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第十一章
454 正解だったなって!
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大きく翼を広げた暗黒竜が大きな口を開く。
キュェェェッッ!!
高音で響く鳴き声。耳栓をしていたから良かったが、雷の音よりも五月蝿かった。
「うわ~……耳栓してても煩え……っ」
「これは痛いくらいだなっ……っ」
寧ろ、耳栓をしていなければ耳がおかしくなっていただろう。準備しておいて良かったと誰もが胸を撫で下ろした。
そして、暗黒竜がその翼を羽ばたかせた。慌ててリクトルスが警告する。
「体を低く! 気を付けて!」
「「「「「うおっ!!」」」」」
たった二度羽ばたいただけで、男たちの体が浮いた。
誰もがヒヤリとする。そこに、コウヤは蔦を伸ばさせ、念話で伝える。
『長くすると振り回されるので、短いのしか用意できませんけど、掴まってください』
「助かるわ」
「メイスの重さでもギリギリやったねえ」
「コウヤ、もう一つずつメイスくれるかい?」
コウヤの方には、普通に喋るのが伝わるので、問題なくベニ達は話す。
更にベニ、キイ、セイは、耳栓をしていても、お互いの考えていることが分かるのか、こちらも普通に会話して頷き合う。
『え? もう一つずつメイス? さすがに重いよ?』
「「「なんとかするからええよ」」」
『そう……』
コウヤは、予備として作ってあったベニ達用のメイスを取り出して手渡す。両手にメイスというすごい状態だ。
「……やっぱり二つって……それに、それじゃあそこに飛び乗れな……っ」
「あんた達、ついて来な!」
「ほれ、風を読めっ」
「今だよっ」
「「「「「はい!!」」」」」
ベニ達は、メイスの鉄の玉が外れるのを利用して、それを放り投げながら、トランポリンと化した台へと登って行った。
それも、風の力も利用してだ。これには、リクトルスも驚いたらしい。
「……さすがはベニ達です……あのセンスは称賛に値しますね」
「生き生きしてるしね……」
今にも『フゥゥ~っ』とか言いそうなのだ。ちょっと飛ばされながらも、メイスの鉄の玉を重しにして、あっという間に暗黒竜の側まで辿り着いていた。
「ほりゃっ!!」
「よいせっ!」
「ほいなっ!」
鉄の玉が、暗黒竜腹を叩いていた。
クキェェェェッ
ダメージもしっかり入ったようだ。それを見て、リクトルスがコウヤに確認する。
「コウヤ君? アレ、何で作ったんです?」
「え? あ~、オリハルコンとか、アダマンタイトに、ミスリルも使ってるよ。あのトゲの所とか部分的に強化に使ってたりとか」
「……はっきり言って、普段のベニ達には必要ない凶器ですよね……」
「うん。俺も、ちょっとやり過ぎたと思ってたんだけど……」
ベニ達は、鉄球を振り回し、暗黒竜が逃げようとすればその足に飛び出す鎖を絡めて引っ張り、蹴りまで入れる。
それに冒険者達やアルキス達も続いた。なぜかすごく楽しそうだ。絶望は見えない。
普段、思う存分素手で殴り合いが出来る相手などいないため、楽しんでいるようだ。
「ああやって、役に立ってるのを見ちゃうと……アレも正解だったなって!」
「……ちょっと反省して欲しいんですけど、これは無理ですね……」
やり過ぎたことへの反省を促したいのに、有用性が示されてしまってはそれも出来ない。
コウヤのやり過ぎは、あってもいい事になった。
「そろそろ私も行きます。ところで……パックンとダンゴは何をしているんでしょう……」
パックンは雷の落ちる場所へと跳んで行き、口を開けて、その雷を回収しているらしい。ダンゴがその雷を誘導したりしているようだ。
お陰で、戦っているベニ達の近くには雷が落ちていない。気にせず戦いに集中できていた。
「なぜアレで感電しないんでしょう……下手したら燃えますけど……」
「あっ、パックン、耐電とか耐火、耐毒のスキルなのかな? この前見たら『耐身』ってスキルを持ってて」
「……聞いたことないですけど、そうなるまで何したんです……」
「さあ……」
あらゆる攻撃に耐えられるスキルらしい。もちろん、程度はある。
「そのスキル。熟練度が【極】だったんだよ。耐火とか個別にあったのが集約されたんじゃないかと思うんだけど」
「私たちでも把握できないスキルが、未だにあるんですね……」
「ねっ。面白いよねっ。けど、パックンがスキルまで収集し出したかもって心配もちょっとある」
「……否定できませんね……」
「うん」
収集癖が、スキルにまで及んだら、パックンはどうなってしまうのか。
「とりあえず、参戦してきますね……」
「は~い」
そうして、リクトルスも参戦したことで、テンキとの連携も上手くでき、暗黒竜は地に這うことになった。
それはもう、竜として可哀想なくらい、ボコボコにされた暗黒竜は、一際悲しそうな高い声を上げて、消滅していった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
二日空きます。
よろしくお願いします◎
キュェェェッッ!!
