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連載
450 最強の冒険者に乾杯?
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2016. 7. 8
********************************************
バトラールの姿で騎士達と向き合うティアの周りには、ぽっかりと空間が空いていた。
冒険者達の指示で、近くにあったテーブルは全て壁際に移動し、どうぞ暴れてくださいと、客たちが揃って場所を提供していたのだ。
「さっさとかかって来たら? 料理が冷めるんだけど」
ティアの座っていた席には、まだ湯気の立つスープが置かれていた。
「ここのスープ。美味しいって評判だから楽しみにしてたんだ。お前達を外に放り出さないと美味しく味わえないだろ?」
「なんだとっ」
挑発するのはいつもの事だ。だが、中々踏み出して来ない。
それに溜息をこぼす。
「まったく、ほら見ろ。剣の使い方も忘れてるんだろ。騎士学校を卒業したのは何年前だ? 訓練もろくにしていないんだろうな」
これだから騎士はと両手を広げて呆れかえる。そして、ティアが動いた。
一人に足払いをかけ、態勢を崩した所で剣を持つ腕を捻り上げて剣を奪う。そして、肘でみぞおちを一発。
倒れたその騎士を蹴り上げて入り口の外まで扉ごと吹っ飛ばす。
「ひっ」
残っていた騎士が悲鳴を上げて一歩下がるのを目の端に捉えると、奪った剣で、咄嗟に振り下ろされた騎士の剣を天井へ弾き飛ばす。
きれいにそのまま天井に突き刺さった剣を確認する暇もなく、反射的に剣の行方を探して見上げた間抜けな騎士に回し蹴りをお見舞いする。
すると、強烈に決まったその蹴りによって、彼もまた入り口から外へと飛び出していった。
それから天井に突き刺さった剣を見て苦笑する。
「やっぱ切れ味も悪いなぁ」
そう言って突き刺さった剣を引き抜くと、二つの剣を両手で下げて外へと向かう。
倒れた騎士二人は、気絶していた。だが、そのまま寝かせておいてやるつもりはない。
「おい」
「うっ……」
先ず、最初に吹っ飛ばした騎士の方を蹴り起こす。
呻きながら薄目を開けたそいつの顔を覗き込んで言った。
「寝てんじゃないよ。そっちも起こせ。店の前に倒れられてちゃ迷惑だ」
「っ、お、おい」
慌てて痛みさえ忘れて仲間の男を揺り起こす。
そして、目を覚ました二人は、身を寄せ合ってティアを見上げた。
「起きたな。よく聞け。今後、こうして店で問題を起こす事は許さない。エラぶりたいなら、パパとママのいる所でやりな。今度はそのパパとママごと、この国から叩き出してやるからね」
どのみち許さないという事なのだが、教育した両親共々、連帯責任だ。
「わかったか? わかったら、さっさとお家にお帰り。パパとママに泣きつくといいよ」
「うっ、くそぉ」
「お、覚えてろよ」
「顔なんて覚えないぞ」
無様に体を屈めながら逃げていく彼らに、ティアはそう声を掛けるが、既に聞こえてはいないようだ。
そこに、暗闇に潜んで片膝をつく者がいた。
「この剣頼むよ」
「はっ」
彼はクィーグのシルだ。いつでもティアのサポートが出来るようにと影に控えていた。
二本の騎士の剣を受け取ったシルは、報告をする。
「今夜はここが最後のようです」
「そう。まぁ、時間か。また明日だね。下がっていい」
「承知いたしました」
今日の営業はここまでとシルを帰す。
それから少しの間、まだ賑やかな町の様子を眺めていると、後ろでカンカンと音がした。
「あ、悪いね。仕事させて」
「いいって。吹っ飛んだのが金具ごとでよかったよ」
店の扉は、騎士と一緒に金具ごと外れ飛んでいたのだ。それを客だった創工士達が素早く直していた。
ティアが店に入っていくと、床に騎士達がぶちまけた料理もきれいに片付けられている。
「扉、直ったぞ。その天井の穴はどうする?」
言われて気付いたティアは、そういえばと顔を顰めて見上げた。
「そこはいいよ。話のタネにいいだろう」
「お、ちげぇねぇ」
今日の事を話すのに証拠として丁度いいと、店主は笑っていた。それに釣られて客達も笑う。
