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458 依頼を受けて
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2016. 7. 19
********************************************
ティアはケイギルと三バカ達に後を託すと、騎士学校を出て学園街にある冒険者ギルドへ向かっていた。
途中、小道に入り、本来の姿に戻ってほっと息をつく。
「やっぱ、この姿が一番かな」
余計な肩の力が抜ける気がした。飾らない、ただの少女に戻ると、人々の視線も格段に少なくなる。
「母様やカル姐を尊敬するわ……」
どちらかというとティアは、表立って目立つよりも、気配を消して動き回りたいタイプなのだ。
視線を集め、派手に動き回っていたらしいマティアスの話を聞くと、真似はできないと最近つくづく思う。
母は、やはり偉大だった。
「さぁてとっ、仕事の依頼のチェックだけでもしないとね」
学園街では冒険者ティアを指名する仕事の依頼がある。
二年前。あの神具の一件があった後、しばらくして、王や王妃達との付き合いが始まった頃。ティアはAランクの認定試験を受けた。
すぐにAランク冒険者として、最年少での認定となったティアは、学園街の冒険者ギルドでその時の最高ランクのクエストを全てこなした。
何かに取り憑かれたようにやり切ると、更に王都で滞っていたクエストをバトラールの姿で全て消化したのだ。
これによって、ティアとバトラールの名前が広く知れ渡っていった。
「あ~、なんか暴れたいなぁ。盗賊退治なら百人規模の大きいのがいいなぁ。それか、Aランクの魔獣……って、そんなのそうそう出てきてもらっては困るけどね~」
何はともあれ、体を動かしたいのだ。三バカ達と教師の戦いを見て、内心落ち着かなかったのだ。
ギルドへ着くとカウンターへ急ぐ。すると、顔馴染みの職員がすぐに指名の有無を教えてくれた。
「こんにちは。ティアさん。ご依頼ですが、三件入っております。ただ、その内の二件は貴族の護衛依頼ですのでそちらは……」
「うん。断って。一応、依頼してきた家がどこだったかだけ教えてくれる?」
Aランクの冒険者のほとんどは、貴族嫌いだ。金を出せば何でもすると思っている貴族達。その考えが気に入らない。
真面目に力を磨き、誰かの役に立ち、弱い者達を助けようと日々鍛練を続けてきた者達が多いのだ。貴族と考え方が違いすぎる。
だが、貴族達は強い者は味方につけたいと考える。そこで、まだ子どもであり、社会的な事情も何も知らないだろうと思われているティアに、貴族達は我先にと繋がりを作ろうとしているのだ。
「こちらです」
ギルド職員はティアへと依頼書を見せる。そこに記された依頼人と依頼内容を確認し、記憶する。
「ふ~ん……この家って……なるほどね。ありがとう。一応、いつものリストに書き足しておいてもらえる?」
「わかりました。それで、残りの一つなのですが……」
職員は、その依頼書をティアへ差し出す。
「……調査依頼と討伐? ここって、先月と先々月にもあったよね?」
「はい……国境付近ですし、ごたついているのは分かるのですが……何度も申し訳ありません」
「いいよ。依頼人に問題もないしね。ただ、ちょいちっさめの盗賊団が相手なのが残念なんだけど」
「え?」
表情を引きつらせる職員になんでもないよと輝く笑みを向け、依頼を受ける手続きを取る。
その時、後ろから声がかかった。
「今度はどんな依頼だ?」
「あ、ルクス。これ」
「ん? これは……またか?」
「ね~。こんなに何回も来るぐらいなら、まとめて百人とか二百人とかで来てくれれば良いと思わない?」
そう言いながら、ティアはギルド職員にパーティ申請の紙を滑り込ませるように差し出した。
実は、先々月にも同じ領から依頼があった。国境に面したその領では前々から隣国から流入してくる盗賊被害に辟易していた。
もちろん、領兵達や、国境の砦に詰める兵士達も対応しているが、最近はそれでも追いつけなくなってきていた。
なにより、これだけではなく、最近の国境付近では他にも問題が起こっており、兵達はそちらへ手を取られているのだ。
対策として、冒険者へ頼ってみてはみたものの、依頼にかかる費用も馬鹿にはできなくなっていた。
故に、Aランクの冒険者を頼る事になったのだ。
理由は簡単だ。Aランクの冒険者の依頼料は、私的な依頼でない限り、その八割を国と冒険者ギルドが負担するのだ。すなわち、領の経費に頼り切らなくてもよくなる。
