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501 提案はいつも衝撃です
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2016. 10. 5
**********
まだ少し、緊迫した空気が残っている。それを払拭するように、ティアは王へと明るい声で言った。
「ごめんね。クィーグの人って真面目なのと曲者しかいなくて、慣れないと扱い辛いんだ」
一度味方としてしまえば、最強に頼もしい仲間となるのだが、独自の世界観と何百年経っても使命を全うしようとする強い忠誠心を持っている。時にとても扱い辛いのだ。
「凄いわよね。普通、主人が死んだ後は、どんな約束があっても風化していくものよ。特に人族はね。それなのに、いまだにあれだけ固執する強さを持ってるなんて。その上、あの頃から身体能力とか技術も保ってるのよ? 尊敬するわ」
サクヤは、人族の弱さを知っている。受け継がれるものはあっても、神具がそうであるように、それが何なのかが分からなくなり、戦争や内乱によって紛失してしまう事も多い。
想いも同じだ。最初に受けた者がどれだけ強く思っていたとしても、その熱をそのまま、簡単に受け継げるものではない。
しかし、クィーグは静かに、同じ熱を秘めたままその思いの強さを保っている。それが何世代にも渡って、受け継がれてきたのだ。
「ある意味、強い信仰心よね。思いが風化する事なく受け継がれていくのだもの。こんな事言うと、クィーグの人達に失礼かもしれないけど、神の王国の奴らも同じだわ。それが一族の誇りとしてあるか、周りを巻き込んで呑み込んでいくかの違いだと思うの。だから人の思いって、侮れないわね」
人族の一生は短い。だからこそ、受け継ぐ力を持っている。
サクヤ達のように長く生きる者にとって、それぞれの一生が終着点だ。誰かに継がせようなんて思わない。
もちろん、里や国の頭は引き継ぐようにしているが、それもたいていは生きている間に役目を後を託す者に譲っていく。
先王が生きている間に二回以上、王位の引き継ぎがある事も少なくない。そうして、受け継ぐというより、形式的な引き継ぎが行われるのだ。
「珍しいのはわかるけど、だからって、突かないでよ」
「ゴメンって、でも、なんかフィズちゃん達、あの偽物の事もあって、ちょっと最近苛ついてたから、ガス抜きが必要かなって」
「それは……気になってたけど……」
クィーグの者達は、先ほどフィズが言ったように、サティアの偽物が許せないのだ。しかし、ティアによってこれの抹殺は禁じられている。
容易に場所も特定できない神の王国のアジトや、幹部達。手の打ちようがなく、あと少しが手の届かない事をもどかしく思っているのに対し、少し前からサティアの偽物はいつでも首を狙える場所にいる事が分かっていたようなのだ。
風王によって、ティアが知るまで、じっと何か得られる情報がないかと監視し続けていたクィーグだったが、改めてティアに待ったを掛けられた事で、更にストレスを感じているようだ。
手を出せる所に獲物がいるのに、止められている苛立ち。それは、口や態度に決して見せないクィーグ達の心を締め付けていく。
そうと分かっていても、ティアは良しとする事が出来ないのだ。
そんな話を、静かに聞いていた王がティアを見つめて呟くように言った。
「本当に女神サティアの生まれ変わりなのだな……」
「そうよ。私達が間違えるはずないわ。何度生まれ変わっても、私には分かるのよ」
サクヤが自信満々に答える。
「そうか……これは、失礼した」
立ち上がった王は、ティアの方へ歩み寄ると、膝をついたのだ。さすがのティアも慌てる。
「ちょっと、王様っ、何をっ」
「当然の礼儀だ。女神サティアは、民を守ってくれた。この国を生かした方だ。それを、我が王家は感謝している」
王が頭を下げる。ティアの後ろでは、同じように王太子が跪くのを感じていた。
「そんなっ、大袈裟だよ。それに、ある意味、好き勝手やった結果だったんだ。色んな人に、いっぱい迷惑かけたからね。だから、こういうのは困る。それに、私はサティアだったけど、女神だって認めてないから。何より、今はティアとして生きてるんだもん。そこん所、分かって欲しいな」
ティアは崇められたいわけでも、感謝されたいわけでもない。サティアの生まれ変わりである事に変わりはないが、女神であるという事は、未だに抵抗があるのだ。
サティアとして、過去に向き合い、清算する気ではいるが、それは女神だからではないのだから。
「ははっ、君らしいな」
「王様ってば、私が困るの分かっててやったでしょ。そういう所、ちょとセリ様に似てる……」
そう言って、ティアは恥ずかしそうに顔を赤らめて王から目を背ける。
これに、王は嬉しそうに笑みを浮かべて立ち上がると尋ねた。
「顔も似ているのか?」
「っ、似てる……もうちょい若かったけど……」
