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第十一章
469 最後のシメだよ!
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いよいよ、最後のフィールドの討伐の日がやって来た。
合流した獣人の里の方の対応をしていた冒険者達も、ずっと偵察や支援に回っていた神官達までやる気満々だ。更には、ドラム組とドワーフ達も向かうと言う。
そして、野営地としている里のエルフ達も、せめて最後だけはと、ここ数日密かに訓練していたらしく、今日は参戦するとのことだ。
「最後ではありますし、総力戦になるのは悪くないんですが……楽しみにし過ぎじゃありません?」
「え? そう?」
タリスはキョトンとしているが、コウヤが不安に思っているのは、あまりにも全員が興奮状態なことだ。誰も彼もが鼻息が荒い。
「大丈夫だよ、兄さん。現場で調整するから」
ルディエがそう言って不敵に笑った。
「ん~、ルー君が言うなら……けど、魔法師の人たちが、昨日の影響で加減がわからなくなってるかもしれないから、そっちも気を付けてね」
「……それがあった……うん。でも、何とかするよ。リクト様も出るし」
「そうだね……じゃあ、頼むね」
「っ、うん」
よろしくとルディエの頭を撫でると、嬉しそうに頬を染めて頷いた。
タリス自身も興奮気味なので、いざと言う時に頼りにならなさそうなのだ。ルディエを信じることにする。ルディエさえ冷静なら、神官達が上手くフォローしてくれるはずだ。
準備も整ったと、タリスが声を張り上げる。
「それじゃあ、最後のシメだよ! 目一杯楽しもう! 行くよー!!」
「「「「「おおっ!!」」」」」
駆け足で里を出ていく面々。
残ったのは、後方支援の職員や冒険者達と、戦力外のエルフ達だ。
全員が手を振って見送ったが、唖然としていた。
「……なんだろ……ノリが飲み会に行くみたいな……」
そんなコウヤの感想に、全員が静かに頷いていた。
「じゃあ、宴会の準備をしましょうか」
「「「「「はい!」」」」」
本来なら、怪我人が運ばれ来るかもしれないからと、治療をする道具などの用意をして待つべきなのだが、神官が現場に居るため、そんな必要もない。
全員無事で帰ってくると確信できてしまう。
よって、必要なのは、打ち上げの用意だ。
「最後の打ち上げは、中央野営地にて、あちらに残っている冒険者達と合流して行います。そちらでは、既に屋台部隊が仕込みを始めている頃です。これより、テーブルなどを持って移動します」
「「「「「はい!」」」」」
テーブルや椅子はドラム組とドワーフの方達が作ってくれていた。
これらは、全てが終わった後、冒険者ギルドの各支部で保管することが決まっている。町や村のお祭りの時などに使えるだろう。
「まずは、移動をお願いします。こちらに運んでもらいましたら、小型の輸送庫で母艦に運びます」
マンタが上空でスタンバイ中。小型の輸送庫とは、空飛ぶ馬車のコンテナバージョン。小型トラックの荷台くらいあるので、大きめな机も問題なく載せられる。
これによって、上空に待機中のマンタへと運ぶ。ただし、コンテナの数は十もないので、中へ持ち込んだら下ろす必要がある。それが少々手間かもしれない。
一時間ほどで、積み込みが終わり、最初の野営地へと移動した。
そこでは、残っていた職員や後方支援の冒険者達が、コウヤ達を待っていた。
ここに残った冒険者達は、今日も周辺の安全確認に向かっていて留守なのだ。
「準備を始めます。ここには、獣人族の里の方を担当していた冒険者の方々も入りますので、予定より範囲を広げます。後ほど、代表の方は確認をお願いします」
「「「はい!」」」
「その範囲の外側に、今回の討伐に協力してくれた魔獣達へのお礼も用意することになります。そちらの準備も並行して行いますので、手が空いた方は、手伝いをお願いします」
「「「「「はい!」」」」」
商業ギルドから、宴会用の物資は大量に届いており、不足はないはずだが、各種、もしも足りない物があれば、パックンに頼むことになっている。あの中にはたいていの物は入っているという認識だ。
既に、冒険者ギルドの職員達も、後方支援の冒険者達も、そうした認識になったらしく、困ったらパックンを探すという具合だ。
ダンゴやテンキは、魔獣達の食事を用意する係を手伝ってくれている。人より魔獣の嗜好を知っているので、彼らに任せれば問題ないだろう。
コウヤは、他の野営地にも飛んで、準備の様子を確認したりと、夕方ギリギリまで飛び回った。
もちろん、この間、戦闘の様子は宙に映し出されており、確認している。
そして、日が赤く染まりだす頃。各所で歓声が上がった。
「ふう……終わったみたいだね」
最後のボスは、ヒュドラの亜種だったようだ。そして、フィールドの闇が晴れ、オレンジに染まる空に向けて、やったぞと手を上げ、雄叫びを上げる冒険者達が映っていた。
誰もがやり切った顔をして、仲間たちの肩を叩き、喜びの声を上げている。
「迎えに行かないとね」
