305 / 457
連載
452 大袈裟なんです
しおりを挟む
2016. 7. 11
********************************************
ティアは、解散の指示を出した後、隊長にケイギルを改めて呼び出してもらっていた。
「久し振り。キルシュにこっちに移って来た事、話してないようだね」
「あっ……忘れてました……」
「ラキアちゃんから聞いて落ち込んでいたよ」
「申し訳ない……」
「せっかく兄弟の溝が塞がったというのに、そういうところ、気を付けな」
「はい」
気安く話しかけるティアに、ケイギルは内心穏やかではなかった。
部屋には隊長と副隊長がいるのだ。バトラールとしてのティアを敬愛している彼らの前で、特別扱いのような振る舞いは良くない。
だが、ケイギルの心配は杞憂だった。
「そんなにビクビクしなくても、そこの隊長と副隊長は気にしないよ」
「え?」
チラリとケイギルが隊長達を振り返ると、二人は揃って頷いた。
「はっ、バトラール様が誰を寵愛されようと、我らが感知するものではありません。我らはバトラール様の手足となる事こそが信条。道具でしかないのですから」
「……寵愛……道具……っ、いえ、そうですね」
ここ数年で、彼らは自分たちの在り方を悟ったようだ。ティアの為に働く事が喜びであり、生き甲斐なのだ。
その想いは静かに。しかし、強い信仰として彼らの中で育ってしまった。もうティアにもどうする事もできないと諦めている。
「……心配ないだろ?」
「はい……それで、ご用件は?」
「そうだったな」
こんな所で改めて彼らの想いを確認している場合ではなかった。
「さっき話した騎士学校の卒業生についてなんだが、彼らの指導を頼みたい」
「っ、私がですかっ?」
「そうだ。それと、もうすぐここに来る元騎士学校の卒業生で、冒険者をやっている三人と共に指導に当たって欲しい」
他の教育機関では、今回のティア達のように、残りひと月ほどを残して卒業となるのだが、騎士学校の卒業式は、新年度が始まるギリギリに行われる。
ここからひと月が引き抜き期間であり、テスト期間でもあった。主に騎士団への推薦の審査が行われるのだ。
護衛として雇おうとする者達が学校を訪問し、引き抜かれる事も多々ある。
授業はなく、訓練をし続け、雇用先が決まるように努力する。いくらやる気の薄い貴族の子息であっても、配属を決める勝負の期間なのだ。
「この時期が一番、真面目に訓練をするだろう。一気に底上げしてくれ」
「はぁ……光栄ではありますが、学校の方に話は……当然、通っているんですね……」
「勿論だ。ということだから、ケイギルをひと月、貸し出してもらうぞ」
隊長にそう振れば、嬉しそうに頷いた。
「承知いたしました。如何様にもお使いください」
「……ご期待に沿えるよう努力いたします」
「頼むよ。それと隊長、この騎士団にも、対抗戦までに頼みたい事があるんだが」
これに、隊長は素早くティアの前まで駆け寄ると、片膝をついた。
「なんでございましょうっ」
張り切ってティアの頼みに応えようとする隊長に、少々引きそうになりながら言った。
「あ、あぁ……琥珀の迷宮については知っているか」
「はい、冒険者達が近頃、こぞって挑戦するダンジョンで、傍にある宿場町は今や憩いの場所として、大変な人気だとか」
ティアは、騎士達をダンジョンへ招く事ができない理由は、なんだろうかと考えてきた。
ここ最近、騎士達をつぶさに観察してきてそれが分かった。単に時間が取れないのだ。
「あのダンジョンは、元々、私がお前達騎士や冒険者達を強くする為の訓練場として整えた場所でな」
「なっ、そ、そのようなっ」
隊長だけでなく、ケイギルや未だ壁際に控える副隊長も目を見開いていた。隊長と副隊長に至っては、どうやらかなりの衝撃だったようだ。
「わ、我らの為にっ……バトラール様……っ」
「あ~、いや……最初からお前達には言っておけば良かったかもって、え?」
