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611 それは強敵
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2017. 8. 18
**********
ジェルバを改めて見る。残った片翼は爛れ落ちる寸前のようで痛々しかった。
なくなった片腕は長い袖で隠れてはいるが、どこからか吹き込んでくるらしい風に靡いていた。
目が合った。薄暗いこの場所であっても、その金の瞳は輝きを見せている。今までとは違うのだと、その表情からも見て取れた。
「……なんだか、正気に戻ったみたいね」
そういえば、ふっと自嘲気味な笑みが浮かんだ。
「ええ。ようやく色々と思い出しました……愛した妻の顔さえ思い出せなくなっていたとは滑稽だ……」
全てを思い出した事は良かったのか悪かったのか。複雑な表情を浮かべるジェルバ。
「私は空を見る事を許されなくなった……死ぬ事を許されなかった……けれど、ようやく終われる」
その言葉を口にしたジェルバの顔はとても穏やかだった。しかし、不意に何かを諦めたように俯いた。それと同時に、何かが近付いてくるのを感じた。
「神の力によって私は死を迎える事が出来る。だが、女神よ。あなたの手にかかる事ももう許されない……」
「それ、どういう……」
近付いてくる。ジェルバが背を向けている通路の一つ。その一つに黒い影が落ちる。赤い一対の光が見えた。
「私がここへ来たのは、これを発動させるため。神具と魔導具を融合させました……外に仕掛けられたのは、その魔導具の試作品です。神鏡の力を再現した魔導具……そして、ここにある神具は神環。結界の魔導具です。ですが、擬似的とはいえ、神鏡の力と合わさった結果、この場を守る守護獣が出来上がった」
懺悔するように向けた視線の先には自身の守護獣、ゼブロがいる。
「神具は発動したようです。私の魔力を全て食らって……ですが、正常には機能しはしません。正しい血族による発動ではない。故にこの地に居る者を全て排除する……」
ジェルバはガクリと膝をつく。そのジェルバに向けて、闇から抜け出したその獣が襲いかかった。
「ジェルバっ!」
素早いその動きに、ティアも咄嗟に魔術を放つ事も出来なかった。代わりに動いたのはゼブロ。
現れたのは不気味な赤黒い大きな狼。ゼブロは自身の体よりも三倍以上もあるその狼に挑んだ。ジェルバを守るために。しかし、どうやってもその大きさには敵わない。
次の瞬間、ゼブロとジェルバは狼の腕によって弾かれ、壁に叩きつけられていた。
「ぐっ……!」
《ガッ……》
ジェルバの片翼は簡単に折れてしまった。床に落ちた後は動かない。ゼブロも血を口から流し重症だ。
「っ……なに……あれ……っ……」
カランタは歯の根が合わなくなっていた。ティアもその狼から、強大な力を感じ、先ほどから頭の辺りがビリビリとしていた。
どう動くか。目を離す事なく小山のような狼を睨みつける。すると、次第にその色が赤く染まっていく。
「っ、ディストレア……?」
かつてマティを託された時の、マティの親であったディストレアを思い出した。大きさも同じくらいだろう。
すると、ジェルバが体を起こして、かすれる声で言った。
「そう。ディストレアだ……っ……この記憶が戻っていなければ、恐らくドラゴンの形を取っただろう……っ……気高いその姿……っ……私は……っ……もう一度……っ」
会いたかったのだと聞こえたような気がした。けれど、そのジェルバへ、ディストレアの姿を持った獣は、口から炎を吐きつけようと大きくその顎を開く。
「ジェルバっ、ゼブロっ!」
ティアは防御する魔術を展開する。しかし、なぜか発動したはずの魔力がフッと消えてしまったのだ。
「なにこれっ。なんで、魔力がっ……まさかっ」
「吸われてるんだ……あいつにっ……」
そう答えを口にしたのは、カランタだった。だが、もう時間はない。ティアは考えるより先に駆け出していた。
動いた方が早い。そう判断したのだ。ティアは、今の身長では少々取り回し辛い紅姫を取り出す。そして、ジェルバとゼブロの前に立った。
