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連載
486 山越え?
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2016. 9. 9
**********
少々長い男爵への報告を終えたティアは、シルを男爵の所へ残し、ルクス、カランタ、ミック、ワイバーンのバン、それと神使獣だというゼブロとマティでソクラ伯爵領へ向けて出発した。
ソクラ伯爵領へは、マティとバン、ゼブロに分乗して移動した。
マティとティアだけならばそれほど時間はかからないのだが、今回はそうもいかない。空を行くワイバーンの速度よりもマティは速い。そう考えると、マティの速さは驚異的なものだと再認識できた。
ソクラ伯爵領に入ったのは、昼をかなり過ぎた頃だった。それでも馬ならば数日掛かってしまうのだ。充分過ぎる速さだろう。
「そういえば、男爵には何と言ってきたんだ?」
ルクスが今更ながらに尋ねた。
「ソフバっていう神官の事も説明して、これ以降は心配ないって言っておいた。捕まえた人達を、そのまましばらく拘束してもらわないといけなかったからね」
帰せば殺されてしまうかもしれないのだ。それでは後味が悪い。その為、ソフバの方の事情をわざわざ時間を掛けて説明しておく必要があった。
ティアと向かい合った事で、ソフバとしては計画を諦めざるを得なくなったはずだ。後にカルツォーネも出向いた事もあり、これ以上は強行出来ないと悟っただろう。何より、カルツォーネならば、ソフバに監視をつける。これで動きは封じたも同然だった。
「そっか。良かった。捕まえた人達は留まらせるんだね」
カランタは、ほっとした様子で笑みを浮かべた。捕まえた人々がどうなるのか、気になっていたようだ。
「まぁ、保護みたいなものかな。この後の事が片付いたら、改めて王様に対応してもらうんだけどね。男爵に彼らの説得も頼んだし、あと数日ぐらいは大人しくしてくれるでしょ」
「その為にシルを置いて来たのか」
「そう。偉そうなお貴族様より、ちょい気が弱そうに見えるシルの言葉なら聞きやすいかなと思ってね」
彼らは、中央の貴族達に不信感を持っていたのではないかと思うのだ。それならば、話しやすいのが誰かは決まっている。何より、人は聞こうと思えなければ、どんな話をした所で理解しない。相手が貴族だと認識した時点で暴れられては困るのだ。
「これ以上、あの人達が問題を起こさないようにしないといけないもの。シルにそれとなく監視してもらおうと思って」
「それって、これ以上罪を重ねさせない為とか?」
ミックは国境を越えるまでの道中で、これまでの話を聞いていた。ミックはどうやら、ウィストの者達に同情しているらしい。
今ならば、彼らは国境を密かに越えた密入国者で済む。事情もある事も認められ、保護という名目で滞在する事になるだろう。しかし、ソフバが計画していたような、町を乗っ取ろうとする動きが少しでも見えれば、それは排除しなくてはならない侵入者となるのだ。
そうなれば、少なからず、罰を与えなくてはならなくなる。
「そういう事。他国の人を罰するのは、その人一人の問題じゃなくなるからね」
「なるほど……」
国同士の問題に発展させない為にも、今まで捕らえた者達を密かに解放し、国に帰していたのだ。
保護という名目ならば、難癖もつけ難い。今回はこれで落ち着くまで通す考えだ。
「それで、ワイバーンは本当にこのソクラ伯爵領に来ると?」
ミックは、見失ってしまったワイバーンがこの場所へ来るとティアから聞かされた時、信じられなかった。今もまだ半信半疑だ。確認せずにはいられない。
「うん。ここってね。少しだけ山が低くなるポイントがあるんだよ。上からなら越えやすいんだ」
メリスラング男爵領は唯一、ウィストへ抜けられる国境の門のある領だ。そこから東へ、長い山脈が国境線として横たわっているためだ。
西へ行けば、大国との貿易の要である国境の門を有する領は沢山あり、メリスラング男爵領は、この国の最も東の小さな玄関口だった。
そして、東へ馬車で三日。一つ領を挟んでソクラ伯爵領がある。この領が、フリーデル王国の東の端だ。しかし、国境線は山なので、外への門は存在しなかった。
だが、ほんの少しだけ、ウィストに接する山が低い場所がある。そこを、なんとかワイバーンなら越えられるだろう。
「まるで実体験してきたようなセリフだな?」
