353 / 457
連載
503 呪いでしょうか
しおりを挟む
2016. 10. 9
**********
カランタは、ティアを抱き抱え、シェリスから勢い良く距離を取る。
「ティアに結婚はまだ早いよっ。父親である僕を倒してからっ……じゃなかった……とにかくっ、ティアとの結婚はまだダメだよっ!」
倒してからなんて言ったら、倒されてしまうに決まっていると思い、言い直したらしい。
ビシッと決めた後に、ビクビクと震えるのは少々みっともないと思うのだが、あえて口には出さなかった。それよりも、今このタイミングで現れた事に驚いたのだ。
「……とぅさま……」
「っ!? ティ、ティア……っ今っ、今なんてっ……っ」
「え? あ……えっと……」
思わず呟いた言葉にティア自身、動揺して目を逸らした。対して、カランタは感動に打ち震えているらしい。
「父様って……父様っ……もう一回お願いしますっ!」
「やだ」
「ガーン!」
「あっ」
ここでティアは自分の失敗に気付く。せっかく助けに来てくれたカランタを、自らノックアウトしてしまったのだ。
「おや。お義父様は隅に行ってしまいましたね。では、式の打ち合わせをしましょう」
「ちょっ、ちょい待って。カランタ~っ。と、父様~っ」
「うぅっ……どうせっ……どうせ僕は頼りなくて……父としての威厳も何も……その上……」
「お~い……」
呼び戻せない。部屋の隅に影を落とし、小さく丸まった背中にある翼は、どこかくすんだような、そんな色と力ないものに見えた。
「もういいですか? そうですっ、ドレスを見せましょうっ」
そう言って、シェリスは大きなクローゼットらしきものの方へと歩いていく。
「え? クローゼットなんて、この部屋にあったっけ?」
生活感など皆無の執務室だ。そんなもの目にも入らなかった。しかし、認識した今となっては、かなり存在感がある。大きいが、部屋の雰囲気を壊さない、とても上品な仕上がりだ。
「あなたも懇意にしているナルカ・バルクに作ってもらいました」
「へ、へぇ……さすがだね……」
他人との付き合いなどその辺の雑草よりも価値がないと思っているシェリスが、必要な物とはいえ、個人的に頼むなど、珍しい事もあるものだと感心する。
ギルドの他の職員達とも良い関係を築けているようだし、昔よりも人付き合いをするようになったものだと思うと、嬉しく感じる。
しかし、そんな微笑ましい気持ちは、そのクローゼットを開け放った瞬間、綺麗に凍り付いた。
「さぁ、見てくださいっ」
「……」
そこには光を纏うほど輝く白いウェディングドレスがあった。
そして、その隣には抜かりなくシェリスが着るであろう真っ白なタキシードも置かれている。
「どうですか? 着たくなりませんか?」
「へっ、え、えっと……それ、どうしたの……?」
声が変に裏返ってしまうのは仕方がない。喉は先ほどから水分が若干飛んでしまっている。意識が飛びそうになっているのも、気のせいではないかもしれない。
「獣人族の国に、この手の匠がいるのです。常に百年先まで予約が埋まっているのですが、昔のとある縁がありまして、特別に前倒ししていただいたのです。着る者を更に輝かせ、三日三晩心から幸せを感じられるというオプション付きですよ」
「……呪い……?」
その時、ティアの頭の中には、曰くあるピンク色のドレスが浮かんでいた。
間違いなくあの呪いのドレスを作った所と出どころは同じだろう。とんでもない代物だ。
「あ、着てみますか? 着たくなりましたよね?」
「い、いやぁ~……もったいないかな……」
マズイ。これを着たら、確実に速攻で結婚式を挙げる羽目になる。そうなるような術が掛かっていそうなのだ。ここは何が何でも回避しなくてはならない。
「いいんですよ? 試着も大切ですからね」
「……ですかね~……」
後がない。そう冷や冷やとしていたその時だった。
「だから、あんたは変態だってぇのよっ」
そう言って扉を勢い良く蹴破り、部屋へ飛び込んできたのはサクヤだった。
「え!? サクヤ姐さんっ? なんでここにっ、どうやってっ?」