ただし、Aランクの冒険者はそういない。この数年で異例の人数がAランクとなったが、それでもまだ圧倒的に少ない。
そんな中で、どれだけ遠い場所へも一日とかけずに移動する手段を持ったティアは貴重だった。
「お前は……暴れられればそれでいいんだろう?」
「うんっ。あ、でも今回はティアとしてだからね。そこもポイント高いよね」
「……あぁ……バトラールじゃないんだもんな……」
最近有名になったバトラール・フィスマがティアであるという事は、ギルド職員しか知らない。
バトラールの名前では指名依頼を一切受けないとしている。ただし、ギルドの方からどうしてもバトラールの手が必要だという時はそれを受けているが、受ける仕事は気まぐれに選ぶ変わった冒険者で通しているのだ。
「あっちの姿の方が、助けられる方も安心するみたいなんだけどね。あの辺の人達はもう、私で慣れてるから」
「凶暴な子どもだと認識されてるんだろうな……」
そう、バトラールとティアを分ける理由はそれだ。小さな女の子が助けに来たと言っても不安は拭えない。だが、バトラールとして行けば、それ以上はないという程頼もしく思えるらしい。
「失礼なっ」
確かに、一番最初に目の前で盗賊をおもちゃにしたティアの実力を見た人々がかなり引いていたのは事実だ。
そんな会話をしていたティアとルクスヘ、依頼の登録をしていたギルド職員が声をかけた。
「お待たせいたしました。それでは、お願いいたします」
「りょうか~い。ルクスも登録してくれた?」
「はい。万事抜かりなく」
「は? なんでだ?」
指名依頼を受けたのはティアだ。それも、盗賊退治ごとき、ティアだけで充分のはず。それなのに、なぜルクスまで登録する必要があるのか。それは依頼内容にあった。
「だって、調査依頼ってあるじゃん。今回は、この大元から調査してどうにかしてくれって言ってるんだもん。調べるには人手があった方がいいでしょ?」
「……まぁ、着いて行くから良いけどな……」
そんな呟きを背中で聞きながら、ギルドを出る。すると、騎獣小屋で待機していたマティが駆け寄ってくる。
「マティ、仕事だよ。先ず、ディムースに寄ってフラムとシルを回収するからね」
《ラジャ。遠出?》
「うん。前にも行った、国の端っこまでね。あっ、ディムースに行く前に王都に寄ってくれる?」
《いいよ。そういえば、サラちゃんがどっか行っちゃったね》
「それだよ。ちょい気になる方に行ったみたいなんだよね~。ゼスタじぃちゃんに確認したい事もあるし。早く行こう」
ティアはザランの向かって行った不穏な気配のする方角へと鋭い視線を向けたのだった。
************************************************
舞台裏のお話。
ユメル「そろそろ旦那様達がお帰りになる頃かな」
門番A「ん?ユメル。確認か?」
ユメル「うん。上がらせてもらうよ」
門番A「おう」
門番B「ユメル? そうか、伯爵がそろそろ戻られるんだな」
ユメル「多分ね……うん。間違いない。カヤル~」
カヤル「オッケー」
門番B「……いつも思うけど、早馬じゃなく、走るんだな……」
ユメル「え? だって馬だと町中では取り回しがし辛いだろう? 走った方が早いよ」
門番B「いや、他の領なら町中でも馬でドケドケってやって走ってくぞ?」
ユメル「それ、旦那様は嫌がるよ。馬車で大通りを行くのも、たまに嫌がられる」
門番B「……良い人過ぎるんだな」
ユメル「お優しいんだよ。さて、僕も行くね。旦那様達より遅いと怒られるんだよ」
門番A「知ってるぞ。あのメイド二人だろ?」
門番B「あぁ、ラキアさんの弟子か」
門番A「さすがはラキアさんだよな。最初は買い物もロクにできなかったとか聞いたぜ。それを今じゃ、市場の親っさん達がビクビクしてるぜ」
門番B「確か……アリシアさんにベティさんだったよな。可愛い顔して凄腕とか、マジでカッコいい」
ユメル「……ねぇ、なんでラキアとかあの二人はさん付けなの?僕らは呼び捨てなのに」
門番A「ん? 今更じゃねぇ?」
門番B「おう、今更だ」
ユメル「え?」
門番A「ユメルやカヤルは仲間って感じなんだよな。けどラキアさん達は……」
門番B「格が違う気がするんだよな……」
ユメル「へ?」
門番A「逆らっちゃいけねぇ気がすんだよ」
門番B「様付けしたくなるような何かを感じるんだよ」
ユメル「……分かる気がするけど……分かりたくない……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
使用人にもランクがある?