どうも感動に打ち震えているらしく、一度下を向いた隊長と副隊長。しかし、次に顔を上げた二人は滂沱の涙を流していた。
「バトラール様っ、バトラール様のご厚意に気付かぬような愚かな我らの為にっ」
「あ、いや、別にお前達用ではなく、弱っちぃ王都の甘ったれどもの訓練にと……今回は試験的にお前達にも……って、聞いているか?」
隊長は、今度はティアが関わっているダンジョンに気付けなかった事がショックだったようで、座り込むと床に頭を激しく何度も打ち付けだした。
「なぜ、気付かなかったっ! なぜだっ、なぜだぁぁぁっ」
「おいおいっ、ちょっ、止めないかっ」
どうにか止めてやれと副隊長へ目を向ければ、同じように反省中らしく、壁に頭突きを繰り返していた。
「……ケイギル……」
「……はい……」
「止めてくれ……」
「……了解しました……失礼します」
そうケイギルは一言断ってから、それぞれの襟首を掴み、一気に後ろへ引っ張り倒したのだった。
************************************************
舞台裏のお話。
アデル「ティアってば、今日はどこ行ったんだろ……」
ルクス「ん?ティアなら、学園街の紅翼騎士団に用があると言って出て行ったぞ」
アデル「……ティアが?」
ルクス「あぁ、珍しいがな。確か……ケイギルがどうのと……」
キルシュ「っ⁉︎ 兄上がなにか?」
アデル「あ、キルシュ。遅かったね」
キルシュ「すまない。そこで子ども達に捕まったんだ。ほら、限定の果実パンだぞ」
アデル「ありがとっ。ねぇ、それでティアは、キルシュのお兄さんに何させる気なのかな?」
キルシュ「や、やはり、何かをさせると思うか?」
アデル「うん。だってティアだもん。ルクスさんは聞いてないの?」
ルクス「そうだな……最近は事後報告ばかりだから」
アデル「じゃぁ、ここ最近の外出は何なの? 夜にマティちゃんと出てるよね?」
ルクス「それは、王都の騎士の素行調査と補導だと聞いている」
キルシュ「それって……」
ルクス「まぁ、分かりやすく言えば騎士狩りだな」
アデル「なにそれっ! 楽しそう!!」
キルシュ「へ? ちょっ、アデル?」
ルクス「王都の偉そうな若い騎士達をシメるのは、そう悪い事ではないな」
キルシュ「……ルクスさん、最近、ティアを注意出来なくなりましたね……」
ルクス「っ、いや、ダメな事は、しっかりとダメだと言っているつもりだが……」
アデル「ルクスさんも大人になったもん。強くなってティアをお嫁さんにする自信もついたし、大人の余裕を見せてるんでしょ?」
ルクス「それはっ……」
キルシュ「ジルバール様も、最近は落ち着いていらっしゃるしな……なるほど、大人の余裕……って、その話ではなく、ケイ兄上はどうなるんだ?」
アデル「どっかに使いっ走りとか? あ、そういえばあの三バカさん達も、何か任務だって一週間前くらいに出て行ったっきりだよね。ティアってば、何を考えてるんだろう」
ルクス「帰って来たら聞いてみよう。心配するな。ケイギルなら何とか持ち堪える」
キルシュ「……はい……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
兄が心配です。
ケイギル君は、良い位置にいてくれます。
使い勝手が良さそうです。
彼は、まともみたいですからね。
暴走した隊長と副隊長も正気に戻せるでしょう。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
********************************************
ティアは、解散の指示を出した後、隊長にケイギルを改めて呼び出してもらっていた。
「久し振り。キルシュにこっちに移って来た事、話してないようだね」
「あっ……忘れてました……」
「ラキアちゃんから聞いて落ち込んでいたよ」
「申し訳ない……」
「せっかく兄弟の溝が塞がったというのに、そういうところ、気を付けな」
