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連載
480 神は舞い降りている
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2016. 8. 19
なろう様で、ラストの投稿です。
********************************************
ウィストには、王都に次ぐ大きな町が三つある。その内の一つがイツクの町だ。
そんな町の神官の一人がソフバだった。
この日の夕刻から、ソフバは一人、神殿で神への祈りを捧げていた。この町の神殿には、祭壇が五つある。
神殿の四つ角に小さなものがそれぞれあり、中央に大神殿がある。ソフバは、小さな四つの内の一つの神殿をいつも利用していた。
立場上、この神殿でのナンバーツーだ。他の神官達は寄り付かない。そうして、毎日、長い時間この神殿に籠っているのだ。
だからこの日も、誰かが入って来るとは思わなかった。
「一人でいるとは、好都合だな。他の神官達は、もう奥に引っ込んだか」
「っ、だ、誰だ!」
この町の住人や、ウィストに住む者達は、神殿に入ったなら口を閉ざす。神への祈りを捧げる場所なのだ。式典の時でさえ、神官しか声を出してはいけないとされている。
しかし、その女性は堂々と、人の家を尋ねて来たような気軽さで声を響かせたのだ。
そのような無作法は、この国では許されない。ソフバも思わず規定とされる声の大きさを忘れてしまっていた。
振り向き、その人の姿を確認する。濃紺の膝まである長いジャケットは、スラリと伸びた彼女の長身を際立たせていた。手足も長く、均整の取れた美しいシルエットとしている。
長く、少し癖のありそうな髪は灯りに灯されて赤く染まり、一つに束ねて胸元へと垂らされていた。
しばらく彼女に見惚れていたが、その後ろからのそりと現れ、次に目に入ったのは、輝くばかりの白い毛並みをした大きな狼だ。
「うっ⁉︎」
悲鳴を上げなかったのは、その狼がとても美しく、気高く見えたからだ。そして、何より堂々とした、主人だという態度を見せる女性と並ぶ姿は、灯された厳かな灯りに包まれ、息を呑むほど幻想的に映った。
「お前がソフバで間違いないよな?」
「っはい……」
正常な息の仕方を忘れてしまったかもしれない。少し過呼吸気味になりながらも、何とか女性の問いかけに返事を返す。
だが、答えるべきではなかったかもしれない。
「この国の者に国境を越えさせているようだが?」
「っ⁉︎」
その目を見れば分かる。これは確認だ。彼女は既に何もかもを知っている。内心、どう誤魔化そうかと焦って冷や汗を流す中、女性は続けた。
「他国の町を乗っ取ってどうする。 それも、お前の独断なようだし、自国の者達までも敵に回して、何をしたいんだ?」
「そ、それは……っ」
町を奪い取れという、ソフバ自身、少々過激な計画は、それでもこの国の者達の為になると思っている。何より神への信仰を守る為なのだ。
しかし、それを説明するとなると、この国の内情も打ち明けなくてはならなくなる。ここで気になるのは、彼女がどの立場の者なのかだ。
こうして迷っていると、痺れを切らしたのは、彼女ではなく、その隣に控える狼だった。
《主の質問に答えろ》
「っひっ⁉︎ しゃべっ⁉︎」
「ただの狼なわけがないだろう。それほど驚く事か?」
「なっ……」
驚くに決まっている。未だかつて、言葉を解し、話す事が出来る魔獣など出会った事がない。史実にもないはずだ。
それを当たり前のように受け容れろとは無茶が過ぎる。
困惑の表情を浮かべるソフバなど気にする事なく、女性は狼の毛並みを撫で、その手触りを楽しんでいた。
しかし、その間も狼は鋭い視線をソフバへと向けており、ニヤリと牙を剥いて再び言葉を発した。
《話す気になったか?》
これ以上は考えている時間もないと、ゴクリと唾をのみ、口を開く。
「こ、この国は今、悪しき信仰を持つ者達に乗っ取られようとしている……」
「それは、神の王国の奴らか?」
「っ、そうです」
彼らの名を、こうもあっさりと口にされるとは思っていなかった。
昔から密かにその組織の存在は認識していた。ここ数年、その存在が表に出るようになった。同じ神の下に集う者達だ。上手く共生していけるはずだった。
