337 / 475
第十一章
442 コンパってやつだよねっ
しおりを挟む
サニール達、師匠の人たちもキリがついた所で振り返ったため、コウヤは手を振った。テンキも尻尾をフサフサと振っている。
これを見て、更にエルフたちは顔を青ざめさせているようだが、そちらは気にせずにコウヤは笑顔を向ける。
だが、ベニとミラルファは気になったようだ。
「コウヤは一体何したんだい? まったく話も聴かない時間のかかりそうな子達だったろうに」
「周りを全部拒否して、人族とあり得ないって喚きそうな子達ですわよね? それがあんなに震えて」
ベニは保護された彼らを知っていたが、さすがはミラルファだ。ほんの少し観察しただけで、彼らがどんな種類の人か理解したようだ。
「ちょっとだけ脅しました。あとはアレです。ちょっとテンキが力試しをしている所に居ただけです」
《お陰で力の使い方が分かりました》
しれっとテンキは尻尾を一振り。実際、九尾としての新しい能力の試し打ちをしたようなものだ。怒りに任せ、半分は本能で思うままに力を使っただけ。役には立った。
《少々、我を忘れましたが、消滅もさせなかったので、きちんと手加減はしていましたよ》
「「なるほど」」
確かに、完全に我を忘れていたら、彼らは消滅していただろう。跡形もなく。加減は出来ていたと見るべきだ。
「ふふっ。師匠さん達も元気そうですし、彼らは問題ないですね。ただ、師匠さん達には彼らの面倒を見るのは迷惑かもしれませんけど」
それを確認に来たのだ。今のところ、師匠達は見捨てる気もなさそうに見える。
「そうねえ。けど、あの子達、問題児ってことでしょう? 逃げ出さないかしら?」
「逃げるのは、あの人たちの性格的に自分に許さない気がしますけど……どうでしょう」
彼らのプライドとして、逃げるという選択肢はない気がするのだが、追い詰められていく現状、どうなるかは分からない。
「逃げて外に出すには不安だねえ。コウヤ、神官達にその場合は連れ戻すように言っておいてくれるかい?」
「うん。そうする。師匠さん達には悪いけどね」
出来が悪い子ほど可愛いというのもあるはずだが、あの人たちは可愛い部類には入らないだろう。いくら今は不出来でも、可愛がれないものはある。
《主様。どのみち、あの方達の奥義などは、もうあのエルフ達は受け継げないでしょうし、どうでしょう。ユースールの者たちなど、有望な者たちを弟子として紹介しては》
「それはいいねえ。ここにはちょうど、良いのが集まっているし」
「そうですわね。余裕が出てきたら是非そうしていただくといいわ」
今、迷宮化の対応で来ている冒険者達は、それなりに名も知れた者も多い。それも世界中から集まっているのだ。
旅をして弟子となり得る者を探してきた彼らにしたら、好都合だろう。
「うん。なら、候補を探してもらって、全部終わったら顔合わせできるように、場を用意しようかな。他にも、弟子を探してる人とか居そうだったし、ついでに全部まとめて計画するよっ」
逆に弟子になりたいと言う者も出てくるだろう。良い出会いの場になりそうだ。
「これって親睦会……ううんっ、コンパってやつだよねっ。よしっ、今から計画を練らないとっ」
合コン、コンパなんて言葉は聞いていても、実際に参加することはなかった。だから少しばかりコウヤは燃えていた。
《なんだか主様がやる気に……》
「終わった後の事を考えられるとは……良い事だねえ。弟子か……考えてみるのも悪くない……」
「コウヤさんがパーティを開くってことかしら? でも、師弟の出会いの場ってことよね? 羨ましいわっ、私もっ、私も弟子を探そうかしら……っ」
コウヤが終わった後の事を考えているということは、この戦いに不安がないということ。勝利が確約されたようなものだ。
そして、コウヤ主催になりそうなパーティの計画。これにより、師弟ブームが起きるとは、コウヤも予想できなかった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
二日空きます。
よろしくお願いします◎
これを見て、更にエルフたちは顔を青ざめさせているようだが、そちらは気にせずにコウヤは笑顔を向ける。