「はい」
気安く話しかけるティアに、ケイギルは内心穏やかではなかった。
部屋には隊長と副隊長がいるのだ。バトラールとしてのティアを敬愛している彼らの前で、特別扱いのような振る舞いは良くない。
だが、ケイギルの心配は杞憂だった。
「そんなにビクビクしなくても、そこの隊長と副隊長は気にしないよ」
「え?」
チラリとケイギルが隊長達を振り返ると、二人は揃って頷いた。
「はっ、バトラール様が誰を寵愛されようと、我らが感知するものではありません。我らはバトラール様の手足となる事こそが信条。道具でしかないのですから」
「……寵愛……道具……っ、いえ、そうですね」
ここ数年で、彼らは自分たちの在り方を悟ったようだ。ティアの為に働く事が喜びであり、生き甲斐なのだ。
その想いは静かに。しかし、強い信仰として彼らの中で育ってしまった。もうティアにもどうする事もできないと諦めている。
「……心配ないだろ?」
「はい……それで、ご用件は?」
「そうだったな」
こんな所で改めて彼らの想いを確認している場合ではなかった。
「さっき話した騎士学校の卒業生についてなんだが、彼らの指導を頼みたい」
「っ、私がですかっ?」
「そうだ。それと、もうすぐここに来る元騎士学校の卒業生で、冒険者をやっている三人と共に指導に当たって欲しい」
他の教育機関では、今回のティア達のように、残りひと月ほどを残して卒業となるのだが、騎士学校の卒業式は、新年度が始まるギリギリに行われる。
ここからひと月が引き抜き期間であり、テスト期間でもあった。主に騎士団への推薦の審査が行われるのだ。
護衛として雇おうとする者達が学校を訪問し、引き抜かれる事も多々ある。
授業はなく、訓練をし続け、雇用先が決まるように努力する。いくらやる気の薄い貴族の子息であっても、配属を決める勝負の期間なのだ。
「この時期が一番、真面目に訓練をするだろう。一気に底上げしてくれ」
「はぁ……光栄ではありますが、学校の方に話は……当然、通っているんですね……」
「勿論だ。ということだから、ケイギルをひと月、貸し出してもらうぞ」
隊長にそう振れば、嬉しそうに頷いた。
「承知いたしました。如何様にもお使いください」
「……ご期待に沿えるよう努力いたします」
「頼むよ。それと隊長、この騎士団にも、対抗戦までに頼みたい事があるんだが」
これに、隊長は素早くティアの前まで駆け寄ると、片膝をついた。
「なんでございましょうっ」
張り切ってティアの頼みに応えようとする隊長に、少々引きそうになりながら言った。
「あ、あぁ……琥珀の迷宮については知っているか」
「はい、冒険者達が近頃、こぞって挑戦するダンジョンで、傍にある宿場町は今や憩いの場所として、大変な人気だとか」
ティアは、騎士達をダンジョンへ招く事ができない理由は、なんだろうかと考えてきた。
ここ最近、騎士達をつぶさに観察してきてそれが分かった。単に時間が取れないのだ。
「あのダンジョンは、元々、私がお前達騎士や冒険者達を強くする為の訓練場として整えた場所でな」
「なっ、そ、そのようなっ」
隊長だけでなく、ケイギルや未だ壁際に控える副隊長も目を見開いていた。隊長と副隊長に至っては、どうやらかなりの衝撃だったようだ。
「わ、我らの為にっ……バトラール様……っ」
「あ~、いや……最初からお前達には言っておけば良かったかもって、え?」
どうも感動に打ち震えているらしく、一度下を向いた隊長と副隊長。しかし、次に顔を上げた二人は滂沱の涙を流していた。
「バトラール様っ、バトラール様のご厚意に気付かぬような愚かな我らの為にっ」
「あ、いや、別にお前達用ではなく、弱っちぃ王都の甘ったれどもの訓練にと……今回は試験的にお前達にも……って、聞いているか?」
隊長は、今度はティアが関わっているダンジョンに気付けなかった事がショックだったようで、座り込むと床に頭を激しく何度も打ち付けだした。
「なぜ、気付かなかったっ! なぜだっ、なぜだぁぁぁっ」
