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第七章 ギルドと集団暴走
233 神でも難しいの
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気を付けていたのにおかしいなとコウヤは首を傾げていた。
「なんでバレちゃうかな? 姿も全然違うのに」
これに呆れ半分で答えたのはアルキスだ。さすがに冒険者として修羅場を掻い潜ってきただけはある。切り替えは早い。
「……いや、そういうところが、もうコウヤにしか見えねえし……」
「そうですか? もうちょっといつもよりも大人っぽい感じなんですけど」
「いや、中身はモロいつものコウヤだし」
「え?」
本気で大人っぽいつもりだったのだ。
そこで、エリスリリアとリクトルスがクスクスと笑っていることに気付く。
「エリィ姉? リクト兄?」
「ふふふっ、ごめんっ。多分、コウヤちゃんはちゃんとバレないように出来てたわよ。私達が誘導したの」
「へ?」
コウヤだとバレるように会話を選んでいたという。
「これ以上、コウヤ君に無理させたくなくてね。そうですよね? 父上」
リクトルスがゼストラークに振ると、静かに頷きが返ってきた。
「さすがにまだ神界に生身のまま入るのは良くなかった。分かっているだろう」
「……っ」
こちらもバレていないと思っていたのだ。だが、神界に入ってすぐに酷い頭痛がしていた。我慢できない程ではなかったし、前世ではよくあることだったので平気だと思おうとしたのだ。
しまったなと顔に出たのだろう。ルディエが顔をしかめて詰め寄ってきた。
「兄さん……無理しないって約束」
「……はい……」
ルディエに言われては、認めるしかなかった。コウヤにとっては可愛い弟との約束なのだから。
「けど……戻るとまた俺……三歳児……」
「「「何の心配もないわっ」」」
「……はい……」
ベニ達に物凄く歓迎されているようなので、コウヤは諦めて神気を解いた。コウルリーヤの体が光ったかと思うと、ふわりとその場にダブダブの服を引っ掛けた幼児が舞い降りたのだ。
髪色もコウルリーヤの色からコウヤの色に変わっているので、コウヤの子どもの姿だというのはすぐにわかる。
あまりの可愛らしさに、初めて見た王族達が飛び上がって驚くのは仕方のないことだろう。
「コウヤっ……くっ、これは可愛い過ぎるっ」
アビリス王が悶えた。
「マジかっ、なんちゅう危険なっ。よく誘拐されんかったなっ。あ、お姉さんらが居れば問題ないか……」
アルキスがベニ達を確認して勝手に納得して椅子にもう一度腰掛ける。だが、目はコウヤから離さなかった。
「コウヤがっ……コウヤがっ……神よ……コレは私に息子との時間を返していただけるということなのですか……」
ジルファスは混乱しているらしく、目の前にいる神ではなく、手を組んで上を見ている。呼びかける対象は目の前にいるのに気付かない。
「なんてことっ、なんてことっ……カトレアのせいでこんな可愛い孫との時間が失われていたなんてっ……帰ったら寝ずに働かせてやるわ……っ」
ミラルファの中で、カトレアへの憎悪が再燃したようだ。カタカタと手を震わせるほどなので相当だ。
「可愛いっ、可愛いよっ、あんなの反則だよっ。いつも普通に可愛いのに、それ以上とかダメでしょうっ」
シンリームは大興奮中だった。
ベルナディオとニールは、コウヤの姿を目に焼き付けようと静かに頑張っている。表情はとても真剣だ。きっと、国のことを話し合う会議の時よりも。
「えっと……リウムさん。きがえありますか?」
「はい。隣の部屋にご用意してございます。参りましょうか」
「うんっ」
そして、自然に抱っこをお願いする姿勢を取る。すると、そこここでおかしな声が響いた。
「ぐふっ」
「んぐっ」
「ふっ……」
「うっ」
「ふあっ!?」
