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連載
546 真面目な魔術師長
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2016. 12. 23
●お知らせあり●
**********
ティアの言葉を聞いて、魔術師長は驚いていた。バトラールの名に反応したらしい。
「あなたがバトラールっ……失礼いたしました。チェスカ・ノーバと申します。この役職をいただく前は、騎士団長と魔術師のまとめ役を兼任しておりました」
「あらら……それって兼任出来るものなの?」
騎士もまとめ、魔術師達の上に立つという二つの長を務める事は、本来出来ない。
それは、武力となるものを全て指揮できたという事。いくら一つの領内での事とはいえ、とても危険な判断だ。
任せた者が、信用できる者ならば良い。少しでも見誤れば、敵となって向かってくるかもしれない。領主としてはとても軽率な判断だろう。
「私も一度は辞退したのですが、どうしてもと頭を下げられ、受けておりました。今は、それぞれ後任を任せております」
「へぇ~。よっぽど信頼されてたんだ。まぁ、ウルさんが選んだ人だしぃ?」
人選は確かだろうと思える。その判断を王も信頼しているのだ。
「失礼、そろそろ時間が……」
話の区切りを見て、侯爵が声をかける。
「そうだった。それじゃあ、またね」
「は、はい……」
手を振ってティアは歩き出す。ビアンと侯爵、足下にはマティも澄まし顔でついてくる。残ったチェスカは、魔術が当たった場所を確認するようだ。城壁の方を向いたチェスカを一目見る。そこで、ふと改めて振り返って一つだけ尋ねた。
「そういえば、どこの領にいたの?」
歩きながらそう問えば、すかさず答えが返ってくる。
「リーザです」
それを聞いて手を振り、進行方向へと体を戻す。しかし、何かが引っかかった。
「ん? リーザ?」
この国の細かい町の名前まで覚えているわけではない。大きな町の名前がかろうじて入っているくらいだ。
しかし、その名はそんな主要の町の名ではなかったはずだ。それでも引っかかる。
ティアがしきりに気にしていると、侯爵が答えた。
「リーザは、リザラント公爵の所領にあります」
「えっ、あ、リザラントっ? そっか」
なるほどと呟き、今一度振り返る。
城壁の一枚内側にある魔術を防ぐ結界。それに真剣に、異常がないかじっと観察している。自分の目で確認しなくては済まないタイプなのだろう。
「あの人なら、公爵の事も知ってるかな」
そんなティアの言葉を侯爵が拾う。
「知っていると思います。父親が公爵の護衛役であったはずです」
「それは良いね。一度じっくり話をしたいなぁ」
そう言って侯爵を見れば、咳払いをしてから落ち着いて答えた。
「分かりました。近いうちに」
「よろしく」
侯爵は、全くティアに頭が上がらないようだ。
◆◆◆◆◆
王と、対抗戦について最終の打ち合わせをしてから数日。いよいよ、対抗戦が後数日と迫っていた。
ティアは今、バトラール姿で王都の冒険者ギルドの飲食スペースにいた。
「そろそろかな」
紅茶を飲みながら、本を読んでいたティアは、気配を感じてギルドの奥へと続く通路へ目を向けた。
すると、そこからクロノスが現れた。ティアを見つけ、真っ直ぐに歩いてくる。
「お疲れ様」
そうティアが椅子を勧めながら労えば、向かいに静かに座ったクロノスがギルドカードをティアに見せた。
「無事合格いたしました」
そのには、Aランクと間違いのない表示があったのだ。
**********
舞台裏のお話。
ティア「ブタカン! カル姐まだ!?」
え、ま、まだです。
ティア「ちょっと、どうすんの!? めっちゃ外に人が並んでんだけど?」
あ~、待ってください。
え~っと……あっ、ありました!
この箱を外に出さないと。
ティア「なにそれ」
これに、皆さんお手紙とかプレゼントを用意してると思うので、入れてもらってください。
ティア「そっか。あれだけの人のものだもんね。積むわけにいかないか……」
はい。
後でカルさんが着いたら、それを前に出てもらいましょう。
ティア「だねっ。ん?」
どうしました?
ティア「……フラム……何でこんな中に……」
フラム《キュ~ゥ……》
寝てますね……。
ティア「フラム……」
ザラン「カルさん入りま~すっ」
ティア「来た!!」
来た!!
