359 / 457
連載
510 後悔はそこまで
しおりを挟む
2016. 10. 21
**********
王と王妃への面会は、ティアが到着してすぐに行われた。
「では、あの子達に会っても良いのですか……?」
双子にある危険性は、主に出産の時であり、王家に禍を呼ぶというのはただの迷信だと説明すれば、王妃は震えてしまいそうになる口元を押さえて、改めて確認した。
これにティアは笑顔で答える。
「はい。何より、王妃様もお元気そうですし、子ども達も特に病弱であるというわけではありませんから」
「っ……ありがとうっ、ありがとうございますっ……」
涙を流し、顔を手で覆ってしまった王妃を、エイミールが抱き締める。
それは王の役目ではないのかと王を見ると、そんな余裕がなかったようだ。片手で頭を押さえていた。
「……」
「王様? 大丈夫?」
「あ、あぁ……まさか慣習が間違っているとは……あれらには酷い事を……」
どうも、深く反省中だったらしい。それだけ子ども達を大切に思っていたのだろう。長い間地下に閉じ込めるしかなかったという後悔が渦巻いているのだ。
ほとんど何事にも動じないで、いつも飄々としているこの王にしては珍しい。
エイミールも王妃に掛かりきりで、話し終えたティアは手持ち無沙汰だ。
しばらくして、部屋の隅にエイミールが淹れようとしていたお茶のセットを見つけたティアは、静かに立ち上がると、お茶を淹れることにした。
そうしてお茶を目の前のテーブルへと用意し終えても、三人は立ち直れずにいる。
再び椅子に腰掛け、一人お茶に口をつけるティア。憤りもあるはずだ。その整理
がある程度つくまで待つしかないだろうと思う。
この場にあるのは深い悲しみ。後悔の念だ。嬉しさよりも、子ども達に辛い思いを強いてしまったという思いが強い。
そんな思いを感じてしまったら、ティアは言わずにはおれなくなった。
「ごめんなさい……」
「ん?」
コトリとティーカップをテーブルへ置き、ティアは俯く。ティアも後悔していたのだ。
その様子に、王は心配になったのだろう。項垂れていた顔を上げ、ティアの顔を覗き込むように、少し身を乗り出した。
どうしたのかと王が尋ねる前に、ティアの口は言葉を吐き出していた。
「本当は……もっと前にちゃんとこれが迷信だって知らせる事が出来たはずだった……」
「……それはどういう事だ……?」
王にしてみれば、もっと前にと言われても、王子達が双子であるという事実は秘されていたのだ。ティアが知るはずがないと思ったのだろう。
しかし、ティアの言う『もっと前』は、五百年以上も前の事だった。
「……双子の弟と妹がいたの……リュカとシェスカ……第六王妃のライラ様の子ども……魔族とか、他の種族の人達は、人族の王家に広まった双子の話は迷信だって分かってた。勿論、母様も……」
それが分かっていたから、ライラに双子の王子と王女が生まれた時、子ども達を隔離したりはしなかった。
ただし、迷信となった理由が現実のものとなろうとしているのはマティアスも分かったのだ。
「ライラ様は二人を産んで長く伏せる事になった……リュカとシェスカも何とか生きてる状態だった……」
「病か?」
王はもう、この話がサティアの時の話だと理解していた。王妃とエイミールは知らないが、それでも神妙な面持ちで聞いている。
「双子ってね、生まれつき魔力が高いんだ。それが胎内に居たってのがダメだったのか……ライラ様は魔力循環がほとんど出来なくなってしまっていたんだ」
繋がっていた経路が突然断ち切られたかのように、全くといっていいほど、出産後に魔力が巡らなくなった。そのせいで、滞る魔力により、身体中の痛みと戦わなくてはならなくなったのだ。
「外から魔力を調整して、循環させなくては、眠れないほどだった……」
魔術師が付きっ切りで看病し、それにマティアスも加わっていた。
「双子は……? 子ども達はどうだったのですか?」
王妃はその辛さを感じているのか、苦しそうに眉を寄せ尋ねた。
「二人は、逆に巡る魔力が多すぎて、ずっと熱を出してる状態だった。でも、二人で手を繋いでいると、それが少し落ち着くみたいで、なんとか生きてくれてたの……けど……」
それだって魔力を無理に体に溜めないように放出させる手助けが必要だった。ただし、魔力を循環させるのに比べて、放出させるのは、かなり難しい。
