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第十一章
444 今日も気張りな
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翌日。
快晴とまではいかないが、程よく雲も出ていて過ごしやすい良い天気だ。
冒険者達がグループごとで固まって、出発前の意思確認をしている。
「お~っし! 今日も特別訓練! 目標は高く! そんで楽しむぞ!!」
「「「「「おぉぉぉっ!!」」」」」
ちょっと脳筋気味な、ユースールでも慕われるリーダーがまとめるグループは大きく声を出して、片手を突き上げる。
ユースールの冒険者達にとっては、これも特別訓練枠らしい。コウヤはまあいいかと笑顔で見送る。
「忘れ物はないですかー。昼過ぎまで戻って来られませんよー。タオル持った?」
「「「「「持った!」」」」」
「水筒持った?」
「「「「「持った!」」」」」
「中身入ってますか?」
「「「「「……入ってる!」」」」」
「武器は持った?」
「「「「「持ったー!」」」」」
「出発するぞー!」
「「「「「おー!!」」」」」
魔法師を中心としたグループは、持ち物確認を忘れない。なんとも微笑ましい光景だ。準備万端だなと安心して見送った。
「一人ノルマは二十。今日も気張りな」
「「「「「Yes,ma'am!!」」」」」
誰とは言わないが、とある大司教が指揮するグループは、姿勢を正してキレのある返事をする。
カッコいいなと目を煌めかせるのは、コウヤや聖魔教会を知るギルド職員達だ。他は呆然としていた。
「今日も楽しんだもの勝ちだよ~。終わったらまた美味しい食事もあるからね~。早く終わったらその分ゆっくり出来るかも!? 昨日よりも早く終わるのが目標ね!!」
「「「「「は~い」」」」」
「そんじゃ行くよ~」
まるで遠足に行くような雰囲気で出かけていくグループもあった。
「行ってらっしゃ~い」
「「「「「行ってきま~す」」」」」
手を振れば、振り返しながら出かけていく冒険者達。
エルフの五人以外、戦闘不能になった冒険者は居らず、全員が元気に笑顔で出ていったのを確認する。
もちろん、問題のエルフの五人も、師匠達に引き摺られて、先頭を行くベニとミラルファ達の後を追って行った。
「みんな楽しそうだな~」
今日はテンキも約束通り、アルキスと勝負のために出て行っており、パックンとダンゴも人化して参加している。よって、コウヤは今一人だ。
本日も映像を各所にお届け中。その状態の確認もし終わる頃。ニールとビジェ、ブランナがやって来た。
「お待たせしてしまい、申し訳ありません」
「ううん。ニールはちゃんと休暇取れたの?」
「はい。多少出がけにありましたが、問題ありません」
「ん?」
何があったのかと首を傾げて見せると、説明してくれた。
「……ジルファス様や殿下方がついて行くと……」
「あ~……」
ジルファスやリルファム、シンリームにごねられたらしい。アルキスとミラルファ、近衛騎士や宮廷魔法師達までが参加しているのだ。ジルファスなどは自分もと思うだろう。
「さすがに次期国王は出てきちゃダメだね」
「はい。近衛騎士が全力で止めておりました」
「そっか……」
「全て終わりましたら、早めに一度顔を見せていただければと」
「うん。そうするよ」
本当ならば、もう間も無く王子として発表するコウヤにも、この場所に居て欲しくないとジルファス達は思っているのだろう。心配しているというのをオスロリーリェからも聞いていた。
だが、コウヤは冒険者ギルド職員としての誇りを持っている。そして、コウルリーヤとしても、きちんとこの場で見届けなくてはならないのだ。
それらの事情を知っているジルファス達は複雑な心境らしかった。だからこそ、ニール達が来たのだ。
「ビジェ、レナルカの様子はどうだった?」
「……夜は寂しがって、泣かれる時もありましたが、落ち着いてきています」
「ならいいんだけど……」
レナルカの深層心理に刻まれた記憶。それが鮮明になり、前世を思い出したなら、きっと苦しむだろう。
「フェルトアルス様の所のお子様達と過ごすようになり、昼間はとても楽しそうにしておられます」
二人目の子どもが産まれて数ヶ月。ようやく首が据わる頃だ。そんな子どもと顔を合わせたことで、レナルカはお姉さんとしての自覚に目覚めたらしい。
「よかった……」
因みにビジェは、多くの人と関わりを持ち、レナルカの世話を焼いてきたことで、言葉がとても流暢になった。今は、ユースールで冒険者の新人教育も任せている。