「本当にこのまま? 修理代なら払うよ?」
ティアとしては、はじめからそのつもりで騎士の相手をしたのだ。だが、冒険者達や店主は必要ないという。
「何言ってんです、バトさん。これも名誉の負傷ってやつですよ。店に箔がつくぜ」
「そうそう。店主もそう思うだろうっ」
「ええっ。有難く語り継いでいきますよ!」
実は、この店に来る前。同様に二軒の飲食店でも騎士達を追い出したのだが、その店でも修理代はいらないと言われてしまったのだ。
「いや……好きに暴れただけなんだけどな……」
苦笑いを浮かべるティア。そこへあの女性店員が湯気の立つ、店自慢のスープを運んで来た。
「助けてくださって、ありがとうございましたっ。どうぞ。新しくお持ちしましたので、お召し上がりください」
「え? いいのに」
「ダメです。このスープは、熱々を召し上がっていただかなくては」
熱い視線でもって、見つめながら迫る女性店員に、ティアは苦笑いを浮かべながら頷く。
「あ、ありがとう。いただくよ」
「はいっ」
壁際に寄せていた席も元通りの場所に戻されているようだが、どうもティアのテーブルに近いように感じるのは気のせいではないかもしれない。
「この後も他の店を回られるので?」
気にして尋ねてきたのは、店主だ。その答えを、皆が待っていた。
「いや。今日はもうここで終いだ。坊ちゃん達は、おネムの時間だからな」
そう冗談めかして言えば、皆が笑った。
「あはははっ、そりゃぁ、しゃぁねぇな」
「お子様は帰る時間かぁ」
これは冗談ではなく、本当の事だ。お貴族様は、あまり夜更かしが出来ない性質らしい。勿論、早く寝ないと定時に起きられないという事情もあるようだ。
お陰でティアも、無理な夜更かしをしなくて済んでいる。そんな子どもの事情など知る由もなく、客達は嬉しそうにはしゃいでいた。
「よっしゃぁっ! オヤジっ、酒くれっ」
「俺もっ、みんなで乾杯しようぜ」
「バトさんにっ」
「おうっ、最強の冒険者にっ」
「乾杯っ!!」
「「「乾ぱ~いっ」」」
席についたティアは、一斉に騒ぎ出した客達に呆れながらも、用意された弱めの酒を手にして掲げるのだった。
************************************************
舞台裏のお話。
ビアン「待て、お前達」
騎士A「ひっ、あ、なんでありましょうか」
ビアン「剣はどうした? 鞘しかないが?」
騎士B「それは……っ」
ビアン「……またお嬢さんか……」
騎士A「え?」
ビアン「なんでもない。それより、国の備品である剣をどこかへやるのは困る。騎士の剣が犯罪に使われたら国の威信にも関わるんだぞ」
騎士A「はい……」
騎士B「申し訳ありません……」
ビアン「罰として、この先一ヶ月、外出は禁止。朝、夕の訓練も欠かす事は許さない。それから、これだ」
騎士A「……これは?」
騎士B「報告書を書くということですか?」
ビアン「いや、反省文だ。いかに自分達が愚かな事をしたか、己を見つめながら今日の反省を最低それに三枚書いて明日の昼までに提出するように」
騎士A「は、反省文?」
騎士B「そんなの書いた事が……」
ビアン「文句は聞かん。明日の昼の鐘が鳴るまでに私の所か、隊長へ持っていくようにな」
騎士達「「はっ、はいっ!」」
隊長「反省文とはな……私も書いた事がないんだか?」
ビアン「私もありませんよ。ただ、いい案ではあります。それも、時間をかなり使いますからね。彼らは今日、寝られないでしょう……現実が分かっていればですが……」
隊長「時間の使い方など、あやつらには分からんだろうな……甘やかしていたかもしれん」
ビアン「根性がないですからね」
隊長「あぁ、キツく言ったりすれば、すぐにでも逃げ出して辞めかねん……まったく、おかしな世の中だ」
ビアン「大丈夫です。それが、これから変わるのですから」
隊長「ふっ、王には驚かされる。不安ではあるが、変わっていく国が楽しみだよ」
ビアン「はい」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
国を憂いていました。
夜な夜な回っています。
シルさんは相変わらずティアちゃん専属です。
冒険者達もバトラールを尊敬している様子。