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
◎『女神なんてお断りですっ』第4巻 発売決定!◎
第4巻の発売が決定いたしました。
来年1月末頃の予定です。
今回はカル姐さんやフラムが出てきます。
また内容盛り沢山の一冊となります。
確実に読みやすくなっております。
楽しんでいただけるのではと思います。
素敵なイラストと共にお楽しみください。
これに伴いまして
●ダイジェストへの差し替えをいたします。
範囲は『151 過去編13 正々堂々、夜襲?』までとなります。
今回は27日の17時頃から作業いたします。
28日0時投稿時間よりも前には終わらせる気でおりますので、よろしくお願い致します。
【27日17:00~28日 0:00】
ダイジェスト化の作業の進行具合で、1日ほどズレる可能性もあります。
その場合は、またご連絡いたします。
よろしくお願い致します。
紫南
次回、一日空けて25日です。
よろしくお願いします◎
●お知らせあり●
**********
ティアの言葉を聞いて、魔術師長は驚いていた。バトラールの名に反応したらしい。
「あなたがバトラールっ……失礼いたしました。チェスカ・ノーバと申します。この役職をいただく前は、騎士団長と魔術師のまとめ役を兼任しておりました」
「あらら……それって兼任出来るものなの?」
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それは、武力となるものを全て指揮できたという事。いくら一つの領内での事とはいえ、とても危険な判断だ。
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「失礼、そろそろ時間が……」
話の区切りを見て、侯爵が声をかける。
「そうだった。それじゃあ、またね」
「は、はい……」
手を振ってティアは歩き出す。ビアンと侯爵、足下にはマティも澄まし顔でついてくる。残ったチェスカは、魔術が当たった場所を確認するようだ。城壁の方を向いたチェスカを一目見る。そこで、ふと改めて振り返って一つだけ尋ねた。
「そういえば、どこの領にいたの?」
歩きながらそう問えば、すかさず答えが返ってくる。
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「あの人なら、公爵の事も知ってるかな」
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「知っていると思います。父親が公爵の護衛役であったはずです」
「それは良いね。一度じっくり話をしたいなぁ」
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「分かりました。近いうちに」
「よろしく」
侯爵は、全くティアに頭が上がらないようだ。
◆◆◆◆◆
王と、対抗戦について最終の打ち合わせをしてから数日。いよいよ、対抗戦が後数日と迫っていた。
ティアは今、バトラール姿で王都の冒険者ギルドの飲食スペースにいた。
「そろそろかな」
紅茶を飲みながら、本を読んでいたティアは、気配を感じてギルドの奥へと続く通路へ目を向けた。
すると、そこからクロノスが現れた。ティアを見つけ、真っ直ぐに歩いてくる。
「お疲れ様」
そうティアが椅子を勧めながら労えば、向かいに静かに座ったクロノスがギルドカードをティアに見せた。
「無事合格いたしました」
そのには、Aランクと間違いのない表示があったのだ。
**********
舞台裏のお話。
ティア「ブタカン! カル姐まだ!?」
え、ま、まだです。
ティア「ちょっと、どうすんの!? めっちゃ外に人が並んでんだけど?」
あ~、待ってください。
え~っと……あっ、ありました!
この箱を外に出さないと。
ティア「なにそれ」
これに、皆さんお手紙とかプレゼントを用意してると思うので、入れてもらってください。
ティア「そっか。あれだけの人のものだもんね。積むわけにいかないか……」
はい。
後でカルさんが着いたら、それを前に出てもらいましょう。
ティア「だねっ。ん?」
どうしました?
ティア「……フラム……何でこんな中に……」
フラム《キュ~ゥ……》
寝てますね……。
ティア「フラム……」
ザラン「カルさん入りま~すっ」
ティア「来た!!」
来た!!
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
◎『女神なんてお断りですっ』第4巻 発売決定!◎
第4巻の発売が決定いたしました。
来年1月末頃の予定です。
今回はカル姐さんやフラムが出てきます。
また内容盛り沢山の一冊となります。
確実に読みやすくなっております。
楽しんでいただけるのではと思います。
素敵なイラストと共にお楽しみください。
これに伴いまして
●ダイジェストへの差し替えをいたします。
範囲は『151 過去編13 正々堂々、夜襲?』までとなります。
今回は27日の17時頃から作業いたします。
28日0時投稿時間よりも前には終わらせる気でおりますので、よろしくお願い致します。
【27日17:00~28日 0:00】
ダイジェスト化の作業の進行具合で、1日ほどズレる可能性もあります。
その場合は、またご連絡いたします。
よろしくお願い致します。
紫南
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よろしくお願いします◎
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