王宮で別れたはずのサクヤが、なぜここにいるのか。どうやって来たのかと驚く。
そして、更にその後ろから黒い影が現れる。
「ははっ、来てみて正解だったね」
「カル姐っ!?」
続いてゆったりとした足取りで部屋に入って来たのは、カルツォーネだった。
「本当よ。イヤな予感がしたのよね。ちょっとカランタ君! 父親面したいならもっとしゃんとなさいっ。あの変態から娘を守らなくてどうするのよ!」
「ふぇっ? さ、サクヤさん?」
サクヤの呼び掛けに、カランタが暗い顔を上げた。
「なんです? ゾロゾロと。ここは遊びに来て良い場所ではないのですが」
扉を蹴破る行為は、ティア達の常識では友人を遊びに誘う時と同じだ。
「遊びに来たわけがないでしょ。変態からティアを守る為に来たのよ! まったく、姉さんったら、こんな奴の依頼を受けるなんて!」
そう腕を組み、美しくも妖しいウェディングドレスを見ながらため息をつくサクヤ。
「相変わらず良い腕だね。お姉さんお得意のおかしな魔術が付与されなければ問題ないんだけど。飾っておくには良いかな」
「本当よ! 着たものの心を変えるなんてっ……悪趣味にも程があるわ……」
どうやら、獣人族の国にいる人気の匠というのは、サクヤの姉らしい。そして、やはりシェリスが所有している心を乙女に変えるピンクのドレスは、その人の作品で間違いなさそうだ。
「良いお姉さんなんだけどねぇ。あれだろう? 君が変な目で見られないようにって、男の人が着ると心を乙女に変えるドレスを作ってプレゼントしてくれたんだよね。あれ、今はシェリーが持ってるんだっけ?」
まさしくティアが思い付いたドレスの話だ。
「そのはずよ? その甲斐もなく、まったく乙女心を理解できてないみたいだけど?」
「私のティアの心を、乙女心という不確かなもので一括りにはされたくありませんね。八割方、幻想で出来ているというのが、マティとも話した見解です。たった二割しか本心を感じられないより、私はこうして向き合って知っていく方を選びますよ」
シェリスはティアだけを見つめて微笑む。その間に、サクヤは抜かりなく滑り込んだ。
「女の子は夢を持って、見て成長していくのよ。所詮、人の心を理解できない変態にはほんの小指の先ほども解明出来っこないわ」
相変わらず、会えば口喧嘩という関係だ。いっそ清々しい。
「ドレスも、あんたが着れば良いんじゃない? きっと幸せを噛み締められるでしょう」
「ひがみですか? これだからフラフラと直ぐに気を変える尻軽なキツネは困ります」
「なんですってぇっ!」
これもある意味、仲がいいと言えるのかもしれない。
「ほらほら二人とも。ティアが虚ろな目をしているよ? 一度落ち着いて。それから、ここへ来たのは君の暴走を止める為だけじゃないからね」
「ふんっ、分かっていますよ。現状の確認でしょう」
「そういうことだよ。さぁ、ティアも座ろうか」
「カル姐っ……」
なんて心強いのだろう。カルツォーネは本当に頼りになると、ティアは涙を滲ませ、惚れ直したのだった。
**********
舞台裏のお話。
マティ《すごいね、ゼブロ。すっごく早かったよ》
ゼブロ《グルル》
マティ《うん。当然だよ。マティより速いやつなんていないもん》
ゼブロ《グルっ、グルル》
マティ《じゃぁ、いつか追いかけっこができるねっ》
ゼブロ《グルル~》
マティ《主が言ってたよショウジンあるのみって》
ゼブロ《グルルル~ゥ》
マティ《その意気だねっ》
冒険者A「何話してんだろうな……」
冒険者B「友情だな」
冒険者C「良い話だっ」
冒険者A「いや、何言ってんか分かんねぇだろ……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
弱いんです。
扱いには慣れているのでしょうか。
カル姐さんは、とっても頼りになります。
話題変更成功でしょうか。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
