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452 大袈裟なんです
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2016. 7. 11
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ティアは、解散の指示を出した後、隊長にケイギルを改めて呼び出してもらっていた。
「久し振り。キルシュにこっちに移って来た事、話してないようだね」
「あっ……忘れてました……」
「ラキアちゃんから聞いて落ち込んでいたよ」
「申し訳ない……」
「せっかく兄弟の溝が塞がったというのに、そういうところ、気を付けな」
「はい」
気安く話しかけるティアに、ケイギルは内心穏やかではなかった。
部屋には隊長と副隊長がいるのだ。バトラールとしてのティアを敬愛している彼らの前で、特別扱いのような振る舞いは良くない。
だが、ケイギルの心配は杞憂だった。
「そんなにビクビクしなくても、そこの隊長と副隊長は気にしないよ」
「え?」
チラリとケイギルが隊長達を振り返ると、二人は揃って頷いた。
「はっ、バトラール様が誰を寵愛されようと、我らが感知するものではありません。我らはバトラール様の手足となる事こそが信条。道具でしかないのですから」
「……寵愛……道具……っ、いえ、そうですね」
ここ数年で、彼らは自分たちの在り方を悟ったようだ。ティアの為に働く事が喜びであり、生き甲斐なのだ。
その想いは静かに。しかし、強い信仰として彼らの中で育ってしまった。もうティアにもどうする事もできないと諦めている。
「……心配ないだろ?」
「はい……それで、ご用件は?」
「そうだったな」
こんな所で改めて彼らの想いを確認している場合ではなかった。
「さっき話した騎士学校の卒業生についてなんだが、彼らの指導を頼みたい」
「っ、私がですかっ?」
「そうだ。それと、もうすぐここに来る元騎士学校の卒業生で、冒険者をやっている三人と共に指導に当たって欲しい」
他の教育機関では、今回のティア達のように、残りひと月ほどを残して卒業となるのだが、騎士学校の卒業式は、新年度が始まるギリギリに行われる。
ここからひと月が引き抜き期間であり、テスト期間でもあった。主に騎士団への推薦の審査が行われるのだ。
護衛として雇おうとする者達が学校を訪問し、引き抜かれる事も多々ある。
授業はなく、訓練をし続け、雇用先が決まるように努力する。いくらやる気の薄い貴族の子息であっても、配属を決める勝負の期間なのだ。
「この時期が一番、真面目に訓練をするだろう。一気に底上げしてくれ」
「はぁ……光栄ではありますが、学校の方に話は……当然、通っているんですね……」
「勿論だ。ということだから、ケイギルをひと月、貸し出してもらうぞ」
隊長にそう振れば、嬉しそうに頷いた。
「承知いたしました。如何様にもお使いください」
「……ご期待に沿えるよう努力いたします」
「頼むよ。それと隊長、この騎士団にも、対抗戦までに頼みたい事があるんだが」
これに、隊長は素早くティアの前まで駆け寄ると、片膝をついた。
「なんでございましょうっ」
張り切ってティアの頼みに応えようとする隊長に、少々引きそうになりながら言った。
「あ、あぁ……琥珀の迷宮については知っているか」
「はい、冒険者達が近頃、こぞって挑戦するダンジョンで、傍にある宿場町は今や憩いの場所として、大変な人気だとか」
ティアは、騎士達をダンジョンへ招く事ができない理由は、なんだろうかと考えてきた。
ここ最近、騎士達をつぶさに観察してきてそれが分かった。単に時間が取れないのだ。
「あのダンジョンは、元々、私がお前達騎士や冒険者達を強くする為の訓練場として整えた場所でな」
「なっ、そ、そのようなっ」
隊長だけでなく、ケイギルや未だ壁際に控える副隊長も目を見開いていた。隊長と副隊長に至っては、どうやらかなりの衝撃だったようだ。
「わ、我らの為にっ……バトラール様……っ」
「あ~、いや……最初からお前達には言っておけば良かったかもって、え?」
どうも感動に打ち震えているらしく、一度下を向いた隊長と副隊長。しかし、次に顔を上げた二人は滂沱の涙を流していた。
「バトラール様っ、バトラール様のご厚意に気付かぬような愚かな我らの為にっ」
「あ、いや、別にお前達用ではなく、弱っちぃ王都の甘ったれどもの訓練にと……今回は試験的にお前達にも……って、聞いているか?」
隊長は、今度はティアが関わっているダンジョンに気付けなかった事がショックだったようで、座り込むと床に頭を激しく何度も打ち付けだした。
「なぜ、気付かなかったっ! なぜだっ、なぜだぁぁぁっ」
「おいおいっ、ちょっ、止めないかっ」
どうにか止めてやれと副隊長へ目を向ければ、同じように反省中らしく、壁に頭突きを繰り返していた。
「……ケイギル……」
「……はい……」
「止めてくれ……」
「……了解しました……失礼します」
