上 下
338 / 455
第十一章

443 快適な野営空間っ

しおりを挟む
一日目が終わった。

日が暮れる前に、野営地に戻って来た冒険者達は、誰もが思わずほっと息を吐いた。

そこは、安全な場所だというのは、ギルドが保証している。なぜなら、屋台部隊も展開中だったからだ。

コウヤは、冒険者達が帰って来るのを見つけると、拡声器でこの後の流れを説明する。

『お疲れ様です! はじめに、青いテントで防具の洗浄を受けてください。その後、緑のテントでお風呂に入っていただけます! さっぱりしましたら、黄色の旗の立っている受付けに並んでください! そこでチケットを受け取っていただき、屋台でお好きなものを選んでお食事をどうぞ! 明日もよろしくお願いします!』

冒険者達はこの指示に従い、楽しい夕食へと向かって行く。

『お酒も少し差し入れしました。ただ、飲み過ぎには注意してくださいね~』
「わははっ。気をつけねえとなっ」
「えっ、ちょっ、ヤバいッスよ! これ迷宮産のヤツ!」

誰かが気付いた。

「マジか! コウヤ!! こんなん出すな!! 飲み過ぎるだろ!!」

これにコウヤは拡声器を使ったまま答える。

『だから飲み過ぎないでくださいね~』
「「「「「無理だろ!」」」」」
『なら、一人コップ一杯で』
「「「「「二杯でお願いします!!」」」」」
『じゃあ二杯までで』
「「「「「あざーっス!!」」」」」

二杯くらいなら大丈夫だろうと判断した。ご褒美としては良かったようだ。

『最終日には、もっと種類用意しておきますね』
「「「「「っ!!」」」」」
「何がなんでも死ねねえな……」
「怪我もしてられねえな……」
「気絶もダメだ……」
『お酒がダメな方は、同じ迷宮産のノンアルコールジュース用意してますよ~』
「「「「「っ、いただきます!!」」」」」

一部のお酒なんてと思っていた者たちも覚醒した。それだけ迷宮産のお酒やジュースは美味しいのだ。少しだけ回復薬と同じ効果もあるというのも分かっている。

そのため、悪酔いしない。酒好きには夢のようなお酒だった。

「ふう……やっぱりお酒用意して良かったみたいだね。在庫も減らせそうで俺も嬉しいし」
《主様は、料理酒しかお使いにならないですからね……》

いつもの省エネ小狐モードになったテンキが肩を落として見せる。

《こっちにもあるよ (๑>◡<๑) 》
《パックン……欲しがらないってことは、いっぱいあるでしゅね……》

パックンも捨てるほど持っていそうだと、ダンゴが小さく眉を寄せた。

「ついでに、食材とかも迷宮産のやつ出そっかな」
《屋台部隊の方々なら、張り切って調理しそうですね》

プロの料理集団のようなものだ。きっと、新しいメニューも考え出すだろう。何日居ても飽きさせないことを信条としている彼らだ。ここで冒険者達の帰りを待ちながら、メニューを考案するはずだ。

《こっちも出す d(^_^o) 》
《野菜系もあるでしゅか……》
《果物も ♪(´ε` ) 》
《ついでに出しゅでしゅよっ》

ちょっとどうなのかと思いながら、ダンゴが告げる。パックンは貯め過ぎるのだ。

「在庫ちょっと減らしたいもんね~」
《うんうん  (๑╹ω╹๑ ) 》


コウヤもパックンも一緒じゃないかと、テンキとダンゴは呆れた。

そこに、タリスがやって来る。

「ちょっとコウヤちゃん。何なの? この快適な野営空間っ。まだ一日目なのに屋台部隊まで連れて来ちゃってっ」

一応、終わった後で打ち上げのために屋台部隊は呼ぶ予定だったのだ。それが一日目の夜に、既に用意されていたため、タリスも驚いたらしい。

「最終確認の時に、変更になってましたけど、マスターも許可出してましたよ?」
「え……」
「商会からの援助とかがかなり入って来ていて、せっかくなので、俺たちが作るより、専門家に作ってもらおうってことで、彼らにお願いしたんです」
「そ、そう……まあ、嬉しそうだし、いいかな」

納得してくれたらしい。仕事の後の美味しいご飯は大事だろう。

「あっ、それと、予定通りエルフの里も明日には使えるようになりそうです。ただ、エルフの方々は半分以上、協力不可ということになりました」
「やっぱり、そんな分からずやなの?」

期待はしていなかった。だが、それでもと思っていた所はある。

「ちょっと精神的にあの人たち弱くって」
「ん?」
「実はですねえ……」

コウヤは新たな称号など、事情を説明した。

「っ、ぶっ、あははははっ。それっ、それっ、シーちゃんなんてっ?」
「怒るより先に呆れてしまったという感じでしたねえ」
「あははははっ」

タリスは思いっきり笑っていた。

「じゃあ、あそこはまあ、シーちゃんに任せようか」
「はい」
「明日からも頑張ろー♪ そういえば、明日はコウヤちゃん、今日処理できた土地の調査だっけ? 一人で大丈夫?」
「ニール達が来るみたいで、問題なさそうです」
「あっ、そうなの。じゃあ大丈夫そうだね」
「はい」

土地が正常になったかどうか、今日迷宮化が解けた場所を調査して回ることになっていた。

これに、ニールとブランナ、ビジェが護衛として付き合ってくれることになっていた。

**********
読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします◎
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

気弱令息が婚約破棄されていたから結婚してみた。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:188

【完結】モブなのに最強?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,434pt お気に入り:4,564

虐げられた第一王女は隣国王室の至宝となる

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:611

生前SEやってた俺は異世界で…

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:10,261

異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:175

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。