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第十一章
463 料理も出来るように
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討伐に向かう冒険者達を見送ったコウヤは、空にその討伐の様子がきちんと映されていることを確認し、昼食の準備を始めた。
昨日の内に、ゼストラークやドラム組が大きく立派な調理場を作ってくれたため、そこを使う。
残ったエルフの者たちや、後方支援として来てくれた冒険者達、それと、こちらの担当の屋台部隊の半分がその調理場に集まっていた。
因みに、ルディエや多くの神官達が先導している獣人族の里に近い迷宮討伐は今日、最後のフィールドの討伐を行なっている。そちらにも屋台部隊が半分、食事支援を行なっていた。
ルディエ達は明日一日休んで、こちらに合流する予定だ。
「これから、昼食のお弁当を作ります。衛生面には気を付けて、手洗いを徹底してください。それでは、始めます」
「「「「「はい!」」」」」
コウヤの補佐としてニールとブランナ、ビジェが引き続き残ってくれている。
「先ず、三つにグループ分けをします。やれそうな作業の場所に移動してください。もちろん、説明はしますから、そう難しくはありませんよ」
冒険者達など、あまり料理などしたことがない者は多い。ここでも、ユースールの者だけは、経験者だった。Z依頼として居酒屋などで手伝いをしているためだ。
「では、このテーブルに『野菜の切り分け・包装・コンテナ詰め込み』担当。次に『パン焼き・切り・スープ煮込み』担当。『調味料作り・サンドイッチの具の挟み込み』担当がこちらです」
メニューは具沢山のサンドイッチと野菜のスープだ。スープは鍋ごと持って行く。寸胴鍋が四つ用意されている。
「人数調整はさせてもらうかもしれませんが、先ずは分かれてください」
三つのグループはニール、ブランナ、ビジェがそれぞれ指導し、コウヤが全体を見る。
「良さそうですね。では、説明します」
ニールが『野菜の切り分け・包装・コンテナ詰め込み』を担当する。
「野菜の切り分けは、スープの具材もお願いします。それぞれの野菜で切り方の見本をお見せします。テンポ良くいきましょう」
ブランナの担当は『パン焼き・切り・スープ煮込み』だ。
「パンの生地の発酵は終わっていますので、パン焼き担当の方々は、この型にパン生地を入れ、焼いていってください。焼いている間に、スープの方をお願いします」
パンは食パン。焼きたては切りにくいが、昨日にドワーフ達の手によって専用のパン切り包丁が作られていた。
具材をたっぷり挟んだサンドイッチも、キレイにザクっと切れる。
最後にビジェの『調味料作り・サンドイッチの挟み込み』だ。
「調味料は、照り焼きソースとマヨネーズです。ソースの方は、それぞれの分量を守ってください。マヨネーズの方は、混ぜ方にコツが要るので、説明をよく聞いてくださいね。かき混ぜ頑張ってくださいっ」
それぞれの説明が始まった。誰も彼も真剣だ。冒険者達は、ユースールの者たちから、こうしたことを知っておけば、役に立つ時は来ると聞かされたらしい。
戦いだけでなく、普段の様子も見て、ユースール組との差を感じ、彼らを上に置くようになっているのだ。年齢が若くても、先輩と呼ばれている者も居た。
この合同討伐において、一番良かったことは、ユースール組やトルヴァランの王都の冒険者達をお披露目出来たことだろう。
冒険者達は、自分達との違いを知り、彼らと話すことで、新たな冒険者としての道が見えたようだ。
今回の料理一つ取っても、今までは目も向けなかったことにも挑戦するようになった。
冒険者だからという、勝手な偏見を自分達で持たず、様々な事をやってみる。その自由こそが、冒険者の醍醐味の一つかもしれないと気付いたのだ。
「これで料理も出来るようになりますね」
嬉しそうに、中には照れ臭そうに、それでも楽しげに作業する顔を見て、コウヤも嬉しくなって笑った。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
一度お休みが入ります。
次回、来週25日です。
よろしくお願いします!