「それは、惜しい事をしたな。惚れてもらえるチャンスだったのに」
「っそ、そういう所まで似なくて良いよ……」
たまに冗談なのか本気なのかわからない事を言っていたなと思い出し、更に顔を赤くするティアだ。
「そんな事よりっ、まだ話終わってないからねっ。偽物さんの話をしないとっ」
ニヤニヤと笑ってそんな王とのやり取りを見ていたサクヤが思い出す。
「あら。そういえば、フィズちゃん達。その偽物の居場所を知っているのよね? アジトは見つかってないのに、どこにいるの?」
サクヤはフィズ達がその居場所を突き止めたという事は知っていた。だが、まだ誰が偽物かは知らないのだ。
「この国にいるよ」
「え? なにそれっ、フィズちゃん達が荒れるわけだわ……」
「うん。さすがに、本当に手が届く所にいるみたいだから、監視だけに留めてるけど、いつ突っ込むかって冷や冷やするよ……」
見張らせてはいるのだ。その動向と、組織の者達との接触があれば、すぐに分かるようになっている。
今は、泳がせるようにして、目的や接触する組織の者がどこへ帰るのかを見定める為だと納得させているのだが、未だ成果は上がっていない。
「相当ストレス溜まってそうだものね……でも、奴らのアジトがあるっていうウィストじゃなく、なんでこの国にいるのよ」
神の王国にとって、サティアの生まれ変わりは重要な役割を持つはずだ。それを、離れた場所へ置く意図がわからない。
「問題はそこだよ。名前はローズ・リザラント」
「えっ?」
驚きの声を思わず上げたのは、侯爵だ。
「そ、その方は、レイナルート様の婚約者候補の一人では……」
「あ……」
当のレイナルートは、言われて気付いたようだ。どうも、婚約自体に乗り気ではなかったらしい。理由はバトラールだろう。
「そう。彼女の目的は、王太子妃になる事で、この国を内側から乗っ取るつもりなんじゃないかと思うんだ。ウィストがその方法でやられてるからね」
「なっ、そのようなっ」
可能性としては、一番それが高い。だが、決めつけるには早いのも確かなのだ。
「もちろん、そうじゃない可能性だってあるよ。だから、そうだなぁ……王様。私も婚約者候補って事にしてみない?」
「えっ!?」
「ほぉ」
「ティアっ!?」
この提案に、レイナルート、王、エルヴァストが、それぞれ三者三様の驚きの声を上げたのだった。
**********
舞台裏のお話。
ビアン「……大丈夫か……?」
ルクス「だ、だい、大丈夫だ……」
ビアン「……何というか……お嬢さんは突然、とんでもない事を言い出す天才だな……」
ルクス「予想不可能なんだ……」
ビアン「きっと、今、ルクスの方がダメージが大きいと思うんだが」
ルクス「そ、そんな事はない……」
ビアン「心中お察しする……」
ルクス「はぁ……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
ルクス君は心に傷を負いました。
これが言いたかったのです。
方針は決定しています。
偽物は撃破です!
では次回、一日空けて7日です。
よろしくお願いします◎
**********
まだ少し、緊迫した空気が残っている。それを払拭するように、ティアは王へと明るい声で言った。
「ごめんね。クィーグの人って真面目なのと曲者しかいなくて、慣れないと扱い辛いんだ」
一度味方としてしまえば、最強に頼もしい仲間となるのだが、独自の世界観と何百年経っても使命を全うしようとする強い忠誠心を持っている。時にとても扱い辛いのだ。
「凄いわよね。普通、主人が死んだ後は、どんな約束があっても風化していくものよ。特に人族はね。それなのに、いまだにあれだけ固執する強さを持ってるなんて。その上、あの頃から身体能力とか技術も保ってるのよ? 尊敬するわ」
サクヤは、人族の弱さを知っている。受け継がれるものはあっても、神具がそうであるように、それが何なのかが分からなくなり、戦争や内乱によって紛失してしまう事も多い。
想いも同じだ。最初に受けた者がどれだけ強く思っていたとしても、その熱をそのまま、簡単に受け継げるものではない。
しかし、クィーグは静かに、同じ熱を秘めたままその思いの強さを保っている。それが何世代にも渡って、受け継がれてきたのだ。
「ある意味、強い信仰心よね。思いが風化する事なく受け継がれていくのだもの。こんな事言うと、クィーグの人達に失礼かもしれないけど、神の王国の奴らも同じだわ。それが一族の誇りとしてあるか、周りを巻き込んで呑み込んでいくかの違いだと思うの。だから人の思いって、侮れないわね」
人族の一生は短い。だからこそ、受け継ぐ力を持っている。
サクヤ達のように長く生きる者にとって、それぞれの一生が終着点だ。誰かに継がせようなんて思わない。
もちろん、里や国の頭は引き継ぐようにしているが、それもたいていは生きている間に役目を後を託す者に譲っていく。
先王が生きている間に二回以上、王位の引き継ぎがある事も少なくない。そうして、受け継ぐというより、形式的な引き継ぎが行われるのだ。