高音で響く鳴き声。耳栓をしていたから良かったが、雷の音よりも五月蝿かった。
「うわ~……耳栓してても煩え……っ」
「これは痛いくらいだなっ……っ」
寧ろ、耳栓をしていなければ耳がおかしくなっていただろう。準備しておいて良かったと誰もが胸を撫で下ろした。
そして、暗黒竜がその翼を羽ばたかせた。慌ててリクトルスが警告する。
「体を低く! 気を付けて!」
「「「「「うおっ!!」」」」」
たった二度羽ばたいただけで、男たちの体が浮いた。
誰もがヒヤリとする。そこに、コウヤは蔦を伸ばさせ、念話で伝える。
『長くすると振り回されるので、短いのしか用意できませんけど、掴まってください』
「助かるわ」
「メイスの重さでもギリギリやったねえ」
「コウヤ、もう一つずつメイスくれるかい?」
コウヤの方には、普通に喋るのが伝わるので、問題なくベニ達は話す。
更にベニ、キイ、セイは、耳栓をしていても、お互いの考えていることが分かるのか、こちらも普通に会話して頷き合う。
『え? もう一つずつメイス? さすがに重いよ?』
「「「なんとかするからええよ」」」
『そう……』
コウヤは、予備として作ってあったベニ達用のメイスを取り出して手渡す。両手にメイスというすごい状態だ。
「……やっぱり二つって……それに、それじゃあそこに飛び乗れな……っ」
「あんた達、ついて来な!」
「ほれ、風を読めっ」
「今だよっ」
「「「「「はい!!」」」」」
ベニ達は、メイスの鉄の玉が外れるのを利用して、それを放り投げながら、トランポリンと化した台へと登って行った。
それも、風の力も利用してだ。これには、リクトルスも驚いたらしい。
「……さすがはベニ達です……あのセンスは称賛に値しますね」
「生き生きしてるしね……」
今にも『フゥゥ~っ』とか言いそうなのだ。ちょっと飛ばされながらも、メイスの鉄の玉を重しにして、あっという間に暗黒竜の側まで辿り着いていた。
「ほりゃっ!!」
「よいせっ!」
「ほいなっ!」
鉄の玉が、暗黒竜腹を叩いていた。
クキェェェェッ
ダメージもしっかり入ったようだ。それを見て、リクトルスがコウヤに確認する。
「コウヤ君? アレ、何で作ったんです?」
「え? あ~、オリハルコンとか、アダマンタイトに、ミスリルも使ってるよ。あのトゲの所とか部分的に強化に使ってたりとか」
「……はっきり言って、普段のベニ達には必要ない凶器ですよね……」
「うん。俺も、ちょっとやり過ぎたと思ってたんだけど……」
ベニ達は、鉄球を振り回し、暗黒竜が逃げようとすればその足に飛び出す鎖を絡めて引っ張り、蹴りまで入れる。
それに冒険者達やアルキス達も続いた。なぜかすごく楽しそうだ。絶望は見えない。
普段、思う存分素手で殴り合いが出来る相手などいないため、楽しんでいるようだ。
「ああやって、役に立ってるのを見ちゃうと……アレも正解だったなって!」
「……ちょっと反省して欲しいんですけど、これは無理ですね……」
やり過ぎたことへの反省を促したいのに、有用性が示されてしまってはそれも出来ない。
コウヤのやり過ぎは、あってもいい事になった。
「そろそろ私も行きます。ところで……パックンとダンゴは何をしているんでしょう……」
パックンは雷の落ちる場所へと跳んで行き、口を開けて、その雷を回収しているらしい。ダンゴがその雷を誘導したりしているようだ。
お陰で、戦っているベニ達の近くには雷が落ちていない。気にせず戦いに集中できていた。
「なぜアレで感電しないんでしょう……下手したら燃えますけど……」
「あっ、パックン、耐電とか耐火、耐毒のスキルなのかな? この前見たら『耐身』ってスキルを持ってて」
「……聞いたことないですけど、そうなるまで何したんです……」
「さあ……」
あらゆる攻撃に耐えられるスキルらしい。もちろん、程度はある。
「そのスキル。熟練度が【極】だったんだよ。耐火とか個別にあったのが集約されたんじゃないかと思うんだけど」
「私たちでも把握できないスキルが、未だにあるんですね……」
「ねっ。面白いよねっ。けど、パックンがスキルまで収集し出したかもって心配もちょっとある」
「……否定できませんね……」
「うん」
収集癖が、スキルにまで及んだら、パックンはどうなってしまうのか。
「とりあえず、参戦してきますね……」
「は~い」
そうして、リクトルスも参戦したことで、テンキとの連携も上手くでき、暗黒竜は地に這うことになった。
それはもう、竜として可哀想なくらい、ボコボコにされた暗黒竜は、一際悲しそうな高い声を上げて、消滅していった。
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