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第十一章
436 不本意ながら
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怯えて最初から頭を地面に擦り付けた者たちは良かった。だが、最初に殴り倒された男を見ていながら、無謀にもユキを睨み付ける者たちもいたのだ。
そんな者たちは、端の方で積まれることになった。
「何度見ても、人を積み上げるってすごいなって思うよ」
コウヤはここでも感心していた。これに、ジンクは戸惑う。
「何度も見たの? 子どもが見ていいものじゃないでしょっ。ベニちゃん達何してたの?」
「ん? ばばさま達がやってたんだよ?」
「……っ、ベニちゃん……っ」
顔を両手で覆って座り込んでしまったジンクは気にせず、コウヤはそろそろ落ち着いたらしいユキの下へ歩み寄っていく。
テンキはジンクを慰めていた。
《まあまあ、大司教達は母親というより、世の中の厳しさも容赦なく教える祖母でしたからね。あなたはきっと良い父親になれますよ》
「ううっ。ありがとうっ……っ」
間違った育ち方をしてはいないので良しとするべきだとジンクも諦めたようだ。
そんなこととは知らず、コウヤはユキを中心にして座り込んだままのエルフ達の間をすり抜けていく。
「シーレスさん達が来る必要がなくなりそう」
後でシーレスを中心として、この里に殴り込みに来る予定だったのだが、ユキがキレてしまったので、制圧はこれで終了しそうだ。
満足そうなユキへコウヤは声をかける。
「ユキさん。もうすぐシーレスさん達が来ると思うので、奥で寝込んで弱ってる人たちの所に行きましょう」
「はっ! そうでした。あの憎らしいクソ親父の顔を見てつい我を忘れてしまいました……」
「ふふっ。いいですよ。溜め込むのはよくないですからね。で、あの方が族長さんということでよろしいですか?」
未だ、起き上がれずにいる顔に布を被せられて横臥する男へ目を向ける。ピクリとも動かないが、死なないはずなので大丈夫のはずだと納得しておく。
「あ、はい! 不本意ながら、アレが父で族長になります!」
「あの状態なら動かないだろうし……あ、ここにも映像出してもらいましょう」
エルフの里には、手前の里の上空にしか映像を出さなかった。それが彼らが行動に移す合図のようなもので、勇気を与えるものだった。
ここに映像を出さなかったのは、見せた所で騒ぐだけだとナチやユキ、シーレスが判断したから。リクトルスが現状を説明するのに、少しだけ見せていたが、今はもう消えている。
彼らの今の状態ならば、大人しく観ていられるだろう。
「エリィ姉~」
そう空に向かって声をかけると、映像が映し出された。それに、エルフ達はポカンと口を開けて目を向けていた。
「これでいいね。じゃあ、案内してもらっていいですか?」
「はい! こちらです!」
「ジンクおじさ~ん。一応、シーレスさん達が来るまでここお願いね~」
手を挙げて了承を示すジンクを確認してから、コウヤはユキに案内されて更に里の奥へと向かった。
そこには、十数名の男女が苦しそうにベッドの上だけでなく、床にも転がっていた。
「……放り込んだだけの状態に見えるんだけど……」
「そのようですね……」
「ところで、薬師は?」
「……はい」
「ん?」
ユキがなぜか手を挙げた。
「いえ、あの……ここの薬師さんは……」
「はい。私だけだと思います!」
「……え……?」
そんなことあるのかと、コウヤは患者達とユキを見比べて首を傾げることになった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします◎
そんな者たちは、端の方で積まれることになった。
「何度見ても、人を積み上げるってすごいなって思うよ」
コウヤはここでも感心していた。これに、ジンクは戸惑う。
「何度も見たの? 子どもが見ていいものじゃないでしょっ。ベニちゃん達何してたの?」
「ん? ばばさま達がやってたんだよ?」
「……っ、ベニちゃん……っ」
顔を両手で覆って座り込んでしまったジンクは気にせず、コウヤはそろそろ落ち着いたらしいユキの下へ歩み寄っていく。
テンキはジンクを慰めていた。
《まあまあ、大司教達は母親というより、世の中の厳しさも容赦なく教える祖母でしたからね。あなたはきっと良い父親になれますよ》
「ううっ。ありがとうっ……っ」
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そんなこととは知らず、コウヤはユキを中心にして座り込んだままのエルフ達の間をすり抜けていく。
「シーレスさん達が来る必要がなくなりそう」
後でシーレスを中心として、この里に殴り込みに来る予定だったのだが、ユキがキレてしまったので、制圧はこれで終了しそうだ。
満足そうなユキへコウヤは声をかける。
「ユキさん。もうすぐシーレスさん達が来ると思うので、奥で寝込んで弱ってる人たちの所に行きましょう」
「はっ! そうでした。あの憎らしいクソ親父の顔を見てつい我を忘れてしまいました……」
「ふふっ。いいですよ。溜め込むのはよくないですからね。で、あの方が族長さんということでよろしいですか?」
未だ、起き上がれずにいる顔に布を被せられて横臥する男へ目を向ける。ピクリとも動かないが、死なないはずなので大丈夫のはずだと納得しておく。
「あ、はい! 不本意ながら、アレが父で族長になります!」
「あの状態なら動かないだろうし……あ、ここにも映像出してもらいましょう」
エルフの里には、手前の里の上空にしか映像を出さなかった。それが彼らが行動に移す合図のようなもので、勇気を与えるものだった。
ここに映像を出さなかったのは、見せた所で騒ぐだけだとナチやユキ、シーレスが判断したから。リクトルスが現状を説明するのに、少しだけ見せていたが、今はもう消えている。
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「エリィ姉~」
そう空に向かって声をかけると、映像が映し出された。それに、エルフ達はポカンと口を開けて目を向けていた。
「これでいいね。じゃあ、案内してもらっていいですか?」
「はい! こちらです!」
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手を挙げて了承を示すジンクを確認してから、コウヤはユキに案内されて更に里の奥へと向かった。
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「……放り込んだだけの状態に見えるんだけど……」
「そのようですね……」
「ところで、薬師は?」
「……はい」
「ん?」
ユキがなぜか手を挙げた。
「いえ、あの……ここの薬師さんは……」
「はい。私だけだと思います!」
「……え……?」
そんなことあるのかと、コウヤは患者達とユキを見比べて首を傾げることになった。
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三日空きます。
よろしくお願いします◎
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