「彼らは、戦争を考えています……この国の中枢に入り込み、他国へ仕掛けるつもりなのです」
その信念は、人族こそがこの世界の覇権を握るべきだというもの。
「中枢ねぇ……取り入ったのは大神官か……あぁ、王か。組織の神子だかなんだかが側妃になったと聞いたね」
「はい……正妃様は、密かにこの危機を私に知らせてくださったのです。王都の神官達を裏から説得し、組織の者達を追放する機会を窺っております」
王は説得に応じない。あの神子は、傷付いた王の心の弱みに付け込んだのだ。
「無理にでもその神子というのを王から引き離せない理由でもあるのか?」
この問いかけに、答えて良いものか迷う。これは、他国の諜報機関も知らない、極秘事項だ。しかし、ソフバは、この女性に誤魔化しや嘘はきかないと感じていた。
「……一年前……第二王女様が、お亡くなりになったのです……あの神子は、姫様と瓜二つでした」
「それは……」
ソフバは、初めて神子を見た時、息を呑んだ。同じ顔、同じ声、同じ年頃。そうして、ふと思い出したのだ。彼女は、似ていて当然なのではないかと。
「瓜二つって、あっちには天才魔導師がいるけど……まさか、双子だったとかないだろうね?」
「っ⁉︎ な、なぜそれをっ!」
「へぇ……くだらない風習は、五百年経っても健在か……そうだよね……神鏡も神笛もないんだ。同じ事は出来ない……」
理解できない言葉が呟かれる中、ソフバは混乱していた。
その可能性に至るとは思わなかった。目の前の女性は、何をどこまで知っているのか。
しかし、それを推理している余裕はなかった。再び女性がこちらの行動の意図を言い当てたからだ。
「国が乗っ取られて、戦争に巻き込まれる民達を救う為に、国を脱出させているのか。先遣隊に無理にでも住む場所を確保させて、近場の者達だけでも逃がそうってか?」
「っ……彼の組織は、底が知れません。先ほど仰った魔導師もおります。表向きは事を構えぬよう、協力する素振りで彼らを探っているのです。ですが、手遅れになってはいけない。だからっ」
悠長に事を構えていてはいけない。王都の神官や大神官達は、いざとなれば神が道を示すと言って動かない。
確かにソフバも神を信じている。しかし、それは手を尽くした者が言える言葉だと思うのだ。
「私には、何もせずにはいられませんでした。賛同してくれた、引退した騎士達が中心となり、彼らは他国を蹂躙する罪をかぶると言ってくださったのです」
国境を越え、町を奪う。それは人死もやむなしとした罪深き考えだ。そんな事をさせた自分は、許されない罰を受けるだろう。
それでも、民達を救いたかった。戦火に巻き込まれる民達を見たくなかったのだ。
「引退……なるほど。怪我で現役を退いた若いのもいたんだ。妙な年齢のばらつきはそれか。それで、まだ完全に敵対関係になっていないから、魔導師にあの姿を消す魔導具を横流ししてもらったとか?」
「あ、それは、魔導師についていた友人の神官が送ってくれたのです。なんでも『試作品はいらないから』と」
「試作品? あれが?」
女性が考え込む仕草をして首を傾げる。嘘ではない。沢山作ったが、どれも完璧ではない。試作品だから好きにしろと言われたのだと聞いた。
「試作品……なら、完成品は何に使う気だ? っ、まさか!」
《主?》
「マティ、急いで戻るよっ。ここは一旦、カル姐に任せよう。おい」
「は、はいっ」
何か焦って、今にも出て行こうとする女性は、不意に振り向いてソフバを呼んだ。
これにビクリと体を震わせて直立不動で女性の続く言葉を待った。
「もうすぐここに人が来る。正直に全て話せ。悪いようにはしない。お前は民を守りたいのだろう?」
「はい!」
「ならば、尚更しっかりと協力しろ。これ以上、犠牲者を出さない為にもな」
そう言って駆け出す女性。しかし、これだけは聞きたかった。
「あ、あなたのお名前はっ」
答えてはくれないかもしれない。そう思っていた。しかし、女性ははっきりと神殿内にその名を響かせる。
「バトラール」
「バトラール……女神の……」
それは女神が愛し、滅ぼした国の名。そう認識した時、口をついて出ていた。
「サティア様……」
「……っ」
神殿を出て行く彼女が、ふっと、笑ったように見えた。
************************************************
舞台裏の裏?のお話。
あ~っと?
