177 / 475
第七章 ギルドと集団暴走
282 お祭りじゃない!?
しおりを挟む
疲れを癒すため、まったりと午後を過ごした冒険者たちは、再び集合していた。
「丁度、昨日の今頃か?」
「ああ。なんか、終わってみるとあっという間だったな……」
グラムとセクタがしみじみと語り合う。
「すごい経験ができました」
「グラムさん、セクタさん。ありがとうございました」
「まさか、戦闘講習がこんなことになるなんて……」
「けど、たしかに良い経験だったと思う」
「それに……ここが守れてよかった」
「だな」
『雪の夜闇』の五人は今回のことで、しっかりと成長したようだ。このベルセンでも、彼らを見下す者はもういない。つい先ほど、受付嬢たちも彼らに頭を下げていた。これには、謝られた彼らの方が動揺していた。
そんな五人に、セクタが確認する。
「ここで修了の手続きすることもできるぞ? 残るか?」
この問いかけに迷うかと思っていたグラムとセクタ。しかし、彼らはきっぱりと告げた。
「いいえ。残った所で、あまり役に立つとも思えないですし、それよりも、ユースールでもっと力を付けたいです。それで、ここにいる俺らと同じ孤児たちをきちんと正しく導けるようになります!」
「……お前ら……」
セクタは呆然と、しっかりと前を向く彼らを見た。このベルセンの孤児たちから選ばれる『雪の夜闇』のメンバー。引き継がれてきたパーティ名は死地へ赴くための大義名分で、免罪符だった。
今まで、沢山の孤児たちが他の孤児たちを生かすためとはいえ、犠牲になってきた。自分たちの仲間である孤児を養うために『雪の夜闇』の名をもって日銭を稼ぎ、時に稼ぐために悪事にも加担してきた。
「神官様たちが孤児たちを教会で引き取ってくれるって聞きました。あの神官様たちは信用できます。俺らの稼ぎも、寄付として受け取ってもらいました」
「今回の報酬も全部って言ったら、めちゃくちゃ怒鳴られたけどな」
「あれが叱ってくれるってことなんだなって思った」
「そ、そうか……」
あの神官たちに怒鳴られて嬉しそうにするのはどうなのだろうか。グラムとセクタは、少しばかり新しい扉を開けていないか心配になる。
「確か『誰かのためというのは立派ですが、義務のように与えるのはやめなさい』だったっけ」
これを聞いて、グラムが笑った。
「ははっ。そりゃ言われるわ。聖魔教の神官さんたちは『義務』とか『偽善』が嫌いだからな」
「教会がそれを否定するって、普通じゃ考えられんがなあ」
セクタも同意する。
「そうなんですね……やっぱり違うなあ。あとなんか……『きちんと毎回、与える子たちに生きて笑顔を見せて、それが習慣になったら、その行為は本物だ』って言われたんですけど」
この時、グラムたちは気付いていなかった。いつの間にか、周りの冒険者たちも聞き入っている。
「あそこは、匿名の寄付を受け付けてねえんだよ」
「でも、貴族とか……そういうの、教会って受けてたはず」
「それは、他の教会な。聖魔教の教会はダメだ」
「なんで……」
不思議に思うのも仕方がない。匿名でも教会への寄付は当たり前だったのだから。その裏に何かあると分かっていても、寄付は寄付だ。けれど、聖魔教は許していない。
「知られたくないとか、恥ずかしいとかの理由でもダメだ。それ『ただ何となく』とかって、理由がないからってのが大きいだろ。偽善じゃないなら、理由がはっきり言えるはずだ。義務が、なんの義務なのかはっきり言えないのは、後ろめたく思ってるからだしな。そういう曖昧な『義務』とか『偽善』が神官さんたちは嫌いなんだよ」
ベルセンの者たちは、新しくなる教会に少し不安を感じていた。教会に対する不信感というのは、その実態がはっきりしなくても感じていたのだ。だから、静かにそれを聴いていた。
「施しを受けなきゃ回らない教会は、いざという時に何かに屈する。それじゃあ、本当に助けを求めてる奴が助からねえ。だから、はっきりとした理由のない寄付は受けねえってのが、大司教様たちの方針らしい」