お仕事です。
ここでサラちゃんの方も気になっています。
マティはサラちゃんの気配を、いつでも感じ取っていたみたいですね。
色々一気に片付けられるでしょうか。
では次回、一日空けて21日です。
よろしくお願いします◎
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ティアはケイギルと三バカ達に後を託すと、騎士学校を出て学園街にある冒険者ギルドへ向かっていた。
途中、小道に入り、本来の姿に戻ってほっと息をつく。
「やっぱ、この姿が一番かな」
余計な肩の力が抜ける気がした。飾らない、ただの少女に戻ると、人々の視線も格段に少なくなる。
「母様やカル姐を尊敬するわ……」
どちらかというとティアは、表立って目立つよりも、気配を消して動き回りたいタイプなのだ。
視線を集め、派手に動き回っていたらしいマティアスの話を聞くと、真似はできないと最近つくづく思う。
母は、やはり偉大だった。
「さぁてとっ、仕事の依頼のチェックだけでもしないとね」
学園街では冒険者ティアを指名する仕事の依頼がある。
二年前。あの神具の一件があった後、しばらくして、王や王妃達との付き合いが始まった頃。ティアはAランクの認定試験を受けた。
すぐにAランク冒険者として、最年少での認定となったティアは、学園街の冒険者ギルドでその時の最高ランクのクエストを全てこなした。
何かに取り憑かれたようにやり切ると、更に王都で滞っていたクエストをバトラールの姿で全て消化したのだ。
これによって、ティアとバトラールの名前が広く知れ渡っていった。
「あ~、なんか暴れたいなぁ。盗賊退治なら百人規模の大きいのがいいなぁ。それか、Aランクの魔獣……って、そんなのそうそう出てきてもらっては困るけどね~」
何はともあれ、体を動かしたいのだ。三バカ達と教師の戦いを見て、内心落ち着かなかったのだ。
ギルドへ着くとカウンターへ急ぐ。すると、顔馴染みの職員がすぐに指名の有無を教えてくれた。
「こんにちは。ティアさん。ご依頼ですが、三件入っております。ただ、その内の二件は貴族の護衛依頼ですのでそちらは……」
「うん。断って。一応、依頼してきた家がどこだったかだけ教えてくれる?」
Aランクの冒険者のほとんどは、貴族嫌いだ。金を出せば何でもすると思っている貴族達。その考えが気に入らない。
真面目に力を磨き、誰かの役に立ち、弱い者達を助けようと日々鍛練を続けてきた者達が多いのだ。貴族と考え方が違いすぎる。
だが、貴族達は強い者は味方につけたいと考える。そこで、まだ子どもであり、社会的な事情も何も知らないだろうと思われているティアに、貴族達は我先にと繋がりを作ろうとしているのだ。
「こちらです」
ギルド職員はティアへと依頼書を見せる。そこに記された依頼人と依頼内容を確認し、記憶する。
「ふ~ん……この家って……なるほどね。ありがとう。一応、いつものリストに書き足しておいてもらえる?」
「わかりました。それで、残りの一つなのですが……」
職員は、その依頼書をティアへ差し出す。
「……調査依頼と討伐? ここって、先月と先々月にもあったよね?」
「はい……国境付近ですし、ごたついているのは分かるのですが……何度も申し訳ありません」
「いいよ。依頼人に問題もないしね。ただ、ちょいちっさめの盗賊団が相手なのが残念なんだけど」
「え?」
表情を引きつらせる職員になんでもないよと輝く笑みを向け、依頼を受ける手続きを取る。
その時、後ろから声がかかった。
「今度はどんな依頼だ?」
「あ、ルクス。これ」
「ん? これは……またか?」
「ね~。こんなに何回も来るぐらいなら、まとめて百人とか二百人とかで来てくれれば良いと思わない?」
そう言いながら、ティアはギルド職員にパーティ申請の紙を滑り込ませるように差し出した。
実は、先々月にも同じ領から依頼があった。国境に面したその領では前々から隣国から流入してくる盗賊被害に辟易していた。
もちろん、領兵達や、国境の砦に詰める兵士達も対応しているが、最近はそれでも追いつけなくなってきていた。
なにより、これだけではなく、最近の国境付近では他にも問題が起こっており、兵達はそちらへ手を取られているのだ。
対策として、冒険者へ頼ってみてはみたものの、依頼にかかる費用も馬鹿にはできなくなっていた。
故に、Aランクの冒険者を頼る事になったのだ。
理由は簡単だ。Aランクの冒険者の依頼料は、私的な依頼でない限り、その八割を国と冒険者ギルドが負担するのだ。すなわち、領の経費に頼り切らなくてもよくなる。
ただし、Aランクの冒険者はそういない。この数年で異例の人数がAランクとなったが、それでもまだ圧倒的に少ない。
そんな中で、どれだけ遠い場所へも一日とかけずに移動する手段を持ったティアは貴重だった。