これはこの箱で……。
ティア「うん? ブタカン。何してるの?」
あっ、ティアちゃん、どこへ行っていたんです?
お引越しです。
手伝ってくださいっ。
ティア「引越し?」
そうです。
これも運ばないと……。
ティア「これって……これ全部?」
全部ですよ~。
舞台装置も、資料も全部です。
ティア「……いつまでに?」
そうですねぇ。
後十日ぐらいでしょうか。
ちょっと遠いんで、何往復かしてもらわないといけないです。
あ、マクレート兄妹は全員、あっちの環境を整える先遣隊なんで、しばらく貸しといてね。
ティア「それはいいけど……本気で全部?」
この館ごと移動なんで、ここは空き地になるね~。
ティア「無理でしょっ。ゲルヴァローズじゃあるまいしっ」
はっ、その手がありましたっ。
ティア「え?」
あ~、言ってませんでしたね。
マルッと、これゲルヴァローズの遺石です。
忘れてました。
ただ、改築とかしたんで、どうなるかな~。
まぁ、運べる物だけ、とりあえず出して、そのまま行きましょう。
ティア「……へ?」
ん?
どうしたんです?
ティア「……ゲルヴァローズの遺石……オリジナルっ? 何で黙ってたっ⁉︎」
へ?
あ、ちょっ、うぎゃっ……っ。
ルクス「お~い。ティア、監督は……大丈夫か?」
ティア「ふんっ」
きゅ~ぅ……ひ、引越し……うっ…………。
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
圧倒して聞き出す。
マティもカッコよくキメてみました。
これでバトラール様は完璧です。
さて、完成した魔導具はどこで何に使う?
では次回、アルファポリスサイトで1日から再開です。
よろしくお願いします◎
そして、こちらへの置き土産的な新作は21日からです。
そちらもお暇な時にどうぞ。
なろう様で、ラストの投稿です。
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ウィストには、王都に次ぐ大きな町が三つある。その内の一つがイツクの町だ。
そんな町の神官の一人がソフバだった。
この日の夕刻から、ソフバは一人、神殿で神への祈りを捧げていた。この町の神殿には、祭壇が五つある。
神殿の四つ角に小さなものがそれぞれあり、中央に大神殿がある。ソフバは、小さな四つの内の一つの神殿をいつも利用していた。
立場上、この神殿でのナンバーツーだ。他の神官達は寄り付かない。そうして、毎日、長い時間この神殿に籠っているのだ。
だからこの日も、誰かが入って来るとは思わなかった。
「一人でいるとは、好都合だな。他の神官達は、もう奥に引っ込んだか」
「っ、だ、誰だ!」
この町の住人や、ウィストに住む者達は、神殿に入ったなら口を閉ざす。神への祈りを捧げる場所なのだ。式典の時でさえ、神官しか声を出してはいけないとされている。
しかし、その女性は堂々と、人の家を尋ねて来たような気軽さで声を響かせたのだ。
そのような無作法は、この国では許されない。ソフバも思わず規定とされる声の大きさを忘れてしまっていた。
振り向き、その人の姿を確認する。濃紺の膝まである長いジャケットは、スラリと伸びた彼女の長身を際立たせていた。手足も長く、均整の取れた美しいシルエットとしている。
長く、少し癖のありそうな髪は灯りに灯されて赤く染まり、一つに束ねて胸元へと垂らされていた。
しばらく彼女に見惚れていたが、その後ろからのそりと現れ、次に目に入ったのは、輝くばかりの白い毛並みをした大きな狼だ。
「うっ⁉︎」
悲鳴を上げなかったのは、その狼がとても美しく、気高く見えたからだ。そして、何より堂々とした、主人だという態度を見せる女性と並ぶ姿は、灯された厳かな灯りに包まれ、息を呑むほど幻想的に映った。
「お前がソフバで間違いないよな?」
「っはい……」
正常な息の仕方を忘れてしまったかもしれない。少し過呼吸気味になりながらも、何とか女性の問いかけに返事を返す。
だが、答えるべきではなかったかもしれない。
「この国の者に国境を越えさせているようだが?」