「それって……すごいですね。も、もちろんあの神官様たちは戦いもすごかったですし……考え方が違うんだなって……」
「「「……っ」」」
『神官様たちは戦いも』という辺りで、周りの者たちが同時に息を呑んだ。それにより、ようやくグラムは、周りに聞き耳を立てられていたことに気付いた。
「ははっ。そんな怯えんなって。聖魔教の神官さんたちた頼もしいぞ? 貴族だって、ルールを無視すりゃボコボコにして、町から放り出すからな。物理的に」
「煩い商人とかもな。他の教会と懇意にしてたとか言って来たキラキラした商人、アレどうしたっけか」
「俺知ってる! 眩しくて迷惑だとかって、肥溜めに放り投げられてた!」
いつの間にか、その場は聖魔教の自慢話大会になり始めた。
「あ、私その後知ってる! ジザ様が『汚物処理させて申し訳ありません』って兵とゼットさんに引き渡してた。汚れたからって、服脱がせてたから、ただの汚い太ったおっさんになってたよ。めっちゃ笑った。ジザ様ステキ過ぎる!」
「おいおい。それならリエラ様の方が凄かったぞ!」
「っ……」
グラムがリエラの名前を聞いてビクリと肩を小さく震わせた。
「リエラ様はなあ、あんな華奢な見た目で、俺より大きな男を一瞬で投げ飛ばすんだよ! 教会の前で起きた乱闘騒ぎを、たった一人で治めたんだ」
「それ見た! アレだよな。聖魔教を潰したい教会に雇われた奴ら。二十人くらい居たよな」
「あ、それ! 花火みたく宙に舞ったやつでしょ! あの技知りたくて、リエラお姉様に弟子入りしたいって押しかけたのよ!」
「やっぱ、リエラ様最高ー!」
「……」
グラムが目を泳がせる。ユースール組で理由を知っているのは、セクタと『雪の夜闇』の二人だけ。
そこに、狙ったようにリエラがやってきた。
「あら、呼びました?」
「「「リエラ様!!」」」
神官だというのに様付け。けれどベルセンの人々も、もはや不思議に思わない。寧ろ、一緒に様付けしていたりする。
それだけ白夜部隊の戦いは印象的で、凄まじかった。
「ふふ。皆さん、元気ですね」
「はい! リエラお姉様はどうしてこちらに?」
キラキラとお姉様と呼ぶ女性の冒険者たち。彼女たちに艶やかな笑みを見せて、リエラはグラムへ一歩近付いた。
「報告をしようと思ったの」
「何のです?」
「……まさか……っ」
周りは何のだろうかと少しワクワクしている。けれど、グラムは激しく嫌な予感でいっぱいだった。そして、その予感は的中する。
「グラムさん♪」
「な、は、はい」
ルンルンとご機嫌なリエラの表情に、グラムは覚悟を決めた。
「コウヤ様に許可をいただきましたわ。約束、覚えてまして?」
「っ……ああ……こ、ここでか?」
「ここでがいいです♪ ほら、コウヤ様が来られましたわ」
姿を元に戻したコウヤがタリスとフレイ、それと領主補佐のゼフィルと階段を上っていくのが見えた。
「さあ、お早く」
「わ、わかった」
グラムはすっと息を吸い、ゆっくり吐いてから意を決して口にした。
「っ、リエラ。俺は、神様たちの次でいい。だから……俺と結婚してくれ」
「喜んで!」
リエラはグラムに抱きついていく。女性の中では背の高い方のリエラも、グラムにとっては小さな人だ。抱き上げて、もうどうにでもなれと笑った。
そして、周りはようやく理解していく。
「っ……グラムさんがリエラお姉様と結婚!?」
思わず叫んだ女性によって、その場はシンと一度静まり返り、一拍後に爆発した。
「「「えぇぇぇぇ!!」」」
コウヤたちの所まで聞こえたそれに、タリスは飛び上がって驚いていた。
「え? 結婚? グラムちゃんが? リエラお姉……あ、神官の? え? 結婚!?」
大混乱していた。
「集団暴走より大事じゃない!? どうすんの!? お祭りじゃない!?」
「ふふふ。マスター、お祭りって。ふふっ。そうですね。商店が競って安売りとか始めそうです。帰ったら凄いことになりそうですね」
