元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌

紫南

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第七章 ギルドと集団暴走

268 賭けてんなよ!

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ベルセンの冒険者をまとめるAランクのロイン率いるパーティ『草原の牙』は、誰もがこの日何度も絶望を感じていた。

「なんでっ、なんで終わらないんだ……っ」
「も、もうすぐ終わるんじゃなかったの……」
「くっ、腕に力が入らなくなってきた……っ」

明らかに魔獣の数が減ってきた時。これでようやく終わると思った。

怒涛のように向かってくる魔獣の群に、集団暴走スタンピードが始まって十分としない内に心は折れそうだった。

必死に逃げないように心を奮い立たせ、ベルセンの冒険者達を率いるパーティとしての体裁を整えていたのだ。

特にロインとヒリタは、氾濫の起きる『大蛇の迷宮』でも、助けを求める冒険者達を無視出来ずに先頭に立って戦った。ロインやヒリタにとっては通い慣れた迷宮で適当に依頼を受けつつ『迷宮デート』をしに行った所だ。はっきり言って油断もしていた。

なんとか脱出できたが、薬さえ用意していなかったため、体はボロボロのまま。死を覚悟した。ロインもヒリタも、出口までたどり着けたのは、他の冒険者たちの目があったからだ。

ベルセンで最強の冒険者である自分たちが、弱音を吐くところを見せてはならないと、意地を見せた。だが、今は乱戦の最中だ。弱音を吐いてもパーティメンバー以外には聞こえないと知って心は弱くなる。

「っ、ロイン……も、もう……っ」
「ダメだヒリタ! 後ろにはベルセンの冒険者達がいるんだから……っ」

そんな中で、ロインは自問していた。

なんで自分はこんなに頑張っているのだろう。こんなにもなぜ見栄を張らなくてはならないのか。必死で魔獣の相手をして、朦朧としてきた意識の中で頭に浮かんだのはギルド職員達の言葉。


『あなた達はこのベルセンの冒険者の代表よ。皆のお手本になってね』

『私たちがAランクって認めたのよ? あなた達は強いわ。自信を持って』

『ロインは逃げたりしないでしょう? だって、この町唯一のAランクだもの』

『これだけお前達を優遇してるんだ。このベルセンから出てくなんてことしないよな』


Aランクだからと言われれば、ロイン達は誇らしかった。だが、同時にロインは胸に何かが刺さっていく気がしていた。

自分は本当にAランクとしての力があるのだろうか。確かにBランクパーティ推奨の『大蛇の迷宮』には、下層まで一人でも行ける。だが、それはもう何十回と通い、魔獣達の行動パターンが全て分かるようになっていたからだ。

今ならばそう思える。

ロイン達にとって集団暴走スタンピードは初めての経験。このベルセンではここ数十年起きていなかった。

ベルセンで生まれ、ベルセンで育った彼らは、少しは外の世界を知ろうと、Cランクに上がった頃に他の町も見に行った。しかし、ロイン達は愛想も顔も良かったこともあり、ベルセンで受付嬢達に優遇されていた。そのため、それがない他の町のギルドは不満だったのだ。

あのユースールにも行った。その頃は冒険者達も殺伐としていて、確かに強い人が多いが、怖いという印象の方が強く残った。

早々に戻ってきてベルセンに居ついたことで、彼らは慢心していった。この辺りの魔獣達や近くの迷宮にも慣れ、遅れを取ることがなくなったと自負する頃、Aランクになった。

彼らにとっては順調すぎるほど順調な生活。

このベルセンには親達も居るが、冒険者になるのを反対されて家を出た手前、顔を出すこともない。その上、噂でスラムに落ちたというのを聞いて、更に関わらないようにしていた。

彼らはこの環境に甘えていた。

この町にAランクはロイン一人。ギルドに持ち上げられて、周りの冒険者に羨望の眼差しを向けられる。そうしていい気になっていたが、今この瞬間、自分が本当にAランクの冒険者と名乗って良かったのかと疑問が浮かんでくる。

「なんで……なんであの人達、あんな軽く……」

視線の先。最前線に居るのは、突然空から降ってきた冒険者達。今まで前で戦っていたグラムというAランクの冒険者に親しそうにする様子から、彼らがユースールから来た冒険者あるというのは察していた。

「あ……」

彼らのおかげで一気に負担は減った。怪我をして動けなくなっていた者たちは、いつの間にか回収されている。ロイン達のようにガタが来始めた者の前には、逞しく、頼りになる大きな背中があった。