彼はとても頼もしい冒険者になっていた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
二日空きます。
よろしくお願いします◎
快晴とまではいかないが、程よく雲も出ていて過ごしやすい良い天気だ。
冒険者達がグループごとで固まって、出発前の意思確認をしている。
「お~っし! 今日も特別訓練! 目標は高く! そんで楽しむぞ!!」
「「「「「おぉぉぉっ!!」」」」」
ちょっと脳筋気味な、ユースールでも慕われるリーダーがまとめるグループは大きく声を出して、片手を突き上げる。
ユースールの冒険者達にとっては、これも特別訓練枠らしい。コウヤはまあいいかと笑顔で見送る。
「忘れ物はないですかー。昼過ぎまで戻って来られませんよー。タオル持った?」
「「「「「持った!」」」」」
「水筒持った?」
「「「「「持った!」」」」」
「中身入ってますか?」
「「「「「……入ってる!」」」」」
「武器は持った?」
「「「「「持ったー!」」」」」
「出発するぞー!」
「「「「「おー!!」」」」」
魔法師を中心としたグループは、持ち物確認を忘れない。なんとも微笑ましい光景だ。準備万端だなと安心して見送った。
「一人ノルマは二十。今日も気張りな」
「「「「「Yes,ma'am!!」」」」」
誰とは言わないが、とある大司教が指揮するグループは、姿勢を正してキレのある返事をする。
カッコいいなと目を煌めかせるのは、コウヤや聖魔教会を知るギルド職員達だ。他は呆然としていた。
「今日も楽しんだもの勝ちだよ~。終わったらまた美味しい食事もあるからね~。早く終わったらその分ゆっくり出来るかも!? 昨日よりも早く終わるのが目標ね!!」
「「「「「は~い」」」」」
「そんじゃ行くよ~」
まるで遠足に行くような雰囲気で出かけていくグループもあった。
「行ってらっしゃ~い」
「「「「「行ってきま~す」」」」」
手を振れば、振り返しながら出かけていく冒険者達。
エルフの五人以外、戦闘不能になった冒険者は居らず、全員が元気に笑顔で出ていったのを確認する。
もちろん、問題のエルフの五人も、師匠達に引き摺られて、先頭を行くベニとミラルファ達の後を追って行った。
「みんな楽しそうだな~」
今日はテンキも約束通り、アルキスと勝負のために出て行っており、パックンとダンゴも人化して参加している。よって、コウヤは今一人だ。
本日も映像を各所にお届け中。その状態の確認もし終わる頃。ニールとビジェ、ブランナがやって来た。
「お待たせしてしまい、申し訳ありません」
「ううん。ニールはちゃんと休暇取れたの?」
「はい。多少出がけにありましたが、問題ありません」
「ん?」
何があったのかと首を傾げて見せると、説明してくれた。
「……ジルファス様や殿下方がついて行くと……」
「あ~……」
ジルファスやリルファム、シンリームにごねられたらしい。アルキスとミラルファ、近衛騎士や宮廷魔法師達までが参加しているのだ。ジルファスなどは自分もと思うだろう。
「さすがに次期国王は出てきちゃダメだね」
「はい。近衛騎士が全力で止めておりました」
「そっか……」
「全て終わりましたら、早めに一度顔を見せていただければと」
「うん。そうするよ」
本当ならば、もう間も無く王子として発表するコウヤにも、この場所に居て欲しくないとジルファス達は思っているのだろう。心配しているというのをオスロリーリェからも聞いていた。
だが、コウヤは冒険者ギルド職員としての誇りを持っている。そして、コウルリーヤとしても、きちんとこの場で見届けなくてはならないのだ。
それらの事情を知っているジルファス達は複雑な心境らしかった。だからこそ、ニール達が来たのだ。
「ビジェ、レナルカの様子はどうだった?」
「……夜は寂しがって、泣かれる時もありましたが、落ち着いてきています」
「ならいいんだけど……」
レナルカの深層心理に刻まれた記憶。それが鮮明になり、前世を思い出したなら、きっと苦しむだろう。
「フェルトアルス様の所のお子様達と過ごすようになり、昼間はとても楽しそうにしておられます」
二人目の子どもが産まれて数ヶ月。ようやく首が据わる頃だ。そんな子どもと顔を合わせたことで、レナルカはお姉さんとしての自覚に目覚めたらしい。
「よかった……」
因みにビジェは、多くの人と関わりを持ち、レナルカの世話を焼いてきたことで、言葉がとても流暢になった。今は、ユースールで冒険者の新人教育も任せている。
彼はとても頼もしい冒険者になっていた。
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