「発動はするなら魔力量で勝負っ!」
炎が放たれた。ティアは紅姫に風を纏わせる。常に重ねがけし、保たせる戦法だ。大きな炎の玉を、ティアは躊躇わず斬った。
「はぁっ!!」
真っ二つに割れた炎の玉は、左右に分かれて、なぜか上へカーブし、天井に二つの大穴を開けた。
「あれ? ああ、風の威力が乗っちゃったか」
こんな時でもティアは冷静に結果を分析する。少々ヤケになっていたものの、いつの間にか、いつもの調子に戻っていた。
そして、息を大きく吐いて吸ってを二度繰り返すと、ディストレアへ意識を真っ直ぐに向ける。
「行くよ」
ティアは駆け出す。まずは大きく跳躍。体を捻りながら、ディストレアの高い位置にある頭の上まで飛び上がる。そして、逆さになりながらその無防備な背中を紅姫の刃でなぞった。
しかし、明らかに悲鳴を出すだろうその攻撃に、ディストレアは身をよじるだけで済ませた。どうやら、声帯はないらしい。
「声がないと、どれだけのダメージがあるか分かんないものなんだ……」
新たな発見だと、ティアは呑気にディストレアの右側へ着地して呟く。それから何度か後ろへと飛び、カランタ達が居る場所まで下がった。
ディストレアの能力も全て本物と同じならば、イルーシュとカイラントはここに居るべきではない。
「カランタ。ここは私が何とかするから、兄様達を安全な所へ連れてって。もう話なんて聞けないでしょ」
「っ、でもティア、一人でなんて……っ」
そんな声を背中に聞きながら、ティアはまたディストレアに向かって走る。なぜかディストレアはティアの方を見ないのだ。今の所、敵と認識しているのは、ジェルバとゼブロらしい。
「なんでこっちを見ないのよっ!」
そう言いながら炎の大玉をぶつけた。それでもこちらを見ない。
お陰でまたこちらからディストレアの前へ進む事になる。そこで気付いた。カランタは動けなくなるほどの恐怖を感じている。それは殺気だ。この場合、侵入者。敵とみなされているからだ。しかし、ティアにはそれほど強く感じられない。
圧倒的に大きく、強いものと対峙している緊張感はある。だが、向けられていないのだ。ティアに対する殺意がない。
「あんたまさかっ……」
神具は神によって作られた。神の力が宿るもの。だから、女神であるティアを敵と認識しないのだ。
「っ……ふざけろよ……っ」
これはティアにとっては酷い侮辱だ。
「何より……神と認識しやがった事が腹立たしい……」
そう、戦おうとしているのはティアだ。それを、神には手を出せないからと無視されれば腹が立つのは当然だろう。
再びジェルバとゼブロへと向き直るディストレア。それを見て手前で立ち止まったティアは、カツンと紅姫を床に突き立てる。
「後悔しなさい」
低い声でそう口にしたティアは、次の瞬間、二十代の姿へと変わっていた。
**********
舞台裏のお話。
マティ 《う~ん……》
ウル「どうしましたか?」
マティ 《うん。なんか変な感じがするんだけど……》
フラム 《キュ》
マティ 《うん? フラムが行くの? 確かにここ空けるわけにいかない……》
フラム 《キュキュ》
マティ 《行かなきゃいけない気がする? そっか……なら行って良いよ。マティも、ウルウルが一人でも大丈夫そうになったら行く》
フラム 《キュっ!》
マティ 《気を付けてね~》
ウル「そ、その……マティさんが行かなくて助かりました……」
マティ 《だよね~。ウルウル、もう年だもん》
ウル「……お気遣いありがとうございます」
マティ 《うん。だって、ここでウルウルが倒れたら、主が悲しむし》
ウル「そう……でしょうか……」
マティ 《そうでしょ。主、ウルウルの事お気に入りだから》
ウル「そっ、そうですか」
マティ 《うんっ。顔赤いよ?》
ウル「っ、ちょっと動き過ぎただけですっ」
マティ 《そっか》
サクヤ「楽しそうねぇ……」
カル「ははっ、結構なピンチなんだけどねぇ」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
微笑ましいと言える状況ではないんですが……。
ちょっと怒った?