グラムはユースールの冒険者の中でトップに位置する実力者。そんな英雄のような人が、これまたとっても有名なリエラと結婚を決めた。お祭り騒ぎにならない方がおかしい。
「あ、屋台部隊の所で話し合いが始まりましたね」
「うわあ、さすが商業ギルド職員……」
とはいえ、このままではそのまま宴会にでも突入しそうだ。
コウヤは拡声の魔法で先ずはグラムとリエラに声をかける。
「グラムさん、リエラさん。ご婚約、おめでとうございます」
「っ、ありがとう」
「ありがとうございます!」
これにより、周りの声も落とされ、皆の目もコウヤの方を向いた。
「ユースールに帰ったら、二人揃って大司教たちにも報告をお願いしますね」
「分かった」
「はい」
ベニたちは、リエラ達神官の親のようなものだ。きっと喜ぶだろう。
「さて、おめでたいお話もあって、皆さんの疲れも吹き飛んだようですね。改めて、昨日からの集団暴走お疲れ様でした。幸いにも、外壁に被害もなく、人的被害もほとんど出ておりません。冒険者の方々だけでなく、町の方々にも多くの援助をいただき、一丸となった結果が出たのだと思います」
誰もが静かにそれを聞いて頷く。ここには、冒険者たちだけでなく、避難していた町の住民やスラムの者たちも居る。全員で勝ち取ったものなのだと、誇らしい思いで胸をいっぱいにした。
「ここで、領主補佐よりお話があります」
コウヤが下がると、ゼフィルが前に出た。
「私は領主補佐のゼフィルと申します。先ずは皆さまに感謝を。そして、勇敢に戦ってくださった冒険者の方々に敬意を」
誰もが静かにゼフィルへ注目していた。誰もが感じたのだ。ここから、ベルセンが変わるのだということを。
*********
読んでくださりありがとうございます◎
二日空きます。
よろしくお願いします◎
「丁度、昨日の今頃か?」
「ああ。なんか、終わってみるとあっという間だったな……」
グラムとセクタがしみじみと語り合う。
「すごい経験ができました」
「グラムさん、セクタさん。ありがとうございました」
「まさか、戦闘講習がこんなことになるなんて……」
「けど、たしかに良い経験だったと思う」
「それに……ここが守れてよかった」
「だな」
『雪の夜闇』の五人は今回のことで、しっかりと成長したようだ。このベルセンでも、彼らを見下す者はもういない。つい先ほど、受付嬢たちも彼らに頭を下げていた。これには、謝られた彼らの方が動揺していた。
そんな五人に、セクタが確認する。
「ここで修了の手続きすることもできるぞ? 残るか?」
この問いかけに迷うかと思っていたグラムとセクタ。しかし、彼らはきっぱりと告げた。
「いいえ。残った所で、あまり役に立つとも思えないですし、それよりも、ユースールでもっと力を付けたいです。それで、ここにいる俺らと同じ孤児たちをきちんと正しく導けるようになります!」
「……お前ら……」
セクタは呆然と、しっかりと前を向く彼らを見た。このベルセンの孤児たちから選ばれる『雪の夜闇』のメンバー。引き継がれてきたパーティ名は死地へ赴くための大義名分で、免罪符だった。
今まで、沢山の孤児たちが他の孤児たちを生かすためとはいえ、犠牲になってきた。自分たちの仲間である孤児を養うために『雪の夜闇』の名をもって日銭を稼ぎ、時に稼ぐために悪事にも加担してきた。
「神官様たちが孤児たちを教会で引き取ってくれるって聞きました。あの神官様たちは信用できます。俺らの稼ぎも、寄付として受け取ってもらいました」
「今回の報酬も全部って言ったら、めちゃくちゃ怒鳴られたけどな」
「あれが叱ってくれるってことなんだなって思った」
「そ、そうか……」
あの神官たちに怒鳴られて嬉しそうにするのはどうなのだろうか。グラムとセクタは、少しばかり新しい扉を開けていないか心配になる。
「確か『誰かのためというのは立派ですが、義務のように与えるのはやめなさい』だったっけ」
