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第六章 新教会のお披露目
185 なら採用〜♪
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王都に聖魔教の教会を置くならばと、神降しの儀式を行い、これによって幼い子どもの姿になっていたコウヤだが、ようやく元の姿に戻ることが出来た。
コウヤは、既にいつも通りの生活を送っていた。
「す、すげぇ! あれがコウヤの新しい従魔か!」
「テンキっていうんだってよ!」
「相手してるのは?」
「ビジェっていったか? コウヤが拾ってきたらしい」
「おいおい。コウヤのやつ、赤ん坊も連れてただろ……どんだけ王都で拾ってきたんだ?」
レナルカをおぶって出勤したコウヤは、当然ながら職員達だけでなく冒険者達をもびっくりさせた。
それが少し前からコウヤが大事にしていたタマゴから生まれたと聞いて、更に仰天したのは言うまでもない。
野生の馬や牛のように、あるいは、タマゴから生まれたからというのもあるかもしれないが、レナルカは生まれてまだ一週間も経っていないにも関わらず、既に首は据わっているし、這って歩くこともできた。そのため、コウヤは仕事場にも構わず連れてきたというわけだ。
「あの赤ん坊はタマゴから生まれたやつだってよ。なんでも珍しい古代人種らしい」
「へえ。俺はてっきり、コウヤの妹かと思ったぜ。髪色は銀だけどよ。あれ、珍しいだろ」
「確かにな。けど、タマゴなら……コウヤが親ってことだな。あの年で子持ちとか、尊敬する」
「おいおい。ってか、ますますコウヤは自由がなくなってるんじゃねえの? ちっとは楽させてやろうぜ」
仕事中はマリーファルニェにレナルカの世話を頼み、預かってもらっているが、職員達が休憩中に構ってくれているようで、十分助かっている。冒険者達も気にしてくれているらしく、ギルドに連れてきたことを嫌がられなくて良かったとほっとした。ユースールの冒険者達は意外と子ども好きのようだ。
そして、テンキとビジェは訓練場の隅にいた。ビジェは密偵として使われていたが、冒険者としてやっていくには色々と足りていない。本人が必死にやっていたため、上手くいっていただけで、体力も技術もかなり落ちてしまっている。
そこで、テンキが稽古を付けているというわけだ。その様子を見た冒険者達が、テンキの動きに感心し、更に稽古によって目に見えて動きの良くなるビジェを見て羨ましくなったらしい。
「テンキさん! お願いします!」
「俺も、お願いします!」
《……仕方ないですね……いいでしょう。主も文句は言われないはずですからね。かかってきなさい》
こうして、自然とテンキは冒険者達に受け入れられていった。
因みに、パックンとダンゴは買い取りカウンターでの業務だ。
《次、どうぞでしゅ》
《ドンとこい! ♪( ´▽`) 》
お陰で人員不足気味で滞りがちな鑑定部署は大喜びだった。
「パックンさん、マジ神!」
「ダンゴさん、可愛いだけじゃない。仕事もデキるとかステキ!」
癒しにもなっているようなので、業務は捗っている。
「ねえ、エルテ。あれ、お給金払うべきじゃない?」
「ギルド職員として、正式に雇用契約を結びましょう。新しく来られたテンキさんも教官役として契約を」
「いいね。ここ、教官役居なかったし、それもコウヤちゃんが兼任してたもんね。そうしよ! あ、でも、そもそも従魔って雇用契約できる?」
「私に抜かりはありませんわ。チェック済みです! 特に規定はございませんでした。あれだけ意識もはっきりしているのです。意思疎通が可能なのですから、問題はありません!」
「そう。なら採用~♪」
今までになかった従魔を雇うという前例を作ることになったようだ。コウヤも反対しない。
こんな様子で、休暇明けの一日は過ぎていった。
夕方、仕事を終えて向かったのはドラム組だ。
「おっ、コウヤか。なんだ? また仕事か?」
「はい! 大きなお仕事を頼みに来ました。棟梁さんはいらっしゃいますか?」
「いつもの所だ。入れ。ん? 犬? いや、キツネ? に、子ども!?」
「お邪魔しま~す!」
レナルカをおぶっているので、テンキが少し大きくなり、その背にパックンとダンゴを乗せてコウヤの隣を歩いていたので驚いたらしい。それでも、コウヤは構わず入っていく。
ビジェはゲンさんの薬屋に居てもらっている。後で夕食の時に合流する予定だ。
迷わず中に入っていくと、いつものドラムの音が聞こえてきた。今日は一段とノっているようだ。中断して申し訳ないと思いつつ、ドアについた小さな窓から顔を覗かせれば、しばらくして棟梁が気付いた。
「コウヤ……教会のことか」
「はい。設計図は見ていただけましたか?」
「見た……すぐに始めたい……すごい」
気に入ってくれたようだ。先ほどのドラムの音を聞けば、やり甲斐のある仕事に興奮しているのもわかる。
「ただ……資材が足りない……」
「明日、昼から調達してきます。足りない分を計算しておいてもらえますか?」
「わかった」
屋台部隊の派遣も問題なく許可が出た。ただし、出発は三日後の予定だ。そして、設計図を確認した棟梁によれば、建築にかかる期間は七日とのこと。せっかくなのでと、コウヤが張り切って内容を詰め込んだためだ。
「では、よろしくお願いします」
「ああ」