適量を見極めなくてはならないのだ。多く放出させ過ぎても、少なくても意味がない。これが完璧に可能だったのが、魔術師長とマティアスだった。
「母様が死んでから、どうしても手が足りなくて……まだ三つだった……」
「……亡くなってしまったの?」
「うん……ライラ様も一年後に……そうやって、この迷信を消すどころか信憑性を増してしまったんだと思う……だから、ごめんなさい……あの時私にもっと力があって、これに向き合っていたら少しは状況が違ったかもしれない……」
あの時、悲しみに沈み、これに向き合おうとは考えられなかった。未来の事よりも、失った今しか見えていなかったのだ。
そう思ったら、王や王妃に顔を向けられなくなった。それが自惚れであっても、出来ていたらと後悔が頭をもたげる。
「顔を上げてくれ……」
そんなティアに、王が言った。
「誰も悪くはない。少しばかり不幸な行き違いがあったようなものだ。まだ子ども達も生きている。やり直せるさ」
「っ……」
その言葉は、やり直そうと自分に言い聞かせているようだった。
「背負う必要はない。ここで消せば良いだけの事だろう?」
「そうね。ここで止めさせましょう。この先、王室に双子が生まれた時は、きっと幸せが二倍ねって笑えるわ。ねっ、エイミー」
「はいっ」
今や落ち込んでいた人達の方が、前向きにこれに向き合おうとしていた。
「それに、もしかしたら、その王子や王女が生きて大きくなっていたら、君も違う選択をしていたかもしれない。そうなれば、こうしてここに私たちはいないかもしれないなぁ」
「それは……」
「分からないだろう? だから、これ以上の後悔はいらん。あったことはあった事として受け入れよう。そのおかげで今がある」
なんて前向きなんだろう。この王はあの時こうすれば良かったなんてずっと考えはしないのだ。
思考にはまる事なく、ならばと先を見据えて次の手を考える。こんな時の笑顔が、セランディーオと重なるのだ。
「ふふっ。ホント、その顔反則」
「はっはっはっ、それはどうにもならんなぁ」
王も、ティアの弱みを知っているのだ。
「あら? どんな顔ですの?」
「私の顔が、昔惚れた男と瓜二つらしい」
「まぁっ、それは大変。こんな顔が二つもあるなんて……」
「こんなって……お前……」
「ふふっ、だってねぇ、そう思わない? エイミー」
「曲者顔ということでしょうか。そうそうあってもらっては困ります」
「……妻達が酷いのだが……」
王妃とエイミールがクスクスと笑い、王が項垂れる。これがおかしくて、ティアも乗ってしまう。
「あはははっ。うん。一目見た印象では腹黒く見えないのに、実はやり手って感じがね」
「そうなのです。無害に見えるのにというのが、王の事を話す時のお父様の口癖でしたわ」
「これは、褒められていると取ってもよいのか?」
そう言う王に、今度はエイミールが告げた。
「そう思われるところが、見た目にそぐわないと言っているのですが?」
「ギャップ萌えというやつだろう?」
「どこでそんな言葉覚えたの? 王様って、意外とお忍びで出掛けてるよね? 外で会わないけど、城を抜け出す通路でいくつか良く使ってるっぽい所あったみたいだし」
「そうなのですかっ?」
「……王……」
王妃達の非難の目に、王は咳払いをして誤魔化す。
「ん゛っん゛っ。そんな事より、イルーシュとカイラントはいつ頃戻れるんだ?」
「半月くらいかな。礼儀作法とかも完璧にしておく。サルバに連れていく事もあるかもしれないけど、魔術操作も困らないようにしておかないといけないしね」
この際、王子として必要になる教養や技術も全て教え込んでやろうと目論んでいるティアだ。
もちろん、それだけではないのは王も察しているようだった。
「加減はしてくれるか……」
「エル兄様には敵わないと思うよ?」
「そ、そうだな……」
ニヤリと笑ったティア。王達は知らなかった。エルヴァストが今まさにAランク認定試験を受けている事を。
**********
舞台裏のお話。
子どもA「誰かな?」
子どもB「第三王子と第四王子だってさ」
子どもA「へぇ」
子どもC「カワイイね。でも……魔力が強そう……」
子どもB「本当だ。まだ上手く使えてなさそうだね」
子どもA「遊べるかな?」
子どもC「遊べるようになるよ。きっと強い。だってエル兄の弟だもん」
子どもB「そっか。そうだよな」
子ども達「「「楽しみ」」」
イル・カイ((ん?))