「お前らっ、そのままゆっくり下がっていけ。このままだと足手纏いだ!」
「っ、お、俺たちはAランクのっ」

パーティメンバーの一人。盾役の仲間が反論する。これはもう反射だ。表情や声には、確かな怯えと疲れが感じられた。

「ランクなんて今は関係ねえ! やれるかどうかの判断だけしろ! このまま、お前らはここに立っていられるか!!」
「む、無理です……っ」

ずっと言えなかった言葉を、ようやく出すことができた。他のメンバーたちもホッとしている。

「なら下がれ! おい! セクタ! こいつらを下げろ!」

走ってきたセクタの事は、知っていた。

スラムの出で孤児。彼を入れたパーティは、かなりの確率で仲間を失う。だから、厄病神とか呼ばれていた。そして、誰も組む者がいなくなって、いつの間にかベルセンから消えていた。

彼が足を引っ張るからパーティメンバーを亡くしたのだと聞いていたが、今の彼を見て、それを信じられる者はいないだろう。

「下がる気になったのか」
「っ……はい……」

セクタに問われ、ロインは目をそらしながら頷いた。もう、仲間達は声を出す気力すらないのだ。

「なら、合図をしたらついて来い!」

そう言いながら、セクタはちらりと手にした何かを確認した。懐中時計のように見える。黒くて貴族の関係者が持つような金や銀の美しいものではないが、確かに針があったように思う。

それからセクタは声を上げた。

「おやっさん! 長くても後十五分だ! 頼んます!」
「おう! 任せとけ! 減らすからもうちょい待てよ? おい、グラム。この魔力弾使え。一気に減らすぞ」
「いや、確かに威力あるが……予想外の威力になるのが怖いんだが……」

この乱戦の中、ユースールの冒険者達は、何かの作業のように魔獣を葬り、気楽に声を掛け合う。それを見て、ロイン達はなんだか心が軽くなった。絶望が遠のいたのを感じた。

彼らは信じられないことに、この状況でも時に笑うのだ。

「はははっ。だってそりゃあお前、魔力量がバカみたいに増えてるらしいし?」
「は?」

グラムは普通にキョトンとした。その時、ロインの目には今まさにグラムに襲い掛かろうとする魔獣が映っていた。

「っ、危ない!!」

咄嗟に叫んだが、それよりも早く周りが対応していた。

「ほらよっ」
「あっ、それ俺の獲物!」
「早いもん勝ちだろ」

周りの冒険者達がグラムに向かって来た魔獣を瞬殺したのだ。それも、取り合っている。

グラムはそれを頼りにしていたのだろう。表情も態度も変えずに、笑う壮年の冒険者に確認する。

「魔力が? 誰の?」
「お前のだ、よっと! コウヤが『グラムさんって、あれだけ魔力量があるのに、なんで魔法使わないんでしょう?』って不思議がってたぜ? まあ、俺らは『単純に気付いてない』に賭けてたがなっ。年取るとステータスもあんま確認しなくなるしなあ。どうだ?」
「賭けてんなよ! 悪かったな! 気付いてねえよ!」
「やっぱな~。これで酒代が手に入ったぜ」

おちゃらけながらも、彼らは時に斬撃を飛ばし、魔法が着弾する位置を確認して移動しては、目の前の魔獣を確実に減らしていく。

「っ……なんて強さなの……」
「すげえ……あの人ら、もしかしてSランク?」
「なんで楽しそうに……」
「っ……」

ロイン達は信じられなかった。笑い話をしながら、まるでゲームのように、遊びのように戦う冒険者達。ここに、絶望は寄り付かなかった。

「ほれ、もうあと少しだしよお。ここに魔力回復薬もある。ってことで、いい機会だ。お前の魔力がどれだけのもんか、ちょい見してみ?」
「どれだけって……こう……魔力を……ん? 込めてもまだ……」

壮年の男に手渡された赤いボールに、グラムが魔力を注ぎ込む。グラムは練習の時に込めた感覚のまま使っていた。何より、一人の時にはそれほど集中して魔力を込めていられなかった。周りが守ってくれる今、時間もタイミングも気にせずに込められるだけ魔力を込められる。

「じゃんじゃん注げ~」
「ちょっ、グラムさん。魔力枯渇……ってか、変な感じしたら止めてくださいよ? え? まだ入るんすか? ちょっ、魔法師の人! 俺らをあの魔力弾から守ってください!! 絶対やばい!!」

ロインよりも若い。魔獣がどれだけ一気に来ても顔色を変えなかった青年が、グラムの手にする赤いボールを見て顔を青ざめさせていた。

「グラムさん! これ以上はダメっす!! て、テンキ教かーーーん!!」

どこからともなく、狐がふわりと飛んできたことに、ロイン達はヒクリと息を呑む。だが、更にそれが喋ったのを聞いて目を見開く。

《これはまた……確かにまずいですね。グラム、ここまでです》
「あ、はい。投げても?」
《方向はあちらですよ。斜め上でどうぞ》
「そんでは」

グラムが振りかぶる。これは、コウヤが教えた投げ方だ。

《魔法師は全力で前方に結界を!》
「「「はっ!!」」」

そして、ボールが斜め前に勢いよく飛んだ。

《着弾時の衝撃に備えなさい!》
「そんなに?」

グラムは首を傾げた。それほど魔力を込め切ったという感じがしていないのだ。

「うわあ、嫌な予感……っ」

青年が目の前の魔獣を風の魔法で吹き飛ばす。結界が展開された。


ドォォォォン!!!!