何事かと驚いて振り返れば、リウムとルディエ以外が全員口元を押さえ、目を逸らして震えていた。エリスリリア達までもがだ。まるで見ていられないというように突っ伏す者までいた。
「ん?」
「兄さん。気にしなくていいから……着替えている内に落ち着くよ」
「っ、コウヤ様。参りましょう」
「うん……?」
不思議に思いながらも、リウムに抱っこされて着替えに向かった。続き間になった部屋なので、外に出ないのはよかった。外にいる騎士達への説明が面倒臭い。
戻ってくると、また同じ光景に出会う。
「ん?」
「大丈夫だから、兄さん……リウム、ゼストラーク様の膝の上に」
「承知しました」
「ん?」
そうして、リウムは失礼しますと言って、コウヤを椅子に座ったゼストラークの膝の上に下ろした。
「あれ? ここ?」
まさかのゼストラークの膝の上。びっくりだ。だが、これにより、誰も文句が言えなくなった。ベニ達も肩を落としている。
コウヤはゼストラークの顔を見上げる。
「ゼストパパ、おもくない?」
「っ、ああ。問題ない」
「そう? ならここがいい!」
「そ、そうか」
ふわりと笑って喜ぶコウヤを、思わずよしよしと頭を撫でるゼストラークは正常だ。
「あ~んっ、もうっ、コウヤちゃん可愛い!」
「可愛い過ぎますねっ」
ゼストラークの両脇にいるエリスリリアとリクトルスがコウヤの小さな手を握ったり、ほっぺをつついたりする。そうして二人に構われることで、コウヤも機嫌がいい。
「ふふっ。くすぐったいです」
「「かわい~い」」
珍しくリクトルスも興奮していた。
「ふっ。落ち着け、二人とも。話を始めるぞ」
「は~い」
「分かりました」
しっかり切り替えたリクトルスが、全員が見えるように今着いている長机の上にTの字に三つのスクリーンを出す。二つが少し横長で背合わせだ。一つはゼストラーク達三人が座る側に向いている。
そのスクリーンには今、大陸を上から見た地図が映し出されていた。大雑把な国境線と王都の位置が分かるだけのシンプルなものだ。やろうと思えば、映像としても出せるが、今回はそんな必要はない。そして、いくつかの国には赤いピンが立っていた。
「赤い印のある国では、王または王族の誰かが病で倒れております。原因も症状も同じです」
「っ、まさか……」
アビリス王が顔色を変えた。これに答えたのは、両肘を突いて顔を乗せてたエリスリリアだ。
「そのまさかよ。神教国と名乗ってる所が原因。それとな~く王都に居る司教達が『自分達なら治せるかも』なんて囁いて、恩を売るのよ。今は戦争しようっておバカな国もないから、他の国が自分達の力の有り難みを理解できていないって考えたみたいね」
「そんなっ……そんなことで……」
戦争が頻発していた頃は、神教国に味方になってもらおうと、多くの国がすり寄っていた。自分達を中心に世界が回っていたように感じていたのだろう。その頃を未だに忘れられないのだ。
映像が切り替わる。
一つの四角い箱が映し出された。真ん中に水晶がはまっている。そこには黒く濁った色が見えた。
「これがあの国が保有している魔導具です。全部で五つあるはずです」
「いつつも?」
コウヤは流石に驚いた。リクトルスは苦笑。ゼストラークを見上げれば鎮痛な面持ちだ。それで察する。怒りが湧いてきた。
「……だれ……だれがかんしょうしてるの……」
「まだ分からない……だが、コウヤが復元した情報を全て確認しても、これの情報はなかった。それでも、我々の管理に引っかからないということは……この世界のものではない。彼を見て確信した。異質な気配が残っている」
アビリス王を儀式の時に見た時、すでにチェックしていたらしい。そして、神界に戻った時に、検索をかけたのだ。
コウヤはじっとゼストラークを見つめる。嘘がないのは分かっている。確認しているのは、これにゼストラークが怒っているかどうか。
犯人の追及はするつもりらしい。許す気もなさそうだ。温厚なゼストラークがだ。