これを聞いて、グラムが笑った。
「ははっ。そりゃ言われるわ。聖魔教の神官さんたちは『義務』とか『偽善』が嫌いだからな」
「教会がそれを否定するって、普通じゃ考えられんがなあ」
セクタも同意する。
「そうなんですね……やっぱり違うなあ。あとなんか……『きちんと毎回、与える子たちに生きて笑顔を見せて、それが習慣になったら、その行為は本物だ』って言われたんですけど」
この時、グラムたちは気付いていなかった。いつの間にか、周りの冒険者たちも聞き入っている。
「あそこは、匿名の寄付を受け付けてねえんだよ」
「でも、貴族とか……そういうの、教会って受けてたはず」
「それは、他の教会な。聖魔教の教会はダメだ」
「なんで……」
不思議に思うのも仕方がない。匿名でも教会への寄付は当たり前だったのだから。その裏に何かあると分かっていても、寄付は寄付だ。けれど、聖魔教は許していない。
「知られたくないとか、恥ずかしいとかの理由でもダメだ。それ『ただ何となく』とかって、理由がないからってのが大きいだろ。偽善じゃないなら、理由がはっきり言えるはずだ。義務が、なんの義務なのかはっきり言えないのは、後ろめたく思ってるからだしな。そういう曖昧な『義務』とか『偽善』が神官さんたちは嫌いなんだよ」
ベルセンの者たちは、新しくなる教会に少し不安を感じていた。教会に対する不信感というのは、その実態がはっきりしなくても感じていたのだ。だから、静かにそれを聴いていた。
「施しを受けなきゃ回らない教会は、いざという時に何かに屈する。それじゃあ、本当に助けを求めてる奴が助からねえ。だから、はっきりとした理由のない寄付は受けねえってのが、大司教様たちの方針らしい」
「それって……すごいですね。も、もちろんあの神官様たちは戦いもすごかったですし……考え方が違うんだなって……」
「「「……っ」」」
『神官様たちは戦いも』という辺りで、周りの者たちが同時に息を呑んだ。それにより、ようやくグラムは、周りに聞き耳を立てられていたことに気付いた。
「ははっ。そんな怯えんなって。聖魔教の神官さんたちた頼もしいぞ? 貴族だって、ルールを無視すりゃボコボコにして、町から放り出すからな。物理的に」
「煩い商人とかもな。他の教会と懇意にしてたとか言って来たキラキラした商人、アレどうしたっけか」
「俺知ってる! 眩しくて迷惑だとかって、肥溜めに放り投げられてた!」
いつの間にか、その場は聖魔教の自慢話大会になり始めた。
「あ、私その後知ってる! ジザ様が『汚物処理させて申し訳ありません』って兵とゼットさんに引き渡してた。汚れたからって、服脱がせてたから、ただの汚い太ったおっさんになってたよ。めっちゃ笑った。ジザ様ステキ過ぎる!」
「おいおい。それならリエラ様の方が凄かったぞ!」
「っ……」
グラムがリエラの名前を聞いてビクリと肩を小さく震わせた。
「リエラ様はなあ、あんな華奢な見た目で、俺より大きな男を一瞬で投げ飛ばすんだよ! 教会の前で起きた乱闘騒ぎを、たった一人で治めたんだ」
「それ見た! アレだよな。聖魔教を潰したい教会に雇われた奴ら。二十人くらい居たよな」
「あ、それ! 花火みたく宙に舞ったやつでしょ! あの技知りたくて、リエラお姉様に弟子入りしたいって押しかけたのよ!」
「やっぱ、リエラ様最高ー!」
「……」
グラムが目を泳がせる。ユースール組で理由を知っているのは、セクタと『雪の夜闇』の二人だけ。
そこに、狙ったようにリエラがやってきた。
「あら、呼びました?」
「「「リエラ様!!」」」
神官だというのに様付け。けれどベルセンの人々も、もはや不思議に思わない。寧ろ、一緒に様付けしていたりする。
それだけ白夜部隊の戦いは印象的で、凄まじかった。
「ふふ。皆さん、元気ですね」
「はい! リエラお姉様はどうしてこちらに?」
キラキラとお姉様と呼ぶ女性の冒険者たち。彼女たちに艶やかな笑みを見せて、リエラはグラムへ一歩近付いた。