「珍しいのはわかるけど、だからって、突かないでよ」
「ゴメンって、でも、なんかフィズちゃん達、あの偽物の事もあって、ちょっと最近苛ついてたから、ガス抜きが必要かなって」
「それは……気になってたけど……」
クィーグの者達は、先ほどフィズが言ったように、サティアの偽物が許せないのだ。しかし、ティアによってこれの抹殺は禁じられている。
容易に場所も特定できない神の王国のアジトや、幹部達。手の打ちようがなく、あと少しが手の届かない事をもどかしく思っているのに対し、少し前からサティアの偽物はいつでも首を狙える場所にいる事が分かっていたようなのだ。
風王によって、ティアが知るまで、じっと何か得られる情報がないかと監視し続けていたクィーグだったが、改めてティアに待ったを掛けられた事で、更にストレスを感じているようだ。
手を出せる所に獲物がいるのに、止められている苛立ち。それは、口や態度に決して見せないクィーグ達の心を締め付けていく。
そうと分かっていても、ティアは良しとする事が出来ないのだ。
そんな話を、静かに聞いていた王がティアを見つめて呟くように言った。
「本当に女神サティアの生まれ変わりなのだな……」
「そうよ。私達が間違えるはずないわ。何度生まれ変わっても、私には分かるのよ」
サクヤが自信満々に答える。
「そうか……これは、失礼した」
立ち上がった王は、ティアの方へ歩み寄ると、膝をついたのだ。さすがのティアも慌てる。
「ちょっと、王様っ、何をっ」
「当然の礼儀だ。女神サティアは、民を守ってくれた。この国を生かした方だ。それを、我が王家は感謝している」
王が頭を下げる。ティアの後ろでは、同じように王太子が跪くのを感じていた。
「そんなっ、大袈裟だよ。それに、ある意味、好き勝手やった結果だったんだ。色んな人に、いっぱい迷惑かけたからね。だから、こういうのは困る。それに、私はサティアだったけど、女神だって認めてないから。何より、今はティアとして生きてるんだもん。そこん所、分かって欲しいな」
ティアは崇められたいわけでも、感謝されたいわけでもない。サティアの生まれ変わりである事に変わりはないが、女神であるという事は、未だに抵抗があるのだ。
サティアとして、過去に向き合い、清算する気ではいるが、それは女神だからではないのだから。
「ははっ、君らしいな」
「王様ってば、私が困るの分かっててやったでしょ。そういう所、ちょとセリ様に似てる……」
そう言って、ティアは恥ずかしそうに顔を赤らめて王から目を背ける。
これに、王は嬉しそうに笑みを浮かべて立ち上がると尋ねた。
「顔も似ているのか?」
「っ、似てる……もうちょい若かったけど……」
「それは、惜しい事をしたな。惚れてもらえるチャンスだったのに」
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ニヤニヤと笑ってそんな王とのやり取りを見ていたサクヤが思い出す。
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神の王国にとって、サティアの生まれ変わりは重要な役割を持つはずだ。それを、離れた場所へ置く意図がわからない。
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「えっ?」
驚きの声を思わず上げたのは、侯爵だ。
「そ、その方は、レイナルート様の婚約者候補の一人では……」
「あ……」
当のレイナルートは、言われて気付いたようだ。どうも、婚約自体に乗り気ではなかったらしい。理由はバトラールだろう。
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可能性としては、一番それが高い。だが、決めつけるには早いのも確かなのだ。
「もちろん、そうじゃない可能性だってあるよ。だから、そうだなぁ……王様。私も婚約者候補って事にしてみない?」
「えっ!?」
「ほぉ」
「ティアっ!?」
この提案に、レイナルート、王、エルヴァストが、それぞれ三者三様の驚きの声を上げたのだった。
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舞台裏のお話。
ビアン「……大丈夫か……?」
ルクス「だ、だい、大丈夫だ……」
ビアン「……何というか……お嬢さんは突然、とんでもない事を言い出す天才だな……」
ルクス「予想不可能なんだ……」
ビアン「きっと、今、ルクスの方がダメージが大きいと思うんだが」
ルクス「そ、そんな事はない……」
ビアン「心中お察しする……」
ルクス「はぁ……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
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