次回、月曜21日0時です。
よろしくお願いします◎
**********
ジェルバを改めて見る。残った片翼は爛れ落ちる寸前のようで痛々しかった。
なくなった片腕は長い袖で隠れてはいるが、どこからか吹き込んでくるらしい風に靡いていた。
目が合った。薄暗いこの場所であっても、その金の瞳は輝きを見せている。今までとは違うのだと、その表情からも見て取れた。
「……なんだか、正気に戻ったみたいね」
そういえば、ふっと自嘲気味な笑みが浮かんだ。
「ええ。ようやく色々と思い出しました……愛した妻の顔さえ思い出せなくなっていたとは滑稽だ……」
全てを思い出した事は良かったのか悪かったのか。複雑な表情を浮かべるジェルバ。
「私は空を見る事を許されなくなった……死ぬ事を許されなかった……けれど、ようやく終われる」
その言葉を口にしたジェルバの顔はとても穏やかだった。しかし、不意に何かを諦めたように俯いた。それと同時に、何かが近付いてくるのを感じた。
「神の力によって私は死を迎える事が出来る。だが、女神よ。あなたの手にかかる事ももう許されない……」
「それ、どういう……」
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「私がここへ来たのは、これを発動させるため。神具と魔導具を融合させました……外に仕掛けられたのは、その魔導具の試作品です。神鏡の力を再現した魔導具……そして、ここにある神具は神環。結界の魔導具です。ですが、擬似的とはいえ、神鏡の力と合わさった結果、この場を守る守護獣が出来上がった」
懺悔するように向けた視線の先には自身の守護獣、ゼブロがいる。
「神具は発動したようです。私の魔力を全て食らって……ですが、正常には機能しはしません。正しい血族による発動ではない。故にこの地に居る者を全て排除する……」
ジェルバはガクリと膝をつく。そのジェルバに向けて、闇から抜け出したその獣が襲いかかった。
「ジェルバっ!」
素早いその動きに、ティアも咄嗟に魔術を放つ事も出来なかった。代わりに動いたのはゼブロ。
現れたのは不気味な赤黒い大きな狼。ゼブロは自身の体よりも三倍以上もあるその狼に挑んだ。ジェルバを守るために。しかし、どうやってもその大きさには敵わない。
次の瞬間、ゼブロとジェルバは狼の腕によって弾かれ、壁に叩きつけられていた。
「ぐっ……!」
《ガッ……》
ジェルバの片翼は簡単に折れてしまった。床に落ちた後は動かない。ゼブロも血を口から流し重症だ。
「っ……なに……あれ……っ……」
カランタは歯の根が合わなくなっていた。ティアもその狼から、強大な力を感じ、先ほどから頭の辺りがビリビリとしていた。
どう動くか。目を離す事なく小山のような狼を睨みつける。すると、次第にその色が赤く染まっていく。
「っ、ディストレア……?」
かつてマティを託された時の、マティの親であったディストレアを思い出した。大きさも同じくらいだろう。
すると、ジェルバが体を起こして、かすれる声で言った。
「そう。ディストレアだ……っ……この記憶が戻っていなければ、恐らくドラゴンの形を取っただろう……っ……気高いその姿……っ……私は……っ……もう一度……っ」
会いたかったのだと聞こえたような気がした。けれど、そのジェルバへ、ディストレアの姿を持った獣は、口から炎を吐きつけようと大きくその顎を開く。
「ジェルバっ、ゼブロっ!」
ティアは防御する魔術を展開する。しかし、なぜか発動したはずの魔力がフッと消えてしまったのだ。
「なにこれっ。なんで、魔力がっ……まさかっ」
「吸われてるんだ……あいつにっ……」
そう答えを口にしたのは、カランタだった。だが、もう時間はない。ティアは考えるより先に駆け出していた。
動いた方が早い。そう判断したのだ。ティアは、今の身長では少々取り回し辛い紅姫を取り出す。そして、ジェルバとゼブロの前に立った。
「発動はするなら魔力量で勝負っ!」
炎が放たれた。ティアは紅姫に風を纏わせる。常に重ねがけし、保たせる戦法だ。大きな炎の玉を、ティアは躊躇わず斬った。
「はぁっ!!」
真っ二つに割れた炎の玉は、左右に分かれて、なぜか上へカーブし、天井に二つの大穴を開けた。
「あれ? ああ、風の威力が乗っちゃったか」