「お前は……暴れられればそれでいいんだろう?」
「うんっ。あ、でも今回はティアとしてだからね。そこもポイント高いよね」
「……あぁ……バトラールじゃないんだもんな……」
最近有名になったバトラール・フィスマがティアであるという事は、ギルド職員しか知らない。
バトラールの名前では指名依頼を一切受けないとしている。ただし、ギルドの方からどうしてもバトラールの手が必要だという時はそれを受けているが、受ける仕事は気まぐれに選ぶ変わった冒険者で通しているのだ。
「あっちの姿の方が、助けられる方も安心するみたいなんだけどね。あの辺の人達はもう、私で慣れてるから」
「凶暴な子どもだと認識されてるんだろうな……」
そう、バトラールとティアを分ける理由はそれだ。小さな女の子が助けに来たと言っても不安は拭えない。だが、バトラールとして行けば、それ以上はないという程頼もしく思えるらしい。
「失礼なっ」
確かに、一番最初に目の前で盗賊をおもちゃにしたティアの実力を見た人々がかなり引いていたのは事実だ。
そんな会話をしていたティアとルクスヘ、依頼の登録をしていたギルド職員が声をかけた。
「お待たせいたしました。それでは、お願いいたします」
「りょうか~い。ルクスも登録してくれた?」
「はい。万事抜かりなく」
「は? なんでだ?」
指名依頼を受けたのはティアだ。それも、盗賊退治ごとき、ティアだけで充分のはず。それなのに、なぜルクスまで登録する必要があるのか。それは依頼内容にあった。
「だって、調査依頼ってあるじゃん。今回は、この大元から調査してどうにかしてくれって言ってるんだもん。調べるには人手があった方がいいでしょ?」
「……まぁ、着いて行くから良いけどな……」
そんな呟きを背中で聞きながら、ギルドを出る。すると、騎獣小屋で待機していたマティが駆け寄ってくる。
「マティ、仕事だよ。先ず、ディムースに寄ってフラムとシルを回収するからね」
《ラジャ。遠出?》
「うん。前にも行った、国の端っこまでね。あっ、ディムースに行く前に王都に寄ってくれる?」
《いいよ。そういえば、サラちゃんがどっか行っちゃったね》
「それだよ。ちょい気になる方に行ったみたいなんだよね~。ゼスタじぃちゃんに確認したい事もあるし。早く行こう」
ティアはザランの向かって行った不穏な気配のする方角へと鋭い視線を向けたのだった。
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舞台裏のお話。
ユメル「そろそろ旦那様達がお帰りになる頃かな」
門番A「ん?ユメル。確認か?」
ユメル「うん。上がらせてもらうよ」
門番A「おう」
門番B「ユメル? そうか、伯爵がそろそろ戻られるんだな」
ユメル「多分ね……うん。間違いない。カヤル~」
カヤル「オッケー」
門番B「……いつも思うけど、早馬じゃなく、走るんだな……」
ユメル「え? だって馬だと町中では取り回しがし辛いだろう? 走った方が早いよ」
門番B「いや、他の領なら町中でも馬でドケドケってやって走ってくぞ?」
ユメル「それ、旦那様は嫌がるよ。馬車で大通りを行くのも、たまに嫌がられる」
門番B「……良い人過ぎるんだな」
ユメル「お優しいんだよ。さて、僕も行くね。旦那様達より遅いと怒られるんだよ」
門番A「知ってるぞ。あのメイド二人だろ?」
門番B「あぁ、ラキアさんの弟子か」
門番A「さすがはラキアさんだよな。最初は買い物もロクにできなかったとか聞いたぜ。それを今じゃ、市場の親っさん達がビクビクしてるぜ」
門番B「確か……アリシアさんにベティさんだったよな。可愛い顔して凄腕とか、マジでカッコいい」
ユメル「……ねぇ、なんでラキアとかあの二人はさん付けなの?僕らは呼び捨てなのに」
門番A「ん? 今更じゃねぇ?」
門番B「おう、今更だ」
ユメル「え?」
門番A「ユメルやカヤルは仲間って感じなんだよな。けどラキアさん達は……」
門番B「格が違う気がするんだよな……」
ユメル「へ?」
門番A「逆らっちゃいけねぇ気がすんだよ」
門番B「様付けしたくなるような何かを感じるんだよ」
ユメル「……分かる気がするけど……分かりたくない……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
使用人にもランクがある?
お仕事です。
ここでサラちゃんの方も気になっています。
マティはサラちゃんの気配を、いつでも感じ取っていたみたいですね。
色々一気に片付けられるでしょうか。
では次回、一日空けて21日です。
よろしくお願いします◎
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