「……わかった。アレはとりあえずかいしゅうする」
その言葉で、サーナが動いた。部屋の外に向かう。何をするか分かったので、コウヤはテンキに声をかける。
「あ、テンキ、いっしょにいってくれる?」
《はい。呪い関係ならば私が適任でしょう。お任せください》
テンキならば封印も出来る。回収しようとする白夜部隊の者達の身を守れるだろう。あの薬で回復できたならば、テンキで対処可能なはずだ。
サーナとテンキが出て行く直前、ゼストラークが口を開いた。
「持ち運ぶことが困難ならば、壊してくれ。一つで構わない。これは五つ揃わなければ使えない構造のようだからな」
「承知いたしました」
《はっ!》
それからすぐに、白夜部隊の数人が神教国へ向かったのがわかった。
これで一先ずはどうにかできると、コウヤがほっと息を吐く。すると、皆の視線が集まっているのに気付いた。
「ん?」
どうかしたのかと首を傾げると、リクトルスが答える。
「コウヤ君がすごいことが改めて分かったんですよ」
「すごい?」
「だって、一言で人が自然に動くのよ? これ、神でも難しいの」
「どうして?」
考え込む。すると、ゼストラークが優しく頭を撫でた。
「お前が一番分かっているはずだ。過去に、お前の言葉に耳を傾けることをせずに、人々は歯向かってきた。神であっても、言葉で従わせることは簡単なことではない」
「……」
その通りだと思った。あの時、人々はコウルリーヤが神だと知っても刃を向けたのだから。
「だから凄いことだということだ。コウヤでなくては出来ないとこだな」
まるで我が子を誇るように細められた目。嬉しそうなゼストラーク表情を見て、コウヤも自信を持って笑顔で返事をした。
「うんっ! ふふっ」
これにまた、しばらく周りが再起不能になるのだが、最後まで原因が自分であることに気付かないコウヤだった。
************
読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
★一応新作のお知らせ
気分転換がてら勢いで書いた作品です。
今のところ毎日一話投稿中。
元気な女の子の物語です!
【エセ関西人(笑)ってなんやねん!? ~転生した辺境伯令嬢は親友のドラゴンと面白おかしく暮らします~】
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「……いや、そういうところが、もうコウヤにしか見えねえし……」
「そうですか? もうちょっといつもよりも大人っぽい感じなんですけど」
「いや、中身はモロいつものコウヤだし」
「え?」
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そこで、エリスリリアとリクトルスがクスクスと笑っていることに気付く。
「エリィ姉? リクト兄?」
「ふふふっ、ごめんっ。多分、コウヤちゃんはちゃんとバレないように出来てたわよ。私達が誘導したの」
「へ?」
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「これ以上、コウヤ君に無理させたくなくてね。そうですよね? 父上」
リクトルスがゼストラークに振ると、静かに頷きが返ってきた。
「さすがにまだ神界に生身のまま入るのは良くなかった。分かっているだろう」
「……っ」
こちらもバレていないと思っていたのだ。だが、神界に入ってすぐに酷い頭痛がしていた。我慢できない程ではなかったし、前世ではよくあることだったので平気だと思おうとしたのだ。
しまったなと顔に出たのだろう。ルディエが顔をしかめて詰め寄ってきた。
「兄さん……無理しないって約束」
「……はい……」
ルディエに言われては、認めるしかなかった。コウヤにとっては可愛い弟との約束なのだから。
「けど……戻るとまた俺……三歳児……」
「「「何の心配もないわっ」」」
「……はい……」