「っ⁉︎」
その目を見れば分かる。これは確認だ。彼女は既に何もかもを知っている。内心、どう誤魔化そうかと焦って冷や汗を流す中、女性は続けた。
「他国の町を乗っ取ってどうする。 それも、お前の独断なようだし、自国の者達までも敵に回して、何をしたいんだ?」
「そ、それは……っ」
町を奪い取れという、ソフバ自身、少々過激な計画は、それでもこの国の者達の為になると思っている。何より神への信仰を守る為なのだ。
しかし、それを説明するとなると、この国の内情も打ち明けなくてはならなくなる。ここで気になるのは、彼女がどの立場の者なのかだ。
こうして迷っていると、痺れを切らしたのは、彼女ではなく、その隣に控える狼だった。
《主の質問に答えろ》
「っひっ⁉︎ しゃべっ⁉︎」
「ただの狼なわけがないだろう。それほど驚く事か?」
「なっ……」
驚くに決まっている。未だかつて、言葉を解し、話す事が出来る魔獣など出会った事がない。史実にもないはずだ。
それを当たり前のように受け容れろとは無茶が過ぎる。
困惑の表情を浮かべるソフバなど気にする事なく、女性は狼の毛並みを撫で、その手触りを楽しんでいた。
しかし、その間も狼は鋭い視線をソフバへと向けており、ニヤリと牙を剥いて再び言葉を発した。
《話す気になったか?》
これ以上は考えている時間もないと、ゴクリと唾をのみ、口を開く。
「こ、この国は今、悪しき信仰を持つ者達に乗っ取られようとしている……」
「それは、神の王国の奴らか?」
「っ、そうです」
彼らの名を、こうもあっさりと口にされるとは思っていなかった。
昔から密かにその組織の存在は認識していた。ここ数年、その存在が表に出るようになった。同じ神の下に集う者達だ。上手く共生していけるはずだった。
「彼らは、戦争を考えています……この国の中枢に入り込み、他国へ仕掛けるつもりなのです」
その信念は、人族こそがこの世界の覇権を握るべきだというもの。
「中枢ねぇ……取り入ったのは大神官か……あぁ、王か。組織の神子だかなんだかが側妃になったと聞いたね」
「はい……正妃様は、密かにこの危機を私に知らせてくださったのです。王都の神官達を裏から説得し、組織の者達を追放する機会を窺っております」
王は説得に応じない。あの神子は、傷付いた王の心の弱みに付け込んだのだ。
「無理にでもその神子というのを王から引き離せない理由でもあるのか?」
この問いかけに、答えて良いものか迷う。これは、他国の諜報機関も知らない、極秘事項だ。しかし、ソフバは、この女性に誤魔化しや嘘はきかないと感じていた。
「……一年前……第二王女様が、お亡くなりになったのです……あの神子は、姫様と瓜二つでした」
「それは……」
ソフバは、初めて神子を見た時、息を呑んだ。同じ顔、同じ声、同じ年頃。そうして、ふと思い出したのだ。彼女は、似ていて当然なのではないかと。
「瓜二つって、あっちには天才魔導師がいるけど……まさか、双子だったとかないだろうね?」
「っ⁉︎ な、なぜそれをっ!」
「へぇ……くだらない風習は、五百年経っても健在か……そうだよね……神鏡も神笛もないんだ。同じ事は出来ない……」
理解できない言葉が呟かれる中、ソフバは混乱していた。
その可能性に至るとは思わなかった。目の前の女性は、何をどこまで知っているのか。
しかし、それを推理している余裕はなかった。再び女性がこちらの行動の意図を言い当てたからだ。
「国が乗っ取られて、戦争に巻き込まれる民達を救う為に、国を脱出させているのか。先遣隊に無理にでも住む場所を確保させて、近場の者達だけでも逃がそうってか?」
「っ……彼の組織は、底が知れません。先ほど仰った魔導師もおります。表向きは事を構えぬよう、協力する素振りで彼らを探っているのです。ですが、手遅れになってはいけない。だからっ」
悠長に事を構えていてはいけない。王都の神官や大神官達は、いざとなれば神が道を示すと言って動かない。
確かにソフバも神を信じている。しかし、それは手を尽くした者が言える言葉だと思うのだ。