昨日の内に、ゼストラークやドラム組が大きく立派な調理場を作ってくれたため、そこを使う。
残ったエルフの者たちや、後方支援として来てくれた冒険者達、それと、こちらの担当の屋台部隊の半分がその調理場に集まっていた。
因みに、ルディエや多くの神官達が先導している獣人族の里に近い迷宮討伐は今日、最後のフィールドの討伐を行なっている。そちらにも屋台部隊が半分、食事支援を行なっていた。
ルディエ達は明日一日休んで、こちらに合流する予定だ。
「これから、昼食のお弁当を作ります。衛生面には気を付けて、手洗いを徹底してください。それでは、始めます」
「「「「「はい!」」」」」
コウヤの補佐としてニールとブランナ、ビジェが引き続き残ってくれている。
「先ず、三つにグループ分けをします。やれそうな作業の場所に移動してください。もちろん、説明はしますから、そう難しくはありませんよ」
冒険者達など、あまり料理などしたことがない者は多い。ここでも、ユースールの者だけは、経験者だった。Z依頼として居酒屋などで手伝いをしているためだ。
「では、このテーブルに『野菜の切り分け・包装・コンテナ詰め込み』担当。次に『パン焼き・切り・スープ煮込み』担当。『調味料作り・サンドイッチの具の挟み込み』担当がこちらです」
メニューは具沢山のサンドイッチと野菜のスープだ。スープは鍋ごと持って行く。寸胴鍋が四つ用意されている。
「人数調整はさせてもらうかもしれませんが、先ずは分かれてください」
三つのグループはニール、ブランナ、ビジェがそれぞれ指導し、コウヤが全体を見る。
「良さそうですね。では、説明します」
ニールが『野菜の切り分け・包装・コンテナ詰め込み』を担当する。
「野菜の切り分けは、スープの具材もお願いします。それぞれの野菜で切り方の見本をお見せします。テンポ良くいきましょう」
ブランナの担当は『パン焼き・切り・スープ煮込み』だ。
「パンの生地の発酵は終わっていますので、パン焼き担当の方々は、この型にパン生地を入れ、焼いていってください。焼いている間に、スープの方をお願いします」
パンは食パン。焼きたては切りにくいが、昨日にドワーフ達の手によって専用のパン切り包丁が作られていた。
具材をたっぷり挟んだサンドイッチも、キレイにザクっと切れる。
最後にビジェの『調味料作り・サンドイッチの挟み込み』だ。
「調味料は、照り焼きソースとマヨネーズです。ソースの方は、それぞれの分量を守ってください。マヨネーズの方は、混ぜ方にコツが要るので、説明をよく聞いてくださいね。かき混ぜ頑張ってくださいっ」
それぞれの説明が始まった。誰も彼も真剣だ。冒険者達は、ユースールの者たちから、こうしたことを知っておけば、役に立つ時は来ると聞かされたらしい。
戦いだけでなく、普段の様子も見て、ユースール組との差を感じ、彼らを上に置くようになっているのだ。年齢が若くても、先輩と呼ばれている者も居た。
この合同討伐において、一番良かったことは、ユースール組やトルヴァランの王都の冒険者達をお披露目出来たことだろう。
冒険者達は、自分達との違いを知り、彼らと話すことで、新たな冒険者としての道が見えたようだ。
今回の料理一つ取っても、今までは目も向けなかったことにも挑戦するようになった。
冒険者だからという、勝手な偏見を自分達で持たず、様々な事をやってみる。その自由こそが、冒険者の醍醐味の一つかもしれないと気付いたのだ。
「これで料理も出来るようになりますね」
嬉しそうに、中には照れ臭そうに、それでも楽しげに作業する顔を見て、コウヤも嬉しくなって笑った。
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読んでくださりありがとうございます◎
一度お休みが入ります。
次回、来週25日です。
よろしくお願いします!
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