「おいおいっ、ちょっ、止めないかっ」
どうにか止めてやれと副隊長へ目を向ければ、同じように反省中らしく、壁に頭突きを繰り返していた。
「……ケイギル……」
「……はい……」
「止めてくれ……」
「……了解しました……失礼します」
そうケイギルは一言断ってから、それぞれの襟首を掴み、一気に後ろへ引っ張り倒したのだった。
************************************************
舞台裏のお話。
アデル「ティアってば、今日はどこ行ったんだろ……」
ルクス「ん?ティアなら、学園街の紅翼騎士団に用があると言って出て行ったぞ」
アデル「……ティアが?」
ルクス「あぁ、珍しいがな。確か……ケイギルがどうのと……」
キルシュ「っ⁉︎ 兄上がなにか?」
アデル「あ、キルシュ。遅かったね」
キルシュ「すまない。そこで子ども達に捕まったんだ。ほら、限定の果実パンだぞ」
アデル「ありがとっ。ねぇ、それでティアは、キルシュのお兄さんに何させる気なのかな?」
キルシュ「や、やはり、何かをさせると思うか?」
アデル「うん。だってティアだもん。ルクスさんは聞いてないの?」
ルクス「そうだな……最近は事後報告ばかりだから」
アデル「じゃぁ、ここ最近の外出は何なの? 夜にマティちゃんと出てるよね?」
ルクス「それは、王都の騎士の素行調査と補導だと聞いている」
キルシュ「それって……」
ルクス「まぁ、分かりやすく言えば騎士狩りだな」
アデル「なにそれっ! 楽しそう!!」
キルシュ「へ? ちょっ、アデル?」
ルクス「王都の偉そうな若い騎士達をシメるのは、そう悪い事ではないな」
キルシュ「……ルクスさん、最近、ティアを注意出来なくなりましたね……」
ルクス「っ、いや、ダメな事は、しっかりとダメだと言っているつもりだが……」
アデル「ルクスさんも大人になったもん。強くなってティアをお嫁さんにする自信もついたし、大人の余裕を見せてるんでしょ?」
ルクス「それはっ……」
キルシュ「ジルバール様も、最近は落ち着いていらっしゃるしな……なるほど、大人の余裕……って、その話ではなく、ケイ兄上はどうなるんだ?」
アデル「どっかに使いっ走りとか? あ、そういえばあの三バカさん達も、何か任務だって一週間前くらいに出て行ったっきりだよね。ティアってば、何を考えてるんだろう」
ルクス「帰って来たら聞いてみよう。心配するな。ケイギルなら何とか持ち堪える」
キルシュ「……はい……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
兄が心配です。
ケイギル君は、良い位置にいてくれます。
使い勝手が良さそうです。
彼は、まともみたいですからね。
暴走した隊長と副隊長も正気に戻せるでしょう。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
10
お気に入りに追加
4,564
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
【完結】「幼馴染が皇子様になって迎えに来てくれた」
まほりろ
恋愛
腹違いの妹を長年に渡りいじめていた罪に問われた私は、第一王子に婚約破棄され、侯爵令嬢の身分を剥奪され、塔の最上階に閉じ込められていた。
私が腹違いの妹のマダリンをいじめたという事実はない。
私が断罪され兵士に取り押さえられたときマダリンは、第一王子のワルデマー殿下に抱きしめられにやにやと笑っていた。
私は妹にはめられたのだ。
牢屋の中で絶望していた私の前に現れたのは、幼い頃私に使えていた執事見習いのレイだった。
「迎えに来ましたよ、メリセントお嬢様」
そう言って、彼はニッコリとほほ笑んだ
※他のサイトにも投稿してます。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。