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第十一章
424 第二作戦開始
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赤から黄色に確かに変わったバルーンの色に気付き、冒険者達は喜色を浮かべる。
「おっし。四分の一だなっ」
「おっ。タイミングよく安全エリアがもうすぐだ」
安全エリアは、中央近くに用意されており、ここで発見できた。
「そんじゃ、外側から追い込んでくるか」
「だな」
「作戦の確認するぞ~」
このフィールドのリーダー役が手を大きく振って、注目させる。もちろんこの時、周りの警戒も忘れていない。普段の彼のパーティメンバーがそれを受け持つ。
各フィールドのリーダーは、担当フィールドの番号の付いた腕章の色が鮮やかな青。彼らは全員、ユースールの冒険者かタリスのように戦闘に特化したギルドマスター達だ。
「最終的に、あの安全エリアの近くにボスを出したい。ボスは恐らく、最後に倒した魔獣の場所の近くに出るってことだ。だから、俺らはこれから散らばって外からここまで追い込みながら討伐を進める」
ある程度、出現位置を調整できるはずだというのは、過去に迷宮化に対応したベニ達に聞いていた。
それならばと安全エリアを先に固定したのだ。戦いやすい場所を調査して。
「ここまでの魔獣の数で四分の一……あとコレと三回分同じだけ倒せば良い」
四分の一と普通に話していたが、多くの冒険者達は学がなく、そう言われてもわからない者も居る。だが、ユースールの冒険者は違った。
昇級試験の度に、読み書き計算なども習うことが出来るのだ。それ専用の特別コースもある。どのみち、高ランクになれば必須。一気にやるか少しずつやるかと聞かれれば、少しずつ確実にだろう。
今回参加しているのは、ランクの高い者が多いが、だからといって、知識が完璧に揃っているとは言えない。他のギルドでは、最後に一気にが普通だからだ。これにより、Bランクに昇級できない者もいたりする。
「あ、なるほど……四分の一……四回分の一回ってことか」
「なるほど~」
「ってか、この一回分……俺らあんま倒してねえ……」
「だって、先頭に居るのがやべえもん」
「トルヴァランのユースール……覚えとこ……」
魔獣達が奮戦してくれたということもある。それこそ、スキルを取れる余裕があるくらい、ほとんど任せきりだった。だが、開始してから一時間は経っている。
「魔獣達にもこの安全エリアは有効だ。迷宮の魔獣は入れないよう、外側に結界が張られているから安心しろ。そっちは頼むぞ」
「「はい!」」
従魔術師となった者たちが、魔獣達にこの場所を覚えるように伝えていた。入ってもらって確認もしている。体力までしっかり回復していく感覚で、魔獣達も理解したようだ。
「こっからが本番だ。グループ分けをする。先ずはリーダー」
ここで八つのグループに分ける。三十人ほどの四パーティとソロとペアがここには居るが、八人のリーダーが選出され、横に並ぶ。彼らには、先立って説明はしている。
「次にそれぞれのメンバーだが、力のバランスを取るため、いつものパーティメンバーと分かれる場合もある。先ずは個別に分けるから黙って従ってくれ」
四人か三人で分かれた。
「少数パティーで迅速に散開する。リーダーの指示に従ってくれ。ここに、魔獣達が入る。頑張って付いて行けよ」
「あ、あの……すみません……このメンバーの理由は……」
気になっていたのだろう。それが分かるので、問題なく、寧ろニヤリと笑って見せた。
「後衛でここまで来た奴らに、それぞれの実力や体力、スキルの使い方を確認してもらっていた。あとは、素直に話を聞けるかどうかとかな」
「「「「「……」」」」」
スキルの話も、それを見るためにあえて教えたのだ。
「ユースールは辺境でな。普通にAランク指定の魔獣も突然出てくるような場所だ。だから、いざという時に指示に従えないとか、不満を抑えられないとか、現場では命取りだ。体力配分も余裕を見ておかないと、最後の最後に泣くことになる」
これを聞いて、冒険者達は静かに口を閉じた。
「パーティの中で一人が不満を口にして、それに賛同する奴がいるって状況が一番ヤバい。それは、パーティメンバーが多くなるほどあり得ることだ。声を上げれば、誰かは賛同するって自信になるからな。だから今回はあえて少人数にしている。余計なこと考える余裕もねえ」
冒険者は、騎士とは違って自由だからこそ、自分の考えを簡単に口にする。それがどこであっても不満があればその場でぶちまける。
しかし、今回はそんな余裕はないだろう。何より、少人数だからこその機動力を活かしたい。
「不満は後で聞いてやる。いいな。リーダーの指示には従え。その他はただ戦うことだけ考えれば良い。勝つことだけ考えろ。無駄口叩いてる余裕はねえぞ」
「「「「「っ……」」」」」
またニヤリと楽しそうに笑われ、トルヴァラン組以外の冒険者達はゴクリと唾を呑む。
「それに、集中してやってると、良いスキルが手に入るぜ? 熟練度が上がったりな。チャンスだと思って楽しもうや」
これがユースール式の考え方だった。
「お前らぁぁぁっ。気合い入れていくぞぉぉぉ」
「「「「「っ、おぉぉぉっ!!」」」」」
「第二作戦開始だぁぁっ! 散開!」
そして、リーダーを先頭にして、フィールドの外側へと最速で駆け出していった。
次にここに集まるのは、バルーンの色が四分の三以下、青色になる時だ。
