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第十一章
455 ヤバいね……
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コウヤとニール達のワイバーンとドラゴン退治の映像も流れていたらしく、その日、全てが終わってから野営地に帰ると、英雄の帰還だとでも言うように大歓迎された。
「すごかったですよ!! あの暗黒竜? ってのも、ドキドキしました!!」
「マジで見応えあったよなっ。寧ろまた見たい!」
「あの映像? って、町でも流してんだよな? あんなん見たら、娘が神官になるって飛び出しそうだわ」
「俺んとこもっ。息子が既に、神官様に憧れててさあ」
「ベニ大司教様っ!! お疲れ様です!!」
「司教様ぁぁぁっ! お食事用意できてます!!」
特に、ベニ達の人気がすごい。
だが、もちろんコウヤへと声をかけてくる者も多かった。
「あんな魔法、見たこともないよ!」
「あの飛んで行ってた羽根みたいなのは何?」
「冒険者より戦えるギルド職員とか、ダメだろ! 子どもなんだから、あんま無理すんなよっ」
「可愛い顔して、あんな強いとか……っ、お姉さんと付き合わない?」
「ちょっとっ、抜け駆けはダメよ!」
「いやいや、コウヤに近付くなっ! コウヤはみんなのものだぞ!」
「「「「「そうだそうだー」」」」」
ユースール組がいつの間にか盾になっていた。
アルキスがそんな様子を見て、ミラルファとコソコソと話し合う。
「なあ、これでコウヤが王子だって知られたら、やばくないか?」
「結婚の申込みが一気に来そうね……それも、あの映像は、他国にも……」
「マズくね?」
「護衛を増やしましょう。ええ。もう、鉄壁なのをっ」
「いや、ニールだけでも結構ヤバいぜ?」
「神官様クラスが後十は必要よ。覆い隠さなくてはっ」
「神官様クラスって……無理だろ……」
「帰ったら、ジルも交えて話し合うわよ!」
「だな……」
王家としては頭の痛い話だ。
そんなこととは露知らず、コウヤはタリスとシーレスと話し合っていた。それは、暗黒竜討伐のドロップ品とフィールド攻略報酬について。
「え? ドラゴン三体分のお肉!?」
「はい。それも、部位ごとに切り分けもされてて、後は食べやすく切って焼いて食べるだけ、な状態で」
「……それと鉱石の山……」
「ヒヒイロカネやアダマンタイト、オリハルコンがギルドの倉庫一つ分ずつくらい」
「「……ヤバいね……」」
この世界でも伝説級の鉱石が、腐るほど貰えたと言うことに、タリスやシーレスも現実をしばらく忘れたくなったようだ。
しかし、コウヤは構わず続ける。これが一番言いたかったのだ。
「ですよね。で、なんですけど、獣人族の里の方の攻略も全部終わったら、ドラゴンの肉で打ち上げバーベキューしませんか? 多分それでも余ると思うので、それは商業ギルドとの話し合いということで」
「「そうしよう」」
コウヤやパックンの亜空間のように、時間経過を止められる魔導具袋はほとんど存在しない。容量制限もあるのだ。
生モノは早めに消費できるならばするのが常識だった。それもドラゴンの肉。今では口に出来る者は居ないだろう。ドラゴン自体が減り、人里にまず降りてこないのだから。
それならば、この大変な討伐作戦に参加してくれた人たちで分かち合うのが一番だ。
「なら早速、この肉に合うタレの開発と切り方と焼き具合の研究を屋台部隊に頼んできますね!」
「「よろしく……」」
「は~い。今日もお疲れ様でした!」
「「お疲れ~」」
コウヤは疲れを感じさせることなく、満面の笑みで屋台部隊へと駆けて行った。
それを見送るタリスとシーレスは肩を落とす。
「若いっていいね……ちょっとやそっとのことじゃ驚かないし……」
「あんな闘いをしてきて、なんであんなに元気なんでしょう……」
老いを感じ、少し切なくなる二人だった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします◎
「すごかったですよ!! あの暗黒竜? ってのも、ドキドキしました!!」
「マジで見応えあったよなっ。寧ろまた見たい!」
「あの映像? って、町でも流してんだよな? あんなん見たら、娘が神官になるって飛び出しそうだわ」
「俺んとこもっ。息子が既に、神官様に憧れててさあ」
「ベニ大司教様っ!! お疲れ様です!!」
「司教様ぁぁぁっ! お食事用意できてます!!」
特に、ベニ達の人気がすごい。
だが、もちろんコウヤへと声をかけてくる者も多かった。
「あんな魔法、見たこともないよ!」
「あの飛んで行ってた羽根みたいなのは何?」
「冒険者より戦えるギルド職員とか、ダメだろ! 子どもなんだから、あんま無理すんなよっ」
「可愛い顔して、あんな強いとか……っ、お姉さんと付き合わない?」
「ちょっとっ、抜け駆けはダメよ!」
「いやいや、コウヤに近付くなっ! コウヤはみんなのものだぞ!」
「「「「「そうだそうだー」」」」」
ユースール組がいつの間にか盾になっていた。
アルキスがそんな様子を見て、ミラルファとコソコソと話し合う。
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「マズくね?」
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「帰ったら、ジルも交えて話し合うわよ!」
「だな……」
王家としては頭の痛い話だ。
そんなこととは露知らず、コウヤはタリスとシーレスと話し合っていた。それは、暗黒竜討伐のドロップ品とフィールド攻略報酬について。
「え? ドラゴン三体分のお肉!?」
「はい。それも、部位ごとに切り分けもされてて、後は食べやすく切って焼いて食べるだけ、な状態で」
「……それと鉱石の山……」
「ヒヒイロカネやアダマンタイト、オリハルコンがギルドの倉庫一つ分ずつくらい」
「「……ヤバいね……」」
この世界でも伝説級の鉱石が、腐るほど貰えたと言うことに、タリスやシーレスも現実をしばらく忘れたくなったようだ。
しかし、コウヤは構わず続ける。これが一番言いたかったのだ。
「ですよね。で、なんですけど、獣人族の里の方の攻略も全部終わったら、ドラゴンの肉で打ち上げバーベキューしませんか? 多分それでも余ると思うので、それは商業ギルドとの話し合いということで」
「「そうしよう」」
コウヤやパックンの亜空間のように、時間経過を止められる魔導具袋はほとんど存在しない。容量制限もあるのだ。
生モノは早めに消費できるならばするのが常識だった。それもドラゴンの肉。今では口に出来る者は居ないだろう。ドラゴン自体が減り、人里にまず降りてこないのだから。
それならば、この大変な討伐作戦に参加してくれた人たちで分かち合うのが一番だ。
「なら早速、この肉に合うタレの開発と切り方と焼き具合の研究を屋台部隊に頼んできますね!」
「「よろしく……」」
「は~い。今日もお疲れ様でした!」
「「お疲れ~」」
コウヤは疲れを感じさせることなく、満面の笑みで屋台部隊へと駆けて行った。
それを見送るタリスとシーレスは肩を落とす。
「若いっていいね……ちょっとやそっとのことじゃ驚かないし……」
「あんな闘いをしてきて、なんであんなに元気なんでしょう……」
老いを感じ、少し切なくなる二人だった。
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