もう裏の顔じゃありませんね。
では次回、一日空けて10日です。
よろしくお願いします◎
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バトラールの姿で騎士達と向き合うティアの周りには、ぽっかりと空間が空いていた。
冒険者達の指示で、近くにあったテーブルは全て壁際に移動し、どうぞ暴れてくださいと、客たちが揃って場所を提供していたのだ。
「さっさとかかって来たら? 料理が冷めるんだけど」
ティアの座っていた席には、まだ湯気の立つスープが置かれていた。
「ここのスープ。美味しいって評判だから楽しみにしてたんだ。お前達を外に放り出さないと美味しく味わえないだろ?」
「なんだとっ」
挑発するのはいつもの事だ。だが、中々踏み出して来ない。
それに溜息をこぼす。
「まったく、ほら見ろ。剣の使い方も忘れてるんだろ。騎士学校を卒業したのは何年前だ? 訓練もろくにしていないんだろうな」
これだから騎士はと両手を広げて呆れかえる。そして、ティアが動いた。
一人に足払いをかけ、態勢を崩した所で剣を持つ腕を捻り上げて剣を奪う。そして、肘でみぞおちを一発。
倒れたその騎士を蹴り上げて入り口の外まで扉ごと吹っ飛ばす。
「ひっ」
残っていた騎士が悲鳴を上げて一歩下がるのを目の端に捉えると、奪った剣で、咄嗟に振り下ろされた騎士の剣を天井へ弾き飛ばす。
きれいにそのまま天井に突き刺さった剣を確認する暇もなく、反射的に剣の行方を探して見上げた間抜けな騎士に回し蹴りをお見舞いする。
すると、強烈に決まったその蹴りによって、彼もまた入り口から外へと飛び出していった。
それから天井に突き刺さった剣を見て苦笑する。
「やっぱ切れ味も悪いなぁ」
そう言って突き刺さった剣を引き抜くと、二つの剣を両手で下げて外へと向かう。
倒れた騎士二人は、気絶していた。だが、そのまま寝かせておいてやるつもりはない。
「おい」
「うっ……」
先ず、最初に吹っ飛ばした騎士の方を蹴り起こす。
呻きながら薄目を開けたそいつの顔を覗き込んで言った。
「寝てんじゃないよ。そっちも起こせ。店の前に倒れられてちゃ迷惑だ」
「っ、お、おい」
慌てて痛みさえ忘れて仲間の男を揺り起こす。
そして、目を覚ました二人は、身を寄せ合ってティアを見上げた。
「起きたな。よく聞け。今後、こうして店で問題を起こす事は許さない。エラぶりたいなら、パパとママのいる所でやりな。今度はそのパパとママごと、この国から叩き出してやるからね」
どのみち許さないという事なのだが、教育した両親共々、連帯責任だ。
「わかったか? わかったら、さっさとお家にお帰り。パパとママに泣きつくといいよ」
「うっ、くそぉ」
「お、覚えてろよ」
「顔なんて覚えないぞ」
無様に体を屈めながら逃げていく彼らに、ティアはそう声を掛けるが、既に聞こえてはいないようだ。
そこに、暗闇に潜んで片膝をつく者がいた。
「この剣頼むよ」
「はっ」
彼はクィーグのシルだ。いつでもティアのサポートが出来るようにと影に控えていた。
二本の騎士の剣を受け取ったシルは、報告をする。
「今夜はここが最後のようです」
「そう。まぁ、時間か。また明日だね。下がっていい」
「承知いたしました」
今日の営業はここまでとシルを帰す。
それから少しの間、まだ賑やかな町の様子を眺めていると、後ろでカンカンと音がした。
「あ、悪いね。仕事させて」
「いいって。吹っ飛んだのが金具ごとでよかったよ」
店の扉は、騎士と一緒に金具ごと外れ飛んでいたのだ。それを客だった創工士達が素早く直していた。
ティアが店に入っていくと、床に騎士達がぶちまけた料理もきれいに片付けられている。
「扉、直ったぞ。その天井の穴はどうする?」
言われて気付いたティアは、そういえばと顔を顰めて見上げた。
「そこはいいよ。話のタネにいいだろう」
「お、ちげぇねぇ」
今日の事を話すのに証拠として丁度いいと、店主は笑っていた。それに釣られて客達も笑う。
「本当にこのまま? 修理代なら払うよ?」
ティアとしては、はじめからそのつもりで騎士の相手をしたのだ。だが、冒険者達や店主は必要ないという。
「何言ってんです、バトさん。これも名誉の負傷ってやつですよ。店に箔がつくぜ」