ベニ達に物凄く歓迎されているようなので、コウヤは諦めて神気を解いた。コウルリーヤの体が光ったかと思うと、ふわりとその場にダブダブの服を引っ掛けた幼児が舞い降りたのだ。
髪色もコウルリーヤの色からコウヤの色に変わっているので、コウヤの子どもの姿だというのはすぐにわかる。
あまりの可愛らしさに、初めて見た王族達が飛び上がって驚くのは仕方のないことだろう。
「コウヤっ……くっ、これは可愛い過ぎるっ」
アビリス王が悶えた。
「マジかっ、なんちゅう危険なっ。よく誘拐されんかったなっ。あ、お姉さんらが居れば問題ないか……」
アルキスがベニ達を確認して勝手に納得して椅子にもう一度腰掛ける。だが、目はコウヤから離さなかった。
「コウヤがっ……コウヤがっ……神よ……コレは私に息子との時間を返していただけるということなのですか……」
ジルファスは混乱しているらしく、目の前にいる神ではなく、手を組んで上を見ている。呼びかける対象は目の前にいるのに気付かない。
「なんてことっ、なんてことっ……カトレアのせいでこんな可愛い孫との時間が失われていたなんてっ……帰ったら寝ずに働かせてやるわ……っ」
ミラルファの中で、カトレアへの憎悪が再燃したようだ。カタカタと手を震わせるほどなので相当だ。
「可愛いっ、可愛いよっ、あんなの反則だよっ。いつも普通に可愛いのに、それ以上とかダメでしょうっ」
シンリームは大興奮中だった。
ベルナディオとニールは、コウヤの姿を目に焼き付けようと静かに頑張っている。表情はとても真剣だ。きっと、国のことを話し合う会議の時よりも。
「えっと……リウムさん。きがえありますか?」
「はい。隣の部屋にご用意してございます。参りましょうか」
「うんっ」
そして、自然に抱っこをお願いする姿勢を取る。すると、そこここでおかしな声が響いた。
「ぐふっ」
「んぐっ」
「ふっ……」
「うっ」
「ふあっ!?」
何事かと驚いて振り返れば、リウムとルディエ以外が全員口元を押さえ、目を逸らして震えていた。エリスリリア達までもがだ。まるで見ていられないというように突っ伏す者までいた。
「ん?」
「兄さん。気にしなくていいから……着替えている内に落ち着くよ」
「っ、コウヤ様。参りましょう」
「うん……?」
不思議に思いながらも、リウムに抱っこされて着替えに向かった。続き間になった部屋なので、外に出ないのはよかった。外にいる騎士達への説明が面倒臭い。
戻ってくると、また同じ光景に出会う。
「ん?」
「大丈夫だから、兄さん……リウム、ゼストラーク様の膝の上に」
「承知しました」
「ん?」
そうして、リウムは失礼しますと言って、コウヤを椅子に座ったゼストラークの膝の上に下ろした。
「あれ? ここ?」
まさかのゼストラークの膝の上。びっくりだ。だが、これにより、誰も文句が言えなくなった。ベニ達も肩を落としている。
コウヤはゼストラークの顔を見上げる。
「ゼストパパ、おもくない?」
「っ、ああ。問題ない」
「そう? ならここがいい!」
「そ、そうか」
ふわりと笑って喜ぶコウヤを、思わずよしよしと頭を撫でるゼストラークは正常だ。
「あ~んっ、もうっ、コウヤちゃん可愛い!」
「可愛い過ぎますねっ」
ゼストラークの両脇にいるエリスリリアとリクトルスがコウヤの小さな手を握ったり、ほっぺをつついたりする。そうして二人に構われることで、コウヤも機嫌がいい。
「ふふっ。くすぐったいです」
「「かわい~い」」
珍しくリクトルスも興奮していた。
「ふっ。落ち着け、二人とも。話を始めるぞ」
「は~い」
「分かりました」
しっかり切り替えたリクトルスが、全員が見えるように今着いている長机の上にTの字に三つのスクリーンを出す。二つが少し横長で背合わせだ。一つはゼストラーク達三人が座る側に向いている。