「報告をしようと思ったの」
「何のです?」
「……まさか……っ」
周りは何のだろうかと少しワクワクしている。けれど、グラムは激しく嫌な予感でいっぱいだった。そして、その予感は的中する。
「グラムさん♪」
「な、は、はい」
ルンルンとご機嫌なリエラの表情に、グラムは覚悟を決めた。
「コウヤ様に許可をいただきましたわ。約束、覚えてまして?」
「っ……ああ……こ、ここでか?」
「ここでがいいです♪ ほら、コウヤ様が来られましたわ」
姿を元に戻したコウヤがタリスとフレイ、それと領主補佐のゼフィルと階段を上っていくのが見えた。
「さあ、お早く」
「わ、わかった」
グラムはすっと息を吸い、ゆっくり吐いてから意を決して口にした。
「っ、リエラ。俺は、神様たちの次でいい。だから……俺と結婚してくれ」
「喜んで!」
リエラはグラムに抱きついていく。女性の中では背の高い方のリエラも、グラムにとっては小さな人だ。抱き上げて、もうどうにでもなれと笑った。
そして、周りはようやく理解していく。
「っ……グラムさんがリエラお姉様と結婚!?」
思わず叫んだ女性によって、その場はシンと一度静まり返り、一拍後に爆発した。
「「「えぇぇぇぇ!!」」」
コウヤたちの所まで聞こえたそれに、タリスは飛び上がって驚いていた。
「え? 結婚? グラムちゃんが? リエラお姉……あ、神官の? え? 結婚!?」
大混乱していた。
「集団暴走より大事じゃない!? どうすんの!? お祭りじゃない!?」
「ふふふ。マスター、お祭りって。ふふっ。そうですね。商店が競って安売りとか始めそうです。帰ったら凄いことになりそうですね」
グラムはユースールの冒険者の中でトップに位置する実力者。そんな英雄のような人が、これまたとっても有名なリエラと結婚を決めた。お祭り騒ぎにならない方がおかしい。
「あ、屋台部隊の所で話し合いが始まりましたね」
「うわあ、さすが商業ギルド職員……」
とはいえ、このままではそのまま宴会にでも突入しそうだ。
コウヤは拡声の魔法で先ずはグラムとリエラに声をかける。
「グラムさん、リエラさん。ご婚約、おめでとうございます」
「っ、ありがとう」
「ありがとうございます!」
これにより、周りの声も落とされ、皆の目もコウヤの方を向いた。
「ユースールに帰ったら、二人揃って大司教たちにも報告をお願いしますね」
「分かった」
「はい」
ベニたちは、リエラ達神官の親のようなものだ。きっと喜ぶだろう。
「さて、おめでたいお話もあって、皆さんの疲れも吹き飛んだようですね。改めて、昨日からの集団暴走お疲れ様でした。幸いにも、外壁に被害もなく、人的被害もほとんど出ておりません。冒険者の方々だけでなく、町の方々にも多くの援助をいただき、一丸となった結果が出たのだと思います」
誰もが静かにそれを聞いて頷く。ここには、冒険者たちだけでなく、避難していた町の住民やスラムの者たちも居る。全員で勝ち取ったものなのだと、誇らしい思いで胸をいっぱいにした。
「ここで、領主補佐よりお話があります」
コウヤが下がると、ゼフィルが前に出た。
「私は領主補佐のゼフィルと申します。先ずは皆さまに感謝を。そして、勇敢に戦ってくださった冒険者の方々に敬意を」
誰もが静かにゼフィルへ注目していた。誰もが感じたのだ。ここから、ベルセンが変わるのだということを。
*********
読んでくださりありがとうございます◎
二日空きます。
よろしくお願いします◎
278
お気に入りに追加
11,119
あなたにおすすめの小説


【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
連載希望のコメントをいただきましたので、
連載に向け準備中です。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。