「私には、何もせずにはいられませんでした。賛同してくれた、引退した騎士達が中心となり、彼らは他国を蹂躙する罪をかぶると言ってくださったのです」
国境を越え、町を奪う。それは人死もやむなしとした罪深き考えだ。そんな事をさせた自分は、許されない罰を受けるだろう。
それでも、民達を救いたかった。戦火に巻き込まれる民達を見たくなかったのだ。
「引退……なるほど。怪我で現役を退いた若いのもいたんだ。妙な年齢のばらつきはそれか。それで、まだ完全に敵対関係になっていないから、魔導師にあの姿を消す魔導具を横流ししてもらったとか?」
「あ、それは、魔導師についていた友人の神官が送ってくれたのです。なんでも『試作品はいらないから』と」
「試作品? あれが?」
女性が考え込む仕草をして首を傾げる。嘘ではない。沢山作ったが、どれも完璧ではない。試作品だから好きにしろと言われたのだと聞いた。
「試作品……なら、完成品は何に使う気だ? っ、まさか!」
《主?》
「マティ、急いで戻るよっ。ここは一旦、カル姐に任せよう。おい」
「は、はいっ」
何か焦って、今にも出て行こうとする女性は、不意に振り向いてソフバを呼んだ。
これにビクリと体を震わせて直立不動で女性の続く言葉を待った。
「もうすぐここに人が来る。正直に全て話せ。悪いようにはしない。お前は民を守りたいのだろう?」
「はい!」
「ならば、尚更しっかりと協力しろ。これ以上、犠牲者を出さない為にもな」
そう言って駆け出す女性。しかし、これだけは聞きたかった。
「あ、あなたのお名前はっ」
答えてはくれないかもしれない。そう思っていた。しかし、女性ははっきりと神殿内にその名を響かせる。
「バトラール」
「バトラール……女神の……」
それは女神が愛し、滅ぼした国の名。そう認識した時、口をついて出ていた。
「サティア様……」
「……っ」
神殿を出て行く彼女が、ふっと、笑ったように見えた。
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舞台裏の裏?のお話。
あ~っと?
これはこの箱で……。
ティア「うん? ブタカン。何してるの?」
あっ、ティアちゃん、どこへ行っていたんです?
お引越しです。
手伝ってくださいっ。
ティア「引越し?」
そうです。
これも運ばないと……。
ティア「これって……これ全部?」
全部ですよ~。
舞台装置も、資料も全部です。
ティア「……いつまでに?」
そうですねぇ。
後十日ぐらいでしょうか。
ちょっと遠いんで、何往復かしてもらわないといけないです。
あ、マクレート兄妹は全員、あっちの環境を整える先遣隊なんで、しばらく貸しといてね。
ティア「それはいいけど……本気で全部?」
この館ごと移動なんで、ここは空き地になるね~。
ティア「無理でしょっ。ゲルヴァローズじゃあるまいしっ」
はっ、その手がありましたっ。
ティア「え?」
あ~、言ってませんでしたね。
マルッと、これゲルヴァローズの遺石です。
忘れてました。
ただ、改築とかしたんで、どうなるかな~。
まぁ、運べる物だけ、とりあえず出して、そのまま行きましょう。
ティア「……へ?」
ん?
どうしたんです?
ティア「……ゲルヴァローズの遺石……オリジナルっ? 何で黙ってたっ⁉︎」
へ?
あ、ちょっ、うぎゃっ……っ。
ルクス「お~い。ティア、監督は……大丈夫か?」
ティア「ふんっ」
きゅ~ぅ……ひ、引越し……うっ…………。
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
圧倒して聞き出す。
マティもカッコよくキメてみました。
これでバトラール様は完璧です。
さて、完成した魔導具はどこで何に使う?
では次回、アルファポリスサイトで1日から再開です。
よろしくお願いします◎
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そちらもお暇な時にどうぞ。
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