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
期待してます。
どうなるか分かりますよね。
エル兄ちゃんが王子達の基準になりますから。
では次回、一日空けて23日です。
よろしくお願いします◎
**********
王と王妃への面会は、ティアが到着してすぐに行われた。
「では、あの子達に会っても良いのですか……?」
双子にある危険性は、主に出産の時であり、王家に禍を呼ぶというのはただの迷信だと説明すれば、王妃は震えてしまいそうになる口元を押さえて、改めて確認した。
これにティアは笑顔で答える。
「はい。何より、王妃様もお元気そうですし、子ども達も特に病弱であるというわけではありませんから」
「っ……ありがとうっ、ありがとうございますっ……」
涙を流し、顔を手で覆ってしまった王妃を、エイミールが抱き締める。
それは王の役目ではないのかと王を見ると、そんな余裕がなかったようだ。片手で頭を押さえていた。
「……」
「王様? 大丈夫?」
「あ、あぁ……まさか慣習が間違っているとは……あれらには酷い事を……」
どうも、深く反省中だったらしい。それだけ子ども達を大切に思っていたのだろう。長い間地下に閉じ込めるしかなかったという後悔が渦巻いているのだ。
ほとんど何事にも動じないで、いつも飄々としているこの王にしては珍しい。
エイミールも王妃に掛かりきりで、話し終えたティアは手持ち無沙汰だ。
しばらくして、部屋の隅にエイミールが淹れようとしていたお茶のセットを見つけたティアは、静かに立ち上がると、お茶を淹れることにした。
そうしてお茶を目の前のテーブルへと用意し終えても、三人は立ち直れずにいる。
再び椅子に腰掛け、一人お茶に口をつけるティア。憤りもあるはずだ。その整理
がある程度つくまで待つしかないだろうと思う。
この場にあるのは深い悲しみ。後悔の念だ。嬉しさよりも、子ども達に辛い思いを強いてしまったという思いが強い。
そんな思いを感じてしまったら、ティアは言わずにはおれなくなった。
「ごめんなさい……」
「ん?」
コトリとティーカップをテーブルへ置き、ティアは俯く。ティアも後悔していたのだ。
その様子に、王は心配になったのだろう。項垂れていた顔を上げ、ティアの顔を覗き込むように、少し身を乗り出した。
どうしたのかと王が尋ねる前に、ティアの口は言葉を吐き出していた。
「本当は……もっと前にちゃんとこれが迷信だって知らせる事が出来たはずだった……」
「……それはどういう事だ……?」
王にしてみれば、もっと前にと言われても、王子達が双子であるという事実は秘されていたのだ。ティアが知るはずがないと思ったのだろう。
しかし、ティアの言う『もっと前』は、五百年以上も前の事だった。
「……双子の弟と妹がいたの……リュカとシェスカ……第六王妃のライラ様の子ども……魔族とか、他の種族の人達は、人族の王家に広まった双子の話は迷信だって分かってた。勿論、母様も……」
それが分かっていたから、ライラに双子の王子と王女が生まれた時、子ども達を隔離したりはしなかった。
ただし、迷信となった理由が現実のものとなろうとしているのはマティアスも分かったのだ。
「ライラ様は二人を産んで長く伏せる事になった……リュカとシェスカも何とか生きてる状態だった……」
「病か?」
王はもう、この話がサティアの時の話だと理解していた。王妃とエイミールは知らないが、それでも神妙な面持ちで聞いている。
「双子ってね、生まれつき魔力が高いんだ。それが胎内に居たってのがダメだったのか……ライラ様は魔力循環がほとんど出来なくなってしまっていたんだ」
繋がっていた経路が突然断ち切られたかのように、全くといっていいほど、出産後に魔力が巡らなくなった。そのせいで、滞る魔力により、身体中の痛みと戦わなくてはならなくなったのだ。
「外から魔力を調整して、循環させなくては、眠れないほどだった……」
魔術師が付きっ切りで看病し、それにマティアスも加わっていた。
「双子は……? 子ども達はどうだったのですか?」
王妃はその辛さを感じているのか、苦しそうに眉を寄せ尋ねた。
「二人は、逆に巡る魔力が多すぎて、ずっと熱を出してる状態だった。でも、二人で手を繋いでいると、それが少し落ち着くみたいで、なんとか生きてくれてたの……けど……」
それだって魔力を無理に体に溜めないように放出させる手助けが必要だった。ただし、魔力を循環させるのに比べて、放出させるのは、かなり難しい。
適量を見極めなくてはならないのだ。多く放出させ過ぎても、少なくても意味がない。これが完璧に可能だったのが、魔術師長とマティアスだった。
「母様が死んでから、どうしても手が足りなくて……まだ三つだった……」
「……亡くなってしまったの?」
「うん……ライラ様も一年後に……そうやって、この迷信を消すどころか信憑性を増してしまったんだと思う……だから、ごめんなさい……あの時私にもっと力があって、これに向き合っていたら少しは状況が違ったかもしれない……」
あの時、悲しみに沈み、これに向き合おうとは考えられなかった。未来の事よりも、失った今しか見えていなかったのだ。