「うん。フラムも越えやすいんだよ。東寄りに進むと町もないし、目撃者もなくて済むんだよね~」
「……そ、そうなのか……」
実際、魔族の国へ行く時のルートだったりするのだ。反対にカルツォーネもフリーデルへ来る時に使っていた。
山を越えるのは、気流などの関係で越え難いのだ。それを加味し、越えた後の疲弊も考えると、少々低い位置を飛んだとしても目撃される事が少ないルートが確保できるのが、このソクラ伯爵領なのである。
空から国を通過したり、入国する場合は、その国の国境の町で手続きをすれば良い。騎獣としての登録証と、ギルドの許可証があれば確認するだけの簡単なものだ。
これらは世界共通。手続きを出来る場所は、国境の国であれば問題はない。これも専用の旗が立っているのですぐに分かる。しかし、ミックはバンと出会ってから国を出た事がこれまでなかった。お陰でこのような事は知らなかったらしく、ご丁寧に国境の門を歩いて通ったらしい。
「知っとくと便利だよ? 今度、山越えのコツも教えるね」
「……ありがとう……けど、難しいなら、ここから越えて来たりしないんじゃ……」
山を越えるのが難しいのは、野生のワイバーンでも同じだ。巣山を追われたとしても、無理に山を越えようなどとはしないだろう。
故に、山よりこちら側と向こう側で住み分けが完璧に出来てしまっているのだ。しかし、今回の問題は、ワイバーンの意思ではないかもしれないという事だ。
「越えようと考えてるのは、ワイバーンを操ってる者であって、ワイバーンじゃないからね。ここ、もう少し北に行くと、ワイバーンの巣山があるんだ。だから、はぐれワイバーンが町に向かって来ても、おかしくない土地なんだよね」
「そっか。それなら、まさか他国から侵入してきたなんて考えないよね」
カランタもようやく腑に落ちたと、手を叩いた。
「そう。試験的に飛ばすには良いんだよ。でもまぁ、考えが甘いんだよね。ギルドは優秀だから、国が気付く前に異変には気付く。今回のもそう。もう冒険者を向かわせてるんだよ」
「それ、まさか……」
ルクスは思い当たったようだ。
《臭うよっ! 臭うっ。あっちだねっ》
「え? ちょっと、マティっ、待っ……」
《マティは正義の味方なんだからねっ。待ってろ、トカゲェェェっ》
「……行っちゃったよ……?」
「マティってば……ごめんねゼブロ。乗せてくれる?」
《グルルル》
こうして、ワイバーンの気配を感じ取ったらしいマティを追って、ティア達も駆け出したのだった。
**********
舞台裏のお話。
男爵「すまない。こんな雑用までさせてしまって」
シル「構いません。ティア様には男爵のサポートをと申しつかっておりますので」
男爵「そうか。本当に助かるよ。それで、説得はできそうか?」
シル「はい。兵の方々が、既に色々とお話してくださっていたようで、とても素直に聞いてくださいました」
男爵「兵達が? それは……知らなかった
……」
シル「男爵がいかに素晴らしい剣士でいらっしゃるかと、毎夜熱く語っていらっしゃるようです」
男爵「な、なに?」
シル「部下の方々にこれほど愛される『男爵』というのは珍しいかと。貴族の中で、領兵が喜んで仕えようと思えるお方は少ないですから」
男爵「そうか……なんだか照れるな」
シル「仕事にやる気のある領兵というのも中々おりませんよ」
男爵「そうだろうか? だが、王都の方には素晴らしい騎士団があるのだろう? 確か……紅翼の騎士団っ。評判は、ここまで聞こえてきているよ」
シル「……あの方々は特殊ですので……」
男爵「特殊? まぁ、騎士団がこれ程評判が良いのは初めてだしな。とても特殊な例だ」
シル「いえ……そうなのですが、そうではないんです……っ」
男爵「うむ?」
兵士A「なぁ、ティアさんはどうしたんだ?」
兵士B「くそっ、今回はマティさんと一緒に稽古をつけて貰えると思ったのになぁ」
兵士C「だよなっ。期待してたのにっ」
兵士A「俺らの小さな女王様っ……今度はいつ会えるんだっ?」
兵士B「そうだよっ。いつだっ? 俺、もう女王様なしじゃいられねぇよっ」
兵士C「わかるっ。刺激が欲しいんだよっ。女王様、お戻りをっ!」
兵士B「うぉぉぉっ、我らの女王様ぁぁぁぁ」
シル「……」
男爵「……」
シル「立派にっ……立派に特殊化をっ……」
男爵「っ、これがっ⁉」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
信者は量産できてます。
戻ってきました。
さて、マティが向かった先には?