こんな時でもティアは冷静に結果を分析する。少々ヤケになっていたものの、いつの間にか、いつもの調子に戻っていた。
そして、息を大きく吐いて吸ってを二度繰り返すと、ディストレアへ意識を真っ直ぐに向ける。
「行くよ」
ティアは駆け出す。まずは大きく跳躍。体を捻りながら、ディストレアの高い位置にある頭の上まで飛び上がる。そして、逆さになりながらその無防備な背中を紅姫の刃でなぞった。
しかし、明らかに悲鳴を出すだろうその攻撃に、ディストレアは身をよじるだけで済ませた。どうやら、声帯はないらしい。
「声がないと、どれだけのダメージがあるか分かんないものなんだ……」
新たな発見だと、ティアは呑気にディストレアの右側へ着地して呟く。それから何度か後ろへと飛び、カランタ達が居る場所まで下がった。
ディストレアの能力も全て本物と同じならば、イルーシュとカイラントはここに居るべきではない。
「カランタ。ここは私が何とかするから、兄様達を安全な所へ連れてって。もう話なんて聞けないでしょ」
「っ、でもティア、一人でなんて……っ」
そんな声を背中に聞きながら、ティアはまたディストレアに向かって走る。なぜかディストレアはティアの方を見ないのだ。今の所、敵と認識しているのは、ジェルバとゼブロらしい。
「なんでこっちを見ないのよっ!」
そう言いながら炎の大玉をぶつけた。それでもこちらを見ない。
お陰でまたこちらからディストレアの前へ進む事になる。そこで気付いた。カランタは動けなくなるほどの恐怖を感じている。それは殺気だ。この場合、侵入者。敵とみなされているからだ。しかし、ティアにはそれほど強く感じられない。
圧倒的に大きく、強いものと対峙している緊張感はある。だが、向けられていないのだ。ティアに対する殺意がない。
「あんたまさかっ……」
神具は神によって作られた。神の力が宿るもの。だから、女神であるティアを敵と認識しないのだ。
「っ……ふざけろよ……っ」
これはティアにとっては酷い侮辱だ。
「何より……神と認識しやがった事が腹立たしい……」
そう、戦おうとしているのはティアだ。それを、神には手を出せないからと無視されれば腹が立つのは当然だろう。
再びジェルバとゼブロへと向き直るディストレア。それを見て手前で立ち止まったティアは、カツンと紅姫を床に突き立てる。
「後悔しなさい」
低い声でそう口にしたティアは、次の瞬間、二十代の姿へと変わっていた。
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舞台裏のお話。
マティ 《う~ん……》
ウル「どうしましたか?」
マティ 《うん。なんか変な感じがするんだけど……》
フラム 《キュ》
マティ 《うん? フラムが行くの? 確かにここ空けるわけにいかない……》
フラム 《キュキュ》
マティ 《行かなきゃいけない気がする? そっか……なら行って良いよ。マティも、ウルウルが一人でも大丈夫そうになったら行く》
フラム 《キュっ!》
マティ 《気を付けてね~》
ウル「そ、その……マティさんが行かなくて助かりました……」
マティ 《だよね~。ウルウル、もう年だもん》
ウル「……お気遣いありがとうございます」
マティ 《うん。だって、ここでウルウルが倒れたら、主が悲しむし》
ウル「そう……でしょうか……」
マティ 《そうでしょ。主、ウルウルの事お気に入りだから》
ウル「そっ、そうですか」
マティ 《うんっ。顔赤いよ?》
ウル「っ、ちょっと動き過ぎただけですっ」
マティ 《そっか》
サクヤ「楽しそうねぇ……」
カル「ははっ、結構なピンチなんだけどねぇ」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
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微笑ましいと言える状況ではないんですが……。
ちょっと怒った?
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よろしくお願いします◎
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