こうして、長い、長い迷宮化討伐が終了したのだ。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします◎
合流した獣人の里の方の対応をしていた冒険者達も、ずっと偵察や支援に回っていた神官達までやる気満々だ。更には、ドラム組とドワーフ達も向かうと言う。
そして、野営地としている里のエルフ達も、せめて最後だけはと、ここ数日密かに訓練していたらしく、今日は参戦するとのことだ。
「最後ではありますし、総力戦になるのは悪くないんですが……楽しみにし過ぎじゃありません?」
「え? そう?」
タリスはキョトンとしているが、コウヤが不安に思っているのは、あまりにも全員が興奮状態なことだ。誰も彼もが鼻息が荒い。
「大丈夫だよ、兄さん。現場で調整するから」
ルディエがそう言って不敵に笑った。
「ん~、ルー君が言うなら……けど、魔法師の人たちが、昨日の影響で加減がわからなくなってるかもしれないから、そっちも気を付けてね」
「……それがあった……うん。でも、何とかするよ。リクト様も出るし」
「そうだね……じゃあ、頼むね」
「っ、うん」
よろしくとルディエの頭を撫でると、嬉しそうに頬を染めて頷いた。
タリス自身も興奮気味なので、いざと言う時に頼りにならなさそうなのだ。ルディエを信じることにする。ルディエさえ冷静なら、神官達が上手くフォローしてくれるはずだ。
準備も整ったと、タリスが声を張り上げる。
「それじゃあ、最後のシメだよ! 目一杯楽しもう! 行くよー!!」
「「「「「おおっ!!」」」」」
駆け足で里を出ていく面々。
残ったのは、後方支援の職員や冒険者達と、戦力外のエルフ達だ。
全員が手を振って見送ったが、唖然としていた。
「……なんだろ……ノリが飲み会に行くみたいな……」
そんなコウヤの感想に、全員が静かに頷いていた。
「じゃあ、宴会の準備をしましょうか」
「「「「「はい!」」」」」
本来なら、怪我人が運ばれ来るかもしれないからと、治療をする道具などの用意をして待つべきなのだが、神官が現場に居るため、そんな必要もない。
全員無事で帰ってくると確信できてしまう。
よって、必要なのは、打ち上げの用意だ。
「最後の打ち上げは、中央野営地にて、あちらに残っている冒険者達と合流して行います。そちらでは、既に屋台部隊が仕込みを始めている頃です。これより、テーブルなどを持って移動します」
「「「「「はい!」」」」」
テーブルや椅子はドラム組とドワーフの方達が作ってくれていた。
これらは、全てが終わった後、冒険者ギルドの各支部で保管することが決まっている。町や村のお祭りの時などに使えるだろう。
「まずは、移動をお願いします。こちらに運んでもらいましたら、小型の輸送庫で母艦に運びます」
マンタが上空でスタンバイ中。小型の輸送庫とは、空飛ぶ馬車のコンテナバージョン。小型トラックの荷台くらいあるので、大きめな机も問題なく載せられる。
これによって、上空に待機中のマンタへと運ぶ。ただし、コンテナの数は十もないので、中へ持ち込んだら下ろす必要がある。それが少々手間かもしれない。
一時間ほどで、積み込みが終わり、最初の野営地へと移動した。
そこでは、残っていた職員や後方支援の冒険者達が、コウヤ達を待っていた。
ここに残った冒険者達は、今日も周辺の安全確認に向かっていて留守なのだ。
「準備を始めます。ここには、獣人族の里の方を担当していた冒険者の方々も入りますので、予定より範囲を広げます。後ほど、代表の方は確認をお願いします」
「「「はい!」」」
「その範囲の外側に、今回の討伐に協力してくれた魔獣達へのお礼も用意することになります。そちらの準備も並行して行いますので、手が空いた方は、手伝いをお願いします」
「「「「「はい!」」」」」
商業ギルドから、宴会用の物資は大量に届いており、不足はないはずだが、各種、もしも足りない物があれば、パックンに頼むことになっている。あの中にはたいていの物は入っているという認識だ。
既に、冒険者ギルドの職員達も、後方支援の冒険者達も、そうした認識になったらしく、困ったらパックンを探すという具合だ。
ダンゴやテンキは、魔獣達の食事を用意する係を手伝ってくれている。人より魔獣の嗜好を知っているので、彼らに任せれば問題ないだろう。
コウヤは、他の野営地にも飛んで、準備の様子を確認したりと、夕方ギリギリまで飛び回った。
もちろん、この間、戦闘の様子は宙に映し出されており、確認している。
そして、日が赤く染まりだす頃。各所で歓声が上がった。
「ふう……終わったみたいだね」
最後のボスは、ヒュドラの亜種だったようだ。そして、フィールドの闇が晴れ、オレンジに染まる空に向けて、やったぞと手を上げ、雄叫びを上げる冒険者達が映っていた。
誰もがやり切った顔をして、仲間たちの肩を叩き、喜びの声を上げている。
「迎えに行かないとね」
こうして、長い、長い迷宮化討伐が終了したのだ。
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