では次回、一日空けて11日です。
よろしくお願いします◎
**********
少々長い男爵への報告を終えたティアは、シルを男爵の所へ残し、ルクス、カランタ、ミック、ワイバーンのバン、それと神使獣だというゼブロとマティでソクラ伯爵領へ向けて出発した。
ソクラ伯爵領へは、マティとバン、ゼブロに分乗して移動した。
マティとティアだけならばそれほど時間はかからないのだが、今回はそうもいかない。空を行くワイバーンの速度よりもマティは速い。そう考えると、マティの速さは驚異的なものだと再認識できた。
ソクラ伯爵領に入ったのは、昼をかなり過ぎた頃だった。それでも馬ならば数日掛かってしまうのだ。充分過ぎる速さだろう。
「そういえば、男爵には何と言ってきたんだ?」
ルクスが今更ながらに尋ねた。
「ソフバっていう神官の事も説明して、これ以降は心配ないって言っておいた。捕まえた人達を、そのまましばらく拘束してもらわないといけなかったからね」
帰せば殺されてしまうかもしれないのだ。それでは後味が悪い。その為、ソフバの方の事情をわざわざ時間を掛けて説明しておく必要があった。
ティアと向かい合った事で、ソフバとしては計画を諦めざるを得なくなったはずだ。後にカルツォーネも出向いた事もあり、これ以上は強行出来ないと悟っただろう。何より、カルツォーネならば、ソフバに監視をつける。これで動きは封じたも同然だった。
「そっか。良かった。捕まえた人達は留まらせるんだね」
カランタは、ほっとした様子で笑みを浮かべた。捕まえた人々がどうなるのか、気になっていたようだ。
「まぁ、保護みたいなものかな。この後の事が片付いたら、改めて王様に対応してもらうんだけどね。男爵に彼らの説得も頼んだし、あと数日ぐらいは大人しくしてくれるでしょ」
「その為にシルを置いて来たのか」
「そう。偉そうなお貴族様より、ちょい気が弱そうに見えるシルの言葉なら聞きやすいかなと思ってね」
彼らは、中央の貴族達に不信感を持っていたのではないかと思うのだ。それならば、話しやすいのが誰かは決まっている。何より、人は聞こうと思えなければ、どんな話をした所で理解しない。相手が貴族だと認識した時点で暴れられては困るのだ。
「これ以上、あの人達が問題を起こさないようにしないといけないもの。シルにそれとなく監視してもらおうと思って」
「それって、これ以上罪を重ねさせない為とか?」
ミックは国境を越えるまでの道中で、これまでの話を聞いていた。ミックはどうやら、ウィストの者達に同情しているらしい。
今ならば、彼らは国境を密かに越えた密入国者で済む。事情もある事も認められ、保護という名目で滞在する事になるだろう。しかし、ソフバが計画していたような、町を乗っ取ろうとする動きが少しでも見えれば、それは排除しなくてはならない侵入者となるのだ。
そうなれば、少なからず、罰を与えなくてはならなくなる。
「そういう事。他国の人を罰するのは、その人一人の問題じゃなくなるからね」
「なるほど……」
国同士の問題に発展させない為にも、今まで捕らえた者達を密かに解放し、国に帰していたのだ。
保護という名目ならば、難癖もつけ難い。今回はこれで落ち着くまで通す考えだ。
「それで、ワイバーンは本当にこのソクラ伯爵領に来ると?」
ミックは、見失ってしまったワイバーンがこの場所へ来るとティアから聞かされた時、信じられなかった。今もまだ半信半疑だ。確認せずにはいられない。
「うん。ここってね。少しだけ山が低くなるポイントがあるんだよ。上からなら越えやすいんだ」
メリスラング男爵領は唯一、ウィストへ抜けられる国境の門のある領だ。そこから東へ、長い山脈が国境線として横たわっているためだ。
西へ行けば、大国との貿易の要である国境の門を有する領は沢山あり、メリスラング男爵領は、この国の最も東の小さな玄関口だった。
そして、東へ馬車で三日。一つ領を挟んでソクラ伯爵領がある。この領が、フリーデル王国の東の端だ。しかし、国境線は山なので、外への門は存在しなかった。
だが、ほんの少しだけ、ウィストに接する山が低い場所がある。そこを、なんとかワイバーンなら越えられるだろう。
「まるで実体験してきたようなセリフだな?」
「うん。フラムも越えやすいんだよ。東寄りに進むと町もないし、目撃者もなくて済むんだよね~」
「……そ、そうなのか……」
実際、魔族の国へ行く時のルートだったりするのだ。反対にカルツォーネもフリーデルへ来る時に使っていた。