だが、ベニとミラルファは気になったようだ。
「コウヤは一体何したんだい? まったく話も聴かない時間のかかりそうな子達だったろうに」
「周りを全部拒否して、人族とあり得ないって喚きそうな子達ですわよね? それがあんなに震えて」
ベニは保護された彼らを知っていたが、さすがはミラルファだ。ほんの少し観察しただけで、彼らがどんな種類の人か理解したようだ。
「ちょっとだけ脅しました。あとはアレです。ちょっとテンキが力試しをしている所に居ただけです」
《お陰で力の使い方が分かりました》
しれっとテンキは尻尾を一振り。実際、九尾としての新しい能力の試し打ちをしたようなものだ。怒りに任せ、半分は本能で思うままに力を使っただけ。役には立った。
《少々、我を忘れましたが、消滅もさせなかったので、きちんと手加減はしていましたよ》
「「なるほど」」
確かに、完全に我を忘れていたら、彼らは消滅していただろう。跡形もなく。加減は出来ていたと見るべきだ。
「ふふっ。師匠さん達も元気そうですし、彼らは問題ないですね。ただ、師匠さん達には彼らの面倒を見るのは迷惑かもしれませんけど」
それを確認に来たのだ。今のところ、師匠達は見捨てる気もなさそうに見える。
「そうねえ。けど、あの子達、問題児ってことでしょう? 逃げ出さないかしら?」
「逃げるのは、あの人たちの性格的に自分に許さない気がしますけど……どうでしょう」
彼らのプライドとして、逃げるという選択肢はない気がするのだが、追い詰められていく現状、どうなるかは分からない。
「逃げて外に出すには不安だねえ。コウヤ、神官達にその場合は連れ戻すように言っておいてくれるかい?」
「うん。そうする。師匠さん達には悪いけどね」
出来が悪い子ほど可愛いというのもあるはずだが、あの人たちは可愛い部類には入らないだろう。いくら今は不出来でも、可愛がれないものはある。
《主様。どのみち、あの方達の奥義などは、もうあのエルフ達は受け継げないでしょうし、どうでしょう。ユースールの者たちなど、有望な者たちを弟子として紹介しては》
「それはいいねえ。ここにはちょうど、良いのが集まっているし」
「そうですわね。余裕が出てきたら是非そうしていただくといいわ」
今、迷宮化の対応で来ている冒険者達は、それなりに名も知れた者も多い。それも世界中から集まっているのだ。
旅をして弟子となり得る者を探してきた彼らにしたら、好都合だろう。
「うん。なら、候補を探してもらって、全部終わったら顔合わせできるように、場を用意しようかな。他にも、弟子を探してる人とか居そうだったし、ついでに全部まとめて計画するよっ」
逆に弟子になりたいと言う者も出てくるだろう。良い出会いの場になりそうだ。
「これって親睦会……ううんっ、コンパってやつだよねっ。よしっ、今から計画を練らないとっ」
合コン、コンパなんて言葉は聞いていても、実際に参加することはなかった。だから少しばかりコウヤは燃えていた。
《なんだか主様がやる気に……》
「終わった後の事を考えられるとは……良い事だねえ。弟子か……考えてみるのも悪くない……」
「コウヤさんがパーティを開くってことかしら? でも、師弟の出会いの場ってことよね? 羨ましいわっ、私もっ、私も弟子を探そうかしら……っ」
コウヤが終わった後の事を考えているということは、この戦いに不安がないということ。勝利が確約されたようなものだ。
そして、コウヤ主催になりそうなパーティの計画。これにより、師弟ブームが起きるとは、コウヤも予想できなかった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
二日空きます。
よろしくお願いします◎
248
お気に入りに追加
11,119
あなたにおすすめの小説


【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
連載希望のコメントをいただきましたので、
連載に向け準備中です。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。