**********
カランタは、ティアを抱き抱え、シェリスから勢い良く距離を取る。
「ティアに結婚はまだ早いよっ。父親である僕を倒してからっ……じゃなかった……とにかくっ、ティアとの結婚はまだダメだよっ!」
倒してからなんて言ったら、倒されてしまうに決まっていると思い、言い直したらしい。
ビシッと決めた後に、ビクビクと震えるのは少々みっともないと思うのだが、あえて口には出さなかった。それよりも、今このタイミングで現れた事に驚いたのだ。
「……とぅさま……」
「っ!? ティ、ティア……っ今っ、今なんてっ……っ」
「え? あ……えっと……」
思わず呟いた言葉にティア自身、動揺して目を逸らした。対して、カランタは感動に打ち震えているらしい。
「父様って……父様っ……もう一回お願いしますっ!」
「やだ」
「ガーン!」
「あっ」
ここでティアは自分の失敗に気付く。せっかく助けに来てくれたカランタを、自らノックアウトしてしまったのだ。
「おや。お義父様は隅に行ってしまいましたね。では、式の打ち合わせをしましょう」
「ちょっ、ちょい待って。カランタ~っ。と、父様~っ」
「うぅっ……どうせっ……どうせ僕は頼りなくて……父としての威厳も何も……その上……」
「お~い……」
呼び戻せない。部屋の隅に影を落とし、小さく丸まった背中にある翼は、どこかくすんだような、そんな色と力ないものに見えた。
「もういいですか? そうですっ、ドレスを見せましょうっ」
そう言って、シェリスは大きなクローゼットらしきものの方へと歩いていく。
「え? クローゼットなんて、この部屋にあったっけ?」
生活感など皆無の執務室だ。そんなもの目にも入らなかった。しかし、認識した今となっては、かなり存在感がある。大きいが、部屋の雰囲気を壊さない、とても上品な仕上がりだ。
「あなたも懇意にしているナルカ・バルクに作ってもらいました」
「へ、へぇ……さすがだね……」
他人との付き合いなどその辺の雑草よりも価値がないと思っているシェリスが、必要な物とはいえ、個人的に頼むなど、珍しい事もあるものだと感心する。
ギルドの他の職員達とも良い関係を築けているようだし、昔よりも人付き合いをするようになったものだと思うと、嬉しく感じる。
しかし、そんな微笑ましい気持ちは、そのクローゼットを開け放った瞬間、綺麗に凍り付いた。
「さぁ、見てくださいっ」
「……」
そこには光を纏うほど輝く白いウェディングドレスがあった。
そして、その隣には抜かりなくシェリスが着るであろう真っ白なタキシードも置かれている。
「どうですか? 着たくなりませんか?」
「へっ、え、えっと……それ、どうしたの……?」
声が変に裏返ってしまうのは仕方がない。喉は先ほどから水分が若干飛んでしまっている。意識が飛びそうになっているのも、気のせいではないかもしれない。
「獣人族の国に、この手の匠がいるのです。常に百年先まで予約が埋まっているのですが、昔のとある縁がありまして、特別に前倒ししていただいたのです。着る者を更に輝かせ、三日三晩心から幸せを感じられるというオプション付きですよ」
「……呪い……?」
その時、ティアの頭の中には、曰くあるピンク色のドレスが浮かんでいた。
間違いなくあの呪いのドレスを作った所と出どころは同じだろう。とんでもない代物だ。
「あ、着てみますか? 着たくなりましたよね?」
「い、いやぁ~……もったいないかな……」
マズイ。これを着たら、確実に速攻で結婚式を挙げる羽目になる。そうなるような術が掛かっていそうなのだ。ここは何が何でも回避しなくてはならない。
「いいんですよ? 試着も大切ですからね」
「……ですかね~……」
後がない。そう冷や冷やとしていたその時だった。
「だから、あんたは変態だってぇのよっ」
そう言って扉を勢い良く蹴破り、部屋へ飛び込んできたのはサクヤだった。
「え!? サクヤ姐さんっ? なんでここにっ、どうやってっ?」
王宮で別れたはずのサクヤが、なぜここにいるのか。どうやって来たのかと驚く。
そして、更にその後ろから黒い影が現れる。