山を越えるのは、気流などの関係で越え難いのだ。それを加味し、越えた後の疲弊も考えると、少々低い位置を飛んだとしても目撃される事が少ないルートが確保できるのが、このソクラ伯爵領なのである。
空から国を通過したり、入国する場合は、その国の国境の町で手続きをすれば良い。騎獣としての登録証と、ギルドの許可証があれば確認するだけの簡単なものだ。
これらは世界共通。手続きを出来る場所は、国境の国であれば問題はない。これも専用の旗が立っているのですぐに分かる。しかし、ミックはバンと出会ってから国を出た事がこれまでなかった。お陰でこのような事は知らなかったらしく、ご丁寧に国境の門を歩いて通ったらしい。
「知っとくと便利だよ? 今度、山越えのコツも教えるね」
「……ありがとう……けど、難しいなら、ここから越えて来たりしないんじゃ……」
山を越えるのが難しいのは、野生のワイバーンでも同じだ。巣山を追われたとしても、無理に山を越えようなどとはしないだろう。
故に、山よりこちら側と向こう側で住み分けが完璧に出来てしまっているのだ。しかし、今回の問題は、ワイバーンの意思ではないかもしれないという事だ。
「越えようと考えてるのは、ワイバーンを操ってる者であって、ワイバーンじゃないからね。ここ、もう少し北に行くと、ワイバーンの巣山があるんだ。だから、はぐれワイバーンが町に向かって来ても、おかしくない土地なんだよね」
「そっか。それなら、まさか他国から侵入してきたなんて考えないよね」
カランタもようやく腑に落ちたと、手を叩いた。
「そう。試験的に飛ばすには良いんだよ。でもまぁ、考えが甘いんだよね。ギルドは優秀だから、国が気付く前に異変には気付く。今回のもそう。もう冒険者を向かわせてるんだよ」
「それ、まさか……」
ルクスは思い当たったようだ。
《臭うよっ! 臭うっ。あっちだねっ》
「え? ちょっと、マティっ、待っ……」
《マティは正義の味方なんだからねっ。待ってろ、トカゲェェェっ》
「……行っちゃったよ……?」
「マティってば……ごめんねゼブロ。乗せてくれる?」
《グルルル》
こうして、ワイバーンの気配を感じ取ったらしいマティを追って、ティア達も駆け出したのだった。
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舞台裏のお話。
男爵「すまない。こんな雑用までさせてしまって」
シル「構いません。ティア様には男爵のサポートをと申しつかっておりますので」
男爵「そうか。本当に助かるよ。それで、説得はできそうか?」
シル「はい。兵の方々が、既に色々とお話してくださっていたようで、とても素直に聞いてくださいました」
男爵「兵達が? それは……知らなかった
……」
シル「男爵がいかに素晴らしい剣士でいらっしゃるかと、毎夜熱く語っていらっしゃるようです」
男爵「な、なに?」
シル「部下の方々にこれほど愛される『男爵』というのは珍しいかと。貴族の中で、領兵が喜んで仕えようと思えるお方は少ないですから」
男爵「そうか……なんだか照れるな」
シル「仕事にやる気のある領兵というのも中々おりませんよ」
男爵「そうだろうか? だが、王都の方には素晴らしい騎士団があるのだろう? 確か……紅翼の騎士団っ。評判は、ここまで聞こえてきているよ」
シル「……あの方々は特殊ですので……」
男爵「特殊? まぁ、騎士団がこれ程評判が良いのは初めてだしな。とても特殊な例だ」
シル「いえ……そうなのですが、そうではないんです……っ」
男爵「うむ?」
兵士A「なぁ、ティアさんはどうしたんだ?」
兵士B「くそっ、今回はマティさんと一緒に稽古をつけて貰えると思ったのになぁ」
兵士C「だよなっ。期待してたのにっ」
兵士A「俺らの小さな女王様っ……今度はいつ会えるんだっ?」
兵士B「そうだよっ。いつだっ? 俺、もう女王様なしじゃいられねぇよっ」
兵士C「わかるっ。刺激が欲しいんだよっ。女王様、お戻りをっ!」
兵士B「うぉぉぉっ、我らの女王様ぁぁぁぁ」
シル「……」
男爵「……」
シル「立派にっ……立派に特殊化をっ……」
男爵「っ、これがっ⁉」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
信者は量産できてます。
戻ってきました。
さて、マティが向かった先には?
では次回、一日空けて11日です。
よろしくお願いします◎
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