そうケイギルは一言断ってから、それぞれの襟首を掴み、一気に後ろへ引っ張り倒したのだった。
************************************************
舞台裏のお話。
アデル「ティアってば、今日はどこ行ったんだろ……」
ルクス「ん?ティアなら、学園街の紅翼騎士団に用があると言って出て行ったぞ」
アデル「……ティアが?」
ルクス「あぁ、珍しいがな。確か……ケイギルがどうのと……」
キルシュ「っ⁉︎ 兄上がなにか?」
アデル「あ、キルシュ。遅かったね」
キルシュ「すまない。そこで子ども達に捕まったんだ。ほら、限定の果実パンだぞ」
アデル「ありがとっ。ねぇ、それでティアは、キルシュのお兄さんに何させる気なのかな?」
キルシュ「や、やはり、何かをさせると思うか?」
アデル「うん。だってティアだもん。ルクスさんは聞いてないの?」
ルクス「そうだな……最近は事後報告ばかりだから」
アデル「じゃぁ、ここ最近の外出は何なの? 夜にマティちゃんと出てるよね?」
ルクス「それは、王都の騎士の素行調査と補導だと聞いている」
キルシュ「それって……」
ルクス「まぁ、分かりやすく言えば騎士狩りだな」
アデル「なにそれっ! 楽しそう!!」
キルシュ「へ? ちょっ、アデル?」
ルクス「王都の偉そうな若い騎士達をシメるのは、そう悪い事ではないな」
キルシュ「……ルクスさん、最近、ティアを注意出来なくなりましたね……」
ルクス「っ、いや、ダメな事は、しっかりとダメだと言っているつもりだが……」
アデル「ルクスさんも大人になったもん。強くなってティアをお嫁さんにする自信もついたし、大人の余裕を見せてるんでしょ?」
ルクス「それはっ……」
キルシュ「ジルバール様も、最近は落ち着いていらっしゃるしな……なるほど、大人の余裕……って、その話ではなく、ケイ兄上はどうなるんだ?」
アデル「どっかに使いっ走りとか? あ、そういえばあの三バカさん達も、何か任務だって一週間前くらいに出て行ったっきりだよね。ティアってば、何を考えてるんだろう」
ルクス「帰って来たら聞いてみよう。心配するな。ケイギルなら何とか持ち堪える」
キルシュ「……はい……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
兄が心配です。
ケイギル君は、良い位置にいてくれます。
使い勝手が良さそうです。
彼は、まともみたいですからね。
暴走した隊長と副隊長も正気に戻せるでしょう。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
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ティアは、解散の指示を出した後、隊長にケイギルを改めて呼び出してもらっていた。
「久し振り。キルシュにこっちに移って来た事、話してないようだね」
「あっ……忘れてました……」
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「申し訳ない……」
「せっかく兄弟の溝が塞がったというのに、そういうところ、気を付けな」
「はい」
気安く話しかけるティアに、ケイギルは内心穏やかではなかった。
部屋には隊長と副隊長がいるのだ。バトラールとしてのティアを敬愛している彼らの前で、特別扱いのような振る舞いは良くない。
だが、ケイギルの心配は杞憂だった。
「そんなにビクビクしなくても、そこの隊長と副隊長は気にしないよ」
「え?」
チラリとケイギルが隊長達を振り返ると、二人は揃って頷いた。
「はっ、バトラール様が誰を寵愛されようと、我らが感知するものではありません。我らはバトラール様の手足となる事こそが信条。道具でしかないのですから」
「……寵愛……道具……っ、いえ、そうですね」
ここ数年で、彼らは自分たちの在り方を悟ったようだ。ティアの為に働く事が喜びであり、生き甲斐なのだ。
その想いは静かに。しかし、強い信仰として彼らの中で育ってしまった。もうティアにもどうする事もできないと諦めている。
「……心配ないだろ?」
「はい……それで、ご用件は?」
「そうだったな」
こんな所で改めて彼らの想いを確認している場合ではなかった。
「さっき話した騎士学校の卒業生についてなんだが、彼らの指導を頼みたい」
「っ、私がですかっ?」
「そうだ。それと、もうすぐここに来る元騎士学校の卒業生で、冒険者をやっている三人と共に指導に当たって欲しい」
他の教育機関では、今回のティア達のように、残りひと月ほどを残して卒業となるのだが、騎士学校の卒業式は、新年度が始まるギリギリに行われる。
ここからひと月が引き抜き期間であり、テスト期間でもあった。主に騎士団への推薦の審査が行われるのだ。
護衛として雇おうとする者達が学校を訪問し、引き抜かれる事も多々ある。
授業はなく、訓練をし続け、雇用先が決まるように努力する。いくらやる気の薄い貴族の子息であっても、配属を決める勝負の期間なのだ。