「ははっ、来てみて正解だったね」
「カル姐っ!?」
続いてゆったりとした足取りで部屋に入って来たのは、カルツォーネだった。
「本当よ。イヤな予感がしたのよね。ちょっとカランタ君! 父親面したいならもっとしゃんとなさいっ。あの変態から娘を守らなくてどうするのよ!」
「ふぇっ? さ、サクヤさん?」
サクヤの呼び掛けに、カランタが暗い顔を上げた。
「なんです? ゾロゾロと。ここは遊びに来て良い場所ではないのですが」
扉を蹴破る行為は、ティア達の常識では友人を遊びに誘う時と同じだ。
「遊びに来たわけがないでしょ。変態からティアを守る為に来たのよ! まったく、姉さんったら、こんな奴の依頼を受けるなんて!」
そう腕を組み、美しくも妖しいウェディングドレスを見ながらため息をつくサクヤ。
「相変わらず良い腕だね。お姉さんお得意のおかしな魔術が付与されなければ問題ないんだけど。飾っておくには良いかな」
「本当よ! 着たものの心を変えるなんてっ……悪趣味にも程があるわ……」
どうやら、獣人族の国にいる人気の匠というのは、サクヤの姉らしい。そして、やはりシェリスが所有している心を乙女に変えるピンクのドレスは、その人の作品で間違いなさそうだ。
「良いお姉さんなんだけどねぇ。あれだろう? 君が変な目で見られないようにって、男の人が着ると心を乙女に変えるドレスを作ってプレゼントしてくれたんだよね。あれ、今はシェリーが持ってるんだっけ?」
まさしくティアが思い付いたドレスの話だ。
「そのはずよ? その甲斐もなく、まったく乙女心を理解できてないみたいだけど?」
「私のティアの心を、乙女心という不確かなもので一括りにはされたくありませんね。八割方、幻想で出来ているというのが、マティとも話した見解です。たった二割しか本心を感じられないより、私はこうして向き合って知っていく方を選びますよ」
シェリスはティアだけを見つめて微笑む。その間に、サクヤは抜かりなく滑り込んだ。
「女の子は夢を持って、見て成長していくのよ。所詮、人の心を理解できない変態にはほんの小指の先ほども解明出来っこないわ」
相変わらず、会えば口喧嘩という関係だ。いっそ清々しい。
「ドレスも、あんたが着れば良いんじゃない? きっと幸せを噛み締められるでしょう」
「ひがみですか? これだからフラフラと直ぐに気を変える尻軽なキツネは困ります」
「なんですってぇっ!」
これもある意味、仲がいいと言えるのかもしれない。
「ほらほら二人とも。ティアが虚ろな目をしているよ? 一度落ち着いて。それから、ここへ来たのは君の暴走を止める為だけじゃないからね」
「ふんっ、分かっていますよ。現状の確認でしょう」
「そういうことだよ。さぁ、ティアも座ろうか」
「カル姐っ……」
なんて心強いのだろう。カルツォーネは本当に頼りになると、ティアは涙を滲ませ、惚れ直したのだった。
**********
舞台裏のお話。
マティ《すごいね、ゼブロ。すっごく早かったよ》
ゼブロ《グルル》
マティ《うん。当然だよ。マティより速いやつなんていないもん》
ゼブロ《グルっ、グルル》
マティ《じゃぁ、いつか追いかけっこができるねっ》
ゼブロ《グルル~》
マティ《主が言ってたよショウジンあるのみって》
ゼブロ《グルルル~ゥ》
マティ《その意気だねっ》
冒険者A「何話してんだろうな……」
冒険者B「友情だな」
冒険者C「良い話だっ」
冒険者A「いや、何言ってんか分かんねぇだろ……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
弱いんです。
扱いには慣れているのでしょうか。
カル姐さんは、とっても頼りになります。
話題変更成功でしょうか。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
10
お気に入りに追加
4,568
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。