どうやって移動するのかなど、棟梁は聞かない。コウヤが行けるというなら行けると思っている。信頼は厚いのだ。
そして、慌ただしく出発の日がやって来る。
***********
読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします◎
コウヤは、既にいつも通りの生活を送っていた。
「す、すげぇ! あれがコウヤの新しい従魔か!」
「テンキっていうんだってよ!」
「相手してるのは?」
「ビジェっていったか? コウヤが拾ってきたらしい」
「おいおい。コウヤのやつ、赤ん坊も連れてただろ……どんだけ王都で拾ってきたんだ?」
レナルカをおぶって出勤したコウヤは、当然ながら職員達だけでなく冒険者達をもびっくりさせた。
それが少し前からコウヤが大事にしていたタマゴから生まれたと聞いて、更に仰天したのは言うまでもない。
野生の馬や牛のように、あるいは、タマゴから生まれたからというのもあるかもしれないが、レナルカは生まれてまだ一週間も経っていないにも関わらず、既に首は据わっているし、這って歩くこともできた。そのため、コウヤは仕事場にも構わず連れてきたというわけだ。
「あの赤ん坊はタマゴから生まれたやつだってよ。なんでも珍しい古代人種らしい」
「へえ。俺はてっきり、コウヤの妹かと思ったぜ。髪色は銀だけどよ。あれ、珍しいだろ」
「確かにな。けど、タマゴなら……コウヤが親ってことだな。あの年で子持ちとか、尊敬する」
「おいおい。ってか、ますますコウヤは自由がなくなってるんじゃねえの? ちっとは楽させてやろうぜ」
仕事中はマリーファルニェにレナルカの世話を頼み、預かってもらっているが、職員達が休憩中に構ってくれているようで、十分助かっている。冒険者達も気にしてくれているらしく、ギルドに連れてきたことを嫌がられなくて良かったとほっとした。ユースールの冒険者達は意外と子ども好きのようだ。
そして、テンキとビジェは訓練場の隅にいた。ビジェは密偵として使われていたが、冒険者としてやっていくには色々と足りていない。本人が必死にやっていたため、上手くいっていただけで、体力も技術もかなり落ちてしまっている。
そこで、テンキが稽古を付けているというわけだ。その様子を見た冒険者達が、テンキの動きに感心し、更に稽古によって目に見えて動きの良くなるビジェを見て羨ましくなったらしい。
「テンキさん! お願いします!」
「俺も、お願いします!」
《……仕方ないですね……いいでしょう。主も文句は言われないはずですからね。かかってきなさい》
こうして、自然とテンキは冒険者達に受け入れられていった。
因みに、パックンとダンゴは買い取りカウンターでの業務だ。
《次、どうぞでしゅ》
《ドンとこい! ♪( ´▽`) 》
お陰で人員不足気味で滞りがちな鑑定部署は大喜びだった。
「パックンさん、マジ神!」
「ダンゴさん、可愛いだけじゃない。仕事もデキるとかステキ!」
癒しにもなっているようなので、業務は捗っている。
「ねえ、エルテ。あれ、お給金払うべきじゃない?」
「ギルド職員として、正式に雇用契約を結びましょう。新しく来られたテンキさんも教官役として契約を」
「いいね。ここ、教官役居なかったし、それもコウヤちゃんが兼任してたもんね。そうしよ! あ、でも、そもそも従魔って雇用契約できる?」
「私に抜かりはありませんわ。チェック済みです! 特に規定はございませんでした。あれだけ意識もはっきりしているのです。意思疎通が可能なのですから、問題はありません!」
「そう。なら採用~♪」
今までになかった従魔を雇うという前例を作ることになったようだ。コウヤも反対しない。
こんな様子で、休暇明けの一日は過ぎていった。
夕方、仕事を終えて向かったのはドラム組だ。
「おっ、コウヤか。なんだ? また仕事か?」
「はい! 大きなお仕事を頼みに来ました。棟梁さんはいらっしゃいますか?」
「いつもの所だ。入れ。ん? 犬? いや、キツネ? に、子ども!?」
「お邪魔しま~す!」
レナルカをおぶっているので、テンキが少し大きくなり、その背にパックンとダンゴを乗せてコウヤの隣を歩いていたので驚いたらしい。それでも、コウヤは構わず入っていく。
ビジェはゲンさんの薬屋に居てもらっている。後で夕食の時に合流する予定だ。
迷わず中に入っていくと、いつものドラムの音が聞こえてきた。今日は一段とノっているようだ。中断して申し訳ないと思いつつ、ドアについた小さな窓から顔を覗かせれば、しばらくして棟梁が気付いた。
「コウヤ……教会のことか」
「はい。設計図は見ていただけましたか?」
「見た……すぐに始めたい……すごい」
気に入ってくれたようだ。先ほどのドラムの音を聞けば、やり甲斐のある仕事に興奮しているのもわかる。
「ただ……資材が足りない……」
「明日、昼から調達してきます。足りない分を計算しておいてもらえますか?」
「わかった」
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「では、よろしくお願いします」
「ああ」
どうやって移動するのかなど、棟梁は聞かない。コウヤが行けるというなら行けると思っている。信頼は厚いのだ。
そして、慌ただしく出発の日がやって来る。
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