そのスクリーンには今、大陸を上から見た地図が映し出されていた。大雑把な国境線と王都の位置が分かるだけのシンプルなものだ。やろうと思えば、映像としても出せるが、今回はそんな必要はない。そして、いくつかの国には赤いピンが立っていた。
「赤い印のある国では、王または王族の誰かが病で倒れております。原因も症状も同じです」
「っ、まさか……」
アビリス王が顔色を変えた。これに答えたのは、両肘を突いて顔を乗せてたエリスリリアだ。
「そのまさかよ。神教国と名乗ってる所が原因。それとな~く王都に居る司教達が『自分達なら治せるかも』なんて囁いて、恩を売るのよ。今は戦争しようっておバカな国もないから、他の国が自分達の力の有り難みを理解できていないって考えたみたいね」
「そんなっ……そんなことで……」
戦争が頻発していた頃は、神教国に味方になってもらおうと、多くの国がすり寄っていた。自分達を中心に世界が回っていたように感じていたのだろう。その頃を未だに忘れられないのだ。
映像が切り替わる。
一つの四角い箱が映し出された。真ん中に水晶がはまっている。そこには黒く濁った色が見えた。
「これがあの国が保有している魔導具です。全部で五つあるはずです」
「いつつも?」
コウヤは流石に驚いた。リクトルスは苦笑。ゼストラークを見上げれば鎮痛な面持ちだ。それで察する。怒りが湧いてきた。
「……だれ……だれがかんしょうしてるの……」
「まだ分からない……だが、コウヤが復元した情報を全て確認しても、これの情報はなかった。それでも、我々の管理に引っかからないということは……この世界のものではない。彼を見て確信した。異質な気配が残っている」
アビリス王を儀式の時に見た時、すでにチェックしていたらしい。そして、神界に戻った時に、検索をかけたのだ。
コウヤはじっとゼストラークを見つめる。嘘がないのは分かっている。確認しているのは、これにゼストラークが怒っているかどうか。
犯人の追及はするつもりらしい。許す気もなさそうだ。温厚なゼストラークがだ。
「……わかった。アレはとりあえずかいしゅうする」
その言葉で、サーナが動いた。部屋の外に向かう。何をするか分かったので、コウヤはテンキに声をかける。
「あ、テンキ、いっしょにいってくれる?」
《はい。呪い関係ならば私が適任でしょう。お任せください》
テンキならば封印も出来る。回収しようとする白夜部隊の者達の身を守れるだろう。あの薬で回復できたならば、テンキで対処可能なはずだ。
サーナとテンキが出て行く直前、ゼストラークが口を開いた。
「持ち運ぶことが困難ならば、壊してくれ。一つで構わない。これは五つ揃わなければ使えない構造のようだからな」
「承知いたしました」
《はっ!》
それからすぐに、白夜部隊の数人が神教国へ向かったのがわかった。
これで一先ずはどうにかできると、コウヤがほっと息を吐く。すると、皆の視線が集まっているのに気付いた。
「ん?」
どうかしたのかと首を傾げると、リクトルスが答える。
「コウヤ君がすごいことが改めて分かったんですよ」
「すごい?」
「だって、一言で人が自然に動くのよ? これ、神でも難しいの」
「どうして?」
考え込む。すると、ゼストラークが優しく頭を撫でた。
「お前が一番分かっているはずだ。過去に、お前の言葉に耳を傾けることをせずに、人々は歯向かってきた。神であっても、言葉で従わせることは簡単なことではない」
「……」
その通りだと思った。あの時、人々はコウルリーヤが神だと知っても刃を向けたのだから。
「だから凄いことだということだ。コウヤでなくては出来ないとこだな」
まるで我が子を誇るように細められた目。嬉しそうなゼストラーク表情を見て、コウヤも自信を持って笑顔で返事をした。
「うんっ! ふふっ」
これにまた、しばらく周りが再起不能になるのだが、最後まで原因が自分であることに気付かないコウヤだった。
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