そんな光景をエルフや獣人族の里では、信じられない様子で多くの者が見つめていた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします◎
「おっし。四分の一だなっ」
「おっ。タイミングよく安全エリアがもうすぐだ」
安全エリアは、中央近くに用意されており、ここで発見できた。
「そんじゃ、外側から追い込んでくるか」
「だな」
「作戦の確認するぞ~」
このフィールドのリーダー役が手を大きく振って、注目させる。もちろんこの時、周りの警戒も忘れていない。普段の彼のパーティメンバーがそれを受け持つ。
各フィールドのリーダーは、担当フィールドの番号の付いた腕章の色が鮮やかな青。彼らは全員、ユースールの冒険者かタリスのように戦闘に特化したギルドマスター達だ。
「最終的に、あの安全エリアの近くにボスを出したい。ボスは恐らく、最後に倒した魔獣の場所の近くに出るってことだ。だから、俺らはこれから散らばって外からここまで追い込みながら討伐を進める」
ある程度、出現位置を調整できるはずだというのは、過去に迷宮化に対応したベニ達に聞いていた。
それならばと安全エリアを先に固定したのだ。戦いやすい場所を調査して。
「ここまでの魔獣の数で四分の一……あとコレと三回分同じだけ倒せば良い」
四分の一と普通に話していたが、多くの冒険者達は学がなく、そう言われてもわからない者も居る。だが、ユースールの冒険者は違った。
昇級試験の度に、読み書き計算なども習うことが出来るのだ。それ専用の特別コースもある。どのみち、高ランクになれば必須。一気にやるか少しずつやるかと聞かれれば、少しずつ確実にだろう。
今回参加しているのは、ランクの高い者が多いが、だからといって、知識が完璧に揃っているとは言えない。他のギルドでは、最後に一気にが普通だからだ。これにより、Bランクに昇級できない者もいたりする。
「あ、なるほど……四分の一……四回分の一回ってことか」
「なるほど~」
「ってか、この一回分……俺らあんま倒してねえ……」
「だって、先頭に居るのがやべえもん」
「トルヴァランのユースール……覚えとこ……」
魔獣達が奮戦してくれたということもある。それこそ、スキルを取れる余裕があるくらい、ほとんど任せきりだった。だが、開始してから一時間は経っている。
「魔獣達にもこの安全エリアは有効だ。迷宮の魔獣は入れないよう、外側に結界が張られているから安心しろ。そっちは頼むぞ」
「「はい!」」
従魔術師となった者たちが、魔獣達にこの場所を覚えるように伝えていた。入ってもらって確認もしている。体力までしっかり回復していく感覚で、魔獣達も理解したようだ。
「こっからが本番だ。グループ分けをする。先ずはリーダー」
ここで八つのグループに分ける。三十人ほどの四パーティとソロとペアがここには居るが、八人のリーダーが選出され、横に並ぶ。彼らには、先立って説明はしている。
「次にそれぞれのメンバーだが、力のバランスを取るため、いつものパーティメンバーと分かれる場合もある。先ずは個別に分けるから黙って従ってくれ」
四人か三人で分かれた。
「少数パティーで迅速に散開する。リーダーの指示に従ってくれ。ここに、魔獣達が入る。頑張って付いて行けよ」
「あ、あの……すみません……このメンバーの理由は……」
気になっていたのだろう。それが分かるので、問題なく、寧ろニヤリと笑って見せた。
「後衛でここまで来た奴らに、それぞれの実力や体力、スキルの使い方を確認してもらっていた。あとは、素直に話を聞けるかどうかとかな」
「「「「「……」」」」」
スキルの話も、それを見るためにあえて教えたのだ。
「ユースールは辺境でな。普通にAランク指定の魔獣も突然出てくるような場所だ。だから、いざという時に指示に従えないとか、不満を抑えられないとか、現場では命取りだ。体力配分も余裕を見ておかないと、最後の最後に泣くことになる」
これを聞いて、冒険者達は静かに口を閉じた。
「パーティの中で一人が不満を口にして、それに賛同する奴がいるって状況が一番ヤバい。それは、パーティメンバーが多くなるほどあり得ることだ。声を上げれば、誰かは賛同するって自信になるからな。だから今回はあえて少人数にしている。余計なこと考える余裕もねえ」
冒険者は、騎士とは違って自由だからこそ、自分の考えを簡単に口にする。それがどこであっても不満があればその場でぶちまける。
しかし、今回はそんな余裕はないだろう。何より、少人数だからこその機動力を活かしたい。
「不満は後で聞いてやる。いいな。リーダーの指示には従え。その他はただ戦うことだけ考えれば良い。勝つことだけ考えろ。無駄口叩いてる余裕はねえぞ」
「「「「「っ……」」」」」
またニヤリと楽しそうに笑われ、トルヴァラン組以外の冒険者達はゴクリと唾を呑む。
「それに、集中してやってると、良いスキルが手に入るぜ? 熟練度が上がったりな。チャンスだと思って楽しもうや」
これがユースール式の考え方だった。
「お前らぁぁぁっ。気合い入れていくぞぉぉぉ」
「「「「「っ、おぉぉぉっ!!」」」」」
「第二作戦開始だぁぁっ! 散開!」
そして、リーダーを先頭にして、フィールドの外側へと最速で駆け出していった。
次にここに集まるのは、バルーンの色が四分の三以下、青色になる時だ。
そんな光景をエルフや獣人族の里では、信じられない様子で多くの者が見つめていた。
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