、中央広場だ。そこに、民達が朝早くから集まり始めていた。
「今回は、教会と冒険者ギルド、商業ギルドでも映像を流すと告知しておりますが、かなりの人が集まっているようです」
そう報告してくれるのは、向かいに座るニールだ。城からは馬車で移動しなくてはならない。それも、何台も連なっての移動となっていた。
この馬車に乗っているのは、ニールの他にはフレスタとディスタだ。二人は元王子だが、自国では待遇が良くなく、お披露目も出来ていなかった。けれど、卑屈になることなく、今回のコウヤのお披露目を喜んでいた。寧ろ、とても誇らしげだ。
「これほど盛大なお披露目は見たことがありませんっ」
「全国民が注目しているなんて……国王の即位式の時でも中々ないですよっ」
各領地でも、今日は領主邸や各ギルドと教会にてリアルタイムで映像が見られる。
今までは、映像でなどなかったので、この場に来た者しかこの雰囲気を味わえなかった。だから、王都から遠い土地に住む者達には、ほぼ関係ない話だし、民達にとっては、一日、一日を暮らしていくのに王族など意識しない。
そんな事があったんだねと軽く流してしまえるくらい話だ。
よって、ここまで注目されている王族などこれまで居なかった。
「映像でという話も、民の方からの訴えで決まりましたからね」
ニールの言葉に、コウヤは初耳だと目を丸くする。
「そうだったの? ジル父さんから頼まれて映像の魔導具を作ったんだけど」
ジルファスをはじめとした王族が、コウヤの姿を民達にもしっかり見てもらいたいということで、これを作ることになったというのが最初だ。
本来ならば、このお披露目でその映像の魔導具も初お披露目となるはずだったのだが、その前に迷宮化の討伐の折に、試験的に採用したのだ。
結果は大好評。良い宣伝にもなり、今回のお披露目についても、いつも王都に行けない各領地の民達が、見られるならば人生に一度は見てみたいという要望によって領主邸前に用意するはずだったものを、教会やギルドにも用意させたのだ。
なるべく多くの者が見えるようにという配慮だ。
「最初の予定数よりも多くなりましたでしょう」
「あ、うん。三倍くらいにはなったね。どうせ他の国の王家にも回すことになりそうだからって、かなり多めに作ってたのがギリギリになったから」
途中で追加発注がかかったのだ。別にコウヤとしては一度作り上げた物の量産は手間ではない。よって、特に苦になるでもなく数を用意できた。
「人生で初めて王族のお披露目を観るという者も多いでしょうから、かなり注目されています」
「そっか……今までは、この場に……王都に来ないと見られないものだもんね……」
「はい。それも、この場所に来られたとしても、顔など見えませんから。後で姿絵などで確認するものです」
すぐ下から見たとしても、顔までしっかり見えるのは、目の良い冒険者くらいだろう。手を振ってるし、中心に居るし、この人がそうかなというくらいの認識になる。
だが、今回はきちんとしたカメラワークでの撮影。張り出した場所のすぐにカメラを設置しているので、しっかりはっきりとアップが映るはずだ。
この広場でも、映像が壁に映し出されることになっていた。
バルコニーの上と下にそれぞれ、大きく映像が映される予定だ。
「……結構、責任重大?」
「お気になさらず。確実に史実として残る一日になるというだけです」
「大事だよね?」
「ご心配なく。コウヤ様の足跡は、ほとんど記録されることになっておりますから」
「……そうなんだ……」
そんなこと初めて聞いたなとコウヤは苦笑するしかない。ニールが言うならば、決定なのだろう。
そして、ようやく城壁に着いた。
************
読んでくださりありがとうございます◎
次回16日です!
文庫版第1巻好評発売中です!
四階建てくらいの高さで、三階辺りの所が張り出してバルコニーのようになっている。そこで他国の王族の代表も集まる。
その下に広がるのは、中央広場だ。そこに、民達が朝早くから集まり始めていた。
「今回は、教会と冒険者ギルド、商業ギルドでも映像を流すと告知しておりますが、かなりの人が集まっているようです」
そう報告してくれるのは、向かいに座るニールだ。城からは馬車で移動しなくてはならない。それも、何台も連なっての移動となっていた。
この馬車に乗っているのは、ニールの他にはフレスタとディスタだ。二人は元王子だが、自国では待遇が良くなく、お披露目も出来ていなかった。けれど、卑屈になることなく、今回のコウヤのお披露目を喜んでいた。寧ろ、とても誇らしげだ。
「これほど盛大なお披露目は見たことがありませんっ」
「全国民が注目しているなんて……国王の即位式の時でも中々ないですよっ」
各領地でも、今日は領主邸や各ギルドと教会にてリアルタイムで映像が見られる。
今までは、映像でなどなかったので、この場に来た者しかこの雰囲気を味わえなかった。だから、王都から遠い土地に住む者達には、ほぼ関係ない話だし、民達にとっては、一日、一日を暮らしていくのに王族など意識しない。
そんな事があったんだねと軽く流してしまえるくらい話だ。
よって、ここまで注目されている王族などこれまで居なかった。
「映像でという話も、民の方からの訴えで決まりましたからね」
ニールの言葉に、コウヤは初耳だと目を丸くする。
「そうだったの? ジル父さんから頼まれて映像の魔導具を作ったんだけど」
ジルファスをはじめとした王族が、コウヤの姿を民達にもしっかり見てもらいたいということで、これを作ることになったというのが最初だ。
本来ならば、このお披露目でその映像の魔導具も初お披露目となるはずだったのだが、その前に迷宮化の討伐の折に、試験的に採用したのだ。
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すぐ下から見たとしても、顔までしっかり見えるのは、目の良い冒険者くらいだろう。手を振ってるし、中心に居るし、この人がそうかなというくらいの認識になる。
だが、今回はきちんとしたカメラワークでの撮影。張り出した場所のすぐにカメラを設置しているので、しっかりはっきりとアップが映るはずだ。
この広場でも、映像が壁に映し出されることになっていた。
バルコニーの上と下にそれぞれ、大きく映像が映される予定だ。
「……結構、責任重大?」
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