「この時期が一番、真面目に訓練をするだろう。一気に底上げしてくれ」
「はぁ……光栄ではありますが、学校の方に話は……当然、通っているんですね……」
「勿論だ。ということだから、ケイギルをひと月、貸し出してもらうぞ」
隊長にそう振れば、嬉しそうに頷いた。
「承知いたしました。如何様にもお使いください」
「……ご期待に沿えるよう努力いたします」
「頼むよ。それと隊長、この騎士団にも、対抗戦までに頼みたい事があるんだが」
これに、隊長は素早くティアの前まで駆け寄ると、片膝をついた。
「なんでございましょうっ」
張り切ってティアの頼みに応えようとする隊長に、少々引きそうになりながら言った。
「あ、あぁ……琥珀の迷宮については知っているか」
「はい、冒険者達が近頃、こぞって挑戦するダンジョンで、傍にある宿場町は今や憩いの場所として、大変な人気だとか」
ティアは、騎士達をダンジョンへ招く事ができない理由は、なんだろうかと考えてきた。
ここ最近、騎士達をつぶさに観察してきてそれが分かった。単に時間が取れないのだ。
「あのダンジョンは、元々、私がお前達騎士や冒険者達を強くする為の訓練場として整えた場所でな」
「なっ、そ、そのようなっ」
隊長だけでなく、ケイギルや未だ壁際に控える副隊長も目を見開いていた。隊長と副隊長に至っては、どうやらかなりの衝撃だったようだ。
「わ、我らの為にっ……バトラール様……っ」
「あ~、いや……最初からお前達には言っておけば良かったかもって、え?」
どうも感動に打ち震えているらしく、一度下を向いた隊長と副隊長。しかし、次に顔を上げた二人は滂沱の涙を流していた。
「バトラール様っ、バトラール様のご厚意に気付かぬような愚かな我らの為にっ」
「あ、いや、別にお前達用ではなく、弱っちぃ王都の甘ったれどもの訓練にと……今回は試験的にお前達にも……って、聞いているか?」
隊長は、今度はティアが関わっているダンジョンに気付けなかった事がショックだったようで、座り込むと床に頭を激しく何度も打ち付けだした。
「なぜ、気付かなかったっ! なぜだっ、なぜだぁぁぁっ」
「おいおいっ、ちょっ、止めないかっ」
どうにか止めてやれと副隊長へ目を向ければ、同じように反省中らしく、壁に頭突きを繰り返していた。
「……ケイギル……」
「……はい……」
「止めてくれ……」
「……了解しました……失礼します」
そうケイギルは一言断ってから、それぞれの襟首を掴み、一気に後ろへ引っ張り倒したのだった。
************************************************
舞台裏のお話。
アデル「ティアってば、今日はどこ行ったんだろ……」
ルクス「ん?ティアなら、学園街の紅翼騎士団に用があると言って出て行ったぞ」
アデル「……ティアが?」
ルクス「あぁ、珍しいがな。確か……ケイギルがどうのと……」
キルシュ「っ⁉︎ 兄上がなにか?」
アデル「あ、キルシュ。遅かったね」
キルシュ「すまない。そこで子ども達に捕まったんだ。ほら、限定の果実パンだぞ」
アデル「ありがとっ。ねぇ、それでティアは、キルシュのお兄さんに何させる気なのかな?」
キルシュ「や、やはり、何かをさせると思うか?」
アデル「うん。だってティアだもん。ルクスさんは聞いてないの?」
ルクス「そうだな……最近は事後報告ばかりだから」
アデル「じゃぁ、ここ最近の外出は何なの? 夜にマティちゃんと出てるよね?」
ルクス「それは、王都の騎士の素行調査と補導だと聞いている」
キルシュ「それって……」
ルクス「まぁ、分かりやすく言えば騎士狩りだな」
アデル「なにそれっ! 楽しそう!!」
キルシュ「へ? ちょっ、アデル?」
ルクス「王都の偉そうな若い騎士達をシメるのは、そう悪い事ではないな」
キルシュ「……ルクスさん、最近、ティアを注意出来なくなりましたね……」
ルクス「っ、いや、ダメな事は、しっかりとダメだと言っているつもりだが……」
アデル「ルクスさんも大人になったもん。強くなってティアをお嫁さんにする自信もついたし、大人の余裕を見せてるんでしょ?」
ルクス「それはっ……」
キルシュ「ジルバール様も、最近は落ち着いていらっしゃるしな……なるほど、大人の余裕……って、その話ではなく、ケイ兄上はどうなるんだ?」
アデル「どっかに使いっ走りとか? あ、そういえばあの三バカさん達も、何か任務だって一週間前くらいに出て行ったっきりだよね。ティアってば、何を考えてるんだろう」
ルクス「帰って来たら聞いてみよう。心配するな。ケイギルなら何とか持ち堪える」
キルシュ「……はい……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
兄が心配です。
ケイギル君は、良い位置にいてくれます。
使い勝手が良さそうです。
彼は、まともみたいですからね。
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