地響きに続いて、ビュアッと爆風がくる。

「うわぁぁぁっ」
「きゃぁぁぁぁっ」

魔獣も人も関係なく、その爆風に吹き飛ばされて転がる。

「……うそだろ……」

恐らく、その爆発によって一気に二百近くの魔獣が消えた。

「え? これ、俺がやったのか?」
「わっはっはっ。これはすげえや。よし、グラムお前、最後の集団暴走スタンピードの時にも頼むぞ~」
「おやっさん!! これコウヤくんに怒られるっすよ!」
「え? なんで?」
「地形変わってるっすからね!?」

青年が指さした先。舞い上がった砂煙を魔法師達が治めるそこには、近くに行かないと底が見えないような大穴が空いていた。

「……お~……俺は見てねえ」
「その言い訳っ、テンキ教官の前で言えるんすか!」
「…………教官……っ、すんませんした!!」

土下座した。

勢いは弱まったとはいえ、未だに魔獣がやって来るその直中ただなかで。

《まったく……確かに、主様もグラムの魔力量は気になさっていましたが……はあ……まあいいでしょう。減りはしました》
「あ、あざ~っす」
《……ゲルナ……主様には叱られなさい》
「うえっ!? さっきいいって……許されたんじゃ?」

どれだけ魔獣が数で押してこようと絶望しなかった男が、顔を青ざめさせた。

《それとこれとは別です。さあ、まだ終わっていませんよ。ここで少しは挽回しないと…………》
「しないと……なんですか!?」
《どうなるんでしょうねえ》

意味ありげにテンキは顔を背けた。これにより、ゲルナと呼ばれた男はカッと目を見開き、雄叫びを上げた。

「うぉぉぉぉっ。殲滅せんめつじゃぁぁぁぁっ」
「お、お、おっ、おやっさん!? ちょっ、そんな勢いで突っ込んで行ったらダメですって! 年っ、年を考えて!」

青年が慌てて追いかけた。これに、ユースールの冒険者達も慌てる。

「おいおい。ゲルナのおやっさんに残り取られるぞ!」
「やべえじゃん! 明らかに俺らの活躍が足りてねえ!」
「これじゃあ、コウヤに頑張ったぞって言えねえよ!」
「あんなカッコよく降りて来たのに『グラムがほとんど倒しました』とか報告されんの!? 泣くよ!?」

現場が混乱してきた。もうロイン達はここがどこだか分からなくなりそうだった。 

そんな中に、ロイン達よりも若い冒険者も居り、二度見した。そんな彼らも叫んでいたのだ。

「うぉぉぉぉっ!! 分け前よこせぇぇぇ。ここで活躍したら、プロポーズするんだぁぁぁ」
「あ、あのバカ! 変なフラグ立つだろうが! ってか、お前がプロポーズする相手って……ダメだ! 俺が先にプロポーズするんだからな!!」
「あんたら! 勝手に行くんじゃないよ!」
「「お前は来なくていいから! 危ないから来んなよ!!」」
「なんでだよ! あたしらは仲間だろう!」
「ダメだ! お前に怪我させられん!」
「そうだ! ダメだからな!」
「なんで……」
「「俺らのどっちがいいか見ててくれよな!!」」
「え……そ、それって……っ」

ロイン達はまさかと思った。周りの冒険者達はニヤニヤしながら戦っている。恐らく、予想は外れていない。

ユースールでは未だに婚活ブームが継続中なのだ。

「青いなあ」
「ってか、まだ取り合ってたのかよ」
「もうさあ、一妻多夫でもよくね? 一夫多妻は許されてんだしよお。あれ、養えれば良いってやつだろ?」
「俺もそう聞いた。ユースールだけでも許してもらえるようにレンス様に今度言っとくか」
「だなあ。コウヤも前『本人たちが良いなら良いんじゃないですか?』とか言ってたし」
「マジ!? コウヤが良いって言ったんなら、もう良いじゃん」
「な~。まあ、とりあえず終わらせっか」
「それな」

そして、ユースールの冒険者達は、完全にベルセンの冒険者達を置いてきぼりにして一度目の集団暴走スタンピードを終わらせたのだった。

「……ユースールって……」

ベルセンの冒険者たちは、誰もがこの後これを事あるごとに口にすることになる。

魔獣や集団暴走スタンピードよりもベルセンの冒険者達の心を折ったのは、ユースールの冒険者達だったようだ。

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読んでくださりありがとうございます◎
二日空きます。
よろしくお願いします◎
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