そう思ったら、王や王妃に顔を向けられなくなった。それが自惚れであっても、出来ていたらと後悔が頭をもたげる。
「顔を上げてくれ……」
そんなティアに、王が言った。
「誰も悪くはない。少しばかり不幸な行き違いがあったようなものだ。まだ子ども達も生きている。やり直せるさ」
「っ……」
その言葉は、やり直そうと自分に言い聞かせているようだった。
「背負う必要はない。ここで消せば良いだけの事だろう?」
「そうね。ここで止めさせましょう。この先、王室に双子が生まれた時は、きっと幸せが二倍ねって笑えるわ。ねっ、エイミー」
「はいっ」
今や落ち込んでいた人達の方が、前向きにこれに向き合おうとしていた。
「それに、もしかしたら、その王子や王女が生きて大きくなっていたら、君も違う選択をしていたかもしれない。そうなれば、こうしてここに私たちはいないかもしれないなぁ」
「それは……」
「分からないだろう? だから、これ以上の後悔はいらん。あったことはあった事として受け入れよう。そのおかげで今がある」
なんて前向きなんだろう。この王はあの時こうすれば良かったなんてずっと考えはしないのだ。
思考にはまる事なく、ならばと先を見据えて次の手を考える。こんな時の笑顔が、セランディーオと重なるのだ。
「ふふっ。ホント、その顔反則」
「はっはっはっ、それはどうにもならんなぁ」
王も、ティアの弱みを知っているのだ。
「あら? どんな顔ですの?」
「私の顔が、昔惚れた男と瓜二つらしい」
「まぁっ、それは大変。こんな顔が二つもあるなんて……」
「こんなって……お前……」
「ふふっ、だってねぇ、そう思わない? エイミー」
「曲者顔ということでしょうか。そうそうあってもらっては困ります」
「……妻達が酷いのだが……」
王妃とエイミールがクスクスと笑い、王が項垂れる。これがおかしくて、ティアも乗ってしまう。
「あはははっ。うん。一目見た印象では腹黒く見えないのに、実はやり手って感じがね」
「そうなのです。無害に見えるのにというのが、王の事を話す時のお父様の口癖でしたわ」
「これは、褒められていると取ってもよいのか?」
そう言う王に、今度はエイミールが告げた。
「そう思われるところが、見た目にそぐわないと言っているのですが?」
「ギャップ萌えというやつだろう?」
「どこでそんな言葉覚えたの? 王様って、意外とお忍びで出掛けてるよね? 外で会わないけど、城を抜け出す通路でいくつか良く使ってるっぽい所あったみたいだし」
「そうなのですかっ?」
「……王……」
王妃達の非難の目に、王は咳払いをして誤魔化す。
「ん゛っん゛っ。そんな事より、イルーシュとカイラントはいつ頃戻れるんだ?」
「半月くらいかな。礼儀作法とかも完璧にしておく。サルバに連れていく事もあるかもしれないけど、魔術操作も困らないようにしておかないといけないしね」
この際、王子として必要になる教養や技術も全て教え込んでやろうと目論んでいるティアだ。
もちろん、それだけではないのは王も察しているようだった。
「加減はしてくれるか……」
「エル兄様には敵わないと思うよ?」
「そ、そうだな……」
ニヤリと笑ったティア。王達は知らなかった。エルヴァストが今まさにAランク認定試験を受けている事を。
**********
舞台裏のお話。
子どもA「誰かな?」
子どもB「第三王子と第四王子だってさ」
子どもA「へぇ」
子どもC「カワイイね。でも……魔力が強そう……」
子どもB「本当だ。まだ上手く使えてなさそうだね」
子どもA「遊べるかな?」
子どもC「遊べるようになるよ。きっと強い。だってエル兄の弟だもん」
子どもB「そっか。そうだよな」
子ども達「「「楽しみ」」」
イル・カイ((ん?))
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
期待してます。
どうなるか分かりますよね。
エル兄ちゃんが王子達の基準になりますから。
では次回、一日空けて23日です。
よろしくお願いします◎
10
お気に入りに追加
4,569
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
この度、双子の妹が私になりすまして旦那様と初夜を済ませてしまったので、 私は妹として生きる事になりました
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
*レンタル配信されました。
レンタルだけの番外編ssもあるので、お読み頂けたら嬉しいです。
【伯爵令嬢のアンネリーゼは侯爵令息のオスカーと結婚をした。籍を入れたその夜、初夜を迎える筈だったが急激な睡魔に襲われて意識を手放してしまった。そして、朝目を覚ますと双子の妹であるアンナマリーが自分になり代わり旦那のオスカーと初夜を済ませてしまっていた。しかも両親は「見た目は同じなんだし、済ませてしまったなら仕方ないわ。アンネリーゼ、貴女は今日からアンナマリーとして過ごしなさい」と告げた。
そして妹として過ごす事になったアンネリーゼは妹の代わりに学院に通う事となり……更にそこで最悪な事態に見舞われて……?】
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。