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第十一章
420 ご安心ください
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多くの冒険者の集まる中央野営地。
その冒険者達の前に、タリスが立つ。空に映る映像も良好だ。
『これから、迷宮化討伐作戦を開始する』
「「「「「おおおおおっ!!」」」」」
各所で雄叫びが上がる。野営地同士は、それぞれの司令本部として用意されたテントの中にある通信の魔導具で繋がっている。
中に居るのは、偵察に特化した従魔術師達や、情報収集を得意とする神官達だった。
「っっっ、すご……」
「耳がおかしくなりそうですね~」
「うわ~、ミラルファ様も周りの冒険者に混じって分からない……」
「いつもの王妃然とした様子とは違いますね……それはまあ、うちの大司教様達にも言えることですが……」
「「「あ~」」」
ミラルファと並んで笑顔を見せるのが、セイだ。美人姉妹冒険者と言われても普通に納得しそうだ。
そんな司令部の中の様子など知る由もなく、タリスは続けていた。
『改めて説明すると、迷宮とは違うことが多い。これについて、コウヤちゃんから説明するよ』
そして、総司令部に居るコウヤへと映像が切り替わる。
『では、説明させていただきます』
あれがコウヤかとそこここで頷く人達が居るが、気にせず進んでいく。
『各フィールドは、迷宮の階層と考えていただいて構いません。そのフィールドの特徴によって、出てくる魔獣や魔物が変わってきます』
それなら普通の迷宮と同じだなと納得する。
『ただし、今回の迷宮化では、そのフィールドに居る魔獣や魔物を全て倒さないと、ボスが出てきません。ボスを倒せば、そのフィールドは消滅し本来の土地に変わります』
「「「「「……」」」」」
その困難さがわかったらしい。冒険者達は口を噤んだ。
『迷宮ですと、隠れてやり過ごせば良かった魔獣も、全て相手にし、尚且つ、倒さなくてはなりません。集団暴走では、時間制限がありました。そこまで、なんとか食い止めれば良かった。それもありません』
「「「「「……」」」」」
終わりがない。完全討伐しか有り得ないなんてこと、冒険者達には経験がないことだ。
『今回は皆さんが戦い抜けるよう、冒険者ギルドとしても万全の体制、対策を立てました』
コウヤの表情に悲壮感はない。寧ろ、楽しそうでもある。
『各フィールドにつき三十人ほどのチームで当たっていただきますが、フィールドは高ランクの迷宮の階層と同じくらいの広さです。人数に対して、広いと思われるでしょうが、これは、充分に魔法や投擲などの力を発揮していただくためです。閉塞的な迷宮とは違い、使える魔法も多いでしょう』
「確かに……迷宮じゃ使えないのも使えるなら、かなり楽だ」
「長剣でもキツイとこあるもんな……それ考えたら、まあ……」
迷宮には迷宮での戦い方がある。小回りの効かない武器は使えない場合もあるのだ。それを気にしなくて良いなら、難しくはないかもしれないと戦い方を考えだす。
『そして、今回は多くの味方がいます。こちらをご覧ください』
「「「「「え……」」」」」
映し出されたのは、多くの魔獣や魔物の群れ。これでは集団暴走ではないかと顔色を悪くする者もいた。
だが、コウヤの声音は変わらない。
『彼らは、迷宮化した土地に棲んでいた魔獣や魔物達です。彼らからすれば、棲んでいた場所を乗っ取られたようなもの。よって今回、彼らも皆さんと共に戦います』
「「「「「……はあ!?」」」」」
魔獣達と共闘するなど、考えたこともないだろう。だが、前例はもうある。
『今回の事態では、彼らは従魔と変わりありません。そして、従魔にも全て、体のどこかに聖魔教のシンボルである『四円柱』を描いてあります。これは、あなた方の攻撃を弾きます。よって、間違って攻撃をしてしまったとしても、魔法に巻き込まれたとしても、彼らには影響がありません。水に濡れてもあのマークは取れませんので、ご安心ください』
「「「「「……え……」」」」」
「弾くって言った?」
「攻撃全部?」
すごいことを聞いたと、周りで確認しあう。
『剣で斬りつけても、弾かれます。逆に手を痛めますから気をつけてくださいね。完全無効化までいかず、弾きますので、角度によっては魔法も返ってきますので、お気をつけて♪』
「……なんか、可愛く言われたけど、返ってくるって……」
「なにそれ、逆に怖いんだけど……」
不安に思う冒険者達。だが、一方でコウヤを知る冒険者達や魔法師達の反応は違った。
「ああ、アレだ。その反射も使ったらどうかってコウヤは言いたいんだろ。これ、楽しくね?」
「うわっ、なるほどっ。反射も使って攻撃っ。何それ! 楽しすぎるっ」
「アレっ、アレです!! コウヤ様の『なないろ』! あれで魔法の球を弾いて、弾いて、追い込んでいくのを見たことあります!」
「それかっ!! アレをやれと!! マジで楽しいんだが!?」
一気にワクワク度が上がったらしい。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします◎
その冒険者達の前に、タリスが立つ。空に映る映像も良好だ。
『これから、迷宮化討伐作戦を開始する』
「「「「「おおおおおっ!!」」」」」
各所で雄叫びが上がる。野営地同士は、それぞれの司令本部として用意されたテントの中にある通信の魔導具で繋がっている。
中に居るのは、偵察に特化した従魔術師達や、情報収集を得意とする神官達だった。
「っっっ、すご……」
「耳がおかしくなりそうですね~」
「うわ~、ミラルファ様も周りの冒険者に混じって分からない……」
「いつもの王妃然とした様子とは違いますね……それはまあ、うちの大司教様達にも言えることですが……」
「「「あ~」」」
ミラルファと並んで笑顔を見せるのが、セイだ。美人姉妹冒険者と言われても普通に納得しそうだ。
そんな司令部の中の様子など知る由もなく、タリスは続けていた。
『改めて説明すると、迷宮とは違うことが多い。これについて、コウヤちゃんから説明するよ』
そして、総司令部に居るコウヤへと映像が切り替わる。
『では、説明させていただきます』
あれがコウヤかとそこここで頷く人達が居るが、気にせず進んでいく。
『各フィールドは、迷宮の階層と考えていただいて構いません。そのフィールドの特徴によって、出てくる魔獣や魔物が変わってきます』
それなら普通の迷宮と同じだなと納得する。
『ただし、今回の迷宮化では、そのフィールドに居る魔獣や魔物を全て倒さないと、ボスが出てきません。ボスを倒せば、そのフィールドは消滅し本来の土地に変わります』
「「「「「……」」」」」
その困難さがわかったらしい。冒険者達は口を噤んだ。
『迷宮ですと、隠れてやり過ごせば良かった魔獣も、全て相手にし、尚且つ、倒さなくてはなりません。集団暴走では、時間制限がありました。そこまで、なんとか食い止めれば良かった。それもありません』
「「「「「……」」」」」
終わりがない。完全討伐しか有り得ないなんてこと、冒険者達には経験がないことだ。
『今回は皆さんが戦い抜けるよう、冒険者ギルドとしても万全の体制、対策を立てました』
コウヤの表情に悲壮感はない。寧ろ、楽しそうでもある。
『各フィールドにつき三十人ほどのチームで当たっていただきますが、フィールドは高ランクの迷宮の階層と同じくらいの広さです。人数に対して、広いと思われるでしょうが、これは、充分に魔法や投擲などの力を発揮していただくためです。閉塞的な迷宮とは違い、使える魔法も多いでしょう』
「確かに……迷宮じゃ使えないのも使えるなら、かなり楽だ」
「長剣でもキツイとこあるもんな……それ考えたら、まあ……」
迷宮には迷宮での戦い方がある。小回りの効かない武器は使えない場合もあるのだ。それを気にしなくて良いなら、難しくはないかもしれないと戦い方を考えだす。
『そして、今回は多くの味方がいます。こちらをご覧ください』
「「「「「え……」」」」」
映し出されたのは、多くの魔獣や魔物の群れ。これでは集団暴走ではないかと顔色を悪くする者もいた。
だが、コウヤの声音は変わらない。
『彼らは、迷宮化した土地に棲んでいた魔獣や魔物達です。彼らからすれば、棲んでいた場所を乗っ取られたようなもの。よって今回、彼らも皆さんと共に戦います』
「「「「「……はあ!?」」」」」
魔獣達と共闘するなど、考えたこともないだろう。だが、前例はもうある。
『今回の事態では、彼らは従魔と変わりありません。そして、従魔にも全て、体のどこかに聖魔教のシンボルである『四円柱』を描いてあります。これは、あなた方の攻撃を弾きます。よって、間違って攻撃をしてしまったとしても、魔法に巻き込まれたとしても、彼らには影響がありません。水に濡れてもあのマークは取れませんので、ご安心ください』
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「攻撃全部?」
すごいことを聞いたと、周りで確認しあう。
『剣で斬りつけても、弾かれます。逆に手を痛めますから気をつけてくださいね。完全無効化までいかず、弾きますので、角度によっては魔法も返ってきますので、お気をつけて♪』
「……なんか、可愛く言われたけど、返ってくるって……」
「なにそれ、逆に怖いんだけど……」
不安に思う冒険者達。だが、一方でコウヤを知る冒険者達や魔法師達の反応は違った。
「ああ、アレだ。その反射も使ったらどうかってコウヤは言いたいんだろ。これ、楽しくね?」
「うわっ、なるほどっ。反射も使って攻撃っ。何それ! 楽しすぎるっ」
「アレっ、アレです!! コウヤ様の『なないろ』! あれで魔法の球を弾いて、弾いて、追い込んでいくのを見たことあります!」
「それかっ!! アレをやれと!! マジで楽しいんだが!?」
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