「そうそう。店主もそう思うだろうっ」
「ええっ。有難く語り継いでいきますよ!」
実は、この店に来る前。同様に二軒の飲食店でも騎士達を追い出したのだが、その店でも修理代はいらないと言われてしまったのだ。
「いや……好きに暴れただけなんだけどな……」
苦笑いを浮かべるティア。そこへあの女性店員が湯気の立つ、店自慢のスープを運んで来た。
「助けてくださって、ありがとうございましたっ。どうぞ。新しくお持ちしましたので、お召し上がりください」
「え? いいのに」
「ダメです。このスープは、熱々を召し上がっていただかなくては」
熱い視線でもって、見つめながら迫る女性店員に、ティアは苦笑いを浮かべながら頷く。
「あ、ありがとう。いただくよ」
「はいっ」
壁際に寄せていた席も元通りの場所に戻されているようだが、どうもティアのテーブルに近いように感じるのは気のせいではないかもしれない。
「この後も他の店を回られるので?」
気にして尋ねてきたのは、店主だ。その答えを、皆が待っていた。
「いや。今日はもうここで終いだ。坊ちゃん達は、おネムの時間だからな」
そう冗談めかして言えば、皆が笑った。
「あはははっ、そりゃぁ、しゃぁねぇな」
「お子様は帰る時間かぁ」
これは冗談ではなく、本当の事だ。お貴族様は、あまり夜更かしが出来ない性質らしい。勿論、早く寝ないと定時に起きられないという事情もあるようだ。
お陰でティアも、無理な夜更かしをしなくて済んでいる。そんな子どもの事情など知る由もなく、客達は嬉しそうにはしゃいでいた。
「よっしゃぁっ! オヤジっ、酒くれっ」
「俺もっ、みんなで乾杯しようぜ」
「バトさんにっ」
「おうっ、最強の冒険者にっ」
「乾杯っ!!」
「「「乾ぱ~いっ」」」
席についたティアは、一斉に騒ぎ出した客達に呆れながらも、用意された弱めの酒を手にして掲げるのだった。
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舞台裏のお話。
ビアン「待て、お前達」
騎士A「ひっ、あ、なんでありましょうか」
ビアン「剣はどうした? 鞘しかないが?」
騎士B「それは……っ」
ビアン「……またお嬢さんか……」
騎士A「え?」
ビアン「なんでもない。それより、国の備品である剣をどこかへやるのは困る。騎士の剣が犯罪に使われたら国の威信にも関わるんだぞ」
騎士A「はい……」
騎士B「申し訳ありません……」
ビアン「罰として、この先一ヶ月、外出は禁止。朝、夕の訓練も欠かす事は許さない。それから、これだ」
騎士A「……これは?」
騎士B「報告書を書くということですか?」
ビアン「いや、反省文だ。いかに自分達が愚かな事をしたか、己を見つめながら今日の反省を最低それに三枚書いて明日の昼までに提出するように」
騎士A「は、反省文?」
騎士B「そんなの書いた事が……」
ビアン「文句は聞かん。明日の昼の鐘が鳴るまでに私の所か、隊長へ持っていくようにな」
騎士達「「はっ、はいっ!」」
隊長「反省文とはな……私も書いた事がないんだか?」
ビアン「私もありませんよ。ただ、いい案ではあります。それも、時間をかなり使いますからね。彼らは今日、寝られないでしょう……現実が分かっていればですが……」
隊長「時間の使い方など、あやつらには分からんだろうな……甘やかしていたかもしれん」
ビアン「根性がないですからね」
隊長「あぁ、キツく言ったりすれば、すぐにでも逃げ出して辞めかねん……まったく、おかしな世の中だ」
ビアン「大丈夫です。それが、これから変わるのですから」
隊長「ふっ、王には驚かされる。不安ではあるが、変わっていく国が楽しみだよ」
ビアン「はい」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
国を憂いていました。
夜な夜な回っています。
シルさんは相変わらずティアちゃん専属です。
冒険者達もバトラールを尊敬している様子。
もう裏の顔じゃありませんね。
では次回、一日空けて10日です。
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