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第十一章

418 居るわよ?

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大陸にある人族の国全てから支援を受けられるということで、多くの冒険者の投入が可能になった。

よって、二箇所の迷宮化する場所に、同時に対応することが決まった。

集合場所として用意してある野営地は各五箇所。そこに続々と冒険者達が集まってくる。更に、後方支援の者たちは、今は近くの町に集合し、作戦開始の時を待っている。

これらの振り分けは、参加表明したギルドにて行われる。ランクや冒険者自身の意志によって決められていた。

低ランクの者たちは、ほとんどが後方支援に回されている。

そこは迷宮化対策の総本部。場所は大陸中央部の上空だ。マンタとエイがそれぞれの迷宮化の土地の上空に待機。

連絡係として神官達が、ひっきりなしにバイクで飛び回っている。

国際会議を行った城の中間部。そこに、司令総本部が置かれ、コウヤはここに詰めていた。

「では、各場所のモニターを起動します。マリーちゃん、オスロー、いくよ」

二人の守護妖精がいるのはユースールと王都、それぞれの守護をする土地の教会を通して、その力を大陸全土に行き渡らせる。これには、他の迷宮の精霊達も力を貸し、土地の魔力回路を作ったことで実現させた。

『《任せて♪》』
『《ん、やる》』

守護妖精の力により、マンタとエイによって撮られている迷宮化した土地の上空からの映像が、各冒険者ギルド上空と迷宮化対策の野営地、各国の会議室に用意したスクリーンに映し出される。

「うん。感度良好。問題なさそうだね」
「コウヤちゃんったら、すごいこと考えたわねえ」

後ろから確認用の映像モニターを覗き込んで、エリスリリアが感心の声を上げる。彼女は、酷い怪我人が出た場合、すぐにその場に転移することになっている。

「他の迷宮の精霊達も、迷宮化については思うところがあるみたいで、協力を得られたのはよかったよ。それならこれができるかなって思っちゃったんだよね~」

はじめ、コウヤは従魔達を目にして中継をと思っていた。だが、従魔達も戦いたいものが多く、ただ目になるというのは受け入れ難そうだったのだ。そこに、ダンゴから精霊達が協力を申し出ていると教えられた。

迷宮化とは、精霊の暴走でもある。あまり力を使い過ぎるのも良くない。よって、早く解放してやるためにも、協力したいとのことだった。

他にも理由はある。迷宮化した土地の支配下に入ってしまった迷宮の精霊達は、身動き出来なくなる。迷宮の機能は停止させられ、力も吸い取られていくようなもの。これでは、精霊達も困る。

だからこその協力だった。

「ふふっ。でも、見えるのは良いわね。国も、お金を出してる以上、冒険者達がどれくらいの働きをするかっていうのは知りたそうだったし」
「冒険者ギルドとしても、後で難癖付けられても困るからね。何より、トルヴァラン王家と違って、他の国の人たちは、実感以前に、知識もないみたいだったから、実際に見てもらった方が早いかなって」

こういうことをしていますと言葉で伝えても、現場の事は上手く伝わらないものだ。人は、実感しなければ中々理解できない。現場を見たことがなければ、想像力にも限界があるだろう。

よって、証拠としても使えるよう、多くの人の目を同じように向けさせることにした。だから、少し無理をしてでも、国の代表にだけでなく、冒険者ギルドでも同じ情報を流すことにしたのだ。

「それに……今度はきちんと伝えて行ってほしいからね」
「そうね。以前のは、ベニちゃん達神子達だけで対処したんだものね。記録にも残っていないみたい。だから、前例があっても今まで気付かなかったのよね。同じことを今後起こさないためにも、周知は必要だわ」

以前は特に、人もかなり減った時だった。だから、国が一つ二つ巻き込まれて消えても、それほど影響がなかったのだ。

神子達も、フィールド丸ごと吹っ飛ばすような大きな技をガンガン使って対処できたというわけだ。

「更にはっ、聖魔教の布教にも役立つかもしれないわよねっ」
「結局、ベニばあさま達も含めたほとんど総出になりそうだもんね……」

ベニ、セイ、キイも、当然のように戦闘要員として冒険者に混ざるつもりらしいのだ。スタンバイする様子が映っていた。神教国への殴り込みも不発に終わっていたため、ここで不満を解消したいのだろう。

コウヤは出撃準備をする面々を見ながら、まあいいかと笑っていれば、その中にミラルファの姿があって、慌てて目を留めた。

「ん? え!? ミラお祖母様までっ。アルキス様が居るのは予想してたけど……」
「あらあら。あの辺なんで、文官の子達じゃなかった?」
「っ、本当だ! 何してるの!?」
「やる気満々じゃない? あそこには、魔法師の子達も居るわよ?」
「……確かに冒険者としての身分もあるけど……いいのかな……」

ユースールの文官、武官は当然のように混じっているし、更には王宮の文官や武官、金の鎧を相棒にした魔法師達まで居る。どうやら、国の防衛班とは分かれているらしいので、文句は言えない。

「そういえば、一部が報酬なしでのボランティア参加だってマスターが言ってたけど、あの人たちのことかな……」

今や、彼らはマラソンのスタートの合図を待つような、少しワクワクした様子で、出撃の号令を待っている。あれは止められない。

「まあ、いいんじゃない? 楽しそうだし。そろそろはじまるわよ」
「うん……魔獣達はリクト兄が指揮するし、きっと大丈夫だよね」
「もちろんよ」

